幼馴染から奴隷のように扱われていた俺、誰でも奴隷にできる最強スキル<奴隷化>が覚醒! 勇者も魔王もみんな奴隷にして可愛がります

ねこ鍋

文字の大きさ
17 / 97

奴隷王の真価

しおりを挟む
「グリフォンなんて魔法で一撃だったけど、レベルの低い奴らはこうして頑張って倒してたのね」

 エリーが地面に落ちたグリフォンを感心しながら見ている。

「今やエリーもそのレベルが低い側なんだが」

 そう言うと、舌打ちが響いた。

「忌々しいったらないわ。それもこれも誰かさんが奴隷なんかにしてくれたおかげよね。腹立たしいったらないわ」

 エリーが悪態をつく。
 一応主人である俺に対しては汚い言葉は使えないはずなんだが……。
 まさか、エリーにとってはこの程度なら悪口の部類には入らないのか……?

「でも今のでレベルも少しは上がったんじゃない?」

 確かにグリフォンを倒したのはエリーのおかげでもある。
 しかもグリフォンはレベル120。レベル1のエリーなら一気に上がってもおかしくない。
 しかし。

エリー=クローゼナイツ
レベル1
職業:奴隷 (イクス)
攻撃:0(+12)
魔力:0(+12)
防御:0(+12)
精神:0(+12)
素早:0(+12)
幸運:0(+12)

「なんでレベルがひとつも上がってないのよ!?」

 その言葉通り、まったくレベルアップしていなかった。
 ちなみにステータスの補正値が+10から+12に上がっているのは昨日からなので、今回のとは関係ない。
 正確にいうなら「昨夜から」だけど。
 理由は言わなくてもわかるだろ?

「イクスはどうなの!?」

 怒りの矛先が俺に向かってきた。
 一応俺はエリーのご主人様なんだけどな……。奴隷が主人に怒りを向けるっておかしくない? エリーの中の言葉遣いはいったいどうなってるんだ。

 とはいえ俺も気になるので、自分のステータスを確認する。

イクス=ガーランド
レベル52
職業:戦士
攻撃:24(+17)
魔力:12(+17)
防御:22(+17)
精神:36(+17)
素早:22(+17)
幸運:14(+17)


 1回の戦闘でレベルが2も上がっていた。
 いくら高レベルのグリフォン2体とはいえ、急激にそんなに上がるなんて普通はあり得ない。

「なんでイクスばっかり上がってるのよ! ふざけんじゃ……大変喜ばしいことですわ、ご主人様」

 エリーの口調が突然変わった。
 なにか罵詈雑言を吐こうとしたのだろう。

 とはいえ、いきなりレベルが2も上がったことはものすごいことではある。
 せいぜい上がったとしても1だろう。
 まるで2人分の経験値をもらったかのよう……と考えて気がついた。

 まさか、エリーの分の経験値も俺がもらっているのか……?
 俺とエリーは奴隷契約を結んでいる。
 奴隷の物はその主人の物、という考えからすると、経験値が俺に入ってもおかしくはない。

「どうしたの?」

「い、いや。なんでもない」

 さすが幼馴染、俺のわずかな動揺に気がついたらしい。
 とはいえこんなことを教えたらまた不機嫌になるのは目に見えていたので、黙っていることにした。
 その代わりに、もっと別の気になっていたことを口にする。

「ステータスの上昇値がエリーよりも多くなってるのが気になってな」

 正直こっちの方が問題だ。
 もしも俺の考えが当たっているのなら、とんでもないことになる。

「そうなの? たかがステータスが2上がったくらいで大げさね」

 エリーにはそう言われてしまったが、これは「たかが」ではすまない大きな問題だ。
 とりあえず俺はドレイクに向かってステータスを使ってみる。

ワイバーン
レベル80
状態:奴隷 (イクス)

 表示されたのはそれだけだった。
 種族が違うとステータスを使っても状態が表示されるだけで、ステータスの数値まではわからないんだよな。
 とりあえずは俺の奴隷となってることが確認できただけでよしとしようか。

 次に俺は倒れているグリフォンたちに向かい、ドレイクの時と同じようにポーションを使って助けてやる。
 すると同じように奴隷にする事ができた。

 やっぱりこうして助けてあげることで契約されるみたいだな。
 まあ、俺の後ろで剣を構えていたエリーの存在も大きかったのかもしれないけど……。
 レベルが上がらなかったのは殺さなかったせいだと、かなり殺る気満々だったからな。グリフォンたちも怖かっただろう。

 それはともかく、グリフォンたちも奴隷となったことを確認すると、再び俺のステータスを表示させた。

イクス=ガーランド
レベル52
職業:戦士
攻撃:24(+20)
魔力:12(+20)
防御:22(+20)
精神:36(+20)
素早:22(+20)
幸運:14(+20)

 やっぱりそうだ。
 予想通りステータスが上がっている。

 これではっきりした。
 ステータス上昇ボーナスは俺の奴隷から得られるもので、その数が多いほど効果量も多くなるということだ。

「たかがステータスが2、3増えたくらいで大げさね。これだから雑魚は」

 エリーが鼻で笑っていたが、これはとんでもないことだ。

 確かに奴隷が1人や2人なら大したことはないだろう。
 だけど十人なら?
 百人なら?
 千人なら?

 かつてこのスキルを所持していたという奴隷王は凄まじい力を持ち、個人で一国の軍に匹敵する力を持っていたという。
 その力があったから、今に至るまで残り続ける超大国を作ることができたのだと。

 正直、そんなのは伝説の中で誇張されたお話だと思っていた。
 たった1人で数百から数千人にもなる軍隊を相手にするなんて、物理的に無理だ。

 が、こうやって奴隷にした分のステータスがすべて加算されるのだとしたら、話は違ってくる。
 もしも国民全てを自分の奴隷とすることができたら?
 もしもその国の人口が100万人を超えていたとしたら?

「………………」

 計り知れない力を予感して、俺は震える手をごまかすように強く握りしめた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...