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二章 再会は胸を締め付ける
No,51 佐伯との対峙 ⑧
しおりを挟む「まあ、それに私も一応は商売人です。あの子に掛かった費用はいくら成り行きとは言え、確かに他人の領域を遥かに超える金額でした。返済して貰えるなら、まあ、それに越した事はありません」
「でも……しかし中学生の未成年者を、いくらなんでも男娼……」
「豪田さん、私どもの商売は法律の事を言っていたのでは初めから成立しないのです。
現にあの子は法律を無視したところで生活を維持し、多額の負債を返済する事が出来たのですから」
「肯定は絶対に出来ません。
しかし、祐二の過去として現実を受け止めたいと思います」
「いいでしょう。それではその後の既成事実も冷静に受け止めていただきたいと思います」
「お話ください」
「さて、私どもでは特に社会的に著名な方、或いは財力がある方……まあ、いわゆるVIP待遇の方々のために、ある秘密の会合を催しております」
「白馬会ですね」
明彦は玲央から聞いたその名称をつい口走ってしまった。
「おや、玲央ですね?全く困ったものだがまあいい、話は早い。
世の中に少年愛者はごまんとおりますが、皆が皆、単に身体目当てと言う訳でもないのですよ。
芸術家、職人、それに役者や作家も、昔から資質ある少年を保護し 、慈しみ、それを育てる。
まあ、師弟関係に名を借りた男同士の交際なんてものは歴史の裏側を探ればいくらでも例が有るものです。いわゆるパトロンと言うのもその類ですね。
白馬会は単なる高級ウリセンではない。それを私は自負しております。まあ、当然身体の売買も絡みますがね」
「祐二は、そんな中で高値がつく程の資質を持っていたと?」
「豪田さん、間違ってはいけません。これは祐二ではなく、優夜の話なのです。
あの子はみごと優夜になりきり、それを完璧に演じる事が出来た。あくまでも彼は、優夜と言う仮面を被って生きて来たのです。
つまり彼の芯となる祐二としての人格は変わらずその内側に生きている。今も貴方の知っている昔の祐二のまま、何も変わってはいないのです。そこだけは、しっかりと理解してやって欲しいのです」
「分かりました。ここからは僕も祐二ではなく、あくまでも優夜の話としてお聞きしましょう」
明彦は思い至った──祐二の全てを理解するには、あくまでも「優夜」の事は切り離して考えなくてはならないのだと。
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