213 / 224
~拓海~
ネクタイ
しおりを挟む
「おはよう~いや、おそよう…かな? どうしたの…寝坊、珍しいね?」
朝、原田さんが、俺の横に来て明るく声をかけてきた。
結局俺は1~2時間遅れで会社に到着した。
事前に遅れると電話を入れたものの、実は、配属されて初めての遅刻、なんとなくショックも大きい。
「あ…そう、なんですよね…ちょっと、寝坊ですね… 」
「な~に~昨日も会議で居眠りしてたし、毎日寝不足気味…?なになに…ほんと、悩みあるなら聞くよ?」
寝不足と言えば、寝不足…
瑠衣と…滅茶苦茶… 何回も…
いやいや、今、思い出すべきではない。
それにしてもこの人…
こんなに、馴れ馴れしかったっけと不思議に思いつつ、悩み相談などできるわけもないと俺は言葉を濁す。
「あ…いえ、別に…大丈夫です…。」
「そっか~なんだか、面白い話あったら絶対教えてよ…?ふふ…あ、これあげる…これ飲んで、今日も頑張って。」
コトリと、デスクの上に置かれた栄養ドリンク剤に視線を落とす。
「あ… ありがとう、ございます…」
お礼の言葉も聞こえたか聞こえないかのスピードで、原田さんが去っていく。
相変わらず、ぴっちりとしたタイトスカートが、目の毒であり、目の保養だな…あほか、俺…。
あ、これ…確か結構高いやつだ…
マジで体、だるいし、飲もうかな…
瓶を手に取り、蓋を回そうとした瞬間、
「おっ…これ、結構いいやつだな…原田さんの貢ぎ物か… 」
背後からの声掛けに、
ビクリと身体が震えてしまった…。
振り返ると、アイツ…笠村課長だった。
「あ…はい… さっき、貰って… 」
「それで今日は、どうした…?昨日は会議で居眠りで、今日は遅刻か…君にしては、珍しいな。」
「すみません…うっかり、目覚まし止め忘れて…」
そもそも、目覚ましが鳴ったのかどうかも覚えていない…。
瑠衣が止めたのだろうかと考えるが、朝はあまりにバタつき、聞く時間すらなかった…。
「…そうか… それにしても、君のこれ… 」
いきなりぐいと、何かを引っ張られ、俺はドリンクの瓶を取り落としそうになる…。
奴が、俺のネクタイを、横からくいと引いたからだ…なんだ、こいついきなり…てか、距離近い…。
上司だからって、これって、許されるやつ…?これはまさに、ハラスメントでは?
「… えっ…なんすか… 」
声音に、不快感が出てしまうが、仕方ない…。
反射的に、男の手からネクタイをふりほどく。なんで、こんなこと…されなきゃいけないんだ…
「…ネクタイ…スーツも、昨日と一緒だな…?」
ぼそりと、男がつぶやく。
「・・・えっ!?・・・」
一瞬…男に何を言われたのかわからず、咄嗟に次の言葉を失う。
「は…?」だから、なんだ…
「君…昨夜、家に帰らなかったのか…?」
男が俺を、いぶかしげに見たような気がする。
まるで、浮気を疑われる男みたいだ…
なんなんだ、一体…。
あまりに慌て過ぎて、手直にあったものをそのまま着ただけだが、確かに昨日と同じネクタイだ…
普段は絶対にしない、痛恨のミス。
「いえ…普通に、帰りましたよ…家に…たまたま、同じの選んだみたいですね …慌てて…」
「… 慌てて、ね…まあ、遅刻したくらいだから…そうだろうね」
男の発言に…軽く、苛立ちを覚え始める…。
「…あの、もういいですか…すみません、遅れて来たんで、仕事、かなりたまってて…」
「ああ…そうだな…じゃ、頑張って」
「はい… …」
なんだか、距離が近すぎると思うのは気のせいだろうか…
いやいや、ないない、ないわ~~
俺は、突如として頭の中に浮かびそうになる嫌な想像を振り切り、
すぐさまPCに向かった。
朝、原田さんが、俺の横に来て明るく声をかけてきた。
結局俺は1~2時間遅れで会社に到着した。
事前に遅れると電話を入れたものの、実は、配属されて初めての遅刻、なんとなくショックも大きい。
「あ…そう、なんですよね…ちょっと、寝坊ですね… 」
「な~に~昨日も会議で居眠りしてたし、毎日寝不足気味…?なになに…ほんと、悩みあるなら聞くよ?」
寝不足と言えば、寝不足…
瑠衣と…滅茶苦茶… 何回も…
いやいや、今、思い出すべきではない。
それにしてもこの人…
こんなに、馴れ馴れしかったっけと不思議に思いつつ、悩み相談などできるわけもないと俺は言葉を濁す。
「あ…いえ、別に…大丈夫です…。」
「そっか~なんだか、面白い話あったら絶対教えてよ…?ふふ…あ、これあげる…これ飲んで、今日も頑張って。」
コトリと、デスクの上に置かれた栄養ドリンク剤に視線を落とす。
「あ… ありがとう、ございます…」
お礼の言葉も聞こえたか聞こえないかのスピードで、原田さんが去っていく。
相変わらず、ぴっちりとしたタイトスカートが、目の毒であり、目の保養だな…あほか、俺…。
あ、これ…確か結構高いやつだ…
マジで体、だるいし、飲もうかな…
瓶を手に取り、蓋を回そうとした瞬間、
「おっ…これ、結構いいやつだな…原田さんの貢ぎ物か… 」
背後からの声掛けに、
ビクリと身体が震えてしまった…。
振り返ると、アイツ…笠村課長だった。
「あ…はい… さっき、貰って… 」
「それで今日は、どうした…?昨日は会議で居眠りで、今日は遅刻か…君にしては、珍しいな。」
「すみません…うっかり、目覚まし止め忘れて…」
そもそも、目覚ましが鳴ったのかどうかも覚えていない…。
瑠衣が止めたのだろうかと考えるが、朝はあまりにバタつき、聞く時間すらなかった…。
「…そうか… それにしても、君のこれ… 」
いきなりぐいと、何かを引っ張られ、俺はドリンクの瓶を取り落としそうになる…。
奴が、俺のネクタイを、横からくいと引いたからだ…なんだ、こいついきなり…てか、距離近い…。
上司だからって、これって、許されるやつ…?これはまさに、ハラスメントでは?
「… えっ…なんすか… 」
声音に、不快感が出てしまうが、仕方ない…。
反射的に、男の手からネクタイをふりほどく。なんで、こんなこと…されなきゃいけないんだ…
「…ネクタイ…スーツも、昨日と一緒だな…?」
ぼそりと、男がつぶやく。
「・・・えっ!?・・・」
一瞬…男に何を言われたのかわからず、咄嗟に次の言葉を失う。
「は…?」だから、なんだ…
「君…昨夜、家に帰らなかったのか…?」
男が俺を、いぶかしげに見たような気がする。
まるで、浮気を疑われる男みたいだ…
なんなんだ、一体…。
あまりに慌て過ぎて、手直にあったものをそのまま着ただけだが、確かに昨日と同じネクタイだ…
普段は絶対にしない、痛恨のミス。
「いえ…普通に、帰りましたよ…家に…たまたま、同じの選んだみたいですね …慌てて…」
「… 慌てて、ね…まあ、遅刻したくらいだから…そうだろうね」
男の発言に…軽く、苛立ちを覚え始める…。
「…あの、もういいですか…すみません、遅れて来たんで、仕事、かなりたまってて…」
「ああ…そうだな…じゃ、頑張って」
「はい… …」
なんだか、距離が近すぎると思うのは気のせいだろうか…
いやいや、ないない、ないわ~~
俺は、突如として頭の中に浮かびそうになる嫌な想像を振り切り、
すぐさまPCに向かった。
12
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる