おとこの娘の恋愛事情

綾月百花   

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第三章

7   ハルの初仕事   ※

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 酒場は夕方過ぎ頃から、人が入り始めた。

 俺はハルという名で働き始めた。

 美人がいると噂が広まり、夕食時には満席になった。

 俺はお客のオーダーを聞き、お客に呼ばれれば、お酒を注いで、お酒も飲まされた。

 この世界で初めて飲むお酒は、前世で言うところのサングリアのようなフルーティーなお酒だった。確かフレーバーワインと言われていて、昼酒用の家庭酒。家庭ごとに味が違うと言われているスペインやポルトガルのお酒だ。飲みやすくて、僅かにシナモンの香りがする。

 なんとなく懐かしい味だった。

 俺が飲めることを知った客は、俺にお酒を飲ませて、楽しんでいる。

「ハル、躍ってみろ」

 拍手で囃し立てられ、俺は前世の記憶を頼りに、セクシーなダンスを踊る。

 俺のブラジャーの中に、チップが入れられていく。

 チップを入れるついでに、胸を揉んで行く奴もいたけど、お金がもらえるなら、少しくらい触られたって構わない。

 空きっ腹でお酒を飲んで踊れば、酔いも回ってくる。

 俺はお客の話を聞きながら、うとうとと眠ってしまった。

「ハルが眠ったぞ」

 お客が拍手をしている。

「俺が一番だな」

「くじ引きで引いた、運のいい奴だ」

 お客が騒いでいる。

「女将、奥の部屋を使わせて貰うよ」

「ああ、いいとも。ハルの部屋にあてがった部屋だ」

「「「おお!」」」

 男どもが騒いでいる。

 一番のお客が、ハルの体を抱き上げて、奥の部屋に連れて行く。

 ブラジャーの中からチップを抜き取り、ポケットにしまった。

 男は、ハルの洋服を脱がせていく。

 パンティーだけにさせた男は、ハルの美しい胸を揉んで、その先端を口に含む。

 ぷるんと張りのある美しい胸を、形が変わるほど揉むと、もう我慢ができなくなる。

 パンティーを下ろして、男はその違和感に気付いた。

「これは……」

 禁断の膣だ。この中に挿入したら最後、挿入した者のペニスを食べてしまう世にも恐ろしい膣だ。

 貴族の者にしかないと噂に聞いた。

 知らずに挿入していたら、酷い目に遭っていた。

 男はおぞましい物を見て、他の男達を呼びに行った。

 大きく足を開かれたまま眠っているハルは、大勢の男の見世物になっていた。

「張形を入れてみろよ」

「尻は使えるんじゃなかったか?」

「チンボは感じるのか?」

「そんなの、触って見なきゃ分からないぞ」

「ハルは貴族の坊ちゃんなんだな?」

「禁断の膣を作られたショックで家出でもしたんじゃないか?」

「ここでヤったらヤバいのか?」

「さすがに襲われた事は口外できないんじゃないか?」

「貴族様を襲えるなら、ヤってみたいな」

 男の一人が、張形を持って来た。

「万が一、触れたら、ヤバいからな」

 男の数人が、ハルが動かないように、体を固定して、張形を禁断の膣に埋め込んでいく。

 ハルの眉間に皺が寄る。

「うー、うううう・・・いや。やめて」

 体を震わせ、全てを飲み込むと、一番の男が、ハルのお尻に、勃起した男根を触れさせた。

 ペニスが溶けてしまうのではないかと、不安もあるが、こんなに美しい男の娘は初めて見た。ここで逃げ出したら、後で後悔するかも知れない。

「怖いなら、代われよ」

「いや、代わらねえ」

 一番の男は、体重をかけて、勃起した男根を無理矢理挿入する。

「あっ、あああっ、痛い、痛いよ」

 なんの潤いもないところに、いきなり埋め込まれて眠っていたハルが目を覚ました。

「何するんだよ?」

「俺たちの玩具になるんだ」

 一番の男が、無理矢理動き出した。

「痛い、痛い、止めろよ、これは強姦だぞ」

「貴族様が、何の用で庶民の住処に降りてきたんだ?」

「関係ないだろう?」

 一番目の男は勝手に快感を味わって、俺の中の飛沫を放った。体の奥が熱くなる。

「イったのなら、早く代われ」

 すぐに二番の男が、代わる。

 一番の男が放った精液で滑りが良くなったそこに、二番目の男が挿入して、すぐに動き出した。

「あっ、あっ、あっ……」

 体は快感を知っている。

 この体では初めてだけれど、前世の記憶では何度も男に、後ろを責め立てられて、何度もイった。

 俺のペニスは起ち上がり、精を放つ。

「この坊ちゃん、犯されてイってるぞ」

 男達が嗤っている。

 俺はなんのために脱走してきたんだ?

 男達がペニスを扱いて、胸に擦りつけている。ある者はおれの顔に精液を放ち。ある者は体に精液を塗りたくってくる。

「止めろ」
 叫んだ口の中にも、ペニスがねじ込まれて、喉の奥まで犯される。

 後ろの穴は、もう何人のペニスを受け入れたのか分からない。

 入り口で、精液が泡になって、クチャクチャと嫌らしい音がする。

 そんな宴は、朝方になるまで続いた。

 男達は満足したのか、帰って行く。

 精液だらけの俺の体に、一枚の紙幣が載せられた。

「今夜の賃金だ」

 酒屋の主人の声だ。

「部屋代は引かせて貰った」

 誰もいなくなった部屋で、俺は吐いた。

 何人か分からないほどの精液を飲まされて、気分が悪かった。

 お風呂に行って、また吐いた。

 お風呂のお湯は落とされて、シャワーもない。

 お湯は出ないようで、水を湯船に張ってお湯を沸かす仕組みのようだ。

 今、使えるのは水しかない。

 おれは水で体を流し、石けんで体を洗い、髪も綺麗に洗った。

 お尻の中を開くと、大量な精液が流れてくる。

 情けなくて涙が流れてくる。

 精液を掻き出し、水で何度も洗う。

 最後に張形を抜いた。

 水がポトポトと落ちた。

 おれはそこも、水で洗った。

 最後に、全身に水をかけた。

 寒い。

 俺は乾いた下着を着ると、庶民のワンピースを着た。

 継ぎ接ぎだらけのワンピースは、きっとお金にならないほど安い物だろう。

 王宮で着ていたワンピースは、シルクでできていた。

 たった一着でも、こんな安っぽい物と交換なんて見合わない。

 どうして、俺は騙されていることに気付かなかったのだろう。

 たった一枚の紙幣は、どれほどの価値があるのだろう?

 俺は大好きだったオブリガシオン様を憎んでいた。

 どうして、こんな変な姿に変えたのだろう?

 ゲームの中では、こんな儀式はなかったし、全てハッピーエンドで幸せになれたのに……。

 穢された体が、洗っても綺麗になった気がしない。

 おれは着替えとたった一枚の紙幣を持って、酒場から立ち去った。

 できることなら、オブリガシオン様のところに行って、この忌々しい体を元に戻して欲しいと頼みたい。

 その前に、嫌らしく穢されたこの体の仕返しをしたい。

 俺は汚らわしい、庶民の子として旅に出た。

 パン屋でパンを買ったら、その紙幣はパン一個分だった。

 この体は、パン一個分の価値しかないのかと落胆した。

 寒くてお腹が空いた。

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