オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

倉庫1

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沢山のコンテナが何段も積み重なった塊はいくつも横長に広がり、見渡す限りコンテナまみれで数え切れない。


地上に固定されている大きなクレーンが、港の壁に横付けされた巨大な船へ一つずつそのコンテナを積んでいく。ゆっくり動くクレーンとは正反対にトラックは忙しなく敷地に入って来ると、決められた道筋を走り積荷を下ろして直ぐに去っていく。


トラックに轢かれないように注意しながら敷地内を歩く俺は少し目立っていた。変装をするのを忘れて、銀色の長髪が人目を引いてしまうのだ。

 敷地内を歩いている人はトラックの運転手以外ほぼ居ないが、クレーンやフォークリフトを運転する人達が黄色のヘルメットを被っているのを見て、どこかで頭に被るものをくすねられないかとキョロキョロして歩いた。

 運よく荷降ろしをしているフォークリフトの運転手がヘルメットを脱ぎ、座席に置いた所へ通りかかった俺はそのヘルメットをすかさず持ち去った。並ぶコンテナの間に身を隠すのは簡単だった。

 髪を一纏めに手で縛るとクルクルと丸めてヘルメットの中に納め、出てこない様に顎ヒモの固定具をカチッと締める。これでどこから見ても銀色の長髪は見えないし作業員に見えるだろう。

 ジェスが居るはずの建屋はコンテナを積載している船のもっと奥に位置していて、その敷地内では一番端にあるようだ。

 いくつも建屋を過ぎたが、どこもフォークリフトで荷物を出し入れしており、怪しそうな気配は無かったが、最奥の建屋だけは様子が違った。

 荷物の積み込みもなく、南に位置する前方の大きなシャッターが下りているのに、人が二人大きな警防のようなものを持って見張りをしている。ここに間違いない、倉庫に書いてある番号も王さんに貰った住所通りだ。

 下りたシャッターの前で歩く二人の背中周りには何かを隠しているような膨らみが見えた。銃で無い事を願う。俺は作業員のフリをして手前の建屋の裏口に回り込み、目的の倉庫を横側から偵察した。

 倉庫は大きく、西側の壁には出入り口が前方と後方に一つずつあった。だが見張っているのは一人。

 前後のドアの間には障害物が何も無く、後ろから見張っていれば前のドアが丸見えだから一人で十分なのだろう。

 見張の人数が少なければ少ないほど助かるが反対側も確認しなければ。

 後ろのドアを警備するはずの男は座りながらスマホに夢中になっていた。指が画面を右へ左へと動くのを見るとどうやらゲームでもしているらしい。俺は十二分に距離を取り、前のドアの方向を見る男を尻目に何食わぬ顔で彼の後ろを通り倉庫の裏へ回った。



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