【完結（続編）ほかに相手がいるのに】

～拓海～

目覚め

真っ白な空間…　シーツ…　少し堅い、ベッドの上…

目の前に、女…　白い…か細い…女の、裸体…　　　

あ…　　あ…　

葉月だ…　葉月…　

俺のところに…　やっと…　戻って、来てくれたんだな…
　
やっぱり…おまえは、…　そうだ…おまえって、そういう奴だよな…　

おまえが俺を…簡単に、見捨てるはずがない…。

だって、あんなにも前から…学生時代から…おまえが、制服を着ていた頃から…

何年も俺とおまえは、恋人同士だった…ずっとだ…

ずっと、これからも…ずっとお前と俺は一緒に…同じ道を…　道を歩いていくんだ…　

結婚の話…　
俺がお前に結婚しよって、不意に…まあ、冗談っぽくだが、口にしたら…

おまえはいつも、軽く受け流して…なんとなく笑って、はぐらかして…うんとは、言わなかった…。

でも本当は俺、本気で…結構本気で、おまえに結婚しよって、言ってたんだぞ…？

おまえは、わかっていない…全然、わかっていない…。

男はな…　　
まあ、俺の思う、男、男像みたいなものは、な…そう簡単に「結婚」なんて言葉、口にはしない。

なぜなら、責任を持ちたくないからだ…
たとえば、もし…セックスの真っ最中に…快感を覚えた瞬間に、感極まって、そんなことを口走って…
後から、冷静に…女から「さっき言ったじゃない？」などと…結婚を迫られるのが怖いからだ…。

だからこそ、俺はお前に、ある程度の覚悟をもって、結婚の話をしていた…。

おまえに後で迫られても、正直、1%も、困ることはないからだ…俺にはおまえしかいない。

それほどに俺はおまえを…　　好き…　　
いや…　伝えたことはないが、この感情がきっと、愛…　きっと、愛だ…。

なあ…　　いい加減、わかれよ…　
いい加減、俺の気持ちをわかって…　
前みたいに、笑って、「いいよ」って、受け止めてくれよ…　

なあ…　　葉月…　　
今すぐじゃなくていいから…　俺と…　俺と、結婚してくれ…

葉月…　　　なあ…　葉月…　　

細く、白い腕を、つかむ…

「やっ　…　　やめっ…　痛っ…」　

身をよじって逃げようとする華奢で…白い裸体が、目の前に、再び、浮かび上がる…。

嫌だ…　やめない…

細い両ももをつかんで、荒々しく左右に開く…。　　

「や、あっ　…　んんっ　…　駄目…　やめ、て…　見ないでっ　…ひどく、しないで…　あっ…ぁ…」

何が…　ひどく　…だよっ…　俺はいつも…　　優しく…　してんだろ…　は、っ…

「嫌っ　…　やめ…　お願い、　や、めて…　　あああっ…」

深く…　一気に、腰を沈める…葉月の中が…生き物のように、うねっているのがわかる…。

うるさい…　いやいや、言ってんじゃねえよ…ほら…　やじゃ…ないだろ…？なあ…

何度も、何度も、腰を揺らして、突き上げる……深い挿入を、繰り返す…。

「あ…　ああああっ…　やめ、…て…　た…　拓海っ…　　お願い…　やだ…」

知るか…　そんなん、知るか…　おまえは、俺の…　俺のもんだ…誰にも…誰にも…

「あっ　…だめっ…　　　ああぁ…　　あっ…　やあっ…　　あ…ぁ…　ん…」

誰にも、渡さない…　渡すもんか…　　いやだ…俺はおまえとずっと…

「…拓海…　ごめん…　　私はもう…　…拓海とは　…　いられない…　ごめん…」

うるさい…　聞きたくない…　何を…何を言うつもりだ…　何、言ってんだ…？

「ああっ…いやあああ…　　あっ…　あっ…　んっ…」

身体を無造作にひっくり返し、白く、小さな尻をつかむ…
再び、深く…自身のそれを沈め…何度も背後から腰を打ち付けるたびに、小さな身体が、跳ねる…

ギシギシと軋むベッドの音が、
俺をさらに凶暴にするような気がする…

「ああっ　…　んっ…　い…　あ、っ　拓海っ　…やめ、てっ…　いや…　あああっ…」
　
渡さない…　絶対に、渡さない…　そうだ…

全部、…全ては、アイツのせいだ…そうだ、あんな奴…この世から、いなくなればいい…　

「い、ゃあああっ…　」　
葉月の、泣き声のような声を、最後に…
　
突如、目の前が真っ黒になる…　　　

なんだ…　なんだ…　？


「…くんっ…おーーーい、…拓…海くーん…　！　」

「あっ…！！　あ…あ…　、　…　　はあ…」

目を開けると、そこには…

目の前には…　俺を真っ直ぐに見つめる、裸に近い格好…下着だけを身に着けた瑠衣がいた…。

そうだった…　　昨夜…　俺は、瑠衣と…　　

ああ…　

俺は、なんて、夢を…　　

　　　　　　　　　　　

　　俺は呆然と、瑠衣の顔を見つめた…。