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第二章 学園・冒険者編

第十五話 アーロンの戯れ

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 時は数百年前。

 ーー天から一人の少年が地上を眺めながら呟いた。

「……誰も楽しんでいない……。少し楽しい遊びをしようか……」

 そしてその存在はいつの間にか消えていた。

 数年後。

「マリンフォード教国は八神・・の加護がある!今こそ全世界に教典を広げるのだ」

 教皇が教徒たちに熱弁する。
 教徒たちは教皇の言葉を何一つ疑わずに頷いている。

「聖騎士たちよ。これからマリンフォード教の教えを広めるために、この世界を統一するのだ」

「「「「「「「「「「おぉ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 聖騎士と教国の教えを信じる兵士たちが行進していく。

「メリネよ。お主は聖女として、召喚の儀をしてもらいたい。この召喚の宝玉には数百年にわたって魔力が蓄えられてきた。召喚によって勇者が現れることは、法典にも書いてある。頼むぞ」


「……はい、教皇猊下」

 メリネは教皇から宝玉を預かり、祭壇がある部屋に行き宝玉を中央に置いた。

「この世界は何かがおかしい……なんでみんな争うの……誰か助けて……」

 そう呟きながら、魔力を宝玉に込めていく。


「我は望む。この世界を救うものよ。八神の加護を持って勇者となるものを召喚する」


 その瞬間に宝玉は部屋を真っ白に染めるほどに光った。

 光が収まったところには、三人の人間がいた。
 十代後半に見える男性と、二十代中ばの男性と女性だった。

「あれ? なんでこんなところに? バイクに乗っていたはずなのに……」

 一番若く見える男性が呟いた。

「おい、恵! 大丈夫か!?」

 二十代の男性は、女性を抱きしめていた。

「あれ? 正面からきたトラックは? 私たち助かったの?」

 女性は男性の声で気づき、声を掛けながら立ち上がった。

「申し訳ございません。わたくしはマリンフォード教国で聖女をしております、メリネと申します。あなたたちは、私の召喚の儀によって異なる世界からお呼びいたしました」


「「「え?」」」


「俺たちは恵と車を運転中にトラックと正面衝突して……」

「僕はバイクに乗っていて事故にあって……」

「はい、召喚を行う時に亡くなったばかりの魂を呼び寄せました。生きている人は呼ぶことはできませんので」

「じゃぁ僕たちは……」

「あなたたちの世界では何かの原因でお亡くなりになられたと思います……」

 メリネは三人に対して正直に伝えた。

「わたしたちが死んだら……和也は……まだ六歳なのに……」
 
 そう言って、女性は泣き崩れた。

「まずは、部屋でおやすみになってください。落ち着いてから話をいたします」

 三人を部屋に案内した。二十代の男女は夫婦ということだったので、同じ部屋にした。

 そして次の日。

「僕の名前は、平沢優也だ。家名がヒラサワで名前がユウヤ」

「ユウヤ様ですね。わかりました」

「俺たちは、椎名 聖也と椎名 恵だ。家名がシイナで名前がセイヤとメグミ」

「セイヤ様、メグミ様ですね」

 メリネを囲んだ三人は応接室で話し込んだ。
 この世界は何かがおかしい状態になっており、全ての国が争うようになってしまったこと。
 この教国の教皇ですら、同じ考えをしていること。
 そして教皇より召喚の儀を行い、勇者を召喚するように指示をうけたこと。


「じゃぁ俺たちは戦争に行けってことか……」
「そんなの無理よ。私たちの世界は平和な世界だったし……」
「人殺しなんて絶対できないよ」

 三人とも否定的だった。

「皆様はこの世界にきたことで、能力や称号がついておられると思います。それによって普通の人より大幅に高いステータスだと思います。わたくしがこれから洗礼の儀を行いますので」

 三人を儀式の間に案内し、膝をつかせ、頭を下げさせる。

「ユウヤ・ヒラサワ、セイヤ・シイナ、メグミ・シイナよ。マリンフォード教が称える八神がそなたたちに洗礼を祝う。皆にステータス魔法を授け、道を示したまえ」

 メリネが八神に祈った。

「これで終わりです。皆様、「ステータス」と唱えていただければわかると思います」

 ユウヤがまっさきに唱えた。

『ステータス』

 ユウヤの目の前には半透明なパネルが浮き上がる。

 【名前】ユウヤ・ヒラサワ
 【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】十八歳
 【称号】召喚されし者 勇者
 【レベル】1
 【体力】3,180/3,180
 【魔力】4,560/4,560
 【能力】S
 
 【魔法】
  火魔法Lv.5
  風魔法Lv.5
  光魔法Lv.5
  時空魔法Lv.5
  生活魔法
 
 【スキル】
  鑑定Lv.5
  アイテムボックスLv.10
  剣術Lv.5
  体術Lv.5
  物理耐性Lv.5
  魔法耐性Lv.5

 【加護】
  創造神の加護Lv.3
  生命神の加護Lv.3
  魔法神の加護Lv.3
  大地神の加護Lv.3
  武神の加護Lv.5
  技能神の加護Lv.3
  商業神の加護Lv.3

「おぉ。なんか出た。これがステータスか」

「そうです。『ステータスオープン』と唱えると他の人にも見れるようになります」

「なら、俺たちも『ステータスオープン』」

 【名前】セイヤ・シイナ
 【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】二十八歳
 【称号】召喚されし者 聖騎士
 【レベル】1
 【体力】5,220/5,220
 【魔力】2,090/2,090
 【能力】S
 
 【魔法】
  火魔法Lv.3
  風魔法Lv.3
  光魔法Lv.5
  時空魔法Lv.3
  生活魔法
 
 【スキル】
  鑑定Lv.5
  アイテムボックスLv.5
  剣術Lv.5
  体術Lv.5
  物理耐性Lv.5
  魔法耐性Lv.5

 【加護】
  創造神の加護Lv.3
  生命神の加護Lv.3
  魔法神の加護Lv.3
  大地神の加護Lv.3
  武神の加護Lv.5
  技能神の加護Lv.3
  商業神の加護Lv.3


 【名前】メグミ・シイナ
 【種族】人間族 【性別】女性 【年齢】二十八歳
 【称号】召喚されし者 賢者
 【レベル】1
 【体力】1,180/1,180
 【魔力】5,920/5,920
 【能力】S
 
 【魔法】
  火魔法Lv.5
  風魔法Lv.5
  土魔法Lv.5
  水魔法Lv.5
  光魔法Lv.5
  時空魔法Lv.5
  生活魔法
 
 【スキル】
  鑑定Lv.5
  アイテムボックスLv.5
  体術Lv.2
  物理耐性Lv.3
  魔法耐性Lv.3

 【加護】
  創造神の加護Lv.3
  生命神の加護Lv.3
  魔法神の加護Lv.5
  大地神の加護Lv.3
  武神の加護Lv.3
  技能神の加護Lv.3
  商業神の加護Lv.3


「私も出たわ。私は賢者だって……」

「俺は聖騎士だ」

「僕、勇者……」

 三人ともステータスを見せ合ってた。

「それだけのステータスがあれば問題ありません。あなたたちにはお願いがあります」

 メリネが三人にお願いする。

「戦争に行けっていわれても嫌だよ?」

 まっさきにセイヤが断った。

「……違います。あなたたちは、このまま教国を脱出していただき、その目で何がおかしいのか見てもらいたいのです。できれば……その間違った世の中を直していただけたら……」

「ーーそんなことしたら、あなたの立場がまずいんじゃないの?」

 メグミがメリネに気を遣う。

「……いいのです。今のこの世界は何かに洗脳されたようにおかしくなっているのです。それを突き止めなければ……。皆様には冒険者になっていただき、その原因を突き止めてもらいたいのです」


「冒険者か……それなら僕にでもできるかも」
 
 ユウヤは乗り気になっている。

「いきなりは出来ないと思いますから、剣術や魔法の訓練をこの教国で練習してください。教官もつけてこの世界のことを学んで欲しいのです」

 メリネが頭を下げてお願いする。

「それならな……。もしかしたら、元の世界に戻れる方法も見つかるかもしれないし……」

「そうよね……。和也一人に……。おじいちゃんがいるから大丈夫だとは思うけど……」


 そうして、三人は訓練に励んだ。


「教皇猊下、三人の勇者たちは、この先の戦いのために、訓練を始めました。あとは実践のために一度冒険者になっていただき、実際の戦いを身に付けるように助言しております」

「うむ。よく説得してくれた。これでこの教国が世界統一する日も近くなるであろう」

 教皇は怪しく笑った。


 ◇◇◇


 三人は冒険者になり、討伐系の依頼をこなしていた。

「なんだか、冒険者家業にも慣れてきたな……」

 ユウヤがギルドで食事をしながら呟いた。

「まだ本当の目的のために頑張らないと……せめてBランクまで上がらないと自由に動けないわ」

 メグミの言葉に二人は頷く。


 ◇◇◇

 一年の月日が流れた。

 三人は冒険者ランクAまで上がっていた。

「皆様よろしいですか、教皇猊下には依頼と伝えておきます。まずは北上すると都市国家がいくつもあるイルスティン連邦があります。そこに行けば何かと動きやすいと思います」

「わかった、色々と世話になったな、メリネ」

「メリネ、ありがとう」

 四人は握手しあった。


 そして三人はマリンフォード教国から脱出した。


 ◇=================◇
 いつもご愛読ありがとうございます。
 数話、過去の話をしていきたいと思います。
 



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