幼馴染から奴隷のように扱われていた俺、誰でも奴隷にできる最強スキル<奴隷化>が覚醒! 勇者も魔王もみんな奴隷にして可愛がります

ねこ鍋

文字の大きさ
25 / 97

女神様の祝福

しおりを挟む
 行為の最中に女神様が現れたため、俺たちは慌てて離れた。
 エリーがシーツを巻きつけて肌を隠す。もちろん俺の分は無しだ。寒い。

 そんな俺たちを見て、女神様が不思議そうに首を傾げる。

「どうしました。なぜやめるのですか」

「やめるに決まってるでしょ!? ていうかなんで当たり前のように入ってきてるのよ!」

 エリーが吠えるように怒鳴る。
 女神様はやはりよくわかっていないみたいだった。

「あなたたちの素晴らしい行為に思わず感激してしまっただけなのです」

「人の行為を見て感激って……。女神って意外とヘンタイなの?」

「へんたい? その言葉の意味はわかりませんが、私に構わず続けてください。まだ足りないご様子ですし」

「うう、うるさいわね! できるわけないでしょ!」

「なにを恥じることがあるのです。生殖行為は生命の基本であり、愛を確かめあう最も尊い行為。隠す必要はありません。存分に励むと良いでしょう」

「見られるのが恥ずかしいの!」

「なるほど。人間とはそういうものですか。では私は一度戻ります。終わったら呼んでください」

 そういって女神様が消えた。
 終わったら呼べって言われても……。

「………………」

 俺とエリーは微妙な表情で顔を見合わせる。
 それから、恐る恐るたずねた。

「………………足りないのか?」

「はあ!? そんなわけ……はい、もっとご主人様としたいです」

 嘘をつこうとしてすぐ本音を言っちゃうエリー奴隷可愛い。

「????????????!!!!」

 真っ赤な顔に涙を浮かべて睨んでくるが、反論はない。

 そういうわけで、そういうことになった。



「終わったぞ」

 空中に向けてそういうと、再び女神様が現れた。
 現れた女神様は、それはもう神々しい笑みを浮かべていた。

「やはり愛とは素晴らしいものですね」

「いやあ、お恥ずかしい」

「……見られてるってわかってるのに、本当に信じられない……どれだけ欲求不満なのよ……」

 ちなみにエリーはとなりで荒い息を吐きながらシーツの海に沈んでいる。
 あれからさらに3回もしたからな。さすがに疲れたようだ。

「イクス=ガーランド、やはりあなたはとても素晴らしい人物です」

「え? 俺が? どうして?」

「あんなに虐げられていたのに、その相手をこんなに愛することができるなんて。そうそうできることではありません」

 それは、まあ、そうなのかもな。
 でも好きなんだから仕方がない。

「それでいいのです。愛こそが世界を救う唯一の光。光の勇者の素質なのです」

「……愛? ただのエロザルよこいつ」

 エリーが冷たい声を放つ。
 さっきまであんなにいい感じだったのに、いきなりエロザルに格下げされてる……。否定は出来ないけど……。

「これからは光の勇者ではなく、愛の勇者と呼ぶことにしましょう」

「恥ずかしすぎるのでやめてください」

「それで、結局なにしにきたわけ?」

「祝福を授けましょう」

 女神様はそう言った。

「昔ならイクス=ガーランドを光の勇者に認定したところですが、安易に力を与えることはよくないと反省しています。なので、勇者にまつわる力──神聖魔法を授けましょう」

 突然のことに驚いてしまった。

「俺が、神聖魔法を?」

「はい。ただしひとつだけです」

「ひとつだけか……」

 神聖魔法は女神様の力を借りて放つ強力な魔法だ。
 単純な攻撃魔法だけじゃなく、回復魔法から支援魔法まで、あらゆる種類の魔法が揃っている。
 たった一人でパーティーの要となる職業をすべて賄うことができるんだ。

 その中から最も強い魔法を選べと言われたら、簡単には答えられない。
 人によって答えは違うだろう。

 だけど、今俺がほしい魔法はどれかと聞かれたら、答えはすぐに出てきた。

「では<ギアス>をください」

 それは絶対に破ることのできない契約を交わすための魔法。
 俺とエリーが奴隷契約を結んでいるのも、この<ギアス>による。

「まだ奴隷を増やすつもりなの?」

 となりからエリーが冷たい視線を向けてきた。

 そう思われるのも無理はない。
 実際ゴーレムのように<奴隷化>のスキルでは奴隷にできないモンスターもいた。
 だけど<ギアス>を使えれば奴隷化できない相手でも奴隷にできるかもしれないからな。
 奴隷が増えるほど強くなる俺にとっては相性の良い魔法と言えるだろう。

 だけど本当の目的はそれじゃない。

<ギアス>で一度結んでしまった契約は死ぬまで解除されることはない。
 そう言われていた。
 だけど、このスキルについて詳しく知っているわけじゃない。

 奴隷王の存在だって、<奴隷化>のスキルを手に入れるまでは伝説としか思っていなかったんだ。
 俺が知らないだけで、実は<ギアス>を解除する方法があるのかもしれないだろう。

 現状はエリーは俺に絶対服従だし、常にそばに侍っている。
 エリーは俺のことを好きだと言ってくれているが、それだってどこまで本当か俺にはわからない。
 今のこの関係は、俺が望んでいるものとは違うんだ。

 だから。
 ギアスを手に入れ、その使い方をマスターすれば。
 いつかは<ギアス>の奴隷契約を解除できる日が来るかもしれない。
 それが俺の目的……いや、願いだった。

 女神様が微笑む。
 慈愛のこもった優しい眼差しだ。
 ひょっとして俺の心を読めるのだろうか。

「わかりました。では<ギアス>を授けましょう」

 手の中に生まれた光が、俺の中へと吸い込まれる。
 俺の中に新たな力が宿るのを感じた。
 どうやら<ギアス>を手に入れたらしいな。

 神聖魔法の習得といえば伝説レベルの出来事のはずなのだが、ずいぶんあっさりしたものだった。

「ちょっと、なんでイクスだけなのよ」

 エリーが不満を女神様にぶつける。

「アタシだって光の勇者でしょ。アンタが勝手に力を奪ったんだから、さっさと返しなさいよ」

「あなたにはもう光の勇者の資格はありません。精進すればまたその資格を得ることもあるかもしれませんが」

「女神様。エリーにもひとつでいいので力を与えてくれませんか。エリーも変わってきています。きっといつかは女神様のいうように、光の勇者の資格を取り戻すはずです」

「……あなたがそういうのならいいでしょう。ではひとつだけ選びなさい」

「そんなの決まってるわ!」

 ベッドの上で立ち上がり宣言する。
 体に巻いていたシーツが落ちて裸が露わになったのだが、テンションが上がっているせいか気にならないみたいだった。

「<神器装換>よ!」

 エリーが望んだのは聖剣と聖盾、聖鎧を得る魔法だった。
 確かに強力だが、少し意外でもあった。
 エリーならもっと派手で威力の高い魔法を選ぶと思っていたのだ。
 それこそ<セイントクロス>とか<聖なる業火>とかだと思っていたのだが……。

 女神様が小さくため息をつく。
 もしもエリーの心の中を読んだのだとしたら、どんなロクでもないことを読み取ったのだろう。

「……わかりました。では授けましょう」

 手の中で生み出された光がエリーの中に吸い込まれる。

「これさえあれば……ククク……」

 めちゃくちゃ悪い笑みを浮かべている。
 間違いなくろくでもないことを考えているな。

「光の勇者の使命は、世界に平穏をもたらすこと。さらなる試練を乗り越えれば、新たな力を授けましょう」

「試練とはなんですか」

「魔王と呼ばれる存在を倒したり、人々を救ったり、そういうことです。あなたたちが光の勇者に見合う働きをした時、再び会いましょう」

 そう告げると、女神様はきた時と同様にフッと消えてしまった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...