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第四週「味噌汁」
(18)たまには動揺だってするもの
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渦中の人物その二の登場だ。主役は遅れて登場するものとでも言いたげなのは気のせいと思いたい。約束の時間から遅れて登場した睦郎だが、なにかトラブルでもあったのだろうか。
本来なら約束の時間を大幅に超過したことに対し、海軍軍人以前に人としてどうなのかと説教すべきなのだろう。しかし、取り付く島の無い赤岡に手を焼いていた鶴田は、しめたとばかりに歓迎する。良いタイミングで出てきてくれたと。
「おう、来たか。睦さんや」
「遅なってもてすんまへん。って、あれ? 鶴さんもおりますん?」
「……」
睦郎にとっては予期せぬ人物の登場だ。まさか機関室の主である機関長が、自分よりも先にワードルームに現れるだなんて思いもしなかった。機関科の長である彼の根城は艦の底にある機関室。そこでは洋上に出ている間、機関科の将兵たちがじっと計器類などに張り付いて艦の心臓部を動かしている。
艦橋からの指示に従って艦を思い通りに動かせるよう日夜努力をしている機関科は、まさに縁の下の力持ちだろう。
そんな機関科の長である鶴田が珍しくもこの時間に上までひょっこり出てきて顔を見せ、しかも赤岡と何やら親しげに話しているのだ。何か口出しをして良いだろうと赤岡は密かに思っていた。
だが、それについて、睦郎からは特に意見が出ることはなかった。それに本人の態度も至って普段通り。赤岡と何かあっただなんて、傍目から見れば誰も信じてくれないだろう。それくらいに普段となんら変わり無く、平常通りだった。
ただ、対する赤岡の方はと言えば……
「…………」
「おい、赤岡さんや」
「……なんです」
「顔に出てるぞ」
鶴田からの指摘が飛んできた瞬間、ガタッと盛大な物音が。
「えっ!? なに!?」
睦郎がぎょっと目を剥いて駆け寄ってくる。赤岡が動揺のあまりに椅子から滑り落ちそうになったのだ。
そんなに破壊力のある指摘だったのだろうか。何気ない一言をかけた鶴田本人も驚いて、ポカンと口を開けた間抜け面を晒してしまった。
大方「睦郎が自分を差し置いて鶴田の方に意識を向けているのが気に食わない」────と言ったところか。言語に変換したらそんな風な台詞になっていただろう表情だった。
「! ……、……!」
「へぁ!? 赤岡はん、大丈夫ですの?」
本人としては、自覚さえできていなかったのだろう。正真正銘、無意識での態度だったらしい。珍しく動揺を隠しきれずに口をパクパク開閉させながら目を丸くしていた。
まるで見本のような驚きっぷりだ。ここまで綺麗に反応してくれたら、仕掛けた方としても唖然とならざるを得ない。
赤岡城幸軍医中佐と言えば、どのような症例に遭遇しても冷静沈着、真性サドの気があるとして数多の将兵から恐れられる男だ。
仕事以外に心を動かされない、冷徹な仕事人間の見本。心臓まで氷でできた鬼畜野郎。などと言う罵りを耳にしても意にも返さず、涼しげな表情で平然とサドな提案を繰り返す、軍医の鑑──などの評価は幻だったのだろうか。それとも、この反応こそが幻?
いいや、現実として実際にそこにある。主計長に構ってもらえず拗ねたことを指摘されて、ひっくり返りそうになった軍医長という形で。
「なんでい、なんでい。あんた、意外と感情が顔に出てくる人間だったんだなぁ」
「……放っておいていただけませんか、機関長」
ようやく付け入る隙を見付けた、と言わんばかりに邪悪な笑みを浮かべた鶴田が赤岡に迫る。
それに対し、赤岡はまるで何事もなかったかのようにスッと姿勢を正しながら咳払いをひとつ。
「ハハハッ! まあ、なんだ。サドで鬼畜の軍医長も、結局は人の子ってかぁ?」
「あのぅ……なにかあったんどすか?」
ぐっと上体を反らせて豪快に笑う鶴田を尻目に、睦郎がおずおずと聞いてきた。
何かあったのだろうか。そして自分はここに居ても良いのだろうか。そんな不安が混ざった一言に、冷静さを取り戻した赤岡はこう返してやる。
「なんでもありませんよ。それよりも献立のことです」
早く座れと促して、赤岡はそれっきり何も言わなくなった。
ただでさえ約束した時間から大幅に遅れての登場だというのに、その上で鶴田に捕まってあまり言いたくないことを言わされていたのだ。これ以上、機嫌を損ねるのもよろしくはない。
空気を読んだ睦郎は大慌てで赤岡の正面の席に座り、抱えていた予定献立表に関する書類を机の上に広げる。
「正月で重いものをたくさん食べた兵も多いでしょうからね。来週は少し軽めの食事にした方がよろしいでしょう。油っこい揚げ物は避けなさい」
「はぁい」
今日は昭和六年の一月六日。大晦日の日に、艦の規定の場所に飾られた松飾りも既に撤収され、艦内は通常業務に戻っていた。
が、やはり正月だったこともある。前期と後期に分けて大型の休暇を与えられる兵員も、普段は滅多に食べられないご馳走を口にしてきたことだろう。艦内でも正月の食事は豪華になる。
豪華な食事も人生には必要なものだが、普段が普段なのだ。あまり重いものを食べさせ続けても、胃腸が弱ってしまう。それだけは避けねばならない。
ここはいったん、消化器を休める献立を考えた方が良いだろう。ただし、海軍の規定にある兵員に一日に摂らせるべき最低限のカロリーを計算するのが最優先である。
胃腸を休めるための軽い食事で、普段の業務に支障が出るのなら本末転倒だから。
「ほんじゃぁまあ、茶碗蒸しみたいな軽いモンで来週は固めときましょか」
茶碗蒸しにスープ類。せっかく寄港しているのなら、新鮮な野菜を使ってみるのも手だろう。
艦艇勤務の者は、一度洋上に出たらなかなか陸には戻ってこれない。長い航海、最後の辺りでは新鮮な野菜が恋しくなる。
明治のころならともかく、今は補給艦である「間宮」などもいるが、それでもやはり軍艦ではどうしても生野菜が不足しがちになるもの。
保存の効く缶詰に冷凍物……それに長期間、冷蔵庫などの保管場所に置いていても腐らない食材。それらは必然的に後回しにされることが多かった。
「あ……せや、そういえば……」
ふ、と。睦郎が何かを思い出したようにポンと手を打つ。
「聞きたいことあるんやけどな、赤岡さん」
「……なんでしょう」
まだ先程のことを根に持っているのか。赤岡の口調はどこか胡乱げだった。彼の隣に居座っていた鶴田は、少し面倒な状態にしてしまったなぁと反省しながらそっと掌を合わせている。
おそらくは彼なりの謝意なのだろう。赤岡を面倒なことにしてしまった、という。
しかしそれらにはあえて何も気付かなかったフリをし、睦郎は思った疑問を素直に口にした。
「なあ、赤岡さんは味噌汁に馬鈴薯入れるのってどう思わはります?」
味噌汁に、馬鈴薯。
意外な組み合わせだったのだろうか。先程の不機嫌も忘れ、赤岡はきょとんと目を瞬かせた。
本来なら約束の時間を大幅に超過したことに対し、海軍軍人以前に人としてどうなのかと説教すべきなのだろう。しかし、取り付く島の無い赤岡に手を焼いていた鶴田は、しめたとばかりに歓迎する。良いタイミングで出てきてくれたと。
「おう、来たか。睦さんや」
「遅なってもてすんまへん。って、あれ? 鶴さんもおりますん?」
「……」
睦郎にとっては予期せぬ人物の登場だ。まさか機関室の主である機関長が、自分よりも先にワードルームに現れるだなんて思いもしなかった。機関科の長である彼の根城は艦の底にある機関室。そこでは洋上に出ている間、機関科の将兵たちがじっと計器類などに張り付いて艦の心臓部を動かしている。
艦橋からの指示に従って艦を思い通りに動かせるよう日夜努力をしている機関科は、まさに縁の下の力持ちだろう。
そんな機関科の長である鶴田が珍しくもこの時間に上までひょっこり出てきて顔を見せ、しかも赤岡と何やら親しげに話しているのだ。何か口出しをして良いだろうと赤岡は密かに思っていた。
だが、それについて、睦郎からは特に意見が出ることはなかった。それに本人の態度も至って普段通り。赤岡と何かあっただなんて、傍目から見れば誰も信じてくれないだろう。それくらいに普段となんら変わり無く、平常通りだった。
ただ、対する赤岡の方はと言えば……
「…………」
「おい、赤岡さんや」
「……なんです」
「顔に出てるぞ」
鶴田からの指摘が飛んできた瞬間、ガタッと盛大な物音が。
「えっ!? なに!?」
睦郎がぎょっと目を剥いて駆け寄ってくる。赤岡が動揺のあまりに椅子から滑り落ちそうになったのだ。
そんなに破壊力のある指摘だったのだろうか。何気ない一言をかけた鶴田本人も驚いて、ポカンと口を開けた間抜け面を晒してしまった。
大方「睦郎が自分を差し置いて鶴田の方に意識を向けているのが気に食わない」────と言ったところか。言語に変換したらそんな風な台詞になっていただろう表情だった。
「! ……、……!」
「へぁ!? 赤岡はん、大丈夫ですの?」
本人としては、自覚さえできていなかったのだろう。正真正銘、無意識での態度だったらしい。珍しく動揺を隠しきれずに口をパクパク開閉させながら目を丸くしていた。
まるで見本のような驚きっぷりだ。ここまで綺麗に反応してくれたら、仕掛けた方としても唖然とならざるを得ない。
赤岡城幸軍医中佐と言えば、どのような症例に遭遇しても冷静沈着、真性サドの気があるとして数多の将兵から恐れられる男だ。
仕事以外に心を動かされない、冷徹な仕事人間の見本。心臓まで氷でできた鬼畜野郎。などと言う罵りを耳にしても意にも返さず、涼しげな表情で平然とサドな提案を繰り返す、軍医の鑑──などの評価は幻だったのだろうか。それとも、この反応こそが幻?
いいや、現実として実際にそこにある。主計長に構ってもらえず拗ねたことを指摘されて、ひっくり返りそうになった軍医長という形で。
「なんでい、なんでい。あんた、意外と感情が顔に出てくる人間だったんだなぁ」
「……放っておいていただけませんか、機関長」
ようやく付け入る隙を見付けた、と言わんばかりに邪悪な笑みを浮かべた鶴田が赤岡に迫る。
それに対し、赤岡はまるで何事もなかったかのようにスッと姿勢を正しながら咳払いをひとつ。
「ハハハッ! まあ、なんだ。サドで鬼畜の軍医長も、結局は人の子ってかぁ?」
「あのぅ……なにかあったんどすか?」
ぐっと上体を反らせて豪快に笑う鶴田を尻目に、睦郎がおずおずと聞いてきた。
何かあったのだろうか。そして自分はここに居ても良いのだろうか。そんな不安が混ざった一言に、冷静さを取り戻した赤岡はこう返してやる。
「なんでもありませんよ。それよりも献立のことです」
早く座れと促して、赤岡はそれっきり何も言わなくなった。
ただでさえ約束した時間から大幅に遅れての登場だというのに、その上で鶴田に捕まってあまり言いたくないことを言わされていたのだ。これ以上、機嫌を損ねるのもよろしくはない。
空気を読んだ睦郎は大慌てで赤岡の正面の席に座り、抱えていた予定献立表に関する書類を机の上に広げる。
「正月で重いものをたくさん食べた兵も多いでしょうからね。来週は少し軽めの食事にした方がよろしいでしょう。油っこい揚げ物は避けなさい」
「はぁい」
今日は昭和六年の一月六日。大晦日の日に、艦の規定の場所に飾られた松飾りも既に撤収され、艦内は通常業務に戻っていた。
が、やはり正月だったこともある。前期と後期に分けて大型の休暇を与えられる兵員も、普段は滅多に食べられないご馳走を口にしてきたことだろう。艦内でも正月の食事は豪華になる。
豪華な食事も人生には必要なものだが、普段が普段なのだ。あまり重いものを食べさせ続けても、胃腸が弱ってしまう。それだけは避けねばならない。
ここはいったん、消化器を休める献立を考えた方が良いだろう。ただし、海軍の規定にある兵員に一日に摂らせるべき最低限のカロリーを計算するのが最優先である。
胃腸を休めるための軽い食事で、普段の業務に支障が出るのなら本末転倒だから。
「ほんじゃぁまあ、茶碗蒸しみたいな軽いモンで来週は固めときましょか」
茶碗蒸しにスープ類。せっかく寄港しているのなら、新鮮な野菜を使ってみるのも手だろう。
艦艇勤務の者は、一度洋上に出たらなかなか陸には戻ってこれない。長い航海、最後の辺りでは新鮮な野菜が恋しくなる。
明治のころならともかく、今は補給艦である「間宮」などもいるが、それでもやはり軍艦ではどうしても生野菜が不足しがちになるもの。
保存の効く缶詰に冷凍物……それに長期間、冷蔵庫などの保管場所に置いていても腐らない食材。それらは必然的に後回しにされることが多かった。
「あ……せや、そういえば……」
ふ、と。睦郎が何かを思い出したようにポンと手を打つ。
「聞きたいことあるんやけどな、赤岡さん」
「……なんでしょう」
まだ先程のことを根に持っているのか。赤岡の口調はどこか胡乱げだった。彼の隣に居座っていた鶴田は、少し面倒な状態にしてしまったなぁと反省しながらそっと掌を合わせている。
おそらくは彼なりの謝意なのだろう。赤岡を面倒なことにしてしまった、という。
しかしそれらにはあえて何も気付かなかったフリをし、睦郎は思った疑問を素直に口にした。
「なあ、赤岡さんは味噌汁に馬鈴薯入れるのってどう思わはります?」
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