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3章 8話 元のこと
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運動会の前日、保育園に行くと…
元はもう来ていた。
「遅くなってすみません…」
「いえ、僕もさっき来たばかりですよ」
元は、そう言いながら…
手を止めず…テントを組み立てていた。
「私は、何をしたらいいんですかね?」
「じゃ、一緒に組み立てをしましょう」
二人は、無言でしていたが…
作業に慣れた頃…
「今日は、お子さんはどうしてるんですか?」
と、元が聞いてきた。
「あっ、実家で見て貰ってます。うちは母子家庭なんで…」
「えっ、そうなんですか…うちも父子家庭なんで…実家に見て貰ってます…」
恥かしそうに、元は言った…
「そうだったんですね…奇遇ですね…っていうのも変ですね…」
「はははっ、梓さんって面白いですね」
「良く言われます…天然だって」
「そうなんですね。でもいつも息子さんと楽しそうだなって見てました」
「笑ってたいと思うんです…息子には、悲しい思いをさせたくないから…」
「そうですね。僕も見習わないと…」
そうこうしているうちに、準備も終わり…
「今日は、この辺りで…では、また明日もお願いします」
先生がそう言って…お開きとなった。
「じゃ、また明日…」
「また、明日…」
梓は、少し元に近付けたような気がした…
元は、シングルだったんだ…
良かった…
ん?良かった?
もしかしたら…恋人がいるかもしれないじゃん…
浮かれてる場合じゃなかった。
運動会当日…
保育園でも、元を見かけた…
狭い園庭での運動会…
元と目を合わしてしまう。
運動会には、両親が見に来てくれた。
光が走る姿…何度見ても感動してしまう…
無事に運動会も終わり…
「光、今日は頑張ったね。偉かったよ。お母さん、運動会の片づけがあるから…じいじの家で待っててね」
「うん!」
元も、お母さんに湊くんを預けている様子だった。
先生も一緒に、片づけをする…
普段はあまり見ない、お父さんたちも手伝ってくれて…
案外、早く終わってしまった…
「じゃ、帰りますか?」
そう、元に言った。
すると…
「梓さん、良かったらご飯でも食べに行きませんか?ダメですかね?」
元が、そう言ってくれた。
「全然、大丈夫です。行きましょう」
梓は、すぐ母に
―――ママ友とランチに行くことになったから、光のことお願いします
って、送っておいた。
「どこに行きますかね?僕、こういうの疎くて…」
「じゃ、駅前のファミレスに行きますか…」
「そうしましょう」
ファミレスに向かいながら…
お互いの子どもの話をした。
―――湊のことが聞けて、嬉しい
ファミレスに着いたけど、結構混んでいて…
並んでる間に、聞いてみた。
「元さんは、何歳ですか?」
「僕は、32歳です」
「年上なんですね。私は29歳です」
そうか…今度の元は年上なんだ…
そうしていると、名前を呼ばれて…
席に着いた…
「梓さん、何にしますか?」
梓は、優柔不断だ…
メニューを何度も見る…
「ごめんなさい…なかなか決められなくて…」
「全然いいですよ。ゆっくり決めて下さい」
一生懸命にメニューを見る梓を見て
元が、クスッと笑った…
「いや、本当に決められなくて…」
「構いませんよ…」
「よし!私、これにします」
「はい」
元が、さっとボタンを押し…
店員さんに、注文してくれた。
「聞いてもいいですか?」
元が、真面目な顔で言った…
元はもう来ていた。
「遅くなってすみません…」
「いえ、僕もさっき来たばかりですよ」
元は、そう言いながら…
手を止めず…テントを組み立てていた。
「私は、何をしたらいいんですかね?」
「じゃ、一緒に組み立てをしましょう」
二人は、無言でしていたが…
作業に慣れた頃…
「今日は、お子さんはどうしてるんですか?」
と、元が聞いてきた。
「あっ、実家で見て貰ってます。うちは母子家庭なんで…」
「えっ、そうなんですか…うちも父子家庭なんで…実家に見て貰ってます…」
恥かしそうに、元は言った…
「そうだったんですね…奇遇ですね…っていうのも変ですね…」
「はははっ、梓さんって面白いですね」
「良く言われます…天然だって」
「そうなんですね。でもいつも息子さんと楽しそうだなって見てました」
「笑ってたいと思うんです…息子には、悲しい思いをさせたくないから…」
「そうですね。僕も見習わないと…」
そうこうしているうちに、準備も終わり…
「今日は、この辺りで…では、また明日もお願いします」
先生がそう言って…お開きとなった。
「じゃ、また明日…」
「また、明日…」
梓は、少し元に近付けたような気がした…
元は、シングルだったんだ…
良かった…
ん?良かった?
もしかしたら…恋人がいるかもしれないじゃん…
浮かれてる場合じゃなかった。
運動会当日…
保育園でも、元を見かけた…
狭い園庭での運動会…
元と目を合わしてしまう。
運動会には、両親が見に来てくれた。
光が走る姿…何度見ても感動してしまう…
無事に運動会も終わり…
「光、今日は頑張ったね。偉かったよ。お母さん、運動会の片づけがあるから…じいじの家で待っててね」
「うん!」
元も、お母さんに湊くんを預けている様子だった。
先生も一緒に、片づけをする…
普段はあまり見ない、お父さんたちも手伝ってくれて…
案外、早く終わってしまった…
「じゃ、帰りますか?」
そう、元に言った。
すると…
「梓さん、良かったらご飯でも食べに行きませんか?ダメですかね?」
元が、そう言ってくれた。
「全然、大丈夫です。行きましょう」
梓は、すぐ母に
―――ママ友とランチに行くことになったから、光のことお願いします
って、送っておいた。
「どこに行きますかね?僕、こういうの疎くて…」
「じゃ、駅前のファミレスに行きますか…」
「そうしましょう」
ファミレスに向かいながら…
お互いの子どもの話をした。
―――湊のことが聞けて、嬉しい
ファミレスに着いたけど、結構混んでいて…
並んでる間に、聞いてみた。
「元さんは、何歳ですか?」
「僕は、32歳です」
「年上なんですね。私は29歳です」
そうか…今度の元は年上なんだ…
そうしていると、名前を呼ばれて…
席に着いた…
「梓さん、何にしますか?」
梓は、優柔不断だ…
メニューを何度も見る…
「ごめんなさい…なかなか決められなくて…」
「全然いいですよ。ゆっくり決めて下さい」
一生懸命にメニューを見る梓を見て
元が、クスッと笑った…
「いや、本当に決められなくて…」
「構いませんよ…」
「よし!私、これにします」
「はい」
元が、さっとボタンを押し…
店員さんに、注文してくれた。
「聞いてもいいですか?」
元が、真面目な顔で言った…
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