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第十章 睦月(一月)
272.一月二十四日 夜 嬉し恥ずかしの宴
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櫛田家当主生誕神輿もいよいよ終わりを迎えようとしていた。残すところはあと一カ所、八岐神社のみである。ここに住んでいるのは宮司夫妻とその息子夫婦なので大人しかいないのだが、その他に別の側面も有り、それが分校なのだ。
神社兼分校では直臣たちを含めた従妹たちが待機しているはずだ。ここまでやってくると恥ずかしさが最高潮となるのは例年通り。当主を引き継いでから四年経った今でもそれは変わらなかった。なんと言っても賑やかしの数が違う。
「八早月ちゃーん! かあいいー」
「きれいなおきものいいなー」
「いいなーいいなー」
楓が連れている妹の凪と求、それに宿の娘の満瑠が並んでいて大はしゃぎである。直臣はおそらく妹の秋菜を連れているだろう、と思ったのだが姿が見えない。四宮家を通った時にはいなかったと思うのだがと八早月は訝しんだ。
他の従妹はドロシーが面倒を見ているようで、浪近を抱え美琴の手を引いているのが見えた。その少し後ろに独りポツンと立っている女性は誰だろうか。目立つ金髪なのでドロシーの関係者なのかもしれない。もしかしてイングランドから親類でも遊びにでも来ているのだろうか。
と思いつつよく見てみたところ、それはなんと双宗美葉音だった。なんとまあ派手な出で立ちになったものだと呆気にとられる八早月だが、同時に『なるほどこれがぎゃると言う物なのか』とどうでもいい関心を示していた。
「皆、出迎えありがとうございます、やっぱり何度やっても恥ずかしいわね。
でもこれで村の人たちが喜ぶなら受け入れるしかないのだけれど。
今年は事故がなくてよかったわ、担ぎ手の皆もご苦労様でした、降ろしてくださいな」
「「ははっ!」」
神輿が地面へと置かれ敷物が敷かれるとようやく降りることができる。この日に着用した着物は持ち主の元へ返されるのだがその後の扱いは様々で、娘の嫁入り道具になったり、息子の祝言で嫁に着せたり、子供が若ければ学校等の式典で着せることもあるようだ。
そのため汚さないよう丁寧に扱わなければならない。この後は宮司の家で着替えをすることになる。しかしその前にもう一仕事待っていた。それが写真撮影である。
「さいしょはわたしーわたしがいちばんなのー」
今年分校へ上がったばかりの初崎満瑠が真っ先に飛び出してくる。一番年下だからと言うのがその言い分なのだが――
「満瑠よりも秋菜のほうが年下でしょう? お姉さんなんだから待てるわね?
先ほども姿が見えなかったけれど、直臣が連れているのよね?
あの子たちったらどこにいるのかしら?」
そう言って辺りを見回した八早月の視界に入ったのは、確かに探していた秋菜なのだが手を引いているのは直臣だけではなかった。秋菜の反対側にはもう一人手を握っているものがおり、それはよく見慣れた姿であった。
「あは、八早月ちゃん、来ちゃった、すっごくキレイだったよ」
「着飾ってお神輿に乗せられて運ばれるなんてすごい神事だよねえ」
「こんなお人形さんみたいに飾られてる八早月ちゃんを見られるとは眼福眼福」
八早月の驚きは相当なもので、その心中は恥ずかしさと嬉しさのせめぎ合いと言ったところである。だがやはり素直に嬉しいと言えないのが八早月なのである。
「ちょ、ちょっとあなたたちったら! なんでこんなところまで来たのですか!
まったくこんな遅くなって、もう帰れないでしょうに…… 困った人たちね。
この季節の野宿は命がけですから十分ご注意ください!」
「もうそんな怒らないの、ごめんってばー、ね?」
夢路はそう言うと後ろを向いた。背後には板倉がいるのだが何をしているのだろうか。そう思いながら一瞬の沈黙を迎え振り向いた夢路の手には明かりが灯っているではないか。それはもちろん懐中電灯なんかではない。
「夢路さんったらこんなところでそんなもの出して……
これではもうこれ以上怒ることなんて出来ないわ、三人ともありがとうね」
喜びを隠さず駆け寄った八早月は、夢路が差し出したパースデーケーキのろうそくを吹き消した。一見これで全てチャラになったように思えたが、まだ許されていない者がいた。
「直臣に話があります、後日改めて聞かせていただきますからそのつもりで」
薄々感じてはいたがやはり名を呼ばれた直臣は、すごすごと前に出て来て秋菜を差し出した。忘れていたが写真撮影の続きをしなくては終わらない。八早月は敷物の上に座り秋菜を抱きかかえると、手を繋いでから笑顔を振りまいた。
続いて年齢順に浪近、満瑠、求、凪、美琴と続き、せっかくなのでと楓と金髪の美葉音も案外素直に写真へ納まった。となるともちろん友人たちも黙ってはいられない。かわるがわる隣へ並び、それぞれのスマホを向けての想い出づくりである。
最後は全員並んでの撮影が済むとようやく祭りは終わりを告げた。着替え終わって八畑家を出ると時間はすでに二十時を過ぎている。それは一年に一日しかないこの日も間もなく終わりを告げるということだ。だがその前にやらなければならないことがあった。
「あらあら、いつの間にかこんな大勢に増えてしまったのね。
板倉君に送って来てもらって良かったわ、みんなで帰りましょうか」
「そんなこと言いますが、お母さまはここまで歩いて来たことありませんよね?
まったく白々しいことをいうのですから困ったお人です」
「まあまあお嬢、社長はご友人たちが祝に訪れてくれたことが嬉しいんですよ。
それはご自身も同じでしょうけどね」
「もう! 板倉さんはすぐにそうやって意地悪を言うのですから!
さあ早く帰りましょう、」
主賓の合図と共に、想定外の客人たち含めた一行はぞろぞろとミニバンへと乗り込んだ。真っ暗な山道を通って家へと戻る途中の車内では、わざとらしく頬を膨らませる八早月と、それを面白がって突っついている友人たち、さらにはその姿をニコニコと眺め終始ご機嫌な手繰と言う華やかな光景が繰り広げられていた。
◇◇◇
祝いの席が一段落し、風呂上りに髪を整えたりスキンケアをしながら部屋でのんびりする四人は、先ほどの宴席について盛り上がっている。その話題の中心は綾乃が持ち込んで調理した一品だった。
「それにしても釜戸でまさかあんなすばらしい料理ができるなんて驚きだわ。
綾乃さんも綾乃さんのお母様も料理上手で感心するほかないわね」
「あれって綾ちゃんのママが考えたの? 見たことないのによくわかったね。
これで八早月ちゃんもおしゃれなご飯がいつでも味わえるじゃないの」
「これで八早月ちゃん自身が料理できるようになれば完璧なのにね。
飛雄君が来た時にご馳走してあげたらきっと喜ぶよ?」
「そう言う美晴さんはどうなのかしら? お料理に自信があるというの?
私は家事歴が長い姉妹なのに腕前にかなりの差がある実例を知っているわ。
つまり練習すれば出来ると言う簡単な話ではないと言うことに違いないのよ」
「確かにそれを言ったらお終いだけどさ…… でもアタシは少しなら出来るよ。
バレンタインだって頑張るつもりだし夢に教わってもいるし……」
「まあハルに教えたのはチョコを溶かして形変える程度だけどね。
あれじゃ本命チョコとは到底言えないし、綾ちゃんのピザには遥か及ばないよ」
そう、綾乃はなんと家で下ごしらえしてきたとは言え、櫛田家の釜戸を使ってピザを焼いたのだった。初めてピザの実物を見て食したことで八早月はこれ以上ないと言うほど興奮し大喜びしたのは言うまでもない。
綾乃の母は直火のピザ釜を使ったことがあるらしく、バーベキュー用の網にキッチンペーパーを敷き、そこへ具材を盛り付けたピザ生地を乗せることで近い環境になるはずだと当てを付けたのだ。綾乃は母へ写真を送りつつ薪をうまく寄せ、ピザ釜のように整えたうえで上手に焼くことに成功したと言うわけである。
これには料理上手の玉枝も感心し、興味深く相伴に預かっていた。と言うわけで今晩の櫛田家では、ピザをメインに鶏団子の酒粕鍋、野菜の煮つけに干しまつたけ入りおこわ、デザートのケーキが一堂に会し座卓に並ぶと言う混沌とした夕餉だった。
神社兼分校では直臣たちを含めた従妹たちが待機しているはずだ。ここまでやってくると恥ずかしさが最高潮となるのは例年通り。当主を引き継いでから四年経った今でもそれは変わらなかった。なんと言っても賑やかしの数が違う。
「八早月ちゃーん! かあいいー」
「きれいなおきものいいなー」
「いいなーいいなー」
楓が連れている妹の凪と求、それに宿の娘の満瑠が並んでいて大はしゃぎである。直臣はおそらく妹の秋菜を連れているだろう、と思ったのだが姿が見えない。四宮家を通った時にはいなかったと思うのだがと八早月は訝しんだ。
他の従妹はドロシーが面倒を見ているようで、浪近を抱え美琴の手を引いているのが見えた。その少し後ろに独りポツンと立っている女性は誰だろうか。目立つ金髪なのでドロシーの関係者なのかもしれない。もしかしてイングランドから親類でも遊びにでも来ているのだろうか。
と思いつつよく見てみたところ、それはなんと双宗美葉音だった。なんとまあ派手な出で立ちになったものだと呆気にとられる八早月だが、同時に『なるほどこれがぎゃると言う物なのか』とどうでもいい関心を示していた。
「皆、出迎えありがとうございます、やっぱり何度やっても恥ずかしいわね。
でもこれで村の人たちが喜ぶなら受け入れるしかないのだけれど。
今年は事故がなくてよかったわ、担ぎ手の皆もご苦労様でした、降ろしてくださいな」
「「ははっ!」」
神輿が地面へと置かれ敷物が敷かれるとようやく降りることができる。この日に着用した着物は持ち主の元へ返されるのだがその後の扱いは様々で、娘の嫁入り道具になったり、息子の祝言で嫁に着せたり、子供が若ければ学校等の式典で着せることもあるようだ。
そのため汚さないよう丁寧に扱わなければならない。この後は宮司の家で着替えをすることになる。しかしその前にもう一仕事待っていた。それが写真撮影である。
「さいしょはわたしーわたしがいちばんなのー」
今年分校へ上がったばかりの初崎満瑠が真っ先に飛び出してくる。一番年下だからと言うのがその言い分なのだが――
「満瑠よりも秋菜のほうが年下でしょう? お姉さんなんだから待てるわね?
先ほども姿が見えなかったけれど、直臣が連れているのよね?
あの子たちったらどこにいるのかしら?」
そう言って辺りを見回した八早月の視界に入ったのは、確かに探していた秋菜なのだが手を引いているのは直臣だけではなかった。秋菜の反対側にはもう一人手を握っているものがおり、それはよく見慣れた姿であった。
「あは、八早月ちゃん、来ちゃった、すっごくキレイだったよ」
「着飾ってお神輿に乗せられて運ばれるなんてすごい神事だよねえ」
「こんなお人形さんみたいに飾られてる八早月ちゃんを見られるとは眼福眼福」
八早月の驚きは相当なもので、その心中は恥ずかしさと嬉しさのせめぎ合いと言ったところである。だがやはり素直に嬉しいと言えないのが八早月なのである。
「ちょ、ちょっとあなたたちったら! なんでこんなところまで来たのですか!
まったくこんな遅くなって、もう帰れないでしょうに…… 困った人たちね。
この季節の野宿は命がけですから十分ご注意ください!」
「もうそんな怒らないの、ごめんってばー、ね?」
夢路はそう言うと後ろを向いた。背後には板倉がいるのだが何をしているのだろうか。そう思いながら一瞬の沈黙を迎え振り向いた夢路の手には明かりが灯っているではないか。それはもちろん懐中電灯なんかではない。
「夢路さんったらこんなところでそんなもの出して……
これではもうこれ以上怒ることなんて出来ないわ、三人ともありがとうね」
喜びを隠さず駆け寄った八早月は、夢路が差し出したパースデーケーキのろうそくを吹き消した。一見これで全てチャラになったように思えたが、まだ許されていない者がいた。
「直臣に話があります、後日改めて聞かせていただきますからそのつもりで」
薄々感じてはいたがやはり名を呼ばれた直臣は、すごすごと前に出て来て秋菜を差し出した。忘れていたが写真撮影の続きをしなくては終わらない。八早月は敷物の上に座り秋菜を抱きかかえると、手を繋いでから笑顔を振りまいた。
続いて年齢順に浪近、満瑠、求、凪、美琴と続き、せっかくなのでと楓と金髪の美葉音も案外素直に写真へ納まった。となるともちろん友人たちも黙ってはいられない。かわるがわる隣へ並び、それぞれのスマホを向けての想い出づくりである。
最後は全員並んでの撮影が済むとようやく祭りは終わりを告げた。着替え終わって八畑家を出ると時間はすでに二十時を過ぎている。それは一年に一日しかないこの日も間もなく終わりを告げるということだ。だがその前にやらなければならないことがあった。
「あらあら、いつの間にかこんな大勢に増えてしまったのね。
板倉君に送って来てもらって良かったわ、みんなで帰りましょうか」
「そんなこと言いますが、お母さまはここまで歩いて来たことありませんよね?
まったく白々しいことをいうのですから困ったお人です」
「まあまあお嬢、社長はご友人たちが祝に訪れてくれたことが嬉しいんですよ。
それはご自身も同じでしょうけどね」
「もう! 板倉さんはすぐにそうやって意地悪を言うのですから!
さあ早く帰りましょう、」
主賓の合図と共に、想定外の客人たち含めた一行はぞろぞろとミニバンへと乗り込んだ。真っ暗な山道を通って家へと戻る途中の車内では、わざとらしく頬を膨らませる八早月と、それを面白がって突っついている友人たち、さらにはその姿をニコニコと眺め終始ご機嫌な手繰と言う華やかな光景が繰り広げられていた。
◇◇◇
祝いの席が一段落し、風呂上りに髪を整えたりスキンケアをしながら部屋でのんびりする四人は、先ほどの宴席について盛り上がっている。その話題の中心は綾乃が持ち込んで調理した一品だった。
「それにしても釜戸でまさかあんなすばらしい料理ができるなんて驚きだわ。
綾乃さんも綾乃さんのお母様も料理上手で感心するほかないわね」
「あれって綾ちゃんのママが考えたの? 見たことないのによくわかったね。
これで八早月ちゃんもおしゃれなご飯がいつでも味わえるじゃないの」
「これで八早月ちゃん自身が料理できるようになれば完璧なのにね。
飛雄君が来た時にご馳走してあげたらきっと喜ぶよ?」
「そう言う美晴さんはどうなのかしら? お料理に自信があるというの?
私は家事歴が長い姉妹なのに腕前にかなりの差がある実例を知っているわ。
つまり練習すれば出来ると言う簡単な話ではないと言うことに違いないのよ」
「確かにそれを言ったらお終いだけどさ…… でもアタシは少しなら出来るよ。
バレンタインだって頑張るつもりだし夢に教わってもいるし……」
「まあハルに教えたのはチョコを溶かして形変える程度だけどね。
あれじゃ本命チョコとは到底言えないし、綾ちゃんのピザには遥か及ばないよ」
そう、綾乃はなんと家で下ごしらえしてきたとは言え、櫛田家の釜戸を使ってピザを焼いたのだった。初めてピザの実物を見て食したことで八早月はこれ以上ないと言うほど興奮し大喜びしたのは言うまでもない。
綾乃の母は直火のピザ釜を使ったことがあるらしく、バーベキュー用の網にキッチンペーパーを敷き、そこへ具材を盛り付けたピザ生地を乗せることで近い環境になるはずだと当てを付けたのだ。綾乃は母へ写真を送りつつ薪をうまく寄せ、ピザ釜のように整えたうえで上手に焼くことに成功したと言うわけである。
これには料理上手の玉枝も感心し、興味深く相伴に預かっていた。と言うわけで今晩の櫛田家では、ピザをメインに鶏団子の酒粕鍋、野菜の煮つけに干しまつたけ入りおこわ、デザートのケーキが一堂に会し座卓に並ぶと言う混沌とした夕餉だった。
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