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11話 中学3年生になった…
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4月…
楓と剣は、中学3年生になった。
楓は、中2の終わり頃には、問題児扱いされていて…
仲良し5人組だった楓たちは、5クラスにバラバラにされた。
しかも、楓のクラスだけ今まで使われていなかった教室で
怖い先生が集まっている保健室の隣のクラスになった。
楓のクラスだけ1階で、他のクラスは2階で…
剣とも違うクラスになって…
しかも、剣の教室は楓の教室から一番遠い…
楓は、休憩時間になると…
2階の剣のクラスに行った。
祥子は、剣と同じクラスになっていたから…
楓は、祥子のお母さんが作った玉子焼きが大好きで…
いつも自分のお弁当を、すごい勢いで食べて…
貰いに行っていた。
友達に遊びに誘われることもあったけど…
楓は、我慢した。
前の人生では、遊びに行くのが楽しくなって
剣との距離が離れてしまったから…
今回は、そんな誘惑に負けないようにしようって思ってた。
だから…剣とも変わらず毎日一緒に帰った。
ある朝、楓はなんか怠くて…
学校に行きたくないって思って…
剣に電話をした。
そしたら、珍しく剣が出て…
「剣、なんか今日だるくて…学校休むよ」
「大丈夫か?」
「うん、なんかね。さぼりだよ」
「俺も、さぼろうかな…」
「ほんと?じゃ、後でうちに来る?」
「いいのか?」
「うん、8時半にはお父さん出てると思うから」
「分かった。適当に行くよ」
「うん、待ってるね」
剣は、10時くらいに来た…
自分の部屋に入れるのは恥ずかしかったから…
応接間に入って貰った…
二人で、並んで座って…
テレビを見たり…喋ったり…
お昼ご飯は、二人でカップヌードルを食べた。
二人は、イチャイチャするでもなく…
ただ、喋りまくっていた。
剣のお姉さんの話、お父さんとお母さんの話も沢山聞いた…
家の中で、こんなに一緒に過ごすのは初めてで…
ドキドキしたけど…
剣は、そういう人じゃない。
それは、分かっていた。
夕方になって、車が帰って来る音がした。
「剣、お父さん帰って来た…」
「ヤバいね」
「剣、ここから一緒に出よう」
剣と楓は、慌てて靴を取って掃き出しの窓から出た。
そして、お父さんが家に入るまで、壁の横で潜んでいた。
「ごめんね」
「びっくりしたけど、いいよ」
「今日は、楽しかった。ありがとう」
「俺も、楽しかった。ありがとな」
「剣、握手して」
「いいよ」
二人は、前の人生と同じように握手した。
でも、前の人生とは違って…
長い間、手を握りあっていた。
「剣、また明日ね」
「うん、明日は学校に行こう」
「明日は行くよ」
「ばいばい」
楓は、何食わぬ顔をして玄関から「ただいま」と帰って行った…
楓と剣は、中学3年生になった。
楓は、中2の終わり頃には、問題児扱いされていて…
仲良し5人組だった楓たちは、5クラスにバラバラにされた。
しかも、楓のクラスだけ今まで使われていなかった教室で
怖い先生が集まっている保健室の隣のクラスになった。
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剣とも違うクラスになって…
しかも、剣の教室は楓の教室から一番遠い…
楓は、休憩時間になると…
2階の剣のクラスに行った。
祥子は、剣と同じクラスになっていたから…
楓は、祥子のお母さんが作った玉子焼きが大好きで…
いつも自分のお弁当を、すごい勢いで食べて…
貰いに行っていた。
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楓は、我慢した。
前の人生では、遊びに行くのが楽しくなって
剣との距離が離れてしまったから…
今回は、そんな誘惑に負けないようにしようって思ってた。
だから…剣とも変わらず毎日一緒に帰った。
ある朝、楓はなんか怠くて…
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剣に電話をした。
そしたら、珍しく剣が出て…
「剣、なんか今日だるくて…学校休むよ」
「大丈夫か?」
「うん、なんかね。さぼりだよ」
「俺も、さぼろうかな…」
「ほんと?じゃ、後でうちに来る?」
「いいのか?」
「うん、8時半にはお父さん出てると思うから」
「分かった。適当に行くよ」
「うん、待ってるね」
剣は、10時くらいに来た…
自分の部屋に入れるのは恥ずかしかったから…
応接間に入って貰った…
二人で、並んで座って…
テレビを見たり…喋ったり…
お昼ご飯は、二人でカップヌードルを食べた。
二人は、イチャイチャするでもなく…
ただ、喋りまくっていた。
剣のお姉さんの話、お父さんとお母さんの話も沢山聞いた…
家の中で、こんなに一緒に過ごすのは初めてで…
ドキドキしたけど…
剣は、そういう人じゃない。
それは、分かっていた。
夕方になって、車が帰って来る音がした。
「剣、お父さん帰って来た…」
「ヤバいね」
「剣、ここから一緒に出よう」
剣と楓は、慌てて靴を取って掃き出しの窓から出た。
そして、お父さんが家に入るまで、壁の横で潜んでいた。
「ごめんね」
「びっくりしたけど、いいよ」
「今日は、楽しかった。ありがとう」
「俺も、楽しかった。ありがとな」
「剣、握手して」
「いいよ」
二人は、前の人生と同じように握手した。
でも、前の人生とは違って…
長い間、手を握りあっていた。
「剣、また明日ね」
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