幼馴染から奴隷のように扱われていた俺、誰でも奴隷にできる最強スキル<奴隷化>が覚醒! 勇者も魔王もみんな奴隷にして可愛がります

ねこ鍋

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苦労するのはいつもリーダーばかり

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 帝国首都の城門に近づいていく。
 これまでの街と違い、門に並ぶ人は少なかった。
 帝国に来る人は少ないんだろうか?
 おかげで順番もすぐに回ってくる。

 どちらかというと帝都に来る人が少ないというよりは、街自体が大きく城門も多いため、分散しているという感じだろうか。
 俺たちの番になると、門番が正面に立ちはだかった。

「冒険者か。どこからきた」

 ずいぶん高圧的だな。
 帝国の軍人はみんなこんな感じだと聞いたことがある。

 エリーのこめかみがぴくりと動いた。
 なんでこいつこんなに偉そうなのムカつくから殺そうかしら、とでも考えたんだろう。
 なんとか最後の考えを実行することは思いとどまってくれたようだが、長く会話をしていたらそのうちボロが出そうだな。

 俺が代表するように一歩前に出る。

「要塞都市ダゴンから来た」

「ほう。そのわりには方角が違うようだが」

 おっと。鋭いな。
 俺たちは空を飛んできたためダゴンからここまでまっすぐにきた。
 しかし歩いてくるとしたら途中にある山を迂回しなければならないため、方角としてはむしろズレるはずなんだ。
 さすがにそこまでは気が回らなかったな。

 門番が疑いの目を向けてくる。

「どうした。なぜ何もないはずの方からやってきた」

「俺たちは冒険者だからな。途中でモンスター討伐のクエストをこなしながら来たんだよ。せっかく長距離を移動するんだから、ついでにクエストで稼ぎながら来たほうが効率もいいだろう」

「最近はモンスター討伐も少なくなっているらしいが」

「おかげで稼ぎが少なくて困ってるよ」

 そういう冒険者が多いのは事実だからな。
 下手に嘘をつくよりも、本当のことを混ぜた方がぼろは出にくい。

「さすがイクスは口だけは上手いわね」

 もうちょっと褒めてくれてもいいんじゃないかなあ。
 門番もそれ以上は追求できないようだった。

「……ふん。まあいい。通行証を見せろ」

「これでいいですか」

 用意していた通行証を手渡す。
 門番が黙って受け取り、それを持って詰所の方に戻っていった。
 本物かどうか確認するためだろう。
 市長に用意させたものだから、問題はないと思うが……。

 やはり緊張してしまう。
 不安を悟られないよう堂々と立っていたが、内心ではそれなりにドキドキしていた。

 ちなみにエリーは機嫌の悪さが思いっきり顔に出ている。
 待たされるのが嫌いなんだろうな。

 シェイドはいつも通り冷静な表情だし、パンドラは無邪気な笑顔で大きな門を見上げ「ご主人、これでっかいナー」とかつぶやいていた。
 どうやら心配してるのは俺だけらしい。

 なんで苦労するのはいつもリーダーばかりなんだろう。
 リーダーが一番偉いはずなのに……。

 ちなみにシャルロットはダンジョンの中に置いてきた。
 いや別に一緒にいてもよかったんだけどな。本人が望んだんだ。
 ドレイクたち肉食のモンスターと一緒に暗いダンジョンの中に閉じ込めてきたから、きっと喜んでいることだろう。知らないけど。

 しばらくして通行証を持った兵士が戻ってきた。
 だけどなぜか駆け足で、その顔も慌てたようになっている。
 俺の目の前にまでやってくると、俺の通行証を両手に持って差し出してきた。

「隊長のご親戚の方とは知らず、失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした! どうぞお通りください!」

 態度が急変している。

 そういえば市長が、帝国は厳格な階級社会で、身分の差がはっきりしているとか言っていたな。
 そのため、帝国内でも動きやすいようにしておくと言っていたが……。
 通行証の身分はグレン隊隊長の親族となっていたが、どうやらグレン隊の隊長はかなり身分が高いらしい。
 グレン隊がどういうのかは俺も知らないけど。

 門番がオドオドしながらもこちらを伺ってくる。

「それにしても、どうしてわざわざこちらの門から……? 専用の入り口が別にあるはずですが……?」

 へえ、そうなのか。
 それは知らなかった。

「どの門を通るかは俺の自由だろう。文句があるのか?」

「い、いいえ! なにもありません!」

「ふふん。ちゃんとわかってるじゃない」

 エリーがさっそく上機嫌に戻っていた。

「この場で処刑するのがいいか、最前線に送るのがいいか迷ってたけど、その態度に免じて許してあげるわ」

 駆け寄ってきた門番が震え上がっている。

「あ、ありがとうございます! ところで、最前線というのは……?」

 おや、帝国が戦争をしようとしていることを知らないのか。
 さすがに末端の兵士にまでは通達が行っていないらしいな。

「もしかして、聖王都と戦争をするという噂は……」

「お前は知らないくていい」

「は、はいっ! 詮索するようなことを聞いて申し訳ありませんでした!」

 最敬礼の姿勢を取る門番を置いて、俺たちはさっさと城門をくぐって内部へと足を踏み入れた。
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