259 / 376
第十章 睦月(一月)
255.一月十一日 夕方 楽しそうな寝返り者
しおりを挟む
第一の議題についての検討が滞りなく終わった直後、急に部屋の外が騒がしくなった。どうやらドロシーがやって来たようだが、部屋の外で待たされているキーマと出くわしてしまったらしい。耕太郎はうっかりしていたと言いながら立ち上がり襖を開けた。
「こらキーマ、騒がしいぞ! ドロシー殿は貴様と歳は近いが七草家当主ぞ!
無礼の無きようきちんと敬意を払え、このうつけが!」
「なんと!? この美しい金髪のうら若き乙女も八家の当主なのデスか!?
本当に驚きでございますヨ、なぜそんなことがあり得るのか、コレハ奇跡か!」
「耕太郎殿? まさかこのバカっぽい男が例の…… まさか同郷ではナカロウナ?
筆頭様、皆さま、遅れましてモシワケなく存じマス、残業で抜けラレズ……」
「大丈夫ですよ、重要な話は話はこれからで今は結社への対応が決まったところ。
お上へ知らせずこちらで潰すと言うことに決まりましたが異論はないですね?
―― はい、結構です。それでは次にそのキーマなる男の処遇についてと参りましょうか」
「ボクの処遇? ですか!? 頑張って働きますから使って下サイ!
諜報員界隈では一度の失敗で仕事は無くなるマスし戻りたくもない!
どうか役に立てるようショウジンしますのでナニトゾー!」
「耕太郎さんはどう考えますか? 使い物になるなら前向きに検討しましょう。
ただし、枷は付けさせてもらいます、完全に信用できると判断できるまでね。
それに体力はなかなかありそうですし、太一郎の練習相手にも良さそうです」
「ワシはうまく使ってやれば良い戦力にあると考えます。諜報が得意ですしね。
筆頭の枷を付けるなら信用もへったくれもない、奴隷同然でしょう?」
「うーん、僕はあまり乗り気がしませんね、金で雇われていた奴ですよ?
つまり大金を積まれれば我々を簡単に裏切るでしょう、危険だと判断しますね」
「私も宿殿同様反対です。なんだか軽薄そうで気に入りません……
もし娘の身に何かあったら困りますからさっさと始末してしまいましょう」
「櫻さん、それは少し考えが性急すぎると言うものです。
我々で使わないのなら役人へ引き渡すことになる、するとバトン結社潰しに影響が出ます」
「なるほど、それは確かに考えられますね、では終わるまで牢に入れましょう。
四宮家か五日市家のどちらかの牢に放り込めば良いではありませんか」
「いやいや、私は使った方がいいと言う側だから牢に入れたくはないな。
それにコイツの日本語は聞き取りにくくて敵わん、面倒を見るのはまっぴらぞ」
「私は中殿と意見は違いますが、利用価値があるなら使うも良しかと。
ですが積極的に賛成とは言い切れませんね、素性が知れないし信用しきれない」
「なるほど、意外と割れましたね、宿おじさまと櫻さんが反対ですか。
逆に耕太郎さんと中さんは賛成で臣人さんはどちらでも良いが賛成寄りと。
後は聡明さんとドロシーの意見を聞きましょうか」
「私はどちらでも構いませんが必要性は感じませんね、所詮部外者です。
何かあった時に助けてやらないといけないのも面倒でしょうな。
使い捨てで見捨てると言ってもアレコレぺらぺら話されて被害被りそうだ。
これで意見は三対三、ドロシー殿はどうお考えになりますかな?」
「左様でゴザマスガ、セッシャはこの者を否定するほどの腕はありマセヌ。
ですので反対と言いきれず不甲斐ナイ、それにチャンスを与えてほしいデス。
セッシャたちが八畑村に初めてやって来た時は大変でしたカラ」
「ああ、確かにあの時は冷たく突き放してしまったからな、申し訳なかった。
だがこの男とはまったく事情が異なりますぞ? 混同してはいけません」
「宿殿の言うことはもっともデスガ、それでもやはり見極める機会をどうか。
同郷なのかわかり申さぬが、やはり無碍にはしたくナイのでゴマイザス」
「なるほど、ドリーの意見ももっとも、では一度だけ機会を与えましょう。
耕太郎さんと聡明さんを助け立派に働いたと証明してください。
それを櫻さんと宿おじさまが交代で監視し判断すること、いいですね?
最終的に信用に値するか、働きが良く価値を見いだせた場合は使いましょう。
それ以外は処分と言うことで、みなさんよろしいですか?」
「しょ! 処分!? そんな無体な! ボクまだ死にたくないですヨ!
お願いします、頑張って働きますカラ!」
「ああ、処分と言うのは語弊がありました、役人へ引き渡すと言う意味です。
まさかいくら私たちでも現代の世で闇に葬ることなど―― しておりませんよね?」
一瞬の沈黙と微妙な空気が流れた後、当主全員がバラバラに同意の返事をしたのだが、それがキーマにとっては却って恐ろしく感じた。
キーマにとってはこの短い話し合いの時間が相当長く感じただろう。だが一度とは言え、まずはチャンスを与えられたことにホッとしていた。なんとしても結果を出し認めてもらいたい、そんな気持ちになったのも久しぶりだったからだ。
これでひとまずは会合も終わりかと思われたその時、八早月が突然大きな声を上げ、続いて耕太郎も何かに気付いた様子で手を叩く。その拍手に皆がビクッと反応したのを見てから八早月が口を開いた。
「一つ忘れておりました、が、その前にキーマをどこかへやってください。
そうですね、修行がてら走って三神家まで帰っていてもらいましょうか。
その前に逆式結界を施しますのでこちらへいらっしゃいな?」
「ははあっ、痛くしないでクダサイませね? 絶対逆らいませんから、ゼッタイ」
「はいはい、あなたを信じた人たちのためにも頑張らなければなりませんよ?
それでは術を掛けますから少し我慢してください」
八早月はそう言ってから両手でキーマの手首を握りしめ祝詞を唱えた。祈りにあわせて八早月の両腕が白い光に覆われていく。それを見たキーマは目を白黒させた後興味深く見つめている。
「―― ッツゥ! チクッとしましたヨ?」
「これであなたには結界が張られたことになります。普通の結界とは逆ですが。
何かが立ち入るのを防ぐのではなく、自分が出られなくなる効果があります。
これが効いているうちは私の守護範囲からは抜けられませんので悪しからず」
「なんと! 本当に八家の力はグゥーレィトゥ! もっとなにかやって欲しい!
実験台でも奴隷でも家来でもなんでも構いませんのでゴザマス!」
「なんですかこの人は、おかしなことを言いますね…… 気味が悪いですよ?
耕太郎さん、どうやら真人間にする教育も必要そうです、頼みましたよ?」
「はい、確かに承りました。全くこやつは…… 向上心なのか変態なのか……
これだけの熱、どうにか役立つ方向へ向けさせたいものだな」
「大丈夫、役に立ちます立ってみせます! だから修行もガンバルマス!
耕太郎殿、引き続きよろしくお願い申し上げマス。
ヤツラのアジトは北久野町から移って隣の瑞間市に構えているでアリマス。
久野町との境、端野駅から少し離れた住宅街に小さな店を持ってマス。
都会にはよくあるデスが、高齢者を集めてインチキな商売をしてるデスヨ」
「ふむ、催眠商法と言うやつか? 幸いこの辺りや金井町では聞かぬがな。
端野ほど大きな町になると標的となる年寄りも多いのだろう。
それは後程しっかり聞かせてもらう、とりあえず先に帰っていろ。
まさか道がわからぬとか申さぬよな? ちゃんと目印を打ってやっただろう?」
「イェッサー! 速やかに帰還し風呂焚きを始めておくのデス!
ミセスプラムを手伝うのも役目の一つでゴザマスのであると考えてますカラ」
「わかったわかった、風呂を沸かすのは早いと思うが好きにしろ。
それと小梅のことをプラムと呼ぶのはやめてやれ、アレはもう婆なのだぞ?
後、雪山に埋もれないようにな、位置がわかるとは言え拾いに行くのは面倒だ」
「サーイェッサー! ではキーマ・ターリー帰還イタマス!」
騒がしい掛け声とともにキーマは走り去って行った。三神家までは平時に歩いて一時間程度の道のり、走って行けば雪があっても四十分ほどで付くだろう。ようやく静かになったとブツブツ言っている中の肩を耕太郎がポンポンと叩いてから二人は座りなおした。
「こらキーマ、騒がしいぞ! ドロシー殿は貴様と歳は近いが七草家当主ぞ!
無礼の無きようきちんと敬意を払え、このうつけが!」
「なんと!? この美しい金髪のうら若き乙女も八家の当主なのデスか!?
本当に驚きでございますヨ、なぜそんなことがあり得るのか、コレハ奇跡か!」
「耕太郎殿? まさかこのバカっぽい男が例の…… まさか同郷ではナカロウナ?
筆頭様、皆さま、遅れましてモシワケなく存じマス、残業で抜けラレズ……」
「大丈夫ですよ、重要な話は話はこれからで今は結社への対応が決まったところ。
お上へ知らせずこちらで潰すと言うことに決まりましたが異論はないですね?
―― はい、結構です。それでは次にそのキーマなる男の処遇についてと参りましょうか」
「ボクの処遇? ですか!? 頑張って働きますから使って下サイ!
諜報員界隈では一度の失敗で仕事は無くなるマスし戻りたくもない!
どうか役に立てるようショウジンしますのでナニトゾー!」
「耕太郎さんはどう考えますか? 使い物になるなら前向きに検討しましょう。
ただし、枷は付けさせてもらいます、完全に信用できると判断できるまでね。
それに体力はなかなかありそうですし、太一郎の練習相手にも良さそうです」
「ワシはうまく使ってやれば良い戦力にあると考えます。諜報が得意ですしね。
筆頭の枷を付けるなら信用もへったくれもない、奴隷同然でしょう?」
「うーん、僕はあまり乗り気がしませんね、金で雇われていた奴ですよ?
つまり大金を積まれれば我々を簡単に裏切るでしょう、危険だと判断しますね」
「私も宿殿同様反対です。なんだか軽薄そうで気に入りません……
もし娘の身に何かあったら困りますからさっさと始末してしまいましょう」
「櫻さん、それは少し考えが性急すぎると言うものです。
我々で使わないのなら役人へ引き渡すことになる、するとバトン結社潰しに影響が出ます」
「なるほど、それは確かに考えられますね、では終わるまで牢に入れましょう。
四宮家か五日市家のどちらかの牢に放り込めば良いではありませんか」
「いやいや、私は使った方がいいと言う側だから牢に入れたくはないな。
それにコイツの日本語は聞き取りにくくて敵わん、面倒を見るのはまっぴらぞ」
「私は中殿と意見は違いますが、利用価値があるなら使うも良しかと。
ですが積極的に賛成とは言い切れませんね、素性が知れないし信用しきれない」
「なるほど、意外と割れましたね、宿おじさまと櫻さんが反対ですか。
逆に耕太郎さんと中さんは賛成で臣人さんはどちらでも良いが賛成寄りと。
後は聡明さんとドロシーの意見を聞きましょうか」
「私はどちらでも構いませんが必要性は感じませんね、所詮部外者です。
何かあった時に助けてやらないといけないのも面倒でしょうな。
使い捨てで見捨てると言ってもアレコレぺらぺら話されて被害被りそうだ。
これで意見は三対三、ドロシー殿はどうお考えになりますかな?」
「左様でゴザマスガ、セッシャはこの者を否定するほどの腕はありマセヌ。
ですので反対と言いきれず不甲斐ナイ、それにチャンスを与えてほしいデス。
セッシャたちが八畑村に初めてやって来た時は大変でしたカラ」
「ああ、確かにあの時は冷たく突き放してしまったからな、申し訳なかった。
だがこの男とはまったく事情が異なりますぞ? 混同してはいけません」
「宿殿の言うことはもっともデスガ、それでもやはり見極める機会をどうか。
同郷なのかわかり申さぬが、やはり無碍にはしたくナイのでゴマイザス」
「なるほど、ドリーの意見ももっとも、では一度だけ機会を与えましょう。
耕太郎さんと聡明さんを助け立派に働いたと証明してください。
それを櫻さんと宿おじさまが交代で監視し判断すること、いいですね?
最終的に信用に値するか、働きが良く価値を見いだせた場合は使いましょう。
それ以外は処分と言うことで、みなさんよろしいですか?」
「しょ! 処分!? そんな無体な! ボクまだ死にたくないですヨ!
お願いします、頑張って働きますカラ!」
「ああ、処分と言うのは語弊がありました、役人へ引き渡すと言う意味です。
まさかいくら私たちでも現代の世で闇に葬ることなど―― しておりませんよね?」
一瞬の沈黙と微妙な空気が流れた後、当主全員がバラバラに同意の返事をしたのだが、それがキーマにとっては却って恐ろしく感じた。
キーマにとってはこの短い話し合いの時間が相当長く感じただろう。だが一度とは言え、まずはチャンスを与えられたことにホッとしていた。なんとしても結果を出し認めてもらいたい、そんな気持ちになったのも久しぶりだったからだ。
これでひとまずは会合も終わりかと思われたその時、八早月が突然大きな声を上げ、続いて耕太郎も何かに気付いた様子で手を叩く。その拍手に皆がビクッと反応したのを見てから八早月が口を開いた。
「一つ忘れておりました、が、その前にキーマをどこかへやってください。
そうですね、修行がてら走って三神家まで帰っていてもらいましょうか。
その前に逆式結界を施しますのでこちらへいらっしゃいな?」
「ははあっ、痛くしないでクダサイませね? 絶対逆らいませんから、ゼッタイ」
「はいはい、あなたを信じた人たちのためにも頑張らなければなりませんよ?
それでは術を掛けますから少し我慢してください」
八早月はそう言ってから両手でキーマの手首を握りしめ祝詞を唱えた。祈りにあわせて八早月の両腕が白い光に覆われていく。それを見たキーマは目を白黒させた後興味深く見つめている。
「―― ッツゥ! チクッとしましたヨ?」
「これであなたには結界が張られたことになります。普通の結界とは逆ですが。
何かが立ち入るのを防ぐのではなく、自分が出られなくなる効果があります。
これが効いているうちは私の守護範囲からは抜けられませんので悪しからず」
「なんと! 本当に八家の力はグゥーレィトゥ! もっとなにかやって欲しい!
実験台でも奴隷でも家来でもなんでも構いませんのでゴザマス!」
「なんですかこの人は、おかしなことを言いますね…… 気味が悪いですよ?
耕太郎さん、どうやら真人間にする教育も必要そうです、頼みましたよ?」
「はい、確かに承りました。全くこやつは…… 向上心なのか変態なのか……
これだけの熱、どうにか役立つ方向へ向けさせたいものだな」
「大丈夫、役に立ちます立ってみせます! だから修行もガンバルマス!
耕太郎殿、引き続きよろしくお願い申し上げマス。
ヤツラのアジトは北久野町から移って隣の瑞間市に構えているでアリマス。
久野町との境、端野駅から少し離れた住宅街に小さな店を持ってマス。
都会にはよくあるデスが、高齢者を集めてインチキな商売をしてるデスヨ」
「ふむ、催眠商法と言うやつか? 幸いこの辺りや金井町では聞かぬがな。
端野ほど大きな町になると標的となる年寄りも多いのだろう。
それは後程しっかり聞かせてもらう、とりあえず先に帰っていろ。
まさか道がわからぬとか申さぬよな? ちゃんと目印を打ってやっただろう?」
「イェッサー! 速やかに帰還し風呂焚きを始めておくのデス!
ミセスプラムを手伝うのも役目の一つでゴザマスのであると考えてますカラ」
「わかったわかった、風呂を沸かすのは早いと思うが好きにしろ。
それと小梅のことをプラムと呼ぶのはやめてやれ、アレはもう婆なのだぞ?
後、雪山に埋もれないようにな、位置がわかるとは言え拾いに行くのは面倒だ」
「サーイェッサー! ではキーマ・ターリー帰還イタマス!」
騒がしい掛け声とともにキーマは走り去って行った。三神家までは平時に歩いて一時間程度の道のり、走って行けば雪があっても四十分ほどで付くだろう。ようやく静かになったとブツブツ言っている中の肩を耕太郎がポンポンと叩いてから二人は座りなおした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
訳あって学年の三大美少女達とメイドカフェで働くことになったら懐かれたようです。クラスメイトに言えない「秘密」も知ってしまいました。
亜瑠真白
青春
「このことは2人だけの秘密だよ?」彼女達は俺にそう言った―――
高校2年の鳥屋野亮太は従姉に「とあるバイト」を持ちかけられた。
従姉はメイドカフェを開店することになったらしい。
彼女は言った。
「亮太には美少女をスカウトしてきてほしいんだ。一人につき一万でどうだ?」
亮太は学年の三大美少女の一人である「一ノ瀬深恋」に思い切って声をかけた。2人で話している最中、明るくて社交的でクラスの人気者の彼女は、あることをきっかけに様子を変える。
赤くなった顔。ハの字になった眉。そして上目遣いで見上げる潤んだ瞳。
「ほ、本当の私を、か、かかか、可愛いって……!?」
彼女をスカウトしたことをきっかけに、なぜか「あざと系美少女」や「正体不明のクール系美少女」もメイドカフェで働くことに。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
負けヒロインに花束を!
遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。
葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。
その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる