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第十章 睦月(一月)
238.一月一日 昼下がり 新年会準備
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十分に睡眠をとったからか、それとも空腹のせいなのか、はたまた布団から転がり出た八早月が襖へぶつかった音が原因だったかもしれないが、とにかく綾乃は目を覚ました。その気配を察知した八早月も続けて目を覚ます。
「綾乃さんおはようございます、いつものことですが本当に寝相がいいわね。
枕が変わったせいで眠れていないなどと言うことが無ければいいのだけれど」
「全然だよ、ちゃんとぐっすり寝てるから心配しないでいいってば。
それよりも八早月ちゃんは相変わらず寝相悪すぎだよね」
「なぜなのでしょう、小さなころから一向に直らないの。
もしかしたら巫はみな寝相が悪いのではないかと思いましたが違ったわ。
綾乃さんも飛雄さんも布団から出てくることなく静かに寝ているもの。
そもそも八岐贄になる八歳よりも前から寝相が悪かったのだから当然ですけれどね」
「ちょっとまって!? 今の話どういうこと?」
「ああ、私たちは産まれながらではなく八歳の儀式後に巫になるのよ。
以前にもお話してますから知ってたわよね?」
「そのことじゃなくて、なんで飛雄さんの寝相がいいなんて知ってるの!?」
「あらそんなこと?
先日の文化祭でうちへ宿泊した際に見ただけで不思議ではないわよ。
夜中に目覚めた時には寝た時と全く同じように布団を掛けたままだったのよ。
私とは色々と違う事ばかりで驚いてしまったわ」
「いやいや、驚くのはこっちなんだけど? この部屋で一緒に寝たんでしょ?
そんなのダメだって、ありえないよ!」
「そうよね、私も少し後悔しているのよ、眠っている殿方を観察するなんてね。
今更言うのもなんだけれど、少し下品なことをしたものだと自覚しているわ」
「えー、そこなの!? 普通はさ、男子と同じ部屋で寝たりしないもんだよ?
そもそも男子を自分の家に泊めること自体がおかしいことなんだからね」
「嫌ですよ、綾乃さんったら、まだ子供同士なんだし考えすぎだわ。
零愛さんが来ると伝えていたので私の部屋に布団敷かれてしまったのは失敗だったけれどね」
「そんなもんなのかなぁ、私は絶対ムリ、小学校高学年には従兄と別だったし。
でもさ、一緒の部屋で寝ちゃったってことはアレ知られちゃったってことでしょ……」
「あれってなんでしょう? 見られて困るものなどそうそうないですがね。
念のため言っておきますけれど、さすがに湯あみは別々でしたよ?」
「まさかそんなこと考えてなかったってば! 八早月ちゃんは極端すぎるよ……
私はあの酷い寝相を見られたら百年の恋も冷めるんじゃないかって心配したの。
と言っても朝まで見せないようになんてとてもできないもんねえ……」
「あの日は奇跡的に布団のすぐ脇で目を覚ましましたから大丈夫です。
多少は寝相が悪いと思われたでしょうが許容範囲内ではありませんか?」
実はあの晩、転がる八早月を真宵が堰き止め布団へ押し戻していたのだが、そんなことを知らぬ当人は、胸を張れるほどの事ではないにも拘らずなぜか誇らしげに語っている。どう答えようか悩んだ綾乃は、無言で頷くのか精いっぱいだった。
寝起きと言ってもすでに昼を回っているせいか頭のはっきりしている二人は、顔を洗い昼食を済ませてから家の奥にある衣裳部屋へと向かう。そこにはすでに着物へ着替え終えた手繰と、割烹着に襷がけで着付けのための気合十分と言った様子の北条房枝が待ち構えていた。
「綾乃ちゃんはこっち来て、私のお古になってしまうけど見繕っておいたわ。
八早月ちゃんは毎年同じ物だからつまらないかもしれないけど仕方ないわね。
それとね…… 一応断っておいた方がいいと思って――」
「大丈夫、わかっております、お母さまたちはあいさつ回りへどうぞ。
くれぐれも先走らないようにお願いしますよ?
跡を継ぐまでにはまだだいぶ年数があるのですからね」
「はーい、では選んだら行って参りますね、房枝さんにお任せでごめんなさい。
お土産はケーキがいいかしらね、うふふ」
ご機嫌な手繰は綾乃を連れて奥へと進む。そこにはいくつもの和箪笥が並んでおり、綾乃に着せるための着物があらかじめ準備されていた。その中では衣桁に掛けられひときわ目立つ着物が一番お勧めなのであろう。他に数枚が衣紋掛けに掛けられ選ばれるのを待っている。
「やっぱり綾乃ちゃんには華やかなものが似合うと思ったからこれがおススメ。
でも八早月ちゃんに聞いているお話からすると、もしかしたらこっちを選ぶかしら?」
「どちらも素敵です、本当にこんな高級品をお借りしてしまっていいんですか?
こちらの桜柄は艶やかで華やかだし流石おばさまのススメですね。
だけどやっぱりこっちにしてもいいですか?」
「もちろん好きなほうでいいのよ? それに私もこっち選ぶと思ってたのよ。
色もいいけど柄が珍しいでしょう? 普通は秋物向けの柄なのにね」
綾乃が選んだ着物は振りそでとしては地味かもしれないが、薄めの山吹色に青々とした紅葉前の紅葉の葉が描かれているという珍しい柄だった。手繰ですら珍しいと言うように、紅葉と言えば圧倒的に赤く染まった葉が描かれるものだ。それなのに緑色の葉を描くと言うのは相当の思い入れが感じられる。
だが決め手となったのはやはり色である。今更言うまでもなく綾乃の守護神は双尾の狐である藻、その神使で綾乃へ遣わされている藻孤の毛色は明るめの狐色だ。そしてそれは今綾乃の目の前にある着物と同じ色であった。
「それじゃ後は色に合わせて長襦袢や小物を選んでもらいましょうね。
心配しないでも大丈夫、房枝さんは着付けに関しては信頼できるから、うふふ」
あたかもそれ以外は心配だらけだと言わんばかりだが、家人ならば房枝の料理が微妙な出来だったり掃除や風呂焚きが雑なことも良く知っている。だが綾乃はなにも知らないのだから不安を感じて当然である。
だが着物を選んでいる間に八早月の着付けが終わっており、その手際の良さと腕前が間違いないものであると教えてくれた。八早月の着物は全体に光沢のある銀色の地に鈍色の細い線で鱗模様が描かれた、さすが八岐大蛇由来の一族だと思わせる仕立てだった。
「凄く細かい柄なのね、蛇の鱗を模してあるのにおどろおどろしさがなく上品!
まとめ髪に髪飾りもステキだし、黒い帯は大人っぽくて締まって見えるよ」
「でも毎年同じでつまらないわ、色と柄が決まっているから仕方ないけれどね。
せめてもの抵抗が髪飾りなのよ、これだけは自由だから今年新調してみたの」
「すごくきれいだよ、いったん上に上がってから垂れ下がってしだれ桜みたい。
ん? もしかして―― 7,8―― 14、15、16ってそう言う事かー
八頭八尾ってことなのね、凝った造りだなあ、きれいだぁ」
「うふふ、ちょっと頭が重くなるのが玉に傷ね。
でもいい出来に仕上がって良かったわ、綾乃さんは私のお下がりでいいかしら?
こちらにもつるしで良ければ蜻蛉球のかんざしもあるわよ」
「へえ、これなんてキレイね、こんないっぱい、全部八早月ちゃんのなの?
いくらくらいするんだろ、私のお小遣いで買えるなら一つくらい欲しいなあ」
そこへ手繰が出かける前になにか見つけたと言って戻ってきた。その手には漆塗りの小箱や巾着をいくつか持っている。
「綾乃ちゃん、この箱にも色々入っているから好きなのお選びなさいな。
古い物だけどお着物と一緒に一式持って帰っていいから気にしないで選んでね。
他のお友達は今度来た時に選んでもらいましょう」
「あら綾乃さん、良かったわね、お母さまが娘時分から取っておいたものよ。
どうせ仕舞っておくだけで使われないものだし、気兼ねせず好きに選んでね。
美晴さんと夢路さんは次の機会に同じようにするから心配しないでいいわ」
そう簡単に言われても相場がわからず、もしかしてとんでもなく高価だったらどうしようかとドキドキしていた。だが眺めているだけで目移りが止まらないくらい魅かれており、なかなか決められない綾乃であった。
「綾乃さんおはようございます、いつものことですが本当に寝相がいいわね。
枕が変わったせいで眠れていないなどと言うことが無ければいいのだけれど」
「全然だよ、ちゃんとぐっすり寝てるから心配しないでいいってば。
それよりも八早月ちゃんは相変わらず寝相悪すぎだよね」
「なぜなのでしょう、小さなころから一向に直らないの。
もしかしたら巫はみな寝相が悪いのではないかと思いましたが違ったわ。
綾乃さんも飛雄さんも布団から出てくることなく静かに寝ているもの。
そもそも八岐贄になる八歳よりも前から寝相が悪かったのだから当然ですけれどね」
「ちょっとまって!? 今の話どういうこと?」
「ああ、私たちは産まれながらではなく八歳の儀式後に巫になるのよ。
以前にもお話してますから知ってたわよね?」
「そのことじゃなくて、なんで飛雄さんの寝相がいいなんて知ってるの!?」
「あらそんなこと?
先日の文化祭でうちへ宿泊した際に見ただけで不思議ではないわよ。
夜中に目覚めた時には寝た時と全く同じように布団を掛けたままだったのよ。
私とは色々と違う事ばかりで驚いてしまったわ」
「いやいや、驚くのはこっちなんだけど? この部屋で一緒に寝たんでしょ?
そんなのダメだって、ありえないよ!」
「そうよね、私も少し後悔しているのよ、眠っている殿方を観察するなんてね。
今更言うのもなんだけれど、少し下品なことをしたものだと自覚しているわ」
「えー、そこなの!? 普通はさ、男子と同じ部屋で寝たりしないもんだよ?
そもそも男子を自分の家に泊めること自体がおかしいことなんだからね」
「嫌ですよ、綾乃さんったら、まだ子供同士なんだし考えすぎだわ。
零愛さんが来ると伝えていたので私の部屋に布団敷かれてしまったのは失敗だったけれどね」
「そんなもんなのかなぁ、私は絶対ムリ、小学校高学年には従兄と別だったし。
でもさ、一緒の部屋で寝ちゃったってことはアレ知られちゃったってことでしょ……」
「あれってなんでしょう? 見られて困るものなどそうそうないですがね。
念のため言っておきますけれど、さすがに湯あみは別々でしたよ?」
「まさかそんなこと考えてなかったってば! 八早月ちゃんは極端すぎるよ……
私はあの酷い寝相を見られたら百年の恋も冷めるんじゃないかって心配したの。
と言っても朝まで見せないようになんてとてもできないもんねえ……」
「あの日は奇跡的に布団のすぐ脇で目を覚ましましたから大丈夫です。
多少は寝相が悪いと思われたでしょうが許容範囲内ではありませんか?」
実はあの晩、転がる八早月を真宵が堰き止め布団へ押し戻していたのだが、そんなことを知らぬ当人は、胸を張れるほどの事ではないにも拘らずなぜか誇らしげに語っている。どう答えようか悩んだ綾乃は、無言で頷くのか精いっぱいだった。
寝起きと言ってもすでに昼を回っているせいか頭のはっきりしている二人は、顔を洗い昼食を済ませてから家の奥にある衣裳部屋へと向かう。そこにはすでに着物へ着替え終えた手繰と、割烹着に襷がけで着付けのための気合十分と言った様子の北条房枝が待ち構えていた。
「綾乃ちゃんはこっち来て、私のお古になってしまうけど見繕っておいたわ。
八早月ちゃんは毎年同じ物だからつまらないかもしれないけど仕方ないわね。
それとね…… 一応断っておいた方がいいと思って――」
「大丈夫、わかっております、お母さまたちはあいさつ回りへどうぞ。
くれぐれも先走らないようにお願いしますよ?
跡を継ぐまでにはまだだいぶ年数があるのですからね」
「はーい、では選んだら行って参りますね、房枝さんにお任せでごめんなさい。
お土産はケーキがいいかしらね、うふふ」
ご機嫌な手繰は綾乃を連れて奥へと進む。そこにはいくつもの和箪笥が並んでおり、綾乃に着せるための着物があらかじめ準備されていた。その中では衣桁に掛けられひときわ目立つ着物が一番お勧めなのであろう。他に数枚が衣紋掛けに掛けられ選ばれるのを待っている。
「やっぱり綾乃ちゃんには華やかなものが似合うと思ったからこれがおススメ。
でも八早月ちゃんに聞いているお話からすると、もしかしたらこっちを選ぶかしら?」
「どちらも素敵です、本当にこんな高級品をお借りしてしまっていいんですか?
こちらの桜柄は艶やかで華やかだし流石おばさまのススメですね。
だけどやっぱりこっちにしてもいいですか?」
「もちろん好きなほうでいいのよ? それに私もこっち選ぶと思ってたのよ。
色もいいけど柄が珍しいでしょう? 普通は秋物向けの柄なのにね」
綾乃が選んだ着物は振りそでとしては地味かもしれないが、薄めの山吹色に青々とした紅葉前の紅葉の葉が描かれているという珍しい柄だった。手繰ですら珍しいと言うように、紅葉と言えば圧倒的に赤く染まった葉が描かれるものだ。それなのに緑色の葉を描くと言うのは相当の思い入れが感じられる。
だが決め手となったのはやはり色である。今更言うまでもなく綾乃の守護神は双尾の狐である藻、その神使で綾乃へ遣わされている藻孤の毛色は明るめの狐色だ。そしてそれは今綾乃の目の前にある着物と同じ色であった。
「それじゃ後は色に合わせて長襦袢や小物を選んでもらいましょうね。
心配しないでも大丈夫、房枝さんは着付けに関しては信頼できるから、うふふ」
あたかもそれ以外は心配だらけだと言わんばかりだが、家人ならば房枝の料理が微妙な出来だったり掃除や風呂焚きが雑なことも良く知っている。だが綾乃はなにも知らないのだから不安を感じて当然である。
だが着物を選んでいる間に八早月の着付けが終わっており、その手際の良さと腕前が間違いないものであると教えてくれた。八早月の着物は全体に光沢のある銀色の地に鈍色の細い線で鱗模様が描かれた、さすが八岐大蛇由来の一族だと思わせる仕立てだった。
「凄く細かい柄なのね、蛇の鱗を模してあるのにおどろおどろしさがなく上品!
まとめ髪に髪飾りもステキだし、黒い帯は大人っぽくて締まって見えるよ」
「でも毎年同じでつまらないわ、色と柄が決まっているから仕方ないけれどね。
せめてもの抵抗が髪飾りなのよ、これだけは自由だから今年新調してみたの」
「すごくきれいだよ、いったん上に上がってから垂れ下がってしだれ桜みたい。
ん? もしかして―― 7,8―― 14、15、16ってそう言う事かー
八頭八尾ってことなのね、凝った造りだなあ、きれいだぁ」
「うふふ、ちょっと頭が重くなるのが玉に傷ね。
でもいい出来に仕上がって良かったわ、綾乃さんは私のお下がりでいいかしら?
こちらにもつるしで良ければ蜻蛉球のかんざしもあるわよ」
「へえ、これなんてキレイね、こんないっぱい、全部八早月ちゃんのなの?
いくらくらいするんだろ、私のお小遣いで買えるなら一つくらい欲しいなあ」
そこへ手繰が出かける前になにか見つけたと言って戻ってきた。その手には漆塗りの小箱や巾着をいくつか持っている。
「綾乃ちゃん、この箱にも色々入っているから好きなのお選びなさいな。
古い物だけどお着物と一緒に一式持って帰っていいから気にしないで選んでね。
他のお友達は今度来た時に選んでもらいましょう」
「あら綾乃さん、良かったわね、お母さまが娘時分から取っておいたものよ。
どうせ仕舞っておくだけで使われないものだし、気兼ねせず好きに選んでね。
美晴さんと夢路さんは次の機会に同じようにするから心配しないでいいわ」
そう簡単に言われても相場がわからず、もしかしてとんでもなく高価だったらどうしようかとドキドキしていた。だが眺めているだけで目移りが止まらないくらい魅かれており、なかなか決められない綾乃であった。
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