婚約者が毒を使って私を消そうとするけど、聖女だから効きません

天宮有

文字の大きさ
20 / 28

第20話

しおりを挟む
ズドラ視点

 ロゼスの策を実行して、紅茶に毒を仕込んでから約一年が経過している。

 半年前にシルフとの婚約を破棄してから、俺の評判は地に落ちていた。

「まさかシルフの奴が、聖女だったとは……ロゼスの言うとおりスキルを隠していたのは間違いない!」

 シルフが聖女だと公表されて以降、ロゼスの機嫌は悪くなっている。

 このままだと何をするかわからず、不安になった俺はシルフを再び婚約者にしようと提案してしまう。

 シルフの奴はゼアンという子爵令息を新たな婚約者にしていたが、立場的に可能性はあると考えていた。

 それでも一蹴されてしまい……屈辱と後悔で、俺は苦しんでいる。

「ロゼスはシルフを何度も毒を使い消そうとしたが、全て失敗した……聖女の力とは最悪の相性だったのだろう」

 自信があった毒を無力化されたことで、ロゼスは苛立っている。

「ロゼスはシルフが聖女だと知って以降、何かを企んでいる……婚約者として、知っておかなければならない」

 シルフを消そうとしている行為は、聖女と公表した今は危険すぎる。

 貴族でも処刑される程で……聖女というのはそれほどまでの力があった。
 もうシルフとは関わるべきではないと考えながら、俺はロゼスの屋敷に向かう。

 そして――俺は、ロゼスの毒の真相を知ることとなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。

吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。 だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。 もしかして、婚約破棄⁉

【完結】金で買われた婚約者と壊れた魔力の器

miniko
恋愛
子爵家の令嬢であるメリッサは、公爵家嫡男のサミュエルと婚約している。 2人はお互いに一目惚れし、その仲を公爵家が認めて婚約が成立。 本当にあったシンデレラストーリーと噂されていた。 ところが、結婚を目前に控えたある日、サミュエルが隣国の聖女と恋に落ち、メリッサは捨てられてしまう。 社交界で嘲笑の対象となるメリッサだが、実はこの婚約には裏があって・・・ ※全体的に設定に緩い部分が有りますが「仕方ないな」と広い心で許して頂けると有り難いです。 ※恋が動き始めるまで、少々時間がかかります。 ※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

【完結】私は聖女の代用品だったらしい

雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。 元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。 絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。 「俺のものになれ」 突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。 だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも? 捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。 ・完結まで予約投稿済みです。 ・1日3回更新(7時・12時・18時)

石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど

ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。 でも私は石の聖女。 石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。 幼馴染の従者も一緒だし。

七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。

木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。 しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。 ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。 色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。 だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったロメリアはとてもわがままな女性だったからである。 彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。 そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。 しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。

処理中です...