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軽い体・重い罪
(8)
しおりを挟む鏡を見て、顔などに変わったところがないか、しっかりと確認してから座敷に戻った茉莉を見るなり、母親は、
「大丈夫?
なんだか、顔色、悪いわよ」
「はい、大丈夫です。
外の空気を吸ってきたら、すっかり気分もよくなりましたから」
渾身の笑顔とハキハキした口調で応じると、母は疑わしそうな表情をしたが、
「まぁ、奈良漬で酔うなんて、茉莉もまだまだ子供ってことだな」
父親が冗談めかして混ぜっ返し、このやりとりは終了。
帰りの車のなかでも、気持ち悪さは残っていたものの、なんとかこらえることができた。
そして、家に着くとすぐ、シャワーを浴びることに。
すっきりとしたい、ということ以上に、体重が気になったからでもある。
裸になり、体重計に乗ると……
30.8キロ。
朝より100グラム増えているものの、食事中、ひと皿たいらげるごとに、膨らんでいっていたお腹も、ある程度元に戻っている。
うん、これでよしとしないと。
それにしても、もし吐いていなかったら、体重やお腹、どうなっていたんだろう。
そういう意味では、吐けたことに感謝だわ。
せっかくの食事、無駄にしてしまうなんて、人間として最低だけど。
あれ、この気持ち、何かに似てる。
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