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レンタル5
レンタルアニマル
しおりを挟むいつもだったら憂鬱な平日だけど今週の俺は一味違う
朝もちゃんと寝坊せずに起きれたし、苦手な授業だってわからないなりにちゃんと聞けた
バイト中に嫌な客が来て理不尽に怒られたってキツネさんのことを思い出して頑張れた
その後そのお客さんを店長が対処してくれて最終出禁にしてくれたからってのもあるけどね?
そんなこんなで早いことでもう金曜日の夜。
今週はいつも以上に忙しくてクタクタになった体に鞭を打ってゆっくりと風呂に浸かった
風呂に入る前に最終の掃除はしっかりしたし、準備は万端なはず
穂高さんには何も要らないって言われたけどどうしても何か用意したいと思って、煌陽くんに似たぬいぐるみを作った
大きさは2回りくらい小さいけど可愛くできたと思う
煌陽くんとぬいぐるみが戯れた姿をみたい願望が溢れて出来たものだから実質プレゼントとは違うかもだけど…細かいことは気にしないでおこう
それにしても明日が楽しみ
俺楽しみの日の前ってなんか寝れなくていつも寝不足気味になるんだけど今週は特に疲れたからかな
だんだんと思考が緩やかに奪われていき、やがて眠りに落ちた
ん!?ハッ!今何時?
ぱちっと意識が覚醒して唐突に目が覚める
近くにあった携帯を急いで確認すると思わず二度見した
『な!ヤベッ』
そこに書かれていた時刻は何度確認したって約束の15分前の9:45
バタバタと忙しなく洗面所に駆け込みながら服を脱ぐ
顔を洗って歯も磨きながら服を着替える
もーなんで昨日の俺は目覚ましをかけなかったんだ
念入りに色々万全の状態でお迎えしたいから確認の時間とか欲しかったのにそんなことする暇なんてないじゃんか
それに前回も10分前には到着してたから今日もピンポーンほらもう来た、やばい
急いで口を濯ぎインターホンに出る
『はーい』
モニターに映ったのはキツネさんに似た綺麗なオレンジ色の髪をもつ顔の整ったお兄さんだった
「本日お伺い予定だった三笠です。」
『今開けます!』
わー、声までカッコいいイケメンさんだ
それに煌陽くんと同じ髪色の人が届けてくれるとは驚きでしかない
しかしオートロックを解除した扉に入っていく三笠さんに違和感を覚える
あれ?前に穂高さんが持ってたようなおっきなカゴを持ってなかったような…
背が高かったから見えなかっただけなのか?
穂高さんから聞いてた名前とは一致してるし問題はないはず
そんなことを考えてたらまだ服が中途半端だった事に気づき慌てて着替えに走る
ふぅ、ぎりぎり間に合った
『いらっしゃいませ』
扉を開けてそこにいたのはモニターで見るよりもオーラのあるイケメンさんが立っていた
俺よりも10cmくらい背も高いので若干の威圧感もある
「お邪魔します」
そう言って入ってきた三笠さんの手にはやはりカゴらしきものは見当たらなかった
あれ?今日は煌陽くんを連れてきてないのか
もしかして俺が早とちってただけで今日は契約のみ…?
内心がっかりしながらもせっかく来てくれたのでそんなことを顔には出さず三笠さんをリビングまで案内しようと声をかける
『リビングにどうぞ、今日は契約だけですよね?』
「ええ、契約もします」
も?ってどういうことだ?
「ところでリビングがお好みですか?」
『え?いや、えっと…』
どういうこと?リビングが好きとは…??
三笠さんからみたら最大級に宇宙を背負った顔をしているに違いない
「ベッドのほうがいいと思いますよ」
『え?』
「寝室ですよ、さぁ案内してください」
『…?寝室はこっちです』
全然理由はわからないが寝室のほうがいいらしい
急遽行き先を変更して向かうと三笠さんもついてきた
「ハァ、やっぱりいい匂い……どうされました?一緒にこちらへ来てください」
何かを呟いた三笠さんにぐちゃぐちゃのベッドの惨状が見られてしまい絶望していた
そうだ、そうだったよ
寝坊したからそのままにしてたんだった
最悪だ
他は完璧にしていたはずだったのに。
今つぶやいた言葉ってこれだったら契約できないとかそんなことだったりしない?
だから寝室を最初に訪ねてきた?他のとこはきっちりしてても寝室には人が入らないだろうという気の緩みみたいなのをチェックしてその人の人間性をみて、アニマルさんを迎えいれるのに相応しい人物かを試されていたんだ
『違う、違うんです。いつもはもっとちゃんとしてるんです。信じてください、契約しないなんて言わないで…お願いします』
縋り付くようにして涙目になりながら三笠さんに訴える
いつもはちゃんとベッドを整えてるしふかふかお布団になるように天日干しまでするんだ
信じられないかもしれないけど信じて、お願い
その思いが伝わったのか三笠さんは微笑んでくれる
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