隣のマンションの白い壁

守 秀斗

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第23話:高橋さんに愛されたい

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 朝、目が覚める。時計を見て仰天。寝坊したわ。遅刻よ。あわてて、会社に連絡するも怒鳴られた。もう、朝食抜きで、焦って部屋を出る。エレベーターで一階へ。

 すると、玄関ロビーで管理人さんと警官が話しているわ。あれ、このお巡りさん見たことある。そうよ、私がボンデージファッションで夜中に散歩していたときに職務質問してきたイケメンお巡りさん。そして、私の妄想相手。妄想の中で私をさんざん恥ずかしい目に遭わした人、私に淫らな行為を強制した人、ああん、恥ずかしい。昨夜の行為が思い出される。私って、いやらしいわ。なんか、すごく恥ずかしくなるの。

 お前が勝手に妄想して、自分でしてただけだろって?
 うん、でも、恥ずかしいの……そして、あそこが熱くなってきたの……落ち着かないわ……。

 自分で後ろの穴に黒い玉を入れて興奮している変態女。ああん、見られたわけじゃないのに、なぜかすごく恥ずかしいの。妄想では目の前でしていたからかしら、いや、このイケメンお巡りさんに入れてもらうって妄想だったわね。ああん、何かすごく恥ずかしいのよ、ああ、そして、やっぱりあそこが熱くなっていくの。私、変態だわ、本当の変態。

 そして、胸がドキドキする、ああ、この場で告白したい。でも、頭のおかしい女扱いされるだけね、そんなことしたら。けど、目の前にいるので、挨拶くらいしないと。

「おはようございます……」

 すると、管理人さんが笑顔で返事してくれる。
 そして、お巡りさんも私を見て、黙礼。

 私は二人の横をすり抜ける。私の事、覚えているかしら。多分、覚えてないだろうなあ。どうかしら。でも、このお巡りさん、やっぱりイケメンであることにはかわりないなあ。そして、お巡りさんの言葉が耳に入った。

「実は私は隣のマンションに住んでいましてね。五〇三号室です」
「え、そうなんですか。同じ町内会ってことになりますね。失礼ですがお名前は」
「高橋一郎と言います」

 えー! あのお巡りさん、隣のマンションに住んでるの! びっくりだわ! あのイケメンさんが、うそー! 信じられないわ! 

 ちょっと後ろを振り返る。警察手帳を管理人さんに見せている。その素敵な横顔。背も高いし。そう、これは運命よ、なんてことなの。しかも、同じ階で私が住んでいる部屋と同じ番号。これは赤い糸で私とあのイケメンお巡りさんはつながってるのって馬鹿なことを考えてしまう。

 なんとかお近づきになれないかしら。名前も覚えちゃった。高橋一郎さんね。でも、夜中にボンデージファッションで歩いていた変態女を相手にしてくれるかなあ。おまけに、自宅で延々と変態行為をする女。自宅の行為は見られていたわけではないけど。

 でも、やっぱり無理かなあ。
 こんな変態女……。

 でも、付き合いたいわ。
 なんか、きっかけがほしいわー!

……………………………………………………

 昨夜の不審者の件。本来ならすぐに当直の警官に通報しなくてはいけないのに酒井さんの行為を見ていたら、彼女が延々としている。気が付けば、朝。報告義務を怠ってしまった。仕方がないので、パトロールの時にあのマンションに行った。

 そして、管理人にそれとなく話をしていると、なんとあの酒井千里さんがエレベーターから降りてきた。少し疲れた感じだ。まあ、夜遅くまで、延々とあんなことをしていたら疲れるだろう。会社へ出勤か。少し遅いような感じがした。遅刻かな。

 しかし、昨夜の行為を思い出して俺は興奮してしまう。後ろの穴に黒い玉を出し入れしていた美女。なんとか顔に出さないようにした。彼女は小さい声で挨拶して出て行った。うーん、昨夜の行為と今の清楚な感じの酒井さんは別人のようだ。すごい美人であることには変わりないが。俺はわざと無表情な顔をした。酒井さんの淫らな行為を見ているとはさとられたくなかったからだ。まあ、さとられる可能性はないけど。

 おっと、酒井さんのことはともかく不審者の件だ。自分が隣のマンションに住んでいること。毎朝、例の非常階段を見ていて思っていたのだが、防犯上危険ではないかと管理人に言った。不審者の件は言わなかった。報告義務を怠ったことがバレてしまう。しかし、管理人の反応は鈍い。

「そうですね。確かに人が扉を開けなくても入れそうな隙間が空いてますね。これは管理組合で来月議題にあげておきましょう」

 まあ、仕方がないか。それにあの時、かなり追いかけたから、あの空き巣かなんか知らないが、あの泥棒はこのマンションには二度と近づかない可能性が高いと俺は思った。

……………………………………………………

 昨夜、あの女は男と一緒に帰ってきた。しかし、その男は間もなく出て行った。これはチャンスと非常階段の隙間から入ろうとしたのだが、突然、男が怒鳴り声を上げて迫ってきた。慌てて逃げた。何、あの男は。せっかくあの女をひどい目に遭わせようとしたのに邪魔をされた。何とか逃げて、すっかり疲れて家に帰る。やはり非常階段を乗り越える作戦はまずかった。よし、宅配便屋を装うのはどうかな。近くのスーパーかどっかで宅配業者風の服を買って来よう。

……………………………………………………

 仕事が終わって、家に帰る。ブラック企業なんでクタクタよ。おまけにものすごく叱られた。もう辞めたくなったけど、お金の方が心配ね。転職しようかしら。

 もうかなり遅い時間ね。でも、私の頭の中は妄想でいっぱい。早く家に帰ってしたいわ。妄想の中で抱かれたい。あのイケメンの高橋さんが隣のマンションに住んでいる。高橋一郎さん。これ、やはり一目惚れよね。

 私はマンションの部屋に入ると、すぐにシャワーを浴びる。そして、裸のまま浴室を出て、ベランダの窓を開ける。私の頭は高橋さんでいっぱい。ああ、本当に抱いてほしい。すぐ、隣にいるんだわ。いや、今夜は夜勤かしら。よくわからないけど、警官の勤務状況って。

 でも、私のいやらしい格好を見てほしいわ。私は部屋の真ん中でいつものように鏡に映して楽しむ。つい、この前までは顔が見えない男たち。でも、今は高橋さんが私を抱いている。ありとあらゆることをされているの。すごく興奮する。やめられないわ。私は鏡に手をついてお尻を突き出す。後ろには高橋さんが立っているの。そして、高橋さんが私の腰を両手でつかんだの。ああん……。

 いつもは隣近所を気にして声を出さないようにしているけど、我慢できない。

「ああ、抱いて、高橋さん、いえ、ご主人様、後ろからあそこを貫いて! 私をメチャクチャにしてえ!!!」

 すぐ隣にいるのよ、愛しの人が。私は隣のマンションの壁を見る。高橋さんが見てるわ、私の全てを見てるの。ありえないことなんだけど。でも、私の妄想では、あの隣のマンションの白い壁が透明になるの。窓になって、そこに高橋さんがいるの。じっくりと、私の裸、胸、脚、そして、大事なところを見てるの。気が付くといつの間にかこちらの部屋にいるの。たくましい体で腰をつかんで私を絶頂へ突き上げるの。もう、私の頭の中は妄想でいっぱいになるの。いろんな格好になる。ありとあらゆる格好で愛されるの。

 思い出しちゃった。
 前の前の彼氏の佐島君としてた時、お尻を叩いてほしいって言ったの。何か急に思い付いちゃって。奴隷がご主人様にお仕置きを受けるの。でも、佐島君は「面倒くさい」って言ってやってくれなかったなあ。佐島君、やっぱり淡泊な人だったのかしら。

 自分でお尻を叩いてみる。

「ああ、高橋様、ご主人様、いやらしい千里をお仕置きしてくださいませ!」

 パチン、パチンとお尻を叩く。ああ、気持ちいいわ、私、やっぱりマゾヒストね。でも、自分じゃなくて、実際に高橋さんに叩いてもらいたいわ。ああ、あそこがぐしょ濡れ。

 もう、すっかり興奮してしまう私。

 私はベランダのすぐ近くまで行って、大きく股を広げる。見られたいのよ、大事なところを高橋さんに。ああん、なんであんな白い壁があるの。あちらのマンションの構造はわからない。でも、私の妄想では目の前に高橋さんがいることになっているの。

「抱いて、抱いて下さい、高橋さん、お願い、私を抱いて!」

 激しく自分でする私。

「いいわ、いい、気持ちいいです、ああん、好き、愛してるの、愛してるのよ、ああ、いっちゃう、いっちゃう、ああああ、い、いくううう!!!」

 思わず腰を上に突き出す。私のあそこから大量にビューッと噴き出した。私はぐったりとする。今まで佐島君ともかなり激しい行為をして、潮をちょっと噴いたことあるけど、こんなに大量に噴いたのは初めてだわ。自分でもびっくりする。ベランダがもうびしょ濡れ。こんな夜中にお花に水をやらないでくださいって隣近所からクレームが来そうだわ。

 ああ、気持ち良かった。

 でも、高橋さんに本当に愛されたいの、何かいい方法はないかしらね。
 思い付かないわ。やっぱり無理かしらね。

 高橋さんが目の前のマンションの白い壁を通り越して、この私を見ていたら。
 このいやらしい行為を見ていたら。

 現実にありえないことを妄想して、私のあそこはまた濡れてくるの。
 ああん、また興奮してきたわ。

 でも、実際に見たら、高橋さんはドン引きよね。
 ベランダにあそこから潮を撒き散らすいやらしい女。

 ちょっと暗くなる私。
 見られなくてよかった。
 
 やっぱり、男性に対しては、最初は清純な女性を演じる方がいいわよね。
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