オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

行かせない

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 カイは俺の瞳をじっと見る。怒りを宿して燃えるように輝く綺麗な瞳…。もしかしてこの眼を見れなくなるかもしれない、そう考えただけで苦しかった。カイは俺を見て戦闘モードを少し緩めたようだが怒っている事に変わりはなかった。真剣な顔がどんどん近づく。殴られはしないだろうがカイの雰囲気に気圧されて俺は息を止めた。相当怒ってるよな…って、おいっ、おいっ、おいっ!近っ!!これ以上近づいたら…

「……っ。」

 抱きしめられたっ、と思っていたら、カイは両手で俺の背中をさわさわと触り、お腹を触ったかと思うと、今度はズボンをパンパンと叩いて身体検査を始めた。両手でまた腰周りをぐるっと探り、お尻にも手が伸びた所で、何かを見つけてそれをスッと引き抜いた。


「…お前、こんなでっかいナイフどうするんだよ。人でも殺すつもりか?!」

 そう言って俺が後ろのポケットに入れていたナイフを取り上げ、片眉をクイっと上にあげて怒鳴った。

「いや、武器がねぇと困るだろうと思って…。」


「相手が素人でもプロでもこんなでっかいモン振り回すんじゃない。取られて逆に刺されたらどうするんだ。だからついて来るなって言ってるんだ。」


 素人の考えはどこまでいっても素人だろうが、役に立つと思ったんだ…。


「相手がもし銃でも持っ…むっ」


 カイは人差し指だけピンと立てて、しーっと子供を諭すようにその指を俺の唇に当てた。


「ジェスが拐われたんだ。お前にまで何か有ったらもうどうしていいか分からなくなる。お前を守りたいんだ。頼むからついて来ないでくれ。」


 そんな事言われても、俺だってカイを守りたい。カイの哀しそうな顔を見ると大人しくしてた方が良いのかと思えなくもないけど、好きな奴が危ない目に合うのを傍観していろって言われて、はい、わかりましたと聞いていられる訳がない。
 

「頼む…。」


「いやだ…。俺を連れていけ。」



「聞き分けてくれ。」


「いやだって言ってんだろうが!」



 カイは「はぁーっ」と溜息をついてこめかみを押さえた。そうだよ、俺は聞き分けが悪いガキだよ、悪いか!何を言われてもどう思われても、一人で危険な目に合わせたくない、絶対一人で行かせねえ!


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