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第十一章 如月(二月)
284.二月三日 黄昏時 八畑村のアイドル
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もし声に色がついていたならばこの声は一体何色なのだろうか。フィクション的な想像力に乏しい八早月は、自分たちへ注がれている甲高い声援を受けそんなことを考えていた。普段の話し方を知っているだけに、想像できる範囲をはるかに超えて変化した声色に戸惑うばかりである。
「いえーい! おじいちゃんおばあちゃん元気しってるっかっなー!
今日は凪と求が元気のお削分けで歌っちゃうかっらねー!」
「凪ったらちょうしのりすぎ、でも元気でいてほしいのは同じだね。
それじゃ最初の曲はみんな知ってそうなの、ちゃんとれんしゅうしてきたよー」
なぜこうなったのか八早月にはわからないが、普段は櫻のスマホ片手に家で歌っているらしい。物怖じしない性格の二人が掛け声を掛けながら観客である老人住宅の住人たちを盛り上げていく。まるで本物のアイドルのようだと思いつつ見てはいるが、本物どころか偽物のアイドルも見たことがない田舎娘である。
六田家にはファッションを初めとして流行に敏感な高校生の楓がおり、大分離れた凪と求と二人の妹へはなんでも伝達されていく。それとは別に都会出身で八畑村へ婿養子としてやってきた父親と、同じく婿養子の爺がいる。つまり八家の中ではドロシーに次いで現代文明的な家庭と言えよう。
方や八早月と言うより櫛田家は、すでに亡くなった先々代へ村内から嫁いだ祖母の一人息子である道八、そして金井町から嫁に来た箱入り娘の手繰と言う生粋の田舎者一族だ。その家庭に産まれた娘を筆頭当主であった道八の方針も有り、外界と切り離された環境で純粋培養して育ったのが八早月である。
よく古臭いことの引き合いに出される「昭和」どころではなく、江戸幕府が鎖国していた時代と大差ない環境だ。どう考えても現代的な六田家の娘と同じように育つはずがなかった。
そんな現代人の二人は現在の流行歌を歌えるだけでなく、祖父と父に教わった当時のヒット曲までも網羅していた。そんな懐メロをレパートリーに加えた成果が発揮されてこの大盛況をもたらしている。
「二人とも愛いのー! それにしても良くそんな古い歌知っとるなぁ。
次はあれ行ってみー、たららーるりららーて始まるやつよ、わかっかなあ」
「オッケー! その曲は求が得意だから先行っちゃってー!」
もらったお菓子をぼりぼりと貪りながらいつまで続くのかわからない六田姉妹のコンサートを見守る八早月。そのすぐそばには大はしゃぎで声援を送っている爺婆たちと言う奇妙な光景はもう二時間は続いていようか。すでに陽は傾き始め空は薄ら橙色に染まりはじめていた。
『八早月様は歌われないのですか? 歌は寺子屋のみとする理由があるとか?』
『単純に歌が得意ではないのと、この二人のような歌を知らないからですよ。
見ていると楽しそうだくらいは思いますけれど、自分で歌う気はしませんね』
『左様でございますが、それにしてもお年寄りたちがこれほど喜ぶとは驚きです。
小さな子供でもこれだけの効果、先日の音楽演奏騒動も納得できます』
『非なるが似ていると言ったところでしょうか。儀式にも欠かせませんしね。
人の心はどこでどう動かされるかわからないもの、広く注意を向けなければいけません』
『真におっしゃる通りでございます。ところで大分薄暗くなってまいりました。
表で隠れ聞いている童たちをそろそろ帰した方がよろしいかもしれません。
彼らは半刻ほど前にやってきてずっと表で歌を聞いているのです』
『あら、随分と可愛いところがあったのですね。
でも確かに暗くなってきましたし、声をかけてみて場合によっては送って行くとしましょうか』
暇を持て余した真宵に発見されていた男児たちは、やっぱり凪たちのことが気になったのか後からやってきたのだった。そして八早月もまた暇を持て余している。なんと言っても老人住宅にやって来てからは六田姉妹の独擅場、八早月の出番は最初に菓子を受け取ったところで終いである。
顔を出した時こそ筆頭様筆頭様と群がってきたが、二人が歌い始めるともう完全に夢中で手を振り頭を振りはしゃいでいた。それから早くも二時間程度が経過しているのだからそろそろ引き上げても文句は出ないだろう。
「さ、凪も求もそろそろ終いにして引き上げますよ。
皆さんもお相手ありがとうございました」
「まだ全部歌って無かったのになぁ、それじゃまた今度来るねー
おばあちゃんおじいちゃんたち、お菓子ありがと、それじゃばいばーい」
表に出てみると先ほどまでいた男児たちが走って行くのが見えた。どうやら『コンサート』が終わったので引き上げたのだろう。それを見た二人はなぜか得意げである。
「見た? やよいちゃん、あれって求たちの歌を聞きにきてたってことだよ。
やっぱ将来は歌手になろうっと、中学上がったらオーディション受けるんだ!」
「なに言ってんのよ、凪のほうが歌上手いでしょ? 求は背も小さいしさ。
アイドルはルックスが大事なんだからアタシのほうが向いてるに決まってる!」
「もう、二人とも意味の分からないことで喧嘩しないのよ?
別に二人とも歌手になればいいじゃないの、なれるのかは知らないけれどね。
好きこそものの上手なれと言うし、好きなことを頑張るのはいいことよ?」
「八早月ちゃんはそうやって大人みたいないいこと言うけどさ、ダメダメ。
歌手になるなんて狭き門なんだからライバルは一人でも減らさなきゃ。
だから求はママの手伝いだけしてればいいんだよ」
「凪ったらずっるー、なら自分が手伝いして求が歌手になればいいでしょ?
そしたらマネジャーにしてあげてもいいからね?」
結局車へ戻っても喧嘩は止まらず、車内は喧騒に包まれていた。これなら機嫌よく歌っていてくれた方がまだマシだったと言うのは八早月にも板倉にも共通した見解である。この姦しい姉妹を乗せた車がようやく八岐神社へたどり着くと、今にも掴み合いをしそうな状態で車から降りて行った。
だがそんな二人を待ち構えていたのは、仁王立ちで見下ろしながら睨みつけている母と姉の恐ろしい姿だ。どうやら車が止まる直前には外から車内が見えていたようで、何が行われているのかなぞお見通しと言うわけである。
「凪! 求! 二人ともいい加減になさい!
筆頭のご厚意で連れて行っていただいたと言うのにその態度はなんですか!
我がままばかり自分勝手ばかりしていると妖になってしまいますよ!?」
「ダメじゃないの二人とも、仲良くできないなら歌もなんにも教えないよ?
ほら筆頭にあやまりなさい!」
さすがにこれは堪えたようで二人はしゅんとしてうつむいている。八早月はうるさかったこと以外は大して気にしていないのだが、それでも礼儀がなっていないことは櫻にとって許せないらしい。
「筆頭にはご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。
全て私の教育が行き届いていないせいと存じます。
今後このようなことの無いようきちんと躾けて参ります」
「そんなこと気にしないで下さい、櫻さんの教えがいいのか二人は凄いですね。
お年寄りたちは全員喜んでおりましたから胸を張ってくださいな。
ただ興奮しすぎて喧嘩になってしまったのは行き過ぎですけれどね」
「温かいお言葉、感謝の言葉もございません、ほらあなた達もなんとか言いなさい!」
「八早月ちゃんごめんね…… もうケンカしないから……」
「ごめんなさい…… 八早月ちゃんと遊ぶの久し振りで舞い上がっちゃった。
でもハロウィンみたいで楽しかったね!」
「二人とも本当に反省しているの!? 筆頭に失礼でしょうが!
口のきき方をもっとしっかり覚えさせないと駄目なようね」
「まあまあ櫻さん、子供のしている事ですから大目に見ましょう。
それに楓も似たようなものですし、真似しているのかもしれませんよ?」
「なっ!? ちょっと筆頭? ウチはそんなことないでしょ?
そりゃ友達同士ならそうかもだけど…… ママもそんな目で見ないでよ!」
「ああ、申し訳ありません、言葉足らずでした。学園では礼儀不要ですからね。
いつも友達のように接して欲しいとお願いしているのですよ」
本当は学園内で会ったことなどまだ一度しかない。それは入学間もないころに八早月だとわからず突っかかって来た時だ。確かにあの時は暴言と言ってもいいくらいの言葉使いだったかもしれない。八早月は思わずその時のことを思い浮かべてしまったのだが、朝の鍛錬の時もまあそれなりだった気もする。
とまあ最後にひと騒動となりそうではあったものの、まるで老人ホームへの慰問のようだった今年の節分は大盛況で終わりを告げた。
「いえーい! おじいちゃんおばあちゃん元気しってるっかっなー!
今日は凪と求が元気のお削分けで歌っちゃうかっらねー!」
「凪ったらちょうしのりすぎ、でも元気でいてほしいのは同じだね。
それじゃ最初の曲はみんな知ってそうなの、ちゃんとれんしゅうしてきたよー」
なぜこうなったのか八早月にはわからないが、普段は櫻のスマホ片手に家で歌っているらしい。物怖じしない性格の二人が掛け声を掛けながら観客である老人住宅の住人たちを盛り上げていく。まるで本物のアイドルのようだと思いつつ見てはいるが、本物どころか偽物のアイドルも見たことがない田舎娘である。
六田家にはファッションを初めとして流行に敏感な高校生の楓がおり、大分離れた凪と求と二人の妹へはなんでも伝達されていく。それとは別に都会出身で八畑村へ婿養子としてやってきた父親と、同じく婿養子の爺がいる。つまり八家の中ではドロシーに次いで現代文明的な家庭と言えよう。
方や八早月と言うより櫛田家は、すでに亡くなった先々代へ村内から嫁いだ祖母の一人息子である道八、そして金井町から嫁に来た箱入り娘の手繰と言う生粋の田舎者一族だ。その家庭に産まれた娘を筆頭当主であった道八の方針も有り、外界と切り離された環境で純粋培養して育ったのが八早月である。
よく古臭いことの引き合いに出される「昭和」どころではなく、江戸幕府が鎖国していた時代と大差ない環境だ。どう考えても現代的な六田家の娘と同じように育つはずがなかった。
そんな現代人の二人は現在の流行歌を歌えるだけでなく、祖父と父に教わった当時のヒット曲までも網羅していた。そんな懐メロをレパートリーに加えた成果が発揮されてこの大盛況をもたらしている。
「二人とも愛いのー! それにしても良くそんな古い歌知っとるなぁ。
次はあれ行ってみー、たららーるりららーて始まるやつよ、わかっかなあ」
「オッケー! その曲は求が得意だから先行っちゃってー!」
もらったお菓子をぼりぼりと貪りながらいつまで続くのかわからない六田姉妹のコンサートを見守る八早月。そのすぐそばには大はしゃぎで声援を送っている爺婆たちと言う奇妙な光景はもう二時間は続いていようか。すでに陽は傾き始め空は薄ら橙色に染まりはじめていた。
『八早月様は歌われないのですか? 歌は寺子屋のみとする理由があるとか?』
『単純に歌が得意ではないのと、この二人のような歌を知らないからですよ。
見ていると楽しそうだくらいは思いますけれど、自分で歌う気はしませんね』
『左様でございますが、それにしてもお年寄りたちがこれほど喜ぶとは驚きです。
小さな子供でもこれだけの効果、先日の音楽演奏騒動も納得できます』
『非なるが似ていると言ったところでしょうか。儀式にも欠かせませんしね。
人の心はどこでどう動かされるかわからないもの、広く注意を向けなければいけません』
『真におっしゃる通りでございます。ところで大分薄暗くなってまいりました。
表で隠れ聞いている童たちをそろそろ帰した方がよろしいかもしれません。
彼らは半刻ほど前にやってきてずっと表で歌を聞いているのです』
『あら、随分と可愛いところがあったのですね。
でも確かに暗くなってきましたし、声をかけてみて場合によっては送って行くとしましょうか』
暇を持て余した真宵に発見されていた男児たちは、やっぱり凪たちのことが気になったのか後からやってきたのだった。そして八早月もまた暇を持て余している。なんと言っても老人住宅にやって来てからは六田姉妹の独擅場、八早月の出番は最初に菓子を受け取ったところで終いである。
顔を出した時こそ筆頭様筆頭様と群がってきたが、二人が歌い始めるともう完全に夢中で手を振り頭を振りはしゃいでいた。それから早くも二時間程度が経過しているのだからそろそろ引き上げても文句は出ないだろう。
「さ、凪も求もそろそろ終いにして引き上げますよ。
皆さんもお相手ありがとうございました」
「まだ全部歌って無かったのになぁ、それじゃまた今度来るねー
おばあちゃんおじいちゃんたち、お菓子ありがと、それじゃばいばーい」
表に出てみると先ほどまでいた男児たちが走って行くのが見えた。どうやら『コンサート』が終わったので引き上げたのだろう。それを見た二人はなぜか得意げである。
「見た? やよいちゃん、あれって求たちの歌を聞きにきてたってことだよ。
やっぱ将来は歌手になろうっと、中学上がったらオーディション受けるんだ!」
「なに言ってんのよ、凪のほうが歌上手いでしょ? 求は背も小さいしさ。
アイドルはルックスが大事なんだからアタシのほうが向いてるに決まってる!」
「もう、二人とも意味の分からないことで喧嘩しないのよ?
別に二人とも歌手になればいいじゃないの、なれるのかは知らないけれどね。
好きこそものの上手なれと言うし、好きなことを頑張るのはいいことよ?」
「八早月ちゃんはそうやって大人みたいないいこと言うけどさ、ダメダメ。
歌手になるなんて狭き門なんだからライバルは一人でも減らさなきゃ。
だから求はママの手伝いだけしてればいいんだよ」
「凪ったらずっるー、なら自分が手伝いして求が歌手になればいいでしょ?
そしたらマネジャーにしてあげてもいいからね?」
結局車へ戻っても喧嘩は止まらず、車内は喧騒に包まれていた。これなら機嫌よく歌っていてくれた方がまだマシだったと言うのは八早月にも板倉にも共通した見解である。この姦しい姉妹を乗せた車がようやく八岐神社へたどり着くと、今にも掴み合いをしそうな状態で車から降りて行った。
だがそんな二人を待ち構えていたのは、仁王立ちで見下ろしながら睨みつけている母と姉の恐ろしい姿だ。どうやら車が止まる直前には外から車内が見えていたようで、何が行われているのかなぞお見通しと言うわけである。
「凪! 求! 二人ともいい加減になさい!
筆頭のご厚意で連れて行っていただいたと言うのにその態度はなんですか!
我がままばかり自分勝手ばかりしていると妖になってしまいますよ!?」
「ダメじゃないの二人とも、仲良くできないなら歌もなんにも教えないよ?
ほら筆頭にあやまりなさい!」
さすがにこれは堪えたようで二人はしゅんとしてうつむいている。八早月はうるさかったこと以外は大して気にしていないのだが、それでも礼儀がなっていないことは櫻にとって許せないらしい。
「筆頭にはご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。
全て私の教育が行き届いていないせいと存じます。
今後このようなことの無いようきちんと躾けて参ります」
「そんなこと気にしないで下さい、櫻さんの教えがいいのか二人は凄いですね。
お年寄りたちは全員喜んでおりましたから胸を張ってくださいな。
ただ興奮しすぎて喧嘩になってしまったのは行き過ぎですけれどね」
「温かいお言葉、感謝の言葉もございません、ほらあなた達もなんとか言いなさい!」
「八早月ちゃんごめんね…… もうケンカしないから……」
「ごめんなさい…… 八早月ちゃんと遊ぶの久し振りで舞い上がっちゃった。
でもハロウィンみたいで楽しかったね!」
「二人とも本当に反省しているの!? 筆頭に失礼でしょうが!
口のきき方をもっとしっかり覚えさせないと駄目なようね」
「まあまあ櫻さん、子供のしている事ですから大目に見ましょう。
それに楓も似たようなものですし、真似しているのかもしれませんよ?」
「なっ!? ちょっと筆頭? ウチはそんなことないでしょ?
そりゃ友達同士ならそうかもだけど…… ママもそんな目で見ないでよ!」
「ああ、申し訳ありません、言葉足らずでした。学園では礼儀不要ですからね。
いつも友達のように接して欲しいとお願いしているのですよ」
本当は学園内で会ったことなどまだ一度しかない。それは入学間もないころに八早月だとわからず突っかかって来た時だ。確かにあの時は暴言と言ってもいいくらいの言葉使いだったかもしれない。八早月は思わずその時のことを思い浮かべてしまったのだが、朝の鍛錬の時もまあそれなりだった気もする。
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