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膨れ上がる恐怖
(1)
しおりを挟む先週に引き続き、図書館での待ち合わせ。
美尋は茉莉の格好が、前回と違い、手足の露出を控えめにしたものであることに、いくぶんホッとした。
上のシフォンブラウスは二分袖くらいで、二の腕の細さが痛々しいけど、下はマキシ丈のふわっとしたスカートで、脚はほとんど見えない。
うん、これくらいのほうが、上品な茉莉さんには合ってるのでは。
それに……
もしかして、自分が痩せすぎてることに気づいたのかな。
しかし、茉莉がこういう格好を選んだのは、自分のイメージを考えたからでも、痩せすぎに気づいたからでもない。
彼女は朝から、美尋が想像もしないような苦しみと闘っていた。
目覚めたのは3時過ぎで、このところ不眠気味の茉莉にとっては珍しくないが、いつもと違うのは脚に違和感を覚えたこと。
触ってみると、ふくらはぎから足首、足の甲にかけてが膨れている。
明かりをつけ、目で見ると、それはまるで象の足のようで・・・
浮腫み、だよね、これ。
でも、こんなにひどいのは生まれて初めて。
どうしちゃったんだろう。
あ、そうだ。
最近、固形物を食べるのが怖くて、それでもお腹はすくから、水分でごまかしていたのがよくなかったんじゃないかしら。
それにしても、脚がこんなに太くなっているということは……
洗面所に行き、体重を量ると、30.1キロ。
ここ数日、体重の減少が急すぎるため、ちょっとくらいなら増えてもいいつもりでいたものの、茉莉は目を疑い、自分に言い聞かせる。
これは浮腫みのせいだ。
浮腫みさえ、とれれば。
でも、どうすれば、この象みたいな足が人間の脚に戻るの?
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