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日常
第三百三十三話 カレーうどん
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いつもより遅く目覚めた朝。朝飯はカレーを温めればいいし、急ぎでやらなきゃいけないこともないし、別にいいやとごろごろしていたらこんな時間になってしまった。
「ふぁ~あ……ねむ」
「わうっ」
「おー、おはよう。うめず」
珍しくうめずは洗面所までついて来た。身支度を整える間、足元をうろついたりしゃがんでみたりしている。顔を洗っているときにじゃれついてきたのはちょっとヒヤッとした。前のめりに倒れそうになった。
「あ、らっきょうがない」
カレーを温めながら冷蔵庫を確認する。いや、正確にいえばあるのだが、瓶から出さなきゃいけないんだよなあ。ちょっと手間だ。
「いいや、なくても」
十分うまいし。
ご飯をよそって、カレーをかけて……おや、微妙に余ったな。昼まで食えそうだ。冷やしてまた冷蔵庫に入れとこう。
「いただきます」
二日目のカレーは味が凝縮されたように感じる。湿気の多い今の時季には特に気を付けなきゃいけないけど、うまいんだよなあ。
醤油をかけてよりコク深く。
「今日は何すっかなあ……」
とりあえず、うめずの散歩がてら買い物にでも行くか。
しばらく騒がしい毎日だったし、一人での時間のつぶし方を思い出さないとなあ。
「ごちそうさまでした」
晴れてはいるが、ひと雨きそうな雰囲気だ。早々に帰った方がいいかなあ、これは。
でもこういう空って嫌いじゃないんだ。ちょっとそわそわする。光と影のコントラストがくっきりとした空は、これから何か始まりそうな気配をたたえている。
まあ、何か特別なことがあるわけでもないんだけど。
夜更けにぱらっと降ったらしい雨が染みこむアスファルト。まだよく乾いていないらしく、ふわふわと雨の匂いがしてくる。うめずは天気なんか関係ないというように、楽し気に歩みを進めていた。
「あー、なんか今日眠いな……」
ずっとまぶたが重いというか、体が重い。疲れてんのかなあ。
うめずが少し歩調を緩め、こちらを振り返りながら進む。
「前見て歩かないと危ないぞ」
「わうぅ」
器用に歩くもんだ。尻尾が少し足に当たってくすぐったい。ほのかなぬくもりを感じるうめずの毛並みは、雲間から差し込む太陽の光を受けてきらきらしていた。
本格的な梅雨は目の前、って感じだな。
うめずにはスーパーの外で待っていてもらおう。こういう時はちゃんと大人しくしてくれるのでありがたい。
さて、とりあえず調味料類を買っておこう。今日は安いんだ。
マヨネーズにケチャップ、ポン酢、酢、ドレッシング。すぐなくなるんだ、こういうのは。よく使うから当然か。
魚とかもうまそうだ。お、鮭きれい。買っておくとしよう。サバもいいなあ。冷凍だし、買っておくか。雨が降ると買い物に出るのが億劫なんだ。
あ、漬物も買っておこう。
冷蔵庫にちょっとあると朝飯の時とかに便利なんだよ。たくあんとか。漬物といっていいのかは分からんが、紅しょうがもいい。マヨネーズで和えるのもよし、そのまま食うのも良しである。
そういえば、朝でご飯食べきってしまってたんだよな。
帰って炊くのもなあ。パンでも買って帰ろうかな。カレーにも合うだろうし。食パンか、フランスパンでいいか。
「ありゃ、ない」
いつも買っているパンが売り切れている。あとはちょっとお高めのパンか、菓子パンしかない。うーん、どうしたもんかなあ。
カレーに合う炭水化物か。
「そうだ」
あれがあるじゃないか。うどんだ。
カレーうどんにしよう、そうしよう。
さて、うどんにするならカレールーにちょっと手を加えないとな。
ひんやり冷えたルーを加熱しながら、白だしを薄めたものを注ぎ入れる。よくなじませたら、ほら、いい香りがしてきた。
スパイシーなカレーらしさはそのままに、出汁の奥深さも加わって、ややマイルドになった香りだ。これはたまんないな。それに、こうやって出汁を入れれば、余すことなくカレーを堪能できるし、洗い物もちょっと楽になる。洗う時、鍋に張り付いたカレーを落とすの、結構大変なんだ。
うどんは茹でる。二玉も買ってきてしまった。腹減ってたんだ。
茹でたら丼に入れて、上からカレーをかける。そんでねぎを散らして……おお、いいじゃないか。なんかちょっとワクワクしてきたぞ。
「あ、そうだ」
紅しょうがも出すか、せっかくだし。
おうおう、すげー豪華な食卓じゃないか。
「いただきます」
麺をほぐして、カレーとなじませる。
跳ねないように気を付けながら、すする。ん、これこれ、この味。モチモチの麺にスパイスの効いた、野菜と肉のうま味が染み出したカレー。うまいなあ。
出汁が濃すぎず、かといって薄すぎず、辛味とよく合っているのだ。
少しさらっとしたルーもいいものである。これをご飯にかけてもいいだろうな。今度やってみよう。
そうだ、忘れてた。紅しょうがもあったんだな。
こってりとしたうま味の合間に、紅しょうがのさわやかさがちょうどいい。カレーうどんと合わせるのはどうかな。
お、これはいい。らっきょうよりも辛くなくて、爽やかさが格段にアップする。食感の違いもいい。うまいな、これ。カレーには紅しょうがも合うのか。新発見だ。
ほぼ溶け切った具材もいい。ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ。鶏肉は原型をとどめてはいるが、ほろっほろのとろっとろである。
「ん?」
一生懸命食べていたら、足元にうめずがやってきて、丸まった。眠っているわけではないらしいが、ずいぶんくつろいでいるな。
うん、そうだな。
何もせずのんびりするのもいいものである。散歩もしたし、あとは……昼寝でもしようかな。今日は回復に努めるとしよう。
「ごちそうさまでした」
「ふぁ~あ……ねむ」
「わうっ」
「おー、おはよう。うめず」
珍しくうめずは洗面所までついて来た。身支度を整える間、足元をうろついたりしゃがんでみたりしている。顔を洗っているときにじゃれついてきたのはちょっとヒヤッとした。前のめりに倒れそうになった。
「あ、らっきょうがない」
カレーを温めながら冷蔵庫を確認する。いや、正確にいえばあるのだが、瓶から出さなきゃいけないんだよなあ。ちょっと手間だ。
「いいや、なくても」
十分うまいし。
ご飯をよそって、カレーをかけて……おや、微妙に余ったな。昼まで食えそうだ。冷やしてまた冷蔵庫に入れとこう。
「いただきます」
二日目のカレーは味が凝縮されたように感じる。湿気の多い今の時季には特に気を付けなきゃいけないけど、うまいんだよなあ。
醤油をかけてよりコク深く。
「今日は何すっかなあ……」
とりあえず、うめずの散歩がてら買い物にでも行くか。
しばらく騒がしい毎日だったし、一人での時間のつぶし方を思い出さないとなあ。
「ごちそうさまでした」
晴れてはいるが、ひと雨きそうな雰囲気だ。早々に帰った方がいいかなあ、これは。
でもこういう空って嫌いじゃないんだ。ちょっとそわそわする。光と影のコントラストがくっきりとした空は、これから何か始まりそうな気配をたたえている。
まあ、何か特別なことがあるわけでもないんだけど。
夜更けにぱらっと降ったらしい雨が染みこむアスファルト。まだよく乾いていないらしく、ふわふわと雨の匂いがしてくる。うめずは天気なんか関係ないというように、楽し気に歩みを進めていた。
「あー、なんか今日眠いな……」
ずっとまぶたが重いというか、体が重い。疲れてんのかなあ。
うめずが少し歩調を緩め、こちらを振り返りながら進む。
「前見て歩かないと危ないぞ」
「わうぅ」
器用に歩くもんだ。尻尾が少し足に当たってくすぐったい。ほのかなぬくもりを感じるうめずの毛並みは、雲間から差し込む太陽の光を受けてきらきらしていた。
本格的な梅雨は目の前、って感じだな。
うめずにはスーパーの外で待っていてもらおう。こういう時はちゃんと大人しくしてくれるのでありがたい。
さて、とりあえず調味料類を買っておこう。今日は安いんだ。
マヨネーズにケチャップ、ポン酢、酢、ドレッシング。すぐなくなるんだ、こういうのは。よく使うから当然か。
魚とかもうまそうだ。お、鮭きれい。買っておくとしよう。サバもいいなあ。冷凍だし、買っておくか。雨が降ると買い物に出るのが億劫なんだ。
あ、漬物も買っておこう。
冷蔵庫にちょっとあると朝飯の時とかに便利なんだよ。たくあんとか。漬物といっていいのかは分からんが、紅しょうがもいい。マヨネーズで和えるのもよし、そのまま食うのも良しである。
そういえば、朝でご飯食べきってしまってたんだよな。
帰って炊くのもなあ。パンでも買って帰ろうかな。カレーにも合うだろうし。食パンか、フランスパンでいいか。
「ありゃ、ない」
いつも買っているパンが売り切れている。あとはちょっとお高めのパンか、菓子パンしかない。うーん、どうしたもんかなあ。
カレーに合う炭水化物か。
「そうだ」
あれがあるじゃないか。うどんだ。
カレーうどんにしよう、そうしよう。
さて、うどんにするならカレールーにちょっと手を加えないとな。
ひんやり冷えたルーを加熱しながら、白だしを薄めたものを注ぎ入れる。よくなじませたら、ほら、いい香りがしてきた。
スパイシーなカレーらしさはそのままに、出汁の奥深さも加わって、ややマイルドになった香りだ。これはたまんないな。それに、こうやって出汁を入れれば、余すことなくカレーを堪能できるし、洗い物もちょっと楽になる。洗う時、鍋に張り付いたカレーを落とすの、結構大変なんだ。
うどんは茹でる。二玉も買ってきてしまった。腹減ってたんだ。
茹でたら丼に入れて、上からカレーをかける。そんでねぎを散らして……おお、いいじゃないか。なんかちょっとワクワクしてきたぞ。
「あ、そうだ」
紅しょうがも出すか、せっかくだし。
おうおう、すげー豪華な食卓じゃないか。
「いただきます」
麺をほぐして、カレーとなじませる。
跳ねないように気を付けながら、すする。ん、これこれ、この味。モチモチの麺にスパイスの効いた、野菜と肉のうま味が染み出したカレー。うまいなあ。
出汁が濃すぎず、かといって薄すぎず、辛味とよく合っているのだ。
少しさらっとしたルーもいいものである。これをご飯にかけてもいいだろうな。今度やってみよう。
そうだ、忘れてた。紅しょうがもあったんだな。
こってりとしたうま味の合間に、紅しょうがのさわやかさがちょうどいい。カレーうどんと合わせるのはどうかな。
お、これはいい。らっきょうよりも辛くなくて、爽やかさが格段にアップする。食感の違いもいい。うまいな、これ。カレーには紅しょうがも合うのか。新発見だ。
ほぼ溶け切った具材もいい。ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ。鶏肉は原型をとどめてはいるが、ほろっほろのとろっとろである。
「ん?」
一生懸命食べていたら、足元にうめずがやってきて、丸まった。眠っているわけではないらしいが、ずいぶんくつろいでいるな。
うん、そうだな。
何もせずのんびりするのもいいものである。散歩もしたし、あとは……昼寝でもしようかな。今日は回復に努めるとしよう。
「ごちそうさまでした」
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