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しおりを挟む――――夕暮れ時、私が馬車でレオーネの邸に迎えに行く事になっている。 その前に私が2台の馬車で寮に迎えに行き、そこで私の馬車にレイア、空の馬車には君が乗り込む」
「ちょっと、レイアはデートするなんて言ってないわよ」
「嫌か? レイア」
「も、もっとお話したいし、私で良かったら……」
―――おのれこの大分変わり者。 いつの間にレイアをたぶらかした。
「レイアに変なことしたらその長い髪燃やすわよ」
「そこで君は私達と別れ「聞いてんの?」レオーネの邸に向かう。 馬車の御者には話を通しておくから安心しろ。 あとは何も知らないレオーネが馬車に乗り込むと――――
「っ……」
「何してるの、早く乗りなさいよ」
一瞬固まったレオーネは、すぐに状況を把握したのかすんなりと席に座った。
「変わり者の友人と出掛ける予定だったが、もっと変わった奴とになったな」
「わっ、私アレより変わってる!?」
「で、行き先は?」
「そ、そっちが地元でしょ、それに女性をエスコートするのは男の務めよ」
ぷいっと顔を背けて前を向いてやった。 多分、今レオーネは何度か見たやれやれ顔をしてるんだろう。
少し間が空いて、「グレイターズガーデンに行ってくれ」と御者の人に言い、馬車は動き出した。
「ファビオとレイアって子はどうだった?」
「いい感じよ、残念ながらね」
「へぇ、あの男と合う女がいたとはな」
それからしばらく会話は無く、ただ馬車に揺られていた。
――でも、お転婆なリリアナはそういうの苦手なのよ。
「あなたとメリッサ様はどうなの? ジータの事はあなたが言ったの? 私にはメリッサ様とあんまり顔見知りじゃないみたいな態度取って嘘つき!」
「…………くっ、くく」
「な、何笑ってんのよ!」
言いたい事をまとめて吐き出した私を見て、レオーネはお腹を抱えて笑い出した。
――もぉ腹が立つ! 引っぱたいてやろうかと思った時、馬車は速度を緩めゆっくりと停車し、
「着いたぞ、行こう」
「ちょっと、ちゃんと答えてからじゃなきゃデートしないからっ」
「………何だ、これデートだったんだな」
―――はっ。 …………はぁああああッ!!
「ちっ、ちがっ、違うわよ!? ファビオのバカが勝手にデートとか言うから移っちゃっただけで……ッ!」
神様お願い、ちょっとでいいから時間を戻して。 ホントしばらくお願いしませんから。
「ジータの事なら心配無い」
「――えっ? ほ、本当に?」
「ああ」
それが本当なら………とにかく良かった。
一番心配してたのは何よりそれだもの。
「全部に答えた訳じゃないが、聞きたかった答えだっただろ? ――ほら」
馬車から降りたレオーネは、私に手を差し伸べて微笑んでいる。
「答えたんだから、してくれるんだろ?」
「――?」
「デートだよ」
「っ……」
何か……が胸に刺さった気がするけど、きっとそんなの気のせいなんだから、ね……
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