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第4話
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私とニコラスは同じクラスだけど、元婚約者ラドンが敵視していることもあって話をしたことがない。
それでも今日、ニコラスは私を助けてくれて、協力したいと言っている。
制御できないと問題になると言ったけど、ニコラスがそこまで協力してくれる理由がわからない。
ラドンの好き勝手にさせない為には、私の力になるのが一番だと考えたのだろうか?
気になった私は、ニコラスに尋ねる。
「あの、協力してくださるのは嬉しいのですけど……どうしてですか?」
「最初はラドンの暴走を止めるために待機していたが、ルーナ様の魔法を見てこれからが心配になってしまった」
本当にそれだけなのだろうかと思ってしまうと、ニコラスの話が続く。
「それに……俺は魔法が強すぎて、周囲から避けられて孤立している。似た境遇のルーナ様なら、仲良くなれるかもしれないと思ってしまった」
言い淀みながら、少し顔を赤くしてニコラスが言う。
確かにニコラスは魔法が強すぎるから、制御できているのにクラスでは避けられていた。
ニコラスの傍で遙かに劣っている魔法を使って不快に思わせたくないとか、制御できず巻き込まれても権力で何も言えなくなるとか生徒達は考えてしまうようだ。
私は今まで魔法が使えないから、魔法を扱う授業は常に見学していた。
見学していたからこそ、孤立していたニコラスのことは知っている。
「そう、でしたか」
「俺は魔法を制御する方法もよくわかっているから、ルーナ様の力になれるはずだ」
どうやらニコラスは、対等に話し合える友人が欲しいようだ。
私がそんな友人になれるのかはわからないけど、協力したいと言ったのが本心だとわかる。
協力してくれるなら嬉しいけど、私は確認しておきたいことがあった。
「ニコラス様が協力してくれるのは嬉しいのですけど、ラドン様が何をするかわかりません」
「あんな奴が何をしても、俺なら全て対処できる。ルーナ様は何も気にしなくていい」
今日も対処する気でいたニコラスだから、私は信じられる。
「そうですね。ニコラス様――私の方からも、よろしくお願いいたします」
「ああ! 俺に任せて欲しい!」
私が頼むと、ニコラスは嬉しそうだ。
ニコラスが協力してくれることに、私は安堵する。
魔法が使えるようになった私の新生活が、はじまろうとしていた。
それでも今日、ニコラスは私を助けてくれて、協力したいと言っている。
制御できないと問題になると言ったけど、ニコラスがそこまで協力してくれる理由がわからない。
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気になった私は、ニコラスに尋ねる。
「あの、協力してくださるのは嬉しいのですけど……どうしてですか?」
「最初はラドンの暴走を止めるために待機していたが、ルーナ様の魔法を見てこれからが心配になってしまった」
本当にそれだけなのだろうかと思ってしまうと、ニコラスの話が続く。
「それに……俺は魔法が強すぎて、周囲から避けられて孤立している。似た境遇のルーナ様なら、仲良くなれるかもしれないと思ってしまった」
言い淀みながら、少し顔を赤くしてニコラスが言う。
確かにニコラスは魔法が強すぎるから、制御できているのにクラスでは避けられていた。
ニコラスの傍で遙かに劣っている魔法を使って不快に思わせたくないとか、制御できず巻き込まれても権力で何も言えなくなるとか生徒達は考えてしまうようだ。
私は今まで魔法が使えないから、魔法を扱う授業は常に見学していた。
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私がそんな友人になれるのかはわからないけど、協力したいと言ったのが本心だとわかる。
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今日も対処する気でいたニコラスだから、私は信じられる。
「そうですね。ニコラス様――私の方からも、よろしくお願いいたします」
「ああ! 俺に任せて欲しい!」
私が頼むと、ニコラスは嬉しそうだ。
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魔法が使えるようになった私の新生活が、はじまろうとしていた。
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