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第十二章 弥生(三月)
351半.??月??日 ?? 愛甲一族(閑話)
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※今話は前話で触れたものの詳細を省いた部分についての補足です。ただし内容は読み手を選ぶ物ですので、人によっては不快と感じる場合があるかと思います。閑話ですし知らずに済ませても問題ない内容のため、少しでも不安を感じたら途中でも読むのを中断するようお願いします。
※ちなみに愛甲正一からこの話を聞かされた新庄清太郎は、その直後に頭から井戸水を被りながら嘔吐しています。それくらい刺激の強い話だとご認識ください。
◇◇◇ ↓ 候文版 ↓ (現代文版は文末にあります)
愛甲正一はは緩やかに一族のことを語りはじめた。
恥ずかしながら我が村、我が一族位のことについてお話いたします可候。
我らが今以愛甲の姓を名乗っている間敷頃、酷い飢饉で村人のほぼすべてが死に絶えた時期が有ったとか。其時に今以子供と申せるほどの者たちが、どれが身内なのかもわかる間敷まま助け合いながら、主に裏の仕事を請け負い生きていたと伝えられており候。
盗みや殺しはもちろんのこと、女を攫う手伝いや行き倒れを装い気を引く間に別の者が他人の家に侵入するなどなんでもやったように候。生かさず殺さず程度のいくばくかの食い物を集団で分け合い、まさに生きるために生きていると申した畜生のように候生き様と申せます可候。
食えるかどうかもわかる間敷草木や虫を噛み潰し泥水を啜り、中には毒を喰らいながら後の者のために死んで行ったものもおりて候。田畑を襲い百姓に殺されたり、厩舎を襲って足軽につるし上げられるなど当たり前のこと。
人数者増えたり減ったりを繰り返しもはや元々の村人ばかりでは無之なったそうに候。然共一人だけ最初からずっと生きながらえていた物がおりて候。夫がのちに愛甲を名乗った一族の始祖に候綱手と申女に候。
綱手には不思議に候力、いや特性と申した方がわかり易い候可候。毒を受け付ける間敷と申丈夫に候体を持ってい度そうに候。其ため此女が口にする間と申して他の者も安心して食えるわけではなく、毒にやられ死んだ者もいたとか。
綱手も他の子と同様に最初者童に候うて候へ共、生きながらえるうちに当然歳を重ね候。すると野党や浪人のように候ゴロツキに目を付けられて当然。やがて女を売り生きるようになりて候。
候へ共綱手を抱いた男ども者其後長く生きること者無之、病死に候うたり事故死に候うたり、はた尚又斬り合いで死んで行ったりするものばかりとのこと。もちろん理由者わかりませね共誰もが不吉に候と気味悪がって近寄る間敷なり、夫から元の集団へと戻ったように候。
男たちの多い集団に候間色香の有之綱手を放っておけるはずが有りませず候。当然手にかける可とし候へ共、誰のものにするのかで揉めるわけに候。結局之者稼ぎの多いものが娶ると申ことで話がまとまり、男たち者ひと稼ぎする可と各地へ散っていって候。
然共世者戦の耐えぬ時代、戻ってくる者者僅かに候五体満足となるとさらに少なく候。そうこうしている間に今以童に候間と残っていた者と綱手者恋仲となり関係を結んでしまいて候。然共やはり此者も長くは無之すぐに亡くなって候。
自らを呪った綱手者、自分たちがしばしば集まっていた山から奥へと入り行きとある洞穴へと身を投げて候。候へ共然共、綱手者死にきれる間敷候。洞窟のそこには大量の蛞蝓が巣を作っており身を投げて穴底へ叩きつけられるのを防いで候ひて候。
夫でも此まま留まればいずれ命を落とす候可と、穴の中におって候へ共、何日経て共なぜか死なず候、夫どころか弥気が満ちてきたと書き残しておりて候。どうやら蛞蝓どもが栄養を運んできて綱手に与えたのでは無之かと。
死にきれる間敷綱手者之も運命に候と呪いの我が身を受け入れ、今度者隠密に候として生きることになり候。元々手を汚して生きてきた者たちの生き残りに候間何と申こと者無之候。
色仕掛けで陥れ自分を抱かせれば数日、数週間で相手者命を落とし候ひて候。
綱手の不思議に候点者もう一つございまして、実者年を取っている間敷のでは無之かとの疑いに候。何年生きているのか者自分でもわかる間敷ものの、肌艶者少女時代から変わり無之肉体も十分若々しく候と。
夫者仕事をする上では好都合に候、幾人もの男を間接的に殺め続けることができて候。実際に何年ほど殺しをして生きてきたのか者わかりませね共、相当に長い年月に候うたとは残されており候。
然共之に転機が訪れて候。今まで無かったのが不思議に候ほどなのに候へ共、有之時、誰の種かわからぬ子を身ごもってしまって候。当然相手者暗殺したものの中の誰かに候可候。然共もう此世には居りませずし誰に候かもわかりませず候。
綱手者徐々に大きくなる腹を抱えながら途方に暮れたそうに候。なぜに候へ此ままでは仕事ができぬ。食い扶持を稼ぐ間敷ければ生きて行くこと者出来る間敷候。候へ共此時彼女者思い出して候。元々自分者死に度かって候と申ことを候。
そこで最後の賭けとして例の場所へと向かいて候。そうに候、あの洞穴へもう一度身を投げる可と決めて候。以前同様に頭から落ちて行くとやはり同じる可に柔らかいものに受け止められ命を取り留めて候。
後者このままでいて命が繋がった候へ尚又生きて行く可候。死んでしまった候へ夫に候いいと考え洞穴の中で寝て暮らして候。やがて腹の中から子が出て来たそうに候へ共、其姿者まるで蛞蝓のように候うたと残されており候。
おそらく者早産に候うて候可と存じませ共、実際のところ者知る術者ございませず候。もちろん子が産まれる間と申して穴から出ること者せず候、母子暗闇の中で蛞蝓に埋もれるのみ。
夫でも不思議に候力が働いて候可哉。二人とも生き延び、子者十分に人の子に候と思える姿になっていたとか。ここまで来るともう生きるしか道者無之、そう考えた綱手者穴から出て尚又生きるために糧を求め仕事を繰り返して候。
出かけている間者洞穴に子を落とし残しておいて、帰ってきたら引き上げ飯を食わせる日々。そんな生活が尚又数年続き、いつの間にか子者三人に増えていたとのこと。まさかではございませ共、残された記録も完全ではなく中途不足のためおかしくなっているのかと。
とにかく数人の集団となった綱手者家族を養うために仕事を続けて候。最初の子も大分大きくなります間同じる可に仕事へ出かけ候。もちろん今以幼い候間殺しなど無理に候間毎日ごみ拾いばかり。
さらに時者流れ、最初の子が立派に仕事をこなせるように候年となったころ、家族者十人ほどとなっていたとのこと。仕事ができるもの者半数ほど。噂を聞いて方々の藩や家から仕事が来るようになりて候。
家族にも他から流れて来たものが加わったり、食いはぐれた女がやってきて夫婦になったりした者もいたとか。こうなるともう一つの集落で御座います可候。始まりの地に候洞穴のすぐそばに居を構え暮らしを整えて行って候。
之が戦国の世の内なの哉、有之程度平和に候世になってからなのかがあやふやに候はっきり致しませず候。記録が時系列で整理されておらず候、我が祖先の粗雑さを恨むばかり。
村の成り立ちはこのように候ところ、やがて戦国時代も終わりを迎え、殺し稼業が不要に候は無之とも少ない時代になりて候。候間夫からは飛脚のように候繋ぎを付ける仕事を生業としたように候。之者様々各所を回ることで情報を得て、必要とするところへ売ることと並行してできる間と申ことのように候。
とは申せ共、平和に候世になった後も隠密稼業者有之程度続いておりまして、子が出来ると洞穴へ降りてそこで産み落とし候。しばらく者そのまま暮らし、赤ん坊を抱えて出られるほどまで生き延びた者だけが尚又集落へと戻り候。
こうして生き延びた子らを鍛え上げ、大規模な忍びとは異なるものの周辺の藩へ隠密を売って糧を得ることも並行して行っていたとか。其結果、かくも異様に候村の基礎が出来上がったと申わけに候。
実者今以風習としては残っておりまして、子が産まれたらまず者洞穴に入りて一日過ごし候。数え二歳では二日過ごす、三歳で三日と増やしていき候。十になると当然十日の間洞穴で過ごすことになりませ共、もう分別の付く年頃に候間夫者もう狂ったように泣き叫ぶのでござり候。
もちろん現代で殺しに候とか隠密に候業などには誰もついておりませず候。警察官や警備会社、自衛隊など、己を鍛えながら仕事の出来る肉体労働が多い候へ共、社会のお役に立てるように候職に就いている者が多いかと。
我輩も越奧村にいるとき者林業へ従事しておりて候。金井町へ越してくる間転職となりませ共、来月からは運送会社で荷運びをすることが決まっており候。
長くなりませ共我輩の話者此辺でよろしい候可哉。
◇◇◇ ↓ 現代文版 ↓
愛甲正一はは緩やかに一族のことを語りはじめた。
恥ずかしながら我が村、我が一族位のことについてお話いたしましょう。
我らがまだ愛甲の姓を名乗っていなかった頃、酷い飢饉で村人のほぼすべてが死に絶えた時期があったとか。その時にまだ子供と言えるほどの者たちが、どれが身内なのかもわからないまま助け合いながら、主に裏の仕事を請け負い生きていたと伝えられております。
盗みや殺しはもちろんのこと、女を攫う手伝いや行き倒れを装い気を引く間に別の者が他人の家に侵入するなどなんでもやったようです。生かさず殺さず程度のいくばくかの食い物を集団で分け合い、まさに生きるために生きていると言った畜生のような生き様と言えましょう。
食えるかどうかもわからない草木や虫を噛み潰し泥水を啜り、中には毒を喰らいながら後の者のために死んで行ったものもおりました。田畑を襲い百姓に殺されたり、厩舎を襲って足軽につるし上げられるなど当たり前のこと。
人数は増えたり減ったりを繰り返しもはや元々の村人ばかりではなくなったそうです。しかし一人だけ最初からずっと生きながらえていた物がおりました。それがのちに愛甲を名乗った一族の始祖である綱手という女です。
綱手には不思議な力、いや特性と言った方がわかり易いでしょう。毒を受け付けないと言う丈夫な体を持っていたそうです。そのためこの女が口にしたからと言って他の者も安心して食えるわけではなく、毒にやられ死んだ者もいたとか。
綱手も他の子と同様に最初は童だったのですが、生きながらえるうちに当然歳を重ねます。すると野党や浪人のようなゴロツキに目を付けられて当然。やがて女を売り生きるようになりました。
ですが綱手を抱いた男どもはその後長く生きることは無く、病死だったり事故死だったり、はたまた斬り合いで死んで行ったりするものばかりとのこと。もちろん理由はわかりませぬが誰もが不吉と気味悪がって近寄らなくなり、それから元の集団へと戻ったようです。
男たちの多い集団でしたから色香のある綱手を放っておけるはずがありません。当然手にかけようとするのですが、誰のものにするのかで揉めるわけです。結局これは稼ぎの多いものが娶ると言うことで話がまとまり、男たちはひと稼ぎしようと各地へ散っていったのです。
しかし世は戦の耐えぬ時代、戻ってくる者は僅かで五体満足となるとさらに少ない。そうこうしている間にまだ童だからと残っていた者と綱手は恋仲となり関係を結んでしまいました。しかしやはりこの者も長くは無くすぐに亡くなったのです。
自らを呪った綱手は、自分たちがしばしば集まっていた山から奥へと入り行きとある洞穴へと身を投げました。だがしかし、綱手は死にきれなかった。洞窟のそこには大量の蛞蝓が巣を作っており身を投げて穴底へ叩きつけられるのを防いだのでした。
それでもこのまま留まればいずれ命を落とすだろうと、穴の中におったのですが、何日経ってもなぜか死なず、それどころかますます気が満ちてきたと書き残しておりました。どうやら蛞蝓どもが栄養を運んできて綱手に与えたのではないかと。
死にきれなかった綱手はこれも運命だと呪いの我が身を受け入れ、今度は隠密として生きることになります。元々手を汚して生きてきた者たちの生き残りですからなんと言うことは無い。
色仕掛けで陥れ自分を抱かせれば数日、数週間で相手は命を落とすのでした。
綱手の不思議な点はもう一つございまして、実は年を取っていないのではないかとの疑いです。何年生きているのかは自分でもわからないものの、肌艶は少女時代から変わりなく肉体も十分若々しいのだと。
それは仕事をする上では好都合で、幾人もの男を間接的に殺め続けることができたのです。実際に何年ほど殺しをして生きてきたのかはわかりませんが、相当に長い年月であったとは残されております。
しかしこれに転機が訪れました。今までなかったのが不思議なほどなのですが、ある時、誰の種かわからぬ子を身ごもってしまったのです。当然相手は暗殺したものの中の誰かでしょう。しかしもうこの世には居りませんし誰だかもわかりません。
綱手は徐々に大きくなる腹を抱えながら途方に暮れたそうです。なぜならこのままでは仕事ができぬ。食い扶持を稼がなければ生きて行くことは出来ない。ですがこの時彼女は思い出しました。元々自分は死にたかったのだと言うことをです。
そこで最後の賭けとして例の場所へと向かいました。そうです、あの洞穴へもう一度身を投げようと決めました。以前同様に頭から落ちて行くとやはり同じように柔らかいものに受け止められ命を取り留めた。
後はこのままでいて命が繋がったならまた生きて行こう。死んでしまったならそれでいいと考え洞穴の中で寝て暮らしたのです。やがて腹の中から子が出て来たそうですが、その姿はまるで蛞蝓のようだったと残されております。
おそらくは早産だったのだろうと存じますが、実際のところは知る術はございません。もちろん子が産まれたからと言って穴から出ることはせず、母子暗闇の中で蛞蝓に埋もれるのみ。
それでも不思議な力が働いたのでしょうか。二人とも生き延び、子は十分に人の子であると思える姿になっていたとか。ここまで来るともう生きるしか道はない、そう考えた綱手は穴から出てまた生きるために糧を求め仕事を繰り返しました。
出かけている間は洞穴に子を落とし残しておいて、帰ってきたら引き上げ飯を食わせる日々。そんな生活がまた数年続き、いつの間にか子は三人に増えていたとのこと。まさかではございますが、残された記録も完全ではなく中途不足のためおかしくなっているのかと。
とにかく数人の集団となった綱手は家族を養うために仕事を続けました。最初の子も大分大きくなりましたので同じように仕事へ出かけます。もちろんまだ幼いですし殺しなど無理ですから毎日ごみ拾いばかり。
さらに時は流れ、最初の子が立派に仕事をこなせるような年となったころ、家族は十人ほどとなっていたとのこと。仕事ができるものは半数ほど。噂を聞いて方々の藩や家から仕事が来るようになりました。
家族にも他から流れて来たものが加わったり、食いはぐれた女がやってきて夫婦になったりした者もいたとか。こうなるともう一つの集落で御座いましょう。始まりの地である洞穴のすぐそばに居を構え暮らしを整えて行ったのです。
これが戦国の世の内なのか、ある程度平和な世になってからなのかがあやふやではっきり致しません。記録が時系列で整理されておらず、我が祖先の粗雑さを恨むばかり。
村の成り立ちはこのようなところ、やがて戦国時代も終わりを迎え、殺し稼業が不要ではなくとも少ない時代になりました。ですのでそれからは飛脚のような繋ぎを付ける仕事を生業としたようです。これは様々各所を回ることで情報を得て、必要とするところへ売ることと並行してできるからと言うことのようです。
とは言っても、平和な世になった後も隠密稼業はある程度続いておりまして、子が出来ると洞穴へ降りてそこで産み落とす。しばらくはそのまま暮らし、赤ん坊を抱えて出られるほどまで生き延びた者だけがまた集落へと戻る。
こうして生き延びた子らを鍛え上げ、大規模な忍びとは異なるものの周辺の藩へ隠密を売って糧を得ることも並行して行っていたとか。その結果、かくも異様な村の基礎が出来上がったと言うわけです。
実は今でも風習としては残っておりまして、子が産まれたらまずは洞穴に入りて一日過ごす。数え二歳では二日過ごす、三歳で三日と増やしていくのです。十になると当然十日の間洞穴で過ごすことになりますが、もう分別の付く年頃ですのでそれはもう狂ったように泣き叫ぶのでございます。
もちろん現代で殺しだとか隠密業などには誰もついておりません。警察官や警備会社、自衛隊など、己を鍛えながら仕事の出来る肉体労働が多いですが、社会のお役に立てるような職に就いている者が多いかと。
我輩も越奧村にいるときは林業へ従事しておりました。金井町へ越してきたので転職となりましたが、来月からは運送会社で荷運びをすることが決まっております。
長くなりましたが我輩の話はこの辺でよろしいでしょうか。
※ちなみに愛甲正一からこの話を聞かされた新庄清太郎は、その直後に頭から井戸水を被りながら嘔吐しています。それくらい刺激の強い話だとご認識ください。
◇◇◇ ↓ 候文版 ↓ (現代文版は文末にあります)
愛甲正一はは緩やかに一族のことを語りはじめた。
恥ずかしながら我が村、我が一族位のことについてお話いたします可候。
我らが今以愛甲の姓を名乗っている間敷頃、酷い飢饉で村人のほぼすべてが死に絶えた時期が有ったとか。其時に今以子供と申せるほどの者たちが、どれが身内なのかもわかる間敷まま助け合いながら、主に裏の仕事を請け負い生きていたと伝えられており候。
盗みや殺しはもちろんのこと、女を攫う手伝いや行き倒れを装い気を引く間に別の者が他人の家に侵入するなどなんでもやったように候。生かさず殺さず程度のいくばくかの食い物を集団で分け合い、まさに生きるために生きていると申した畜生のように候生き様と申せます可候。
食えるかどうかもわかる間敷草木や虫を噛み潰し泥水を啜り、中には毒を喰らいながら後の者のために死んで行ったものもおりて候。田畑を襲い百姓に殺されたり、厩舎を襲って足軽につるし上げられるなど当たり前のこと。
人数者増えたり減ったりを繰り返しもはや元々の村人ばかりでは無之なったそうに候。然共一人だけ最初からずっと生きながらえていた物がおりて候。夫がのちに愛甲を名乗った一族の始祖に候綱手と申女に候。
綱手には不思議に候力、いや特性と申した方がわかり易い候可候。毒を受け付ける間敷と申丈夫に候体を持ってい度そうに候。其ため此女が口にする間と申して他の者も安心して食えるわけではなく、毒にやられ死んだ者もいたとか。
綱手も他の子と同様に最初者童に候うて候へ共、生きながらえるうちに当然歳を重ね候。すると野党や浪人のように候ゴロツキに目を付けられて当然。やがて女を売り生きるようになりて候。
候へ共綱手を抱いた男ども者其後長く生きること者無之、病死に候うたり事故死に候うたり、はた尚又斬り合いで死んで行ったりするものばかりとのこと。もちろん理由者わかりませね共誰もが不吉に候と気味悪がって近寄る間敷なり、夫から元の集団へと戻ったように候。
男たちの多い集団に候間色香の有之綱手を放っておけるはずが有りませず候。当然手にかける可とし候へ共、誰のものにするのかで揉めるわけに候。結局之者稼ぎの多いものが娶ると申ことで話がまとまり、男たち者ひと稼ぎする可と各地へ散っていって候。
然共世者戦の耐えぬ時代、戻ってくる者者僅かに候五体満足となるとさらに少なく候。そうこうしている間に今以童に候間と残っていた者と綱手者恋仲となり関係を結んでしまいて候。然共やはり此者も長くは無之すぐに亡くなって候。
自らを呪った綱手者、自分たちがしばしば集まっていた山から奥へと入り行きとある洞穴へと身を投げて候。候へ共然共、綱手者死にきれる間敷候。洞窟のそこには大量の蛞蝓が巣を作っており身を投げて穴底へ叩きつけられるのを防いで候ひて候。
夫でも此まま留まればいずれ命を落とす候可と、穴の中におって候へ共、何日経て共なぜか死なず候、夫どころか弥気が満ちてきたと書き残しておりて候。どうやら蛞蝓どもが栄養を運んできて綱手に与えたのでは無之かと。
死にきれる間敷綱手者之も運命に候と呪いの我が身を受け入れ、今度者隠密に候として生きることになり候。元々手を汚して生きてきた者たちの生き残りに候間何と申こと者無之候。
色仕掛けで陥れ自分を抱かせれば数日、数週間で相手者命を落とし候ひて候。
綱手の不思議に候点者もう一つございまして、実者年を取っている間敷のでは無之かとの疑いに候。何年生きているのか者自分でもわかる間敷ものの、肌艶者少女時代から変わり無之肉体も十分若々しく候と。
夫者仕事をする上では好都合に候、幾人もの男を間接的に殺め続けることができて候。実際に何年ほど殺しをして生きてきたのか者わかりませね共、相当に長い年月に候うたとは残されており候。
然共之に転機が訪れて候。今まで無かったのが不思議に候ほどなのに候へ共、有之時、誰の種かわからぬ子を身ごもってしまって候。当然相手者暗殺したものの中の誰かに候可候。然共もう此世には居りませずし誰に候かもわかりませず候。
綱手者徐々に大きくなる腹を抱えながら途方に暮れたそうに候。なぜに候へ此ままでは仕事ができぬ。食い扶持を稼ぐ間敷ければ生きて行くこと者出来る間敷候。候へ共此時彼女者思い出して候。元々自分者死に度かって候と申ことを候。
そこで最後の賭けとして例の場所へと向かいて候。そうに候、あの洞穴へもう一度身を投げる可と決めて候。以前同様に頭から落ちて行くとやはり同じる可に柔らかいものに受け止められ命を取り留めて候。
後者このままでいて命が繋がった候へ尚又生きて行く可候。死んでしまった候へ夫に候いいと考え洞穴の中で寝て暮らして候。やがて腹の中から子が出て来たそうに候へ共、其姿者まるで蛞蝓のように候うたと残されており候。
おそらく者早産に候うて候可と存じませ共、実際のところ者知る術者ございませず候。もちろん子が産まれる間と申して穴から出ること者せず候、母子暗闇の中で蛞蝓に埋もれるのみ。
夫でも不思議に候力が働いて候可哉。二人とも生き延び、子者十分に人の子に候と思える姿になっていたとか。ここまで来るともう生きるしか道者無之、そう考えた綱手者穴から出て尚又生きるために糧を求め仕事を繰り返して候。
出かけている間者洞穴に子を落とし残しておいて、帰ってきたら引き上げ飯を食わせる日々。そんな生活が尚又数年続き、いつの間にか子者三人に増えていたとのこと。まさかではございませ共、残された記録も完全ではなく中途不足のためおかしくなっているのかと。
とにかく数人の集団となった綱手者家族を養うために仕事を続けて候。最初の子も大分大きくなります間同じる可に仕事へ出かけ候。もちろん今以幼い候間殺しなど無理に候間毎日ごみ拾いばかり。
さらに時者流れ、最初の子が立派に仕事をこなせるように候年となったころ、家族者十人ほどとなっていたとのこと。仕事ができるもの者半数ほど。噂を聞いて方々の藩や家から仕事が来るようになりて候。
家族にも他から流れて来たものが加わったり、食いはぐれた女がやってきて夫婦になったりした者もいたとか。こうなるともう一つの集落で御座います可候。始まりの地に候洞穴のすぐそばに居を構え暮らしを整えて行って候。
之が戦国の世の内なの哉、有之程度平和に候世になってからなのかがあやふやに候はっきり致しませず候。記録が時系列で整理されておらず候、我が祖先の粗雑さを恨むばかり。
村の成り立ちはこのように候ところ、やがて戦国時代も終わりを迎え、殺し稼業が不要に候は無之とも少ない時代になりて候。候間夫からは飛脚のように候繋ぎを付ける仕事を生業としたように候。之者様々各所を回ることで情報を得て、必要とするところへ売ることと並行してできる間と申ことのように候。
とは申せ共、平和に候世になった後も隠密稼業者有之程度続いておりまして、子が出来ると洞穴へ降りてそこで産み落とし候。しばらく者そのまま暮らし、赤ん坊を抱えて出られるほどまで生き延びた者だけが尚又集落へと戻り候。
こうして生き延びた子らを鍛え上げ、大規模な忍びとは異なるものの周辺の藩へ隠密を売って糧を得ることも並行して行っていたとか。其結果、かくも異様に候村の基礎が出来上がったと申わけに候。
実者今以風習としては残っておりまして、子が産まれたらまず者洞穴に入りて一日過ごし候。数え二歳では二日過ごす、三歳で三日と増やしていき候。十になると当然十日の間洞穴で過ごすことになりませ共、もう分別の付く年頃に候間夫者もう狂ったように泣き叫ぶのでござり候。
もちろん現代で殺しに候とか隠密に候業などには誰もついておりませず候。警察官や警備会社、自衛隊など、己を鍛えながら仕事の出来る肉体労働が多い候へ共、社会のお役に立てるように候職に就いている者が多いかと。
我輩も越奧村にいるとき者林業へ従事しておりて候。金井町へ越してくる間転職となりませ共、来月からは運送会社で荷運びをすることが決まっており候。
長くなりませ共我輩の話者此辺でよろしい候可哉。
◇◇◇ ↓ 現代文版 ↓
愛甲正一はは緩やかに一族のことを語りはじめた。
恥ずかしながら我が村、我が一族位のことについてお話いたしましょう。
我らがまだ愛甲の姓を名乗っていなかった頃、酷い飢饉で村人のほぼすべてが死に絶えた時期があったとか。その時にまだ子供と言えるほどの者たちが、どれが身内なのかもわからないまま助け合いながら、主に裏の仕事を請け負い生きていたと伝えられております。
盗みや殺しはもちろんのこと、女を攫う手伝いや行き倒れを装い気を引く間に別の者が他人の家に侵入するなどなんでもやったようです。生かさず殺さず程度のいくばくかの食い物を集団で分け合い、まさに生きるために生きていると言った畜生のような生き様と言えましょう。
食えるかどうかもわからない草木や虫を噛み潰し泥水を啜り、中には毒を喰らいながら後の者のために死んで行ったものもおりました。田畑を襲い百姓に殺されたり、厩舎を襲って足軽につるし上げられるなど当たり前のこと。
人数は増えたり減ったりを繰り返しもはや元々の村人ばかりではなくなったそうです。しかし一人だけ最初からずっと生きながらえていた物がおりました。それがのちに愛甲を名乗った一族の始祖である綱手という女です。
綱手には不思議な力、いや特性と言った方がわかり易いでしょう。毒を受け付けないと言う丈夫な体を持っていたそうです。そのためこの女が口にしたからと言って他の者も安心して食えるわけではなく、毒にやられ死んだ者もいたとか。
綱手も他の子と同様に最初は童だったのですが、生きながらえるうちに当然歳を重ねます。すると野党や浪人のようなゴロツキに目を付けられて当然。やがて女を売り生きるようになりました。
ですが綱手を抱いた男どもはその後長く生きることは無く、病死だったり事故死だったり、はたまた斬り合いで死んで行ったりするものばかりとのこと。もちろん理由はわかりませぬが誰もが不吉と気味悪がって近寄らなくなり、それから元の集団へと戻ったようです。
男たちの多い集団でしたから色香のある綱手を放っておけるはずがありません。当然手にかけようとするのですが、誰のものにするのかで揉めるわけです。結局これは稼ぎの多いものが娶ると言うことで話がまとまり、男たちはひと稼ぎしようと各地へ散っていったのです。
しかし世は戦の耐えぬ時代、戻ってくる者は僅かで五体満足となるとさらに少ない。そうこうしている間にまだ童だからと残っていた者と綱手は恋仲となり関係を結んでしまいました。しかしやはりこの者も長くは無くすぐに亡くなったのです。
自らを呪った綱手は、自分たちがしばしば集まっていた山から奥へと入り行きとある洞穴へと身を投げました。だがしかし、綱手は死にきれなかった。洞窟のそこには大量の蛞蝓が巣を作っており身を投げて穴底へ叩きつけられるのを防いだのでした。
それでもこのまま留まればいずれ命を落とすだろうと、穴の中におったのですが、何日経ってもなぜか死なず、それどころかますます気が満ちてきたと書き残しておりました。どうやら蛞蝓どもが栄養を運んできて綱手に与えたのではないかと。
死にきれなかった綱手はこれも運命だと呪いの我が身を受け入れ、今度は隠密として生きることになります。元々手を汚して生きてきた者たちの生き残りですからなんと言うことは無い。
色仕掛けで陥れ自分を抱かせれば数日、数週間で相手は命を落とすのでした。
綱手の不思議な点はもう一つございまして、実は年を取っていないのではないかとの疑いです。何年生きているのかは自分でもわからないものの、肌艶は少女時代から変わりなく肉体も十分若々しいのだと。
それは仕事をする上では好都合で、幾人もの男を間接的に殺め続けることができたのです。実際に何年ほど殺しをして生きてきたのかはわかりませんが、相当に長い年月であったとは残されております。
しかしこれに転機が訪れました。今までなかったのが不思議なほどなのですが、ある時、誰の種かわからぬ子を身ごもってしまったのです。当然相手は暗殺したものの中の誰かでしょう。しかしもうこの世には居りませんし誰だかもわかりません。
綱手は徐々に大きくなる腹を抱えながら途方に暮れたそうです。なぜならこのままでは仕事ができぬ。食い扶持を稼がなければ生きて行くことは出来ない。ですがこの時彼女は思い出しました。元々自分は死にたかったのだと言うことをです。
そこで最後の賭けとして例の場所へと向かいました。そうです、あの洞穴へもう一度身を投げようと決めました。以前同様に頭から落ちて行くとやはり同じように柔らかいものに受け止められ命を取り留めた。
後はこのままでいて命が繋がったならまた生きて行こう。死んでしまったならそれでいいと考え洞穴の中で寝て暮らしたのです。やがて腹の中から子が出て来たそうですが、その姿はまるで蛞蝓のようだったと残されております。
おそらくは早産だったのだろうと存じますが、実際のところは知る術はございません。もちろん子が産まれたからと言って穴から出ることはせず、母子暗闇の中で蛞蝓に埋もれるのみ。
それでも不思議な力が働いたのでしょうか。二人とも生き延び、子は十分に人の子であると思える姿になっていたとか。ここまで来るともう生きるしか道はない、そう考えた綱手は穴から出てまた生きるために糧を求め仕事を繰り返しました。
出かけている間は洞穴に子を落とし残しておいて、帰ってきたら引き上げ飯を食わせる日々。そんな生活がまた数年続き、いつの間にか子は三人に増えていたとのこと。まさかではございますが、残された記録も完全ではなく中途不足のためおかしくなっているのかと。
とにかく数人の集団となった綱手は家族を養うために仕事を続けました。最初の子も大分大きくなりましたので同じように仕事へ出かけます。もちろんまだ幼いですし殺しなど無理ですから毎日ごみ拾いばかり。
さらに時は流れ、最初の子が立派に仕事をこなせるような年となったころ、家族は十人ほどとなっていたとのこと。仕事ができるものは半数ほど。噂を聞いて方々の藩や家から仕事が来るようになりました。
家族にも他から流れて来たものが加わったり、食いはぐれた女がやってきて夫婦になったりした者もいたとか。こうなるともう一つの集落で御座いましょう。始まりの地である洞穴のすぐそばに居を構え暮らしを整えて行ったのです。
これが戦国の世の内なのか、ある程度平和な世になってからなのかがあやふやではっきり致しません。記録が時系列で整理されておらず、我が祖先の粗雑さを恨むばかり。
村の成り立ちはこのようなところ、やがて戦国時代も終わりを迎え、殺し稼業が不要ではなくとも少ない時代になりました。ですのでそれからは飛脚のような繋ぎを付ける仕事を生業としたようです。これは様々各所を回ることで情報を得て、必要とするところへ売ることと並行してできるからと言うことのようです。
とは言っても、平和な世になった後も隠密稼業はある程度続いておりまして、子が出来ると洞穴へ降りてそこで産み落とす。しばらくはそのまま暮らし、赤ん坊を抱えて出られるほどまで生き延びた者だけがまた集落へと戻る。
こうして生き延びた子らを鍛え上げ、大規模な忍びとは異なるものの周辺の藩へ隠密を売って糧を得ることも並行して行っていたとか。その結果、かくも異様な村の基礎が出来上がったと言うわけです。
実は今でも風習としては残っておりまして、子が産まれたらまずは洞穴に入りて一日過ごす。数え二歳では二日過ごす、三歳で三日と増やしていくのです。十になると当然十日の間洞穴で過ごすことになりますが、もう分別の付く年頃ですのでそれはもう狂ったように泣き叫ぶのでございます。
もちろん現代で殺しだとか隠密業などには誰もついておりません。警察官や警備会社、自衛隊など、己を鍛えながら仕事の出来る肉体労働が多いですが、社会のお役に立てるような職に就いている者が多いかと。
我輩も越奧村にいるときは林業へ従事しておりました。金井町へ越してきたので転職となりましたが、来月からは運送会社で荷運びをすることが決まっております。
長くなりましたが我輩の話はこの辺でよろしいでしょうか。
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