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奴隷王の真価
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「グリフォンなんて魔法で一撃だったけど、レベルの低い奴らはこうして頑張って倒してたのね」
エリーが地面に落ちたグリフォンを感心しながら見ている。
「今やエリーもそのレベルが低い側なんだが」
そう言うと、舌打ちが響いた。
「忌々しいったらないわ。それもこれも誰かさんが奴隷なんかにしてくれたおかげよね。腹立たしいったらないわ」
エリーが悪態をつく。
一応主人である俺に対しては汚い言葉は使えないはずなんだが……。
まさか、エリーにとってはこの程度なら悪口の部類には入らないのか……?
「でも今のでレベルも少しは上がったんじゃない?」
確かにグリフォンを倒したのはエリーのおかげでもある。
しかもグリフォンはレベル120。レベル1のエリーなら一気に上がってもおかしくない。
しかし。
エリー=クローゼナイツ
レベル1
職業:奴隷 (イクス)
攻撃:0(+12)
魔力:0(+12)
防御:0(+12)
精神:0(+12)
素早:0(+12)
幸運:0(+12)
「なんでレベルがひとつも上がってないのよ!?」
その言葉通り、まったくレベルアップしていなかった。
ちなみにステータスの補正値が+10から+12に上がっているのは昨日からなので、今回のとは関係ない。
正確にいうなら「昨夜から」だけど。
理由は言わなくてもわかるだろ?
「イクスはどうなの!?」
怒りの矛先が俺に向かってきた。
一応俺はエリーのご主人様なんだけどな……。奴隷が主人に怒りを向けるっておかしくない? エリーの中の言葉遣いはいったいどうなってるんだ。
とはいえ俺も気になるので、自分のステータスを確認する。
イクス=ガーランド
レベル52
職業:戦士
攻撃:24(+17)
魔力:12(+17)
防御:22(+17)
精神:36(+17)
素早:22(+17)
幸運:14(+17)
1回の戦闘でレベルが2も上がっていた。
いくら高レベルのグリフォン2体とはいえ、急激にそんなに上がるなんて普通はあり得ない。
「なんでイクスばっかり上がってるのよ! ふざけんじゃ……大変喜ばしいことですわ、ご主人様」
エリーの口調が突然変わった。
なにか罵詈雑言を吐こうとしたのだろう。
とはいえ、いきなりレベルが2も上がったことはものすごいことではある。
せいぜい上がったとしても1だろう。
まるで2人分の経験値をもらったかのよう……と考えて気がついた。
まさか、エリーの分の経験値も俺がもらっているのか……?
俺とエリーは奴隷契約を結んでいる。
奴隷の物はその主人の物、という考えからすると、経験値が俺に入ってもおかしくはない。
「どうしたの?」
「い、いや。なんでもない」
さすが幼馴染、俺のわずかな動揺に気がついたらしい。
とはいえこんなことを教えたらまた不機嫌になるのは目に見えていたので、黙っていることにした。
その代わりに、もっと別の気になっていたことを口にする。
「ステータスの上昇値がエリーよりも多くなってるのが気になってな」
正直こっちの方が問題だ。
もしも俺の考えが当たっているのなら、とんでもないことになる。
「そうなの? たかがステータスが2上がったくらいで大げさね」
エリーにはそう言われてしまったが、これは「たかが」ではすまない大きな問題だ。
とりあえず俺はドレイクに向かってステータスを使ってみる。
ワイバーン
レベル80
状態:奴隷 (イクス)
表示されたのはそれだけだった。
種族が違うとステータスを使っても状態が表示されるだけで、ステータスの数値まではわからないんだよな。
とりあえずは俺の奴隷となってることが確認できただけでよしとしようか。
次に俺は倒れているグリフォンたちに向かい、ドレイクの時と同じようにポーションを使って助けてやる。
すると同じように奴隷にする事ができた。
やっぱりこうして助けてあげることで契約されるみたいだな。
まあ、俺の後ろで剣を構えていたエリーの存在も大きかったのかもしれないけど……。
レベルが上がらなかったのは殺さなかったせいだと、かなり殺る気満々だったからな。グリフォンたちも怖かっただろう。
それはともかく、グリフォンたちも奴隷となったことを確認すると、再び俺のステータスを表示させた。
イクス=ガーランド
レベル52
職業:戦士
攻撃:24(+20)
魔力:12(+20)
防御:22(+20)
精神:36(+20)
素早:22(+20)
幸運:14(+20)
やっぱりそうだ。
予想通りステータスが上がっている。
これではっきりした。
ステータス上昇ボーナスは俺の奴隷から得られるもので、その数が多いほど効果量も多くなるということだ。
「たかがステータスが2、3増えたくらいで大げさね。これだから雑魚は」
エリーが鼻で笑っていたが、これはとんでもないことだ。
確かに奴隷が1人や2人なら大したことはないだろう。
だけど十人なら?
百人なら?
千人なら?
かつてこのスキルを所持していたという奴隷王は凄まじい力を持ち、個人で一国の軍に匹敵する力を持っていたという。
その力があったから、今に至るまで残り続ける超大国を作ることができたのだと。
正直、そんなのは伝説の中で誇張されたお話だと思っていた。
たった1人で数百から数千人にもなる軍隊を相手にするなんて、物理的に無理だ。
が、こうやって奴隷にした分のステータスがすべて加算されるのだとしたら、話は違ってくる。
もしも国民全てを自分の奴隷とすることができたら?
もしもその国の人口が100万人を超えていたとしたら?
「………………」
計り知れない力を予感して、俺は震える手をごまかすように強く握りしめた。
エリーが地面に落ちたグリフォンを感心しながら見ている。
「今やエリーもそのレベルが低い側なんだが」
そう言うと、舌打ちが響いた。
「忌々しいったらないわ。それもこれも誰かさんが奴隷なんかにしてくれたおかげよね。腹立たしいったらないわ」
エリーが悪態をつく。
一応主人である俺に対しては汚い言葉は使えないはずなんだが……。
まさか、エリーにとってはこの程度なら悪口の部類には入らないのか……?
「でも今のでレベルも少しは上がったんじゃない?」
確かにグリフォンを倒したのはエリーのおかげでもある。
しかもグリフォンはレベル120。レベル1のエリーなら一気に上がってもおかしくない。
しかし。
エリー=クローゼナイツ
レベル1
職業:奴隷 (イクス)
攻撃:0(+12)
魔力:0(+12)
防御:0(+12)
精神:0(+12)
素早:0(+12)
幸運:0(+12)
「なんでレベルがひとつも上がってないのよ!?」
その言葉通り、まったくレベルアップしていなかった。
ちなみにステータスの補正値が+10から+12に上がっているのは昨日からなので、今回のとは関係ない。
正確にいうなら「昨夜から」だけど。
理由は言わなくてもわかるだろ?
「イクスはどうなの!?」
怒りの矛先が俺に向かってきた。
一応俺はエリーのご主人様なんだけどな……。奴隷が主人に怒りを向けるっておかしくない? エリーの中の言葉遣いはいったいどうなってるんだ。
とはいえ俺も気になるので、自分のステータスを確認する。
イクス=ガーランド
レベル52
職業:戦士
攻撃:24(+17)
魔力:12(+17)
防御:22(+17)
精神:36(+17)
素早:22(+17)
幸運:14(+17)
1回の戦闘でレベルが2も上がっていた。
いくら高レベルのグリフォン2体とはいえ、急激にそんなに上がるなんて普通はあり得ない。
「なんでイクスばっかり上がってるのよ! ふざけんじゃ……大変喜ばしいことですわ、ご主人様」
エリーの口調が突然変わった。
なにか罵詈雑言を吐こうとしたのだろう。
とはいえ、いきなりレベルが2も上がったことはものすごいことではある。
せいぜい上がったとしても1だろう。
まるで2人分の経験値をもらったかのよう……と考えて気がついた。
まさか、エリーの分の経験値も俺がもらっているのか……?
俺とエリーは奴隷契約を結んでいる。
奴隷の物はその主人の物、という考えからすると、経験値が俺に入ってもおかしくはない。
「どうしたの?」
「い、いや。なんでもない」
さすが幼馴染、俺のわずかな動揺に気がついたらしい。
とはいえこんなことを教えたらまた不機嫌になるのは目に見えていたので、黙っていることにした。
その代わりに、もっと別の気になっていたことを口にする。
「ステータスの上昇値がエリーよりも多くなってるのが気になってな」
正直こっちの方が問題だ。
もしも俺の考えが当たっているのなら、とんでもないことになる。
「そうなの? たかがステータスが2上がったくらいで大げさね」
エリーにはそう言われてしまったが、これは「たかが」ではすまない大きな問題だ。
とりあえず俺はドレイクに向かってステータスを使ってみる。
ワイバーン
レベル80
状態:奴隷 (イクス)
表示されたのはそれだけだった。
種族が違うとステータスを使っても状態が表示されるだけで、ステータスの数値まではわからないんだよな。
とりあえずは俺の奴隷となってることが確認できただけでよしとしようか。
次に俺は倒れているグリフォンたちに向かい、ドレイクの時と同じようにポーションを使って助けてやる。
すると同じように奴隷にする事ができた。
やっぱりこうして助けてあげることで契約されるみたいだな。
まあ、俺の後ろで剣を構えていたエリーの存在も大きかったのかもしれないけど……。
レベルが上がらなかったのは殺さなかったせいだと、かなり殺る気満々だったからな。グリフォンたちも怖かっただろう。
それはともかく、グリフォンたちも奴隷となったことを確認すると、再び俺のステータスを表示させた。
イクス=ガーランド
レベル52
職業:戦士
攻撃:24(+20)
魔力:12(+20)
防御:22(+20)
精神:36(+20)
素早:22(+20)
幸運:14(+20)
やっぱりそうだ。
予想通りステータスが上がっている。
これではっきりした。
ステータス上昇ボーナスは俺の奴隷から得られるもので、その数が多いほど効果量も多くなるということだ。
「たかがステータスが2、3増えたくらいで大げさね。これだから雑魚は」
エリーが鼻で笑っていたが、これはとんでもないことだ。
確かに奴隷が1人や2人なら大したことはないだろう。
だけど十人なら?
百人なら?
千人なら?
かつてこのスキルを所持していたという奴隷王は凄まじい力を持ち、個人で一国の軍に匹敵する力を持っていたという。
その力があったから、今に至るまで残り続ける超大国を作ることができたのだと。
正直、そんなのは伝説の中で誇張されたお話だと思っていた。
たった1人で数百から数千人にもなる軍隊を相手にするなんて、物理的に無理だ。
が、こうやって奴隷にした分のステータスがすべて加算されるのだとしたら、話は違ってくる。
もしも国民全てを自分の奴隷とすることができたら?
もしもその国の人口が100万人を超えていたとしたら?
「………………」
計り知れない力を予感して、俺は震える手をごまかすように強く握りしめた。
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