私だけが、あなただと知っていても…

秋風 爽籟

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3章 1話 四度目の人生の始まり

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梓は、また生まれ変わった…

これまでの過去の記憶と、過去に関わりのあった人が分かる力を持って…



今回は、小学生になってすぐ…

目が覚めると同時に、過去の記憶が走馬灯のように流れた…



3度目の人生は、元と会う前に死んでしまった。

あれから、元はどうしたのだろう…

でも、元は何も知らなかった…

ただ、私との間に何かあると思っていただけだ…



今回の梓は、両親が教師という家に生まれた。

父も母も中学校の教師だ。

母は、私の最初の人生のお母さんだった人…

やっとお母さんが私のお母さんになった…



父は、厳しい人だったけど…

母は、おおらかな優しい人…

きょうだいは、兄と姉がいる。



そして母の兄の伯父が、最初の人生で父だった人…

そして伯父の息子が、兄だった人…

つまり従兄だ。

従兄は、面白くて優しい従兄…



今回は、すごくいい環境に生まれ変わって良かった…



梓は、地域の小学校…中学校と進んだ。



梓は、母からいつも言われていた。

自立して生きられるように資格を取った方がいいと…



だから、高校は看護科に進んだ。

そして高校卒業で准看護士の資格を取り…

短大に進んで、看護士の資格を取った。



これまで、元とも会っていない…

そして、今回は渉とも会えていない。



高校も短大も、女子ばかりで…恋をする暇もなかった。



梓は、短大を出て大きな病院に就職した。

それと同時に、一人暮らしも始めた。

始めは、分からないことばかりで…

仕事を覚えるのが大変だった…

そして、怒られてばかり…



唯一、梓が得意だったのは…

患者さんに信頼されることだった。

注射とか、技術でではなく…

気持ちの信頼…

患者さんの気持ちをつかむのは上手だった。



それでも、数年経つと…技術もついてきて…

梓はベテランさんと言われるようになった。



毎日、病院と家の往復…



元とも会えない…



そんな時…

患者さんの中に、輝いている人を見つけた…

それは…

最初の人生で、私の最初の夫だった渉だった。



渉は、骨折で入院をしていた。

渉は、2歳年下の21歳だった…



渉は、まだ大学生で…

スノーボードをしていて、骨折したという。



渉は、梓が病院に行くと…

何かと話し掛けてきた。



「梓さん、今日も綺麗だね」



すごく軽い感じで言ってくる…

でも、なぜか嫌じゃなかった。

すごく懐かしい気持ちになった。



これまで、患者さんに口説かれたことはあるけど

心が惹かれることはなかった。



梓は、昔から直感で行動をする。

しかも、最初に「この人はあり」に入らなければ

その人と恋愛することはない。

でも、渉は「あり」に入れてしまったみたい。



それから…渉の退院がきまった日…



渉は…



「俺、本当に梓さんのこと綺麗だと思っていたよ。会えなくなるのは寂しい…今度デートしようよ?」



「またまた、冗談ばかり…」



「いや…俺は本気だよ…」



私は、なんか放っておけなくて…

連絡先を交換した。



渉は、すぐに連絡をしてきた。



―――梓さん、今度の休みはいつ?



梓は、渉に心惹かれるのを我慢できなかった…

なぜだろう…

これまでの渉は、父だったり…兄だったりで…

恋愛の対象じゃなかったからかな…

もしかしたら、また泣かされるかもしれないのに…
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