250 / 376
第十章 睦月(一月)
246.一月五日 日没 けじめ
しおりを挟む
二人が庭へ出てみたところ、辺りはもうすっかり暗くなっていた。つい先ほどまで夕焼けが部屋に差し込んでいたのだが、小難しい話をしているうちに日が暮れていたのだ。
これだけ時間をかけたと言うのにすべてが解決していないことに八早月は頭を悩ませていた。八早月にとって重要な問題は、飛雄が許嫁や婚約を望んでいるのかいまだ返答を聞いていないことだった。
八早月が一方的に進めたと言っても良さそうな現状、飛雄は一体どう考えているのか今この場で問い詰めなくてはならない。ただしせっかくきれいな着物を着ているのでそれらしく振舞うつもりではいる。
「ねえ飛雄さん、私はまだ大切なことを聞いていないと思うのだけれど?
今日来てくれると伝えられた時から今か今かと待ち遠しかったのよ?
早くしないと話が進んで纏まってしまうかもしれないけどよろしくて?」
「えっ!? それはどういうこと? オレからなにか伝えることがあったっけ?
今日来るって話と叔父さんが話をややこしくしてるってことは言ったよなあ。
後はええっと…… まさかプロポーズとか!?」
「なんで話がそこまで飛躍するのかしらね、それよりも前にあるでしょう!
今のままだと本当に親同士の話し合いで決まってしまうのがわからないの?」
飛雄は真剣な顔つきで考え込んでいるが、元来こう言ったことには疎く、八早月のようにマンガも読まないため架空の知識すらない。このままでは永遠に答えを導き出せそうにないと八早月はイライラし始めてしまった。
いつもなら怒鳴りつけるか、立ち合いをしようと言いだしてやり込めるか考えてしまうところだが、来ている着物がそれを押しとどめる。なんと言っても正月用の正装ではなく、純粋に自分の好みで選んだ柄なので上機嫌なのだ。
その着物に願を掛けるように帯の辺りに手をやりモジモジしていると、ようやく飛雄は何かを感じ取ってくれたようだ。ハッとした顔でを八早月へと向き合った。
「今日の着物、とってもステキだな、なんて言うんだっけ? 猫じゃらし?
冬山で良く見かけるやつだろ? 今の季節に凄くあってて似合ってるよ」
「そうね、ありがとう、でも猫じゃらしではなく雪柳よ? 大分違うわね。
大体言ってもらいたいのはそうではないの、でも褒めてくれたのは嬉しいわ。
まったくどうしたらいいのか複雑な気分とだけ言っておこうかしら」
一大決心とでもいえるほどの気持ちで着物を褒めたのだが、飛雄の感じた照れくささのかけら程度しか八早月は喜んでいない様子である。つまり着物を褒めることは的外れであったのだ。
再度考え込んだ飛雄だったが、八早月はもうそんなことを許さず、縁台に立てかけてあった木刀を握りしめていた。まさかこの格好で殴りつけてくることはないと思いたい飛雄だったが、八早月の目は真剣に飛雄を見つめている。
「ちょっと待って、落ち着こう、な? せっかくの着物が汚れちまうしさ。
オレがなにかを忘れてるってのはわかってるよ、そこまでは理解できてる。
それが親同士の話に関連してることもわかってるから少し落ち着いてくれ。
あっ、もしかしてそういうことか、言うよ、今ちゃんと言うからマジで!」
飛雄の言葉に少し落ち着きを見せた八早月は、木刀を持った手を下してはいるがまだ握りしめていたままだ。ここで言葉を間違えれば即脳天をかち割られそうで気が気ではない飛雄である。
「あのな、オレが今日来たのはこの先ずっと八早月と一緒にいたいからだ。
今、親同士が話し合って許嫁に決まるかもだけど、それをオレも望んでるよ。
八早月もそれを望んでいるのだと思いたい、だからオレの許嫁になってくれ!」
これではまるでプロポーズだとは思ったが、他に言い様を思いつかなかった飛雄は自分の心中を正直にさらけ出した。どの道駆け引きなどできるはずもないのだからまっすぐが一番だと考えたのである。
だが飛雄の胸に飛び込んできたのは、その言葉に喜んだ八早月ではなかった。
「ぐわあっ! い、痛ええ…… なんで真宵さんが……」
「飛雄殿申し訳ない、しかし私の意思よりも八早月様のお気持ちが優先なのだ。
こう言っては実も蓋もないが、飛雄殿の言葉は外れなのでしょう」
「真宵さん、余計なことを教えないで下さい、私は怒ってはいないのです。
反対に嬉しいくらいなのですが、なぜか同時に突きたくなってしまったの。
それにまるっきり的外れと言うわけでもないのだし、これで勘弁しましょう」
八早月がそう言うと真宵は飛雄から離れそのまま消え去った。飛雄はその場でうずくまりたいが、高そうな着物を着せられているので雪解けで湿った庭に膝はつけない。何とか耐え胸を抑えて悶えていた。
「巳さん、お願いします、お手間をかけてごめんなさいね」
「全く主様は直情的なのじゃ、まるで戦国武将のようですじゃ。全く熱い熱い」
巳女に冷やかされながらも飛雄の治療をしてもらい、なんとなく満足げな八早月である。結局のところ、こんなプロポーズじみたことまでは望んでおらず、婚約を申し出て混乱する一族だが、誰がなんと言おうと受けるのだと言って欲しいだけだった。
だからこちらへ到着してすぐに婚約のために来たと言えば済んだのだが、飛雄はそんな気の利く男ではない。まして高岳家の代表として叔父と父が同席なのだから緊張で頭が働いていないくらいである。
お陰で『婚約の件で話をしに来た』などと当たり前で遠回りな言葉を最初に発してしまい、八早月がもやもやする原因を作ってしまったのだ。だがそれも飛雄が本心を口にしたことと真宵のひと突きとで帳消しとなった。少なくとも八早月の心は晴れたのである。
二人の気持ちが一段落したいいタイミングで手繰の声が聞こえてきた。どうやら話がまとまり準備が整ったようだ。
「八早月ちゃん、飛雄さん、書類の用意ができましたよ。さあいらっしゃい。
そのまま夕飯になってしまうけれど先にお湯にしますか?」
「私は後で構いませんから叔父さま方に先をお願いしましょうか。
お疲れでしょうし、湯あみをしてゆっくり休んでいただきたいですからね。
それでは早く済ませてしまいましょうか、飛雄さん参りましょう」
飛雄には主導権も選択権も無い。ただ言われるがままに従うだけだ。それが時に主体性がなく流されやすいとか、自主性がなく一人で動くことができないと思われる一因なのだが、本当はそんなこともなく、ただ単に言われたことに従うのが楽だと考えてるだけだった。
常に命令口調でいくら逆らっても結局は押し切ってくる姉の零愛と、有無も言わさず用事を積み上げてくる母にこき使われて育ったため、無駄な抵抗は損だと言う考えに至ったのも当然だろう。
きっと櫛田家へ婿に来ても同じように尻に敷かれるのだろうな、と気の早いことを考えるくらいには冷静である、それでも心中では、これからなされる区切りの儀を迎えるに当たりわずかな緊張感を覚えていた。
ー=+--*--*--+=-ー=+--*--*--+=-
お読みいただき誠にありがとうございます。数ある作品の中から拙作をクリックしてくださったこと感謝いたします。少しでも楽しめたと感じていただけたならその旨お伝えくださいますと嬉しいです。
ぜひお気に入りやハート&クラッカーをお寄せください。また感想等もお待ちしておりますので、併せてお願いいたします。
これだけ時間をかけたと言うのにすべてが解決していないことに八早月は頭を悩ませていた。八早月にとって重要な問題は、飛雄が許嫁や婚約を望んでいるのかいまだ返答を聞いていないことだった。
八早月が一方的に進めたと言っても良さそうな現状、飛雄は一体どう考えているのか今この場で問い詰めなくてはならない。ただしせっかくきれいな着物を着ているのでそれらしく振舞うつもりではいる。
「ねえ飛雄さん、私はまだ大切なことを聞いていないと思うのだけれど?
今日来てくれると伝えられた時から今か今かと待ち遠しかったのよ?
早くしないと話が進んで纏まってしまうかもしれないけどよろしくて?」
「えっ!? それはどういうこと? オレからなにか伝えることがあったっけ?
今日来るって話と叔父さんが話をややこしくしてるってことは言ったよなあ。
後はええっと…… まさかプロポーズとか!?」
「なんで話がそこまで飛躍するのかしらね、それよりも前にあるでしょう!
今のままだと本当に親同士の話し合いで決まってしまうのがわからないの?」
飛雄は真剣な顔つきで考え込んでいるが、元来こう言ったことには疎く、八早月のようにマンガも読まないため架空の知識すらない。このままでは永遠に答えを導き出せそうにないと八早月はイライラし始めてしまった。
いつもなら怒鳴りつけるか、立ち合いをしようと言いだしてやり込めるか考えてしまうところだが、来ている着物がそれを押しとどめる。なんと言っても正月用の正装ではなく、純粋に自分の好みで選んだ柄なので上機嫌なのだ。
その着物に願を掛けるように帯の辺りに手をやりモジモジしていると、ようやく飛雄は何かを感じ取ってくれたようだ。ハッとした顔でを八早月へと向き合った。
「今日の着物、とってもステキだな、なんて言うんだっけ? 猫じゃらし?
冬山で良く見かけるやつだろ? 今の季節に凄くあってて似合ってるよ」
「そうね、ありがとう、でも猫じゃらしではなく雪柳よ? 大分違うわね。
大体言ってもらいたいのはそうではないの、でも褒めてくれたのは嬉しいわ。
まったくどうしたらいいのか複雑な気分とだけ言っておこうかしら」
一大決心とでもいえるほどの気持ちで着物を褒めたのだが、飛雄の感じた照れくささのかけら程度しか八早月は喜んでいない様子である。つまり着物を褒めることは的外れであったのだ。
再度考え込んだ飛雄だったが、八早月はもうそんなことを許さず、縁台に立てかけてあった木刀を握りしめていた。まさかこの格好で殴りつけてくることはないと思いたい飛雄だったが、八早月の目は真剣に飛雄を見つめている。
「ちょっと待って、落ち着こう、な? せっかくの着物が汚れちまうしさ。
オレがなにかを忘れてるってのはわかってるよ、そこまでは理解できてる。
それが親同士の話に関連してることもわかってるから少し落ち着いてくれ。
あっ、もしかしてそういうことか、言うよ、今ちゃんと言うからマジで!」
飛雄の言葉に少し落ち着きを見せた八早月は、木刀を持った手を下してはいるがまだ握りしめていたままだ。ここで言葉を間違えれば即脳天をかち割られそうで気が気ではない飛雄である。
「あのな、オレが今日来たのはこの先ずっと八早月と一緒にいたいからだ。
今、親同士が話し合って許嫁に決まるかもだけど、それをオレも望んでるよ。
八早月もそれを望んでいるのだと思いたい、だからオレの許嫁になってくれ!」
これではまるでプロポーズだとは思ったが、他に言い様を思いつかなかった飛雄は自分の心中を正直にさらけ出した。どの道駆け引きなどできるはずもないのだからまっすぐが一番だと考えたのである。
だが飛雄の胸に飛び込んできたのは、その言葉に喜んだ八早月ではなかった。
「ぐわあっ! い、痛ええ…… なんで真宵さんが……」
「飛雄殿申し訳ない、しかし私の意思よりも八早月様のお気持ちが優先なのだ。
こう言っては実も蓋もないが、飛雄殿の言葉は外れなのでしょう」
「真宵さん、余計なことを教えないで下さい、私は怒ってはいないのです。
反対に嬉しいくらいなのですが、なぜか同時に突きたくなってしまったの。
それにまるっきり的外れと言うわけでもないのだし、これで勘弁しましょう」
八早月がそう言うと真宵は飛雄から離れそのまま消え去った。飛雄はその場でうずくまりたいが、高そうな着物を着せられているので雪解けで湿った庭に膝はつけない。何とか耐え胸を抑えて悶えていた。
「巳さん、お願いします、お手間をかけてごめんなさいね」
「全く主様は直情的なのじゃ、まるで戦国武将のようですじゃ。全く熱い熱い」
巳女に冷やかされながらも飛雄の治療をしてもらい、なんとなく満足げな八早月である。結局のところ、こんなプロポーズじみたことまでは望んでおらず、婚約を申し出て混乱する一族だが、誰がなんと言おうと受けるのだと言って欲しいだけだった。
だからこちらへ到着してすぐに婚約のために来たと言えば済んだのだが、飛雄はそんな気の利く男ではない。まして高岳家の代表として叔父と父が同席なのだから緊張で頭が働いていないくらいである。
お陰で『婚約の件で話をしに来た』などと当たり前で遠回りな言葉を最初に発してしまい、八早月がもやもやする原因を作ってしまったのだ。だがそれも飛雄が本心を口にしたことと真宵のひと突きとで帳消しとなった。少なくとも八早月の心は晴れたのである。
二人の気持ちが一段落したいいタイミングで手繰の声が聞こえてきた。どうやら話がまとまり準備が整ったようだ。
「八早月ちゃん、飛雄さん、書類の用意ができましたよ。さあいらっしゃい。
そのまま夕飯になってしまうけれど先にお湯にしますか?」
「私は後で構いませんから叔父さま方に先をお願いしましょうか。
お疲れでしょうし、湯あみをしてゆっくり休んでいただきたいですからね。
それでは早く済ませてしまいましょうか、飛雄さん参りましょう」
飛雄には主導権も選択権も無い。ただ言われるがままに従うだけだ。それが時に主体性がなく流されやすいとか、自主性がなく一人で動くことができないと思われる一因なのだが、本当はそんなこともなく、ただ単に言われたことに従うのが楽だと考えてるだけだった。
常に命令口調でいくら逆らっても結局は押し切ってくる姉の零愛と、有無も言わさず用事を積み上げてくる母にこき使われて育ったため、無駄な抵抗は損だと言う考えに至ったのも当然だろう。
きっと櫛田家へ婿に来ても同じように尻に敷かれるのだろうな、と気の早いことを考えるくらいには冷静である、それでも心中では、これからなされる区切りの儀を迎えるに当たりわずかな緊張感を覚えていた。
ー=+--*--*--+=-ー=+--*--*--+=-
お読みいただき誠にありがとうございます。数ある作品の中から拙作をクリックしてくださったこと感謝いたします。少しでも楽しめたと感じていただけたならその旨お伝えくださいますと嬉しいです。
ぜひお気に入りやハート&クラッカーをお寄せください。また感想等もお待ちしておりますので、併せてお願いいたします。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
訳あって学年の三大美少女達とメイドカフェで働くことになったら懐かれたようです。クラスメイトに言えない「秘密」も知ってしまいました。
亜瑠真白
青春
「このことは2人だけの秘密だよ?」彼女達は俺にそう言った―――
高校2年の鳥屋野亮太は従姉に「とあるバイト」を持ちかけられた。
従姉はメイドカフェを開店することになったらしい。
彼女は言った。
「亮太には美少女をスカウトしてきてほしいんだ。一人につき一万でどうだ?」
亮太は学年の三大美少女の一人である「一ノ瀬深恋」に思い切って声をかけた。2人で話している最中、明るくて社交的でクラスの人気者の彼女は、あることをきっかけに様子を変える。
赤くなった顔。ハの字になった眉。そして上目遣いで見上げる潤んだ瞳。
「ほ、本当の私を、か、かかか、可愛いって……!?」
彼女をスカウトしたことをきっかけに、なぜか「あざと系美少女」や「正体不明のクール系美少女」もメイドカフェで働くことに。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
負けヒロインに花束を!
遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。
葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。
その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる