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第十一章 如月(二月)
302.二月十七日 午前 おかしな関係性
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八早月に呼び出され朝早くにやってきた初崎宿は、事前に担当の役人へと繋ぎを付けていた。とは言ってもこの地方都市へすぐに来るほど身軽ではなく、せいぜい事前に山海神社へ確認の連絡を入れるくらいだろう。
準備を整えた八早月と宿、そして当日現場にいた当事者の飛雄に高岳家の当主である磯吉の四名は山海の巫を迎えるべく高岳家本家へと集まっていた。またもや仲間外れにされた零愛は怒り心頭で、朝っぱらから台所で母親へ愚痴をこぼし続けたまま置いてけぼりだ。
「それにしても現場に他の神職がやってくるとは珍しいこともありますねえ。
下手に諍いを起こしでもしたらお上がうるさく言ってきますからな。
見てみぬ振りが一番だと思います、わかりましたか? 筆頭?」
「私はいままで口出しなぞしたことはありませんよ?
それに私たちの守護地域に誰かがやって来たこともありませんよね?
ああ、コロポックルさんたちくらいでしょうか。
でもあの時は多邇具久や鬼火武者が先でしたよ?」
「そう、だから筆頭たちが立ち回りを始めてからやってきたのはなぜか。
その前からあのなんと言いましたか? そう、ウォーレンの存在をね。
今まで知っていて見逃していたとしか考えられないではありませんか」
「まさか手を組んでいた? と考えるのはいくらなんでも失礼でしょう。
それよりも敵わないと見て知らぬを決め込んでいたとが実際のところかと。
あの程度を放置しているとなるといよいよ引退も近そうですね」
当人がいないからと言って勝手なことを推察し合いながら待っていると、約束の十時ちょうどにチャイムが鳴った。どうやら山海一族の当主は時間に正確な性格らしい。
『これはご隠居、ご壮健そうで何より、久しく顔も見せず失礼仕りました。
本日は突然の訪問でお騒がせいたします』
『それほどかしこまらないで下さいまし、こちらも不義理をしております。
かれこれ先代の式以来でございますかねえ。
ま、奥へどうぞ、すでに準備を整えておりやすんで』
玄関先で大叔父と言葉を交わしていることから顔見知りだとわかるが、家同士の付き合いがあるのだから当然だろう。ほどなくして玄関扉を開く音と共に客人が声を上げ、すぐに飛雄が玄関まで走って行った。
「失礼いたす、お約束通り山海達彦参った次第です。
本日は勝手な申し出にも関わらず席を設けていただきありがとう存じます」
「こちらこそご足労ありがとうございます。
叔父たちも奥でお待ちしておりますのでこちらへどうぞ」
一礼してから玄関を上がった山海達彦はいかにも地元の名士と言った風体なので、まだ高校生の飛雄ではきちんともてなせているかどうかを気にするだけで精いっぱいと緊張しきりである。しかし――
『高岳のボンよ、昨日のお嬢さんもいらっしゃるのだろう?
お怒りだったりはしていないだろうか? 甘いものはお嫌いではないか?』
『えっ!? どういうことですか? それに内緒話もなんですし……』
とりあえずは居間へどうぞ……
山海の態度に釈然としない飛雄だが面と向かって尋ねるわけにもいかず、まずは奥の居間へと案内する。一番後ろからは大叔父が茶の支度をするためについて来てくれているのが心強かった。
「叔父さん、山海さんをお連れしました。
どうぞ」
「かたじけない、高岳殿、久しいですな。夏の組合会合以来かと。
あの時は無礼を働いたと今は後悔しきり、まことお恥ずかしい」
「い、いやいやこちらこそあの時には喧嘩腰になってしまい……
まあ過ぎたことは水に流すと言うことで、お互いいい歳ですしな」
中年男が二人見合って愛想笑いをしている様は、有り体に言って美しいものではないが、それでも山海にとっては必要な手順なのだろう。そしてこのやり取りだけで八早月はすでに直感していた。
二人が言っている『あの時』の出来事とは、零愛を嫁に寄こせなどと横暴な態度を取ったことであり、山海はそのことを詫びておきたいに違いない。今になって謝罪すると言うことは今日持ちかけてきた話は高岳家にとって悪い話ではない、となるわけだ。
なんにせよ話はそれほど長くならなそうだと安堵しつつ、こんなことで宿を呼んでしまったことには申し訳ない気分の八早月である。とは言っても、昨日お役目の場にやってきた際には今まさに拳を振り下ろさんという勢いだった山海が、今ではすっかりおとなしく借りてきた猫になるとは想定外だったのだ。
部屋へ入ってからも態度は変わらず、磯吉に上座を促されたにも拘らず山海は頑なに部屋の奥へと進もうとしない。それどころか襖の外側、つまり廊下へと膝を突き始める始末だった。
「本日はわだかまりを解消するためだけに参ったのではございません。
昨日お会いした方を正式にご紹介いただきたく参上した次第。
こちらのお嬢さま、それに昨日にはいらっしゃらなかったもうひと方もお仲間でしょうか」
「いやはや大変失礼致しました、きちんとご紹介せねばなりませんな。
こちらのお嬢様は十久野郡八岐八家巫筆の櫛田八早月様でございます。
そしてもうひと方、ええっと――」
「お初にお目にかかります、八岐八家初崎宿と申します。
代替わりの儀でお顔は拝見しておりますがお話するのは初めてですな。
あれももう十五年近く経ちましょうか」
「おお、そうでしたか、その節はご足労ありがとうございました。
その後父は亡くなりましたがきっとこの再会を喜んでいる事でしょう」
まったく聞いていなかった宿と山海の関係を耳にして、八早月は明らかに不機嫌である。ただし疎外感からと言うわけではなく、余計な話で時間を延ばされたとの理由からだ。それでも筆頭なのだから愛想良くすることも時に必要と考え我慢していた。
まあ大人と言うのはいつもこうなのだし、下らないと感じる話の中にも重要な内容が含まれているかもしれない。今は注意深く二人の雑談を聞くことにしようと諦めてお茶に手を付けようとしたのだが、山海は未だ廊下に座ったままなのでさすがに躊躇われ伸ばした手を引っ込めた。
「それにしても八岐八家の筆頭がこのように若いとは驚くほかありません。
さらに言わせていただければ、ただならぬ神通力をお持ちのご様子。
さすが天津神にも国津神にも属さぬ八岐大蛇神の巫です」
「お褒めの言葉感謝いたします、しかしこれはあくまで借り物の力。
私自身が優れているわけではないのだと考えております。
この世に悪が蔓延っているために八岐大蛇様の力が必要とされている証。
我が身はその触媒でしかありません」
「これはまたなんと献身的でご立派なお考えなのでしょう。
このような素晴らしき一族と高岳家に交流があるとは知りませんでした。
してどういったご関係なのですかな?」
山海の問いは当然なのだがいささか失礼であるとも言える。しかし待ってましたと言わんばかりの磯吉が誇らしげに背筋を伸ばした。
「櫛田様はうちの飛雄を婿養子として迎え入れて下さるのです。
すでに先日一席設けまして許嫁の儀を交わしていただきました」
「な、なんと!? それはまっことめでたい、おめでとうございます。
これで高岳家も長らく安泰でしょうな」
一見すると祝辞を述べているようではあるが、その実落胆している様子がありありと見える。おそらくはこれで零愛を嫁に迎えると言う野望が完全に潰えたからだろう。
続いて過剰な祝いの言葉を並べ立てる山海と、それを嬉々として聞き入れる磯吉である。一体これは何を見せられているのかと言いたくなっているのは八早月も飛雄も似たようなものだ。
だがここで、退屈し始めた八早月の元に念話が届いた。このような会合の途中に割り込んでくると言うことはよほどの緊急事態と推察できる。念話の相手は真宵であり、予想通り非常に重要な事柄を伝えてきたのだ。同様に宿にも須佐乃から連絡が入ったようで表情には出さないが体の端に緊張が走ったのが見て取れる。
八早月は宿へ目配せをしたのだが、宿は渋い顔で僅かに首を横に動かす。つまり大人しくしているようにと言いたいのだろう。それを受けた八早月がにっこりと笑い返すと、笑顔の向こう側は諦めの表情で大きくため息を吐いた。
「コホン、お話が盛り上がっているところ無粋ですが、少々よろしいですか?
このままではなかなか本筋へ入らなそうなので私から進めることにしましょう。
それで山海様? 昨日捕らえた異国人たちはこちらで『処分』すればよろしいのですか?」
八早月による物騒な申し出を聞いた山海達彦は、あからさまな狼狽に安堵を混ぜたような複雑な面持ちを見せるのだった。
準備を整えた八早月と宿、そして当日現場にいた当事者の飛雄に高岳家の当主である磯吉の四名は山海の巫を迎えるべく高岳家本家へと集まっていた。またもや仲間外れにされた零愛は怒り心頭で、朝っぱらから台所で母親へ愚痴をこぼし続けたまま置いてけぼりだ。
「それにしても現場に他の神職がやってくるとは珍しいこともありますねえ。
下手に諍いを起こしでもしたらお上がうるさく言ってきますからな。
見てみぬ振りが一番だと思います、わかりましたか? 筆頭?」
「私はいままで口出しなぞしたことはありませんよ?
それに私たちの守護地域に誰かがやって来たこともありませんよね?
ああ、コロポックルさんたちくらいでしょうか。
でもあの時は多邇具久や鬼火武者が先でしたよ?」
「そう、だから筆頭たちが立ち回りを始めてからやってきたのはなぜか。
その前からあのなんと言いましたか? そう、ウォーレンの存在をね。
今まで知っていて見逃していたとしか考えられないではありませんか」
「まさか手を組んでいた? と考えるのはいくらなんでも失礼でしょう。
それよりも敵わないと見て知らぬを決め込んでいたとが実際のところかと。
あの程度を放置しているとなるといよいよ引退も近そうですね」
当人がいないからと言って勝手なことを推察し合いながら待っていると、約束の十時ちょうどにチャイムが鳴った。どうやら山海一族の当主は時間に正確な性格らしい。
『これはご隠居、ご壮健そうで何より、久しく顔も見せず失礼仕りました。
本日は突然の訪問でお騒がせいたします』
『それほどかしこまらないで下さいまし、こちらも不義理をしております。
かれこれ先代の式以来でございますかねえ。
ま、奥へどうぞ、すでに準備を整えておりやすんで』
玄関先で大叔父と言葉を交わしていることから顔見知りだとわかるが、家同士の付き合いがあるのだから当然だろう。ほどなくして玄関扉を開く音と共に客人が声を上げ、すぐに飛雄が玄関まで走って行った。
「失礼いたす、お約束通り山海達彦参った次第です。
本日は勝手な申し出にも関わらず席を設けていただきありがとう存じます」
「こちらこそご足労ありがとうございます。
叔父たちも奥でお待ちしておりますのでこちらへどうぞ」
一礼してから玄関を上がった山海達彦はいかにも地元の名士と言った風体なので、まだ高校生の飛雄ではきちんともてなせているかどうかを気にするだけで精いっぱいと緊張しきりである。しかし――
『高岳のボンよ、昨日のお嬢さんもいらっしゃるのだろう?
お怒りだったりはしていないだろうか? 甘いものはお嫌いではないか?』
『えっ!? どういうことですか? それに内緒話もなんですし……』
とりあえずは居間へどうぞ……
山海の態度に釈然としない飛雄だが面と向かって尋ねるわけにもいかず、まずは奥の居間へと案内する。一番後ろからは大叔父が茶の支度をするためについて来てくれているのが心強かった。
「叔父さん、山海さんをお連れしました。
どうぞ」
「かたじけない、高岳殿、久しいですな。夏の組合会合以来かと。
あの時は無礼を働いたと今は後悔しきり、まことお恥ずかしい」
「い、いやいやこちらこそあの時には喧嘩腰になってしまい……
まあ過ぎたことは水に流すと言うことで、お互いいい歳ですしな」
中年男が二人見合って愛想笑いをしている様は、有り体に言って美しいものではないが、それでも山海にとっては必要な手順なのだろう。そしてこのやり取りだけで八早月はすでに直感していた。
二人が言っている『あの時』の出来事とは、零愛を嫁に寄こせなどと横暴な態度を取ったことであり、山海はそのことを詫びておきたいに違いない。今になって謝罪すると言うことは今日持ちかけてきた話は高岳家にとって悪い話ではない、となるわけだ。
なんにせよ話はそれほど長くならなそうだと安堵しつつ、こんなことで宿を呼んでしまったことには申し訳ない気分の八早月である。とは言っても、昨日お役目の場にやってきた際には今まさに拳を振り下ろさんという勢いだった山海が、今ではすっかりおとなしく借りてきた猫になるとは想定外だったのだ。
部屋へ入ってからも態度は変わらず、磯吉に上座を促されたにも拘らず山海は頑なに部屋の奥へと進もうとしない。それどころか襖の外側、つまり廊下へと膝を突き始める始末だった。
「本日はわだかまりを解消するためだけに参ったのではございません。
昨日お会いした方を正式にご紹介いただきたく参上した次第。
こちらのお嬢さま、それに昨日にはいらっしゃらなかったもうひと方もお仲間でしょうか」
「いやはや大変失礼致しました、きちんとご紹介せねばなりませんな。
こちらのお嬢様は十久野郡八岐八家巫筆の櫛田八早月様でございます。
そしてもうひと方、ええっと――」
「お初にお目にかかります、八岐八家初崎宿と申します。
代替わりの儀でお顔は拝見しておりますがお話するのは初めてですな。
あれももう十五年近く経ちましょうか」
「おお、そうでしたか、その節はご足労ありがとうございました。
その後父は亡くなりましたがきっとこの再会を喜んでいる事でしょう」
まったく聞いていなかった宿と山海の関係を耳にして、八早月は明らかに不機嫌である。ただし疎外感からと言うわけではなく、余計な話で時間を延ばされたとの理由からだ。それでも筆頭なのだから愛想良くすることも時に必要と考え我慢していた。
まあ大人と言うのはいつもこうなのだし、下らないと感じる話の中にも重要な内容が含まれているかもしれない。今は注意深く二人の雑談を聞くことにしようと諦めてお茶に手を付けようとしたのだが、山海は未だ廊下に座ったままなのでさすがに躊躇われ伸ばした手を引っ込めた。
「それにしても八岐八家の筆頭がこのように若いとは驚くほかありません。
さらに言わせていただければ、ただならぬ神通力をお持ちのご様子。
さすが天津神にも国津神にも属さぬ八岐大蛇神の巫です」
「お褒めの言葉感謝いたします、しかしこれはあくまで借り物の力。
私自身が優れているわけではないのだと考えております。
この世に悪が蔓延っているために八岐大蛇様の力が必要とされている証。
我が身はその触媒でしかありません」
「これはまたなんと献身的でご立派なお考えなのでしょう。
このような素晴らしき一族と高岳家に交流があるとは知りませんでした。
してどういったご関係なのですかな?」
山海の問いは当然なのだがいささか失礼であるとも言える。しかし待ってましたと言わんばかりの磯吉が誇らしげに背筋を伸ばした。
「櫛田様はうちの飛雄を婿養子として迎え入れて下さるのです。
すでに先日一席設けまして許嫁の儀を交わしていただきました」
「な、なんと!? それはまっことめでたい、おめでとうございます。
これで高岳家も長らく安泰でしょうな」
一見すると祝辞を述べているようではあるが、その実落胆している様子がありありと見える。おそらくはこれで零愛を嫁に迎えると言う野望が完全に潰えたからだろう。
続いて過剰な祝いの言葉を並べ立てる山海と、それを嬉々として聞き入れる磯吉である。一体これは何を見せられているのかと言いたくなっているのは八早月も飛雄も似たようなものだ。
だがここで、退屈し始めた八早月の元に念話が届いた。このような会合の途中に割り込んでくると言うことはよほどの緊急事態と推察できる。念話の相手は真宵であり、予想通り非常に重要な事柄を伝えてきたのだ。同様に宿にも須佐乃から連絡が入ったようで表情には出さないが体の端に緊張が走ったのが見て取れる。
八早月は宿へ目配せをしたのだが、宿は渋い顔で僅かに首を横に動かす。つまり大人しくしているようにと言いたいのだろう。それを受けた八早月がにっこりと笑い返すと、笑顔の向こう側は諦めの表情で大きくため息を吐いた。
「コホン、お話が盛り上がっているところ無粋ですが、少々よろしいですか?
このままではなかなか本筋へ入らなそうなので私から進めることにしましょう。
それで山海様? 昨日捕らえた異国人たちはこちらで『処分』すればよろしいのですか?」
八早月による物騒な申し出を聞いた山海達彦は、あからさまな狼狽に安堵を混ぜたような複雑な面持ちを見せるのだった。
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