1 / 43
プロローグ
1・勇者に幼馴染みを寝取られた
しおりを挟む
勇者によって魔王は倒され、世界は平和になった。
でも俺は負け組人生を送っていた。
◆ ◆
「ありがとう! ありがとう! ここまで来られたのは、みんなのおかげです!」
勇者の凱旋パレード。
王都の大通りを歩く勇者達に、みんなは祝福の拍手を送っていた。
「世界が平和になったのはあなたのおかげです!」
「ただ強いだけではなく人格も素晴らしい勇者様……抱いてっ!」
手を振る勇者エリオットに向かって、みんなが賞賛の言葉を贈っている。
エリオットの傍らには三人の女性が。
その女性達は幸せそうに——そして勝ち誇ったようにして、エリオットの傍に寄りそっている。
それもそうだ。
なんたって、女性達は勇者パーティーの一員なのだ。
「ありがとう! 本当にありがとう!」
エリオットはみんなに対して「ありがとう!」と連呼しながら、胸を張って歩く。
それを見て、エリオットを見ている王都の人間は好印象を抱くに違いない。
魔王を倒し、名実ともにエリオットは力・金・名誉・地位を手に入れた。
しかし俺だけが知っている。
そんなエリオットに裏の顔があることを。
◆ ◆
「汚い手で触るんじゃない! このノロマが!」
エリオットの拳が俺の頬に飛ぶ。
俺はそれを避けることも出来ず、ただ殴られ、壁に叩きつけられた。
「ホントに……あなたは本当に無能なのですわね」
「貴様、エリオットの足を引っ張るんじゃない!」
無様な俺を聖女マルレーネ、女戦士サラが軽蔑しているような視線を向けた。
マルレーネとサラは二人とも美しい女性だ。
だが、凱旋パレードの時に浮かべていた柔らかい笑みとは違って、今は悪魔のように顔を歪めている。
「だが……靴を履かせろ、と言ったのはエリオットの方じゃないか。触れないと、履かせにくいじゃないか」
「はっ! 口答えするつもりかい? 無能なお前に折角誰でも出来る仕事を与えているのに? ホント! 負け組無能は口の利き方も知らないのか!」
ドスッ。
未だ立ち上がることの出来ていない俺の腹に、エリオットの蹴りが当たる。
「ぐは……っ!」
腹の中から食ったものが逆流し、そのまま床にぶちまけてしまった。
「うわあ! なにこの男! わたくし達の部屋を汚くして……なにを考えているのですか!」
「慈悲深いエリオットに感謝する立場なのに、そのような汚物をぶちまけるとは!」
ゴホゴホと咳をする俺を誰も心配してくれない。
「おい、キレイにしろよ」
「……承知」
「ん? タオルなんか使うんじゃないよ。ちゃんと口で舐めるんだ」
そんなことを言われても、俺はエリオットに逆らうことが出来ない。
「うわ……本当に舐めていますわ……この負け犬」
「さすがの私も引くぞ。そんなにしてまで生きたいものなのか……こういう男にだけは、抱かれたくないものだな」
感情を殺すしかない。
だって、俺はこうしなければ生きていけないのだから。
そう——俺、アルフはこう見えても勇者エリオットのパーティーの一員である。
田舎村では『神童』と呼ばれている中、たまたま村に立ち寄ったエリオットにこう言われたのだ。
「一緒に魔王を倒す旅に出よう!」
って。
その時は嬉しかったさ。
エリオットは勇者として、イーディス神から神託を受けていることを知っていたのだから。
俺も勇者パーティーの一員として旅が出来る。
地位も名誉も手に入るだろうし……まさに勝ち組人生だ! って。
だが、それは間違いだった。
村の中では強かった俺であっても、エリオットには到底及ばなかった。
この世界にはスキルというものがあり、それによって特殊な技が使えたり、能力に補正がかかったりする。
例えば聖女マルレーネは【聖女の証】という回復魔法に関して、努力することによって伸びる倍率が100倍に設定されている。サラは【戦士の証】で力補正が100倍だ。
つまり俺みたいな——ちょっと人よりなんでも出来る器用貧乏が努力しようとも、彼女達より100倍努力しなければ追いつかないのだ。
エリオットなんてもっと凄い。
【勇者の証】というスキルはあらゆる能力によって1000倍の補正がかかるのだ。
これでは俺がいくら努力してもエリオットには勝てない。
何回か俺は自分の力不足を悟って、パーティーから抜けようとした。
しかしエリオットはそれを決して許してくれなかった。
優しさ?
そんなわけない。エリオットは俺を自分を引き立たせる『雑用係』として利用したかったのだ。
「パーティーを抜ける? そんなこと言ったら、世界中のギルドや教会に『アルフを出禁にしろ』と通達してやる!」
この世界でギルドや教会に立ち入ることが出来なかったら、まともに生活することも出来ない。
ゆえに俺は今まで我慢してエリオットに付いていった。
バカにされようとも。
いくら努力しても、追いつけない……それどころか開いていくエリオットとの実力差に絶望しながらも。
同じパーティーなのに、同じ部屋に泊まらせてくれなくても。
魔王戦では酷かった。
まず俺が特攻し、魔王の動きを止めたのだ。
無論、俺はなんらスキルの恩恵も受けていない一般人。魔王に勝てるわけもない。
何度も何度も死ぬような痛みを受けた。
そのたびにマルレーネが回復した。
もう死にたい……と思っても、マルレーネに回復される俺を、エリオット達は笑っていた。
そして……笑い疲れたのだろう。
エリオットは重い腰を上げ、一発で魔王を仕留めたのだ。
それほど、エリオットの力は絶対的だ。
そして——魔王を倒しても、俺だけ凱旋パレードに参加させてもらえなかった。
当たり前だ。みんなにとって、俺は勇者パーティーの『雑用係』と認識されているからだ。
俺がパーティーを抜けたがっている実情も知らず、勝手に付いてきているだけの恥知らず……と思っている。
そしてそれを受け入れる優しいエリオット……という図だ。
何度自害しようと考えたが——俺は直前のところで思いとどまっていた。
何故なら……。
「フェリシー!」
俺がエリオット達に嬲られている中、部屋にフェリシーが入ってきた。
フェリシーは勇者パーティーの魔法使いで、俺の幼馴染みでもある。
エリオットがあの田舎村で誘ったのは俺……そしてフェリシーだったのだ。
「アルフ君……」
フェリシーが目を細める。心配してくれてるのだろうか?
フェリシーは俺と違って、エリオットのパーティーの一員として受け入れられている。
虐げられている俺に対して、
『ちょ、ちょっと! エリオット君! 止めなよ!』
とよく止めに入ってくれたものだ。
今日もエリオットの行いを咎めるため、フェリシーがやってきた。
そんな頭がお花畑なことを考えていた。
フェリシーは俺の方を見て、
「アルフ君……汚い。あんまり勇者様に迷惑かけちゃダメだよ?」
と言った。
「えっ……?」
世界が反転する。
エリオットはフェリシーの横に立ち、彼女の肩を抱いた。
「ど、どうして……フェリシー……」
「そうだ、その顔だ! その絶望した顔……それが僕を満足させるんだ!」
俺がフェリシーに手を伸ばすと、彼女は怯えたようにしてエリオットに寄りそった。
「結局、彼女も女だったということさ。フェリシーだけはなかなか僕に媚びなかったけど、やっとどちらが男として上なのか分かった……ってことさ」
「おい、フェリシー……嘘だよな? 昔、結婚を誓ったことを覚えてるか? 子どもの頃のことだけど……俺はずっと覚えてる……」
そうだ。
子どもの頃、フェリシーの花で作った指輪をプレゼントして、俺は彼女に告白したのだ。
『大人になったら結婚してください……俺、強い男になるから!』
って。
するとフェリシーは手を後ろに回して、
『うん! もちろんだよ!』
と花のような笑顔で承諾してくれたのだ。
俺はあの頃のことをずっと覚えている。
すがるようにしてフェリシーに触れようとすると、
「キャッ! 触らないでよ!」
フェリシーの蹴りが飛んできて、腹にめり込む。
「ど、どうして……?」
信じられない……。
唯一の味方だったフェリシーが?
どんなに俺が惨めでも、彼女だけが認めてくれている……。
そう思っていたからこそ、ここまでやってこれたのに。
何故……。
「私、目が覚めたんだ。アルフ君みたいな負け組より、エリオット君みたいな勝ち組と一緒にいた方が幸せって。だから……もう私に話しかけないでね! 負け組が移るから!」
パリン。
心の中でなにかが割れたような音が聞こえた。
「ふんっ。もう部屋から出て行け。僕は彼女達を愛でなければならないんだ」
そうエリオットが言うと、女達はぽっと頬を赤らめ、足と足の間で手をはさんだ。
「はい。これ今日の給料。これだったら、パン一切れくらいなら買えるだろ?」
エリオットから銅貨一枚が投げ捨てられる。
「それで……はい、マルレーネ、サラ、そしてフェリシー。お小遣いだよ」
「「「ありがとうございます!」」」
女達の胸の谷間に、白金貨が一枚はさまれる。
それ一枚で一年は裕福に暮らせるといわれるものだ。
彼女達はそれを受け取り、エリオットに体を密着させた。
「……なに見てるんだい? 早く出て行くんだ。負け組と同じ空気をこれ以上吸いたくないんだ」
「エリオット様の言う通りですわ。負け組はビービー泣きながら、冷たい地面で寝ておきなさい」
「エリオットは最高の男だ。それに比べ貴様は……」
「エリオット君……今まで気付かなかったんだけど、とっても優しいんだよ! しかも君と違ってイケメンでお金持ちで……」
みんなが俺を見下してくる。
床に転がっていた銅貨を拾い上げる。
悔しいが……これがなければ、生きていけないのだ。
「あっ、そうそう」
部屋を立ち去ろうとする時、エリオットは俺の背中に向けてこう言った。
「フェリシーって……服を着てたら分かりにくいけど、実は胸が大きいって知ってた?」
目から涙が溢れてきたが、逃げるようにしてエリオット達の前から去った。
でも俺は負け組人生を送っていた。
◆ ◆
「ありがとう! ありがとう! ここまで来られたのは、みんなのおかげです!」
勇者の凱旋パレード。
王都の大通りを歩く勇者達に、みんなは祝福の拍手を送っていた。
「世界が平和になったのはあなたのおかげです!」
「ただ強いだけではなく人格も素晴らしい勇者様……抱いてっ!」
手を振る勇者エリオットに向かって、みんなが賞賛の言葉を贈っている。
エリオットの傍らには三人の女性が。
その女性達は幸せそうに——そして勝ち誇ったようにして、エリオットの傍に寄りそっている。
それもそうだ。
なんたって、女性達は勇者パーティーの一員なのだ。
「ありがとう! 本当にありがとう!」
エリオットはみんなに対して「ありがとう!」と連呼しながら、胸を張って歩く。
それを見て、エリオットを見ている王都の人間は好印象を抱くに違いない。
魔王を倒し、名実ともにエリオットは力・金・名誉・地位を手に入れた。
しかし俺だけが知っている。
そんなエリオットに裏の顔があることを。
◆ ◆
「汚い手で触るんじゃない! このノロマが!」
エリオットの拳が俺の頬に飛ぶ。
俺はそれを避けることも出来ず、ただ殴られ、壁に叩きつけられた。
「ホントに……あなたは本当に無能なのですわね」
「貴様、エリオットの足を引っ張るんじゃない!」
無様な俺を聖女マルレーネ、女戦士サラが軽蔑しているような視線を向けた。
マルレーネとサラは二人とも美しい女性だ。
だが、凱旋パレードの時に浮かべていた柔らかい笑みとは違って、今は悪魔のように顔を歪めている。
「だが……靴を履かせろ、と言ったのはエリオットの方じゃないか。触れないと、履かせにくいじゃないか」
「はっ! 口答えするつもりかい? 無能なお前に折角誰でも出来る仕事を与えているのに? ホント! 負け組無能は口の利き方も知らないのか!」
ドスッ。
未だ立ち上がることの出来ていない俺の腹に、エリオットの蹴りが当たる。
「ぐは……っ!」
腹の中から食ったものが逆流し、そのまま床にぶちまけてしまった。
「うわあ! なにこの男! わたくし達の部屋を汚くして……なにを考えているのですか!」
「慈悲深いエリオットに感謝する立場なのに、そのような汚物をぶちまけるとは!」
ゴホゴホと咳をする俺を誰も心配してくれない。
「おい、キレイにしろよ」
「……承知」
「ん? タオルなんか使うんじゃないよ。ちゃんと口で舐めるんだ」
そんなことを言われても、俺はエリオットに逆らうことが出来ない。
「うわ……本当に舐めていますわ……この負け犬」
「さすがの私も引くぞ。そんなにしてまで生きたいものなのか……こういう男にだけは、抱かれたくないものだな」
感情を殺すしかない。
だって、俺はこうしなければ生きていけないのだから。
そう——俺、アルフはこう見えても勇者エリオットのパーティーの一員である。
田舎村では『神童』と呼ばれている中、たまたま村に立ち寄ったエリオットにこう言われたのだ。
「一緒に魔王を倒す旅に出よう!」
って。
その時は嬉しかったさ。
エリオットは勇者として、イーディス神から神託を受けていることを知っていたのだから。
俺も勇者パーティーの一員として旅が出来る。
地位も名誉も手に入るだろうし……まさに勝ち組人生だ! って。
だが、それは間違いだった。
村の中では強かった俺であっても、エリオットには到底及ばなかった。
この世界にはスキルというものがあり、それによって特殊な技が使えたり、能力に補正がかかったりする。
例えば聖女マルレーネは【聖女の証】という回復魔法に関して、努力することによって伸びる倍率が100倍に設定されている。サラは【戦士の証】で力補正が100倍だ。
つまり俺みたいな——ちょっと人よりなんでも出来る器用貧乏が努力しようとも、彼女達より100倍努力しなければ追いつかないのだ。
エリオットなんてもっと凄い。
【勇者の証】というスキルはあらゆる能力によって1000倍の補正がかかるのだ。
これでは俺がいくら努力してもエリオットには勝てない。
何回か俺は自分の力不足を悟って、パーティーから抜けようとした。
しかしエリオットはそれを決して許してくれなかった。
優しさ?
そんなわけない。エリオットは俺を自分を引き立たせる『雑用係』として利用したかったのだ。
「パーティーを抜ける? そんなこと言ったら、世界中のギルドや教会に『アルフを出禁にしろ』と通達してやる!」
この世界でギルドや教会に立ち入ることが出来なかったら、まともに生活することも出来ない。
ゆえに俺は今まで我慢してエリオットに付いていった。
バカにされようとも。
いくら努力しても、追いつけない……それどころか開いていくエリオットとの実力差に絶望しながらも。
同じパーティーなのに、同じ部屋に泊まらせてくれなくても。
魔王戦では酷かった。
まず俺が特攻し、魔王の動きを止めたのだ。
無論、俺はなんらスキルの恩恵も受けていない一般人。魔王に勝てるわけもない。
何度も何度も死ぬような痛みを受けた。
そのたびにマルレーネが回復した。
もう死にたい……と思っても、マルレーネに回復される俺を、エリオット達は笑っていた。
そして……笑い疲れたのだろう。
エリオットは重い腰を上げ、一発で魔王を仕留めたのだ。
それほど、エリオットの力は絶対的だ。
そして——魔王を倒しても、俺だけ凱旋パレードに参加させてもらえなかった。
当たり前だ。みんなにとって、俺は勇者パーティーの『雑用係』と認識されているからだ。
俺がパーティーを抜けたがっている実情も知らず、勝手に付いてきているだけの恥知らず……と思っている。
そしてそれを受け入れる優しいエリオット……という図だ。
何度自害しようと考えたが——俺は直前のところで思いとどまっていた。
何故なら……。
「フェリシー!」
俺がエリオット達に嬲られている中、部屋にフェリシーが入ってきた。
フェリシーは勇者パーティーの魔法使いで、俺の幼馴染みでもある。
エリオットがあの田舎村で誘ったのは俺……そしてフェリシーだったのだ。
「アルフ君……」
フェリシーが目を細める。心配してくれてるのだろうか?
フェリシーは俺と違って、エリオットのパーティーの一員として受け入れられている。
虐げられている俺に対して、
『ちょ、ちょっと! エリオット君! 止めなよ!』
とよく止めに入ってくれたものだ。
今日もエリオットの行いを咎めるため、フェリシーがやってきた。
そんな頭がお花畑なことを考えていた。
フェリシーは俺の方を見て、
「アルフ君……汚い。あんまり勇者様に迷惑かけちゃダメだよ?」
と言った。
「えっ……?」
世界が反転する。
エリオットはフェリシーの横に立ち、彼女の肩を抱いた。
「ど、どうして……フェリシー……」
「そうだ、その顔だ! その絶望した顔……それが僕を満足させるんだ!」
俺がフェリシーに手を伸ばすと、彼女は怯えたようにしてエリオットに寄りそった。
「結局、彼女も女だったということさ。フェリシーだけはなかなか僕に媚びなかったけど、やっとどちらが男として上なのか分かった……ってことさ」
「おい、フェリシー……嘘だよな? 昔、結婚を誓ったことを覚えてるか? 子どもの頃のことだけど……俺はずっと覚えてる……」
そうだ。
子どもの頃、フェリシーの花で作った指輪をプレゼントして、俺は彼女に告白したのだ。
『大人になったら結婚してください……俺、強い男になるから!』
って。
するとフェリシーは手を後ろに回して、
『うん! もちろんだよ!』
と花のような笑顔で承諾してくれたのだ。
俺はあの頃のことをずっと覚えている。
すがるようにしてフェリシーに触れようとすると、
「キャッ! 触らないでよ!」
フェリシーの蹴りが飛んできて、腹にめり込む。
「ど、どうして……?」
信じられない……。
唯一の味方だったフェリシーが?
どんなに俺が惨めでも、彼女だけが認めてくれている……。
そう思っていたからこそ、ここまでやってこれたのに。
何故……。
「私、目が覚めたんだ。アルフ君みたいな負け組より、エリオット君みたいな勝ち組と一緒にいた方が幸せって。だから……もう私に話しかけないでね! 負け組が移るから!」
パリン。
心の中でなにかが割れたような音が聞こえた。
「ふんっ。もう部屋から出て行け。僕は彼女達を愛でなければならないんだ」
そうエリオットが言うと、女達はぽっと頬を赤らめ、足と足の間で手をはさんだ。
「はい。これ今日の給料。これだったら、パン一切れくらいなら買えるだろ?」
エリオットから銅貨一枚が投げ捨てられる。
「それで……はい、マルレーネ、サラ、そしてフェリシー。お小遣いだよ」
「「「ありがとうございます!」」」
女達の胸の谷間に、白金貨が一枚はさまれる。
それ一枚で一年は裕福に暮らせるといわれるものだ。
彼女達はそれを受け取り、エリオットに体を密着させた。
「……なに見てるんだい? 早く出て行くんだ。負け組と同じ空気をこれ以上吸いたくないんだ」
「エリオット様の言う通りですわ。負け組はビービー泣きながら、冷たい地面で寝ておきなさい」
「エリオットは最高の男だ。それに比べ貴様は……」
「エリオット君……今まで気付かなかったんだけど、とっても優しいんだよ! しかも君と違ってイケメンでお金持ちで……」
みんなが俺を見下してくる。
床に転がっていた銅貨を拾い上げる。
悔しいが……これがなければ、生きていけないのだ。
「あっ、そうそう」
部屋を立ち去ろうとする時、エリオットは俺の背中に向けてこう言った。
「フェリシーって……服を着てたら分かりにくいけど、実は胸が大きいって知ってた?」
目から涙が溢れてきたが、逃げるようにしてエリオット達の前から去った。
13
あなたにおすすめの小説
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる