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二章 再会は胸を締め付ける
No,39 佐伯との対峙 ①
しおりを挟む「豪田明彦さん……貴方はいつかきっと、こうして私の元へいらっしゃると思っていました」
佐伯はゆったりとしたソファーに明彦を導くと、いきなり話をそう切り出した。
「佐伯さん、率直にお聞きします。優夜……いえ祐二は今どこにいるのですか?僕はあの時パリで祐二と出会って以来、今日というこの日まで必死に祐二を探し続けて来ました。どうか隠さずに教えていただきたいのです 」
佐伯は慌てず、余裕の態度で明彦に応じた。
「その後、彼から貴方との経緯については聞かされています。私としては貴方が彼の力になって下さるのであれば、それはあの子の為にも大変に良い事だと思っているのですよ」
「佐伯さん、それなら!」
「はい、貴方が相応の覚悟を持って彼の全てを引き取って下さると言うなら、私にとってもそれほど喜ばしい事はありません」
「勿論です!今日はその為にこうしてやって来たのですから」
「ただ、貴方には貴方なりの複雑なご事情とお立場がある。いまの貴方に彼の全てを受け入れる余裕がお有りですか?
いえ、経済的な事を言っているのではありません。要は貴方が彼の事をどのような形で大切に思っているのか……と、そこのところが重要な訳です。さて、私の言っている意味がお分かりかな?」
「つまり、僕に祐二を引き取るだけの資格が有るかどうか、と言う事でしょうか?」
「はい、単なる同情や一時的な保護意識では到底あの子を受け止める事など出来やしない」
「なるほど確かにそうです。佐伯さんのおっしゃる事は理解出来ます。でも、あなたは僕がどれだけ祐二を大切に思っているかを知らない!」
「そうです。だから私は貴方が自力で彼を探し出し、こうして私を訪ねて来るのを待っていました」
「佐伯さん?」
「こちらから連絡を取るつもりならいくらでも可能だったのですよ?何せ貴方はそれなりに有名な方ですから。
しかし、それは彼の望むところではなかったし、私自身の本意でもなかった」
「祐二自身が、僕との連絡を控えたと?」
「はい、彼は自分があなたの迷惑になり、輝かしい将来への妨げになる事を一番に恐れています」
「そんな!今までの僕の努力は全て祐二の為だったのに」
「そして私は、彼が彼なりに独立した一人の人間として『他人』の厄介になること無く、独自の生計を立てられる人間であって欲しいと願っています」
佐伯の言葉には確固たる意志が感じられた。
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