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第九章 師走(十二月)
236.十二月三十日 明け方 まいごのまいごの
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お役目が休みのうちにもう一度くらい飛雄のところまで行こうと考えていた八早月は、それが叶わぬままやって来た日曜を落ち込みながら迎えていた。とは言えお役目の日であるから気を抜くわけにはいかない。
幸いあの日以来八岐大蛇も大人しくしているようで気配は感じない。もしかしたら完全に隠蔽する術を発見しただけかもしれないが、とりあえず騒動にならなければそれでいいのだ。
だが八早月が当番のこの日、早朝からある騒動が起きていた。
『真宵さん、春凪はなんと言っているのですか? 妖ではないのですよね?』
『はい、ですがこんな時間に幼い子供が出歩いているのは確かに不自然です。
今ドロシー様が話を聞こうとしているようですが、泣きわめいていると……』
『ふむ…… それはどちらかと言うと警察の仕事でしょう。
ドロシーへは110番するよう伝えて、と言いたいところなのですがねえ』
確かに警察へ通報し保護してもらえばいいだけの話だが、そもそも八畑村に住んでいるドロシーが、交通機関の動いていないこんな時間になぜ軽装で金井町の端辺りにいるのかが問題である。いくら勤務先があると言っても、近名井村と金井町の間辺りだと学園からも駅からも大分遠い。
『仕方がありません、耕太郎さんを起こしてお上へ伝えてもらいましょうか。
あの近くには交番も無かったはずなので連れていくこともできません』
『では組折へ連絡いたしましょう、しばし失礼いたします』
呼士同士の連絡はどちらも同じ世に居なければ不可能である。すなわち主が寝ている間は常世間でしかやり取りができない。今回の場合で言えば、真宵が一旦常世へ戻り三神耕太郎の呼士である組折へ連絡し、組折が夢枕で耕太郎を起こすと言う手順である。
本当はもっと簡単で便利な方法があるのだが、八早月の頭にはとっさに浮かんでこない。そしてそれは残念なことに真宵も同じことだった。
こうしている間もドロシーは子供をあやしているのだろう。いったいどこからやって来たのかがわかれば親元へ送り届けることができる。しかし泣いているだけで自分の名前や住所を伝えられないならそれも無理と言うものだ。
だが八早月たちが面倒な手順に時間をかけている間に自体は動き始めていた。どうやら泣き声で起きてしまった近隣住民が警察へ通報したらしく、ドロシーのところへパトカーがやって来たのだ。
◇◇◇
「もうしわけゴザイません、ワガハイ一生の不覚、まさか通報されるとは……」
「仕方ありません、ドロシー殿のせいではないのですからね。
結果的には問題にならなかったわけですし、今後については相談しましょう
しかし親御さんの処置が間に合ってよかった、こちらこそまさかですよ」
「早朝に申し訳ありません、しかし耕太郎さんに来ていただけて助かりました。
やはり誰でも役所へ繋ぎを付けられるようにしないといけませんね。
宿おじさまとも相談しますが連絡先を知らないのは私とドロシーのみです。
恥を忍んで子供であることと日本語が怪しいことを事前に伝えておけば……」
「さ、左様でございますね、向こうもお役目のことを知っておりますからまあ。
それと関連して筆頭へお伝えしたいことがございます」
「改まってなんでしょうか、なにか重要な事態でもありましたか?」
「いえ、その、申し上げ難いのですが、補助当番への連絡等に関しては……
ええとですね、電話連絡をしていただいた方が早いかと存じます。
いやいや、決して呼士同士の連絡を軽んじているわけではありません。
しかし今や筆頭もスマホをお持ちですのでそのほうが便利ではないかと」
「なるほど、すまほにはそんな便利な使い方もあるのですね。
ですがどちらにせよ家に置いたままなのでできませんでした。
これからはきちんと持ち運ぼうと思います」
「はい、ぜひお願いいたします
それで今日この後ですが筆頭はお休みになりますよね?」
「そうですね、さすがに眠いので午前中は寝ておこうかと思っています。
年内はもう特段の予定はなかったはずですがなにかありましたか?」
「では簡単に概要だけお伝えしておきますので詳細は後日にでも。
筆頭は以前起きた西洋魔術呪詛の件を覚えていらっしゃいますか?
北久野町に有ったバトン教会なる団体のことなのですが」
「ええ、覚えておりますよ、確か非合法の勧誘活動で摘発されましたよね?
その後団体は解散したはずではないのですか?」
「はい、解散し北久野の拠点が無くなったことは確認できております。
ですが本日体調不良で倒れたあのご婦人、実はバトン教会にいた者なのです。
もちろんただの偶然である可能性は高いですが、気に留めておいた方がいいかもしれません」
「なるほど―― では少しの間追跡調査をお願いしましょうか。
つまりは地下にもぐり活動しているかもしれないと言うことですね。
子供にまで影響が出るほど傾倒している可能性も捨てきれません。
何事もなければそれに越したことはありませんが用心も必要でしょう」
年越し間際になって怪しげな問題が持ち上がってくるとは迷惑な話である。今回のバトン教会に限らず新興宗教問題はしばしば持ち上がる。大抵は教祖や教義が極端で、信者も極端な信仰心や行動を見せることも多い。
いくらおかしなことをしようが財産を巻きあげようが、社会情勢や犯罪行為が管轄外の八家にとっては問題にはならない。しかしバトン教会のように、怪しげな術式によって妖の力を持ってしまった場合は別である。
今回の団体は早々に半端な摘発がなされてしまい、その後の動向や行方を追うことが難しくなっていた。その手がかりがひょんなことから得られたのだから逃す手はないだろう。下手に追い詰めて地下に潜って活動されるよりも、表だって堂々とされていた方が対処しやすいものなのだ。
八早月は帳面と筆記具を取り出して忘れないようにと書きとめた。それはもちろん当主会合の議題にするためのメモ書きである。最近は平穏な日々が続いていたこともあって議題にするほどのことは多くない。
一番大きそうな問題は正体不明の強大な力が観測されたことだが、それが八岐大蛇の戯れによって起きたものと知ったからには無かったものとして葬るしかない。他は細かな妖の発生程度なので議題に上げると言うよりは皆で報告しあう程度のことだ。
だがもう一つ大きな議題があることを八早月は意識的に隠していた。それは自分の婚約話である。当主筆頭の婚姻と言えば一族の存続にもかかわる重大事項である。それなのに先走って勝手に進めようとしただけでなく、そのことが相手方への混乱を招いてしまった。
分家の許可が必要なわけではないが、少なくとも報告はすべきだったし、実行に移す前には年長者たちに助言を聞いておくべきだっただろう。だがそれも今更、なんとか穏便に納め、うまいこと着地点を探るしかない。
どちらの議題もなかなかの難題だと気の重くなった八早月は、耕太郎の運転する車のシートへぐったりと体を預けるのだった。
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お読みいただき誠にありがとうございます。数ある作品の中から拙作をクリックしてくださったこと感謝いたします。少しでも楽しめたと感じていただけたならその旨お伝えくださいますと嬉しいです。
ぜひお気に入りやハート&クラッカーをお寄せください。また感想等もお待ちしておりますので、併せてお願いいたします。
8/1より第十章へ入ります。237話からは20XX年1月分が始まりまして、8、9月で全40話を半分ずつの更新予定です。どちらも1日~20日までとなります。待ち遠しい、楽しみだ、などと思っていただけるよう今後も執筆に励みたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
幸いあの日以来八岐大蛇も大人しくしているようで気配は感じない。もしかしたら完全に隠蔽する術を発見しただけかもしれないが、とりあえず騒動にならなければそれでいいのだ。
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『真宵さん、春凪はなんと言っているのですか? 妖ではないのですよね?』
『はい、ですがこんな時間に幼い子供が出歩いているのは確かに不自然です。
今ドロシー様が話を聞こうとしているようですが、泣きわめいていると……』
『ふむ…… それはどちらかと言うと警察の仕事でしょう。
ドロシーへは110番するよう伝えて、と言いたいところなのですがねえ』
確かに警察へ通報し保護してもらえばいいだけの話だが、そもそも八畑村に住んでいるドロシーが、交通機関の動いていないこんな時間になぜ軽装で金井町の端辺りにいるのかが問題である。いくら勤務先があると言っても、近名井村と金井町の間辺りだと学園からも駅からも大分遠い。
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あの近くには交番も無かったはずなので連れていくこともできません』
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呼士同士の連絡はどちらも同じ世に居なければ不可能である。すなわち主が寝ている間は常世間でしかやり取りができない。今回の場合で言えば、真宵が一旦常世へ戻り三神耕太郎の呼士である組折へ連絡し、組折が夢枕で耕太郎を起こすと言う手順である。
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こうしている間もドロシーは子供をあやしているのだろう。いったいどこからやって来たのかがわかれば親元へ送り届けることができる。しかし泣いているだけで自分の名前や住所を伝えられないならそれも無理と言うものだ。
だが八早月たちが面倒な手順に時間をかけている間に自体は動き始めていた。どうやら泣き声で起きてしまった近隣住民が警察へ通報したらしく、ドロシーのところへパトカーがやって来たのだ。
◇◇◇
「もうしわけゴザイません、ワガハイ一生の不覚、まさか通報されるとは……」
「仕方ありません、ドロシー殿のせいではないのですからね。
結果的には問題にならなかったわけですし、今後については相談しましょう
しかし親御さんの処置が間に合ってよかった、こちらこそまさかですよ」
「早朝に申し訳ありません、しかし耕太郎さんに来ていただけて助かりました。
やはり誰でも役所へ繋ぎを付けられるようにしないといけませんね。
宿おじさまとも相談しますが連絡先を知らないのは私とドロシーのみです。
恥を忍んで子供であることと日本語が怪しいことを事前に伝えておけば……」
「さ、左様でございますね、向こうもお役目のことを知っておりますからまあ。
それと関連して筆頭へお伝えしたいことがございます」
「改まってなんでしょうか、なにか重要な事態でもありましたか?」
「いえ、その、申し上げ難いのですが、補助当番への連絡等に関しては……
ええとですね、電話連絡をしていただいた方が早いかと存じます。
いやいや、決して呼士同士の連絡を軽んじているわけではありません。
しかし今や筆頭もスマホをお持ちですのでそのほうが便利ではないかと」
「なるほど、すまほにはそんな便利な使い方もあるのですね。
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これからはきちんと持ち運ぼうと思います」
「はい、ぜひお願いいたします
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「そうですね、さすがに眠いので午前中は寝ておこうかと思っています。
年内はもう特段の予定はなかったはずですがなにかありましたか?」
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北久野町に有ったバトン教会なる団体のことなのですが」
「ええ、覚えておりますよ、確か非合法の勧誘活動で摘発されましたよね?
その後団体は解散したはずではないのですか?」
「はい、解散し北久野の拠点が無くなったことは確認できております。
ですが本日体調不良で倒れたあのご婦人、実はバトン教会にいた者なのです。
もちろんただの偶然である可能性は高いですが、気に留めておいた方がいいかもしれません」
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8/1より第十章へ入ります。237話からは20XX年1月分が始まりまして、8、9月で全40話を半分ずつの更新予定です。どちらも1日~20日までとなります。待ち遠しい、楽しみだ、などと思っていただけるよう今後も執筆に励みたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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