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1Gいれば、その百倍はいる
しおりを挟む「Gって害虫は一匹見つけたら、百匹はいるって言いますから。
名前も似てるし、いっぱいいたら気持ち悪いですねー」
なんか遠い目をしてしまった。
名前、寄せてるなーって思ったら、口から思わず出ちゃってた。
「えぇ?! 何、その怖い話!!」
グランも皇帝陛下も物凄い顔でこっちを見た。
「世界が終わっても生き残る、って言われてるくらいの奴なんですよ。
彼らのメンタルと同じじゃないですか?」
全然めげてなかったよね。
「Gとやらは、それ程までなのか?」
「はい、僕は怖くて無理です。
最新の駆除方法は、凍らせるようですが、回避する為の薬草もあるようです」
「まさに、アイツらと似てますね。
次に似たような奴等が来たら、近寄れなくする魔法を使って」
「いや、ラグランジュよ、凍らせてしまうべきだろ」
Gを駆除する話なのか、貴族を駆除する話なのか。
「父上、凍らせてしまうと、貴族が減りすぎます」
「ううむ、貴族なんぞ、殆どが害虫みたいなもんだ」
この話はあまりしたくないなぁ。
「あの! もうGの話はやめませんか?
僕が言い出しておいて、なんですけど」
リュシアンがうげって顔をしたのを見逃さなかった。
やっぱり!!
絶対だ!
しかも、Gの表現が分かるなら、日本人だろ!
「リュシアンは僕が抱っこしますよ」
確かめたい!
「おぉ、そうだったな。
リュリュたんのご機嫌は直ったようだが……。
今日は皇宮に泊まっていくだろ?
ラグランジュ」
んん? 抱っこから離さない皇帝陛下に、グランが言ってた事が思い出された。
「一緒にお泊りはダメですよ。
帰りますから」
グランは察したらしく即、断っていた。
「リュシアン、父様のとこへおいで」
「あ、グラン、僕が抱っこするよ、休憩もしたいし」
リュシアンと話をしてみないと。
「じゃあ、先に休憩室に行っててくれる?
私は後からすぐ行くから」
珍しく僕と離れておこうとするって事は、さっきのGを駆除する許可を陛下にもらうつもりなんだろうな、と想像した。
「グラン、先に行ってるね」
「うん、変な奴いたら容赦なくやっちゃって良いからね」
いい笑顔で、セリフは怖い事を言うグランに、そうするよ、とだけ返してリュシアンを抱き抱えた。
かなり広い庭園を、それなりに挨拶しながら抜けていくと、謁見室近くに休憩室が数室あって、それぞれ階級で使う部屋が分かれていた。
騎士達が僕に気づくと、すぐに声を掛けてくれて、使える部屋へと案内を始めた。
一番庭園に近い広間みたいなオープンな場所は平民に使用が許可されていて、子供達やその親がお皿に取った食事を出来るスペースになっていた。
美味しい、楽しい、綺麗、そんな声が聞こえてくると、陛下がしてくれた事は決して無駄じゃ無かった、って思えた。
「だからこそ、悔しいな」
「え? どうされました?」
「いや、さっきね、」
G親子の話と、害虫の話をすると、騎士達が大笑いしながら、災難でしたね、と言ってくれておかしいのはやはりあの親子だけだった様だ。
騎士達は貴族の者もいれば、平民もいてそういった身分差に一番敏感な所だと思うから、真っ当な意見だと思えた。
「ですが、そんな者たちがこれからも沢山出ると思いますよ。
ラグランジュ殿下はそりゃぁもう、凄くモテてましたからね」
「そうだよねー、あの容姿に優しい強いまで加わったら無敵でしょ」
騎士達はブッと吹き出しながら、見てくれだけはねー、と付け加えた。
「他の王子達は、ラグランジュ殿下に何一つ敵わないので、エルモア様に嫌がらせをしてくる可能性もありますから、十分ご注意をして下さい。
我々も尽力しますが、彼らは王子なのでどうしても
……、難しい場合があります」
権力か。
「気を付けます。
まずはリュシアンを守らないと、ね?
リュシアン」
「うひゃっ」
うん、返事したよねー?
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