オッドアイの守り人

小鷹りく

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リストの最後

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染谷は赤乃と話し終わると、キッチンに入る。


そして声を殺し、堪えていた残りの涙を流した。


明日でやっと終わります、海静様。あなたの秘密を知り、それを利用しようとする強欲な人間はもうこれで居なくなる。安全な世界になります。貴方がいつ戻ってきてもいい世界になる。明日で最後だ…。

染谷はもう何ヶ月もまともに寝た気がしなかったが、その夜だけは何故かすぐに眠りにつくことが出来た。


 次の日、赤乃と染谷と石原は秋成が書いていったリストの最後の人間に会いに行った。少し遠方になるので新幹線と車での移動だ。


 田舎にあったその男の豪邸に入り込むのは、赤乃が居ればいとも簡単な事だった。毎回の事ながら黒の能力の恐ろしさは人間離れしている。人が管理するセキュリティは全て赤乃による頭の中への侵略によりセキュリティ自体無いに等しい状態にしてしまう。そして易々と目的の人間に近寄り記憶を消していく。


洗脳とは恐ろしいものだった。そして心を操るとはおぞましい行為だった。だが染谷達にとってはそれは海静を守る正義だった。染谷に罪悪感は一ミリとして存在しなかった。


最後のターゲットの記憶から能力の秘密を消しさると、帰りの車の中で染谷達にふっと安堵の時間が訪れる。


石原「やっと片付きましたね…。」


染谷「ええ、これで秘密を知る者は伊集院家と御三家のみ。」


赤乃「どうする?御三家の記憶も消してしまうか?そうすれば何もなかったかのように余生を暮らせるぞ?」


石原「えええ?!そんなのありですか!?ここまで頑張ってきたのに!」


赤乃「…冗談じゃ。ワシだけならば生きていこうと思えば出来るがな、やはり海静が戻る事を思うと支えが必要じゃ。国の御子の力を守るという御命もあるしの。」


石原『冗談言う所じゃないですよね…。染谷様真剣に悩んでらっしゃるし…』


運転する石原がちらりと染谷を見ると、染谷は下のほうを見て何か考えていた。


赤乃『・・・すまん・・・。』


冷や汗をかく赤乃だった。


赤乃「さぁ!帰るとするかの!まぁでも今日は長旅じゃったし、もう夕刻じゃ。近くの温泉にでも入りたいのぉ~。どうじゃ?ん?泊まっていかんか?」


石原「そ、それはいい考えかと!!いいですよね!染谷様!せっかくひと段落したのだし!」


染谷「…ああ、それもいいかも知れない。今日は遠出だったし。私も少し精神を休ませたい。泊まって行こうか。この近くに前から行きたいと思っていた寺があるんだ。ちょうどいい。」


心がここにあるのかないのか判らないような呆然とした状態で染谷は喋った。

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