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第十二章 弥生(三月)
364.三月三十日 午前 男衆の受難
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「食べ過ぎたと言っていたのだからちょうど良いのではなくて?
春休みで練習も少なく運動不足になっているかもしれませんしね。
板倉さんは無理をし過ぎて帰りの運転に支障が出ると困りますから程々に願いますよ?」
「わかって、るよ、くぅ」
「は、はいー」
勝手知ったる父の船ではあるのだが今日は少々事情が異なる。たまに船に乗るとしても沿岸警備の手伝いでただ乗っているだけだ。それが揺れる船の上での作業となると勝手が違うどころではない。これが良かったのか悪かったのか問われると判断に困るが、八早月が命じてきたのだから従うことまでは既定路線である。
切っ掛けを作ったのが零愛でなかったとしたら…… もしかすると逆鱗に触れたかもしれない。そう考えれば力仕事をするだけで済んだと言うのは不幸中の幸い、なのだろうかと自問自答する飛雄だった。
それは早朝鍛錬中の出来事――
◇◇◇
「すでに設置が終わっているとは聞きましたが、お代の件も済みましたか?
彼の御仁がいまさら何か言い出すとは思えませんが念のため」
「は、ははっ、山海殿の件でございますね。
直接請求を回すようにとの話も出ましたが、結局は石屋の手配までやってくださいました」
「それは何よりです。ちなみにその後の具合はいかがなご様子でしょう。
先日は結局伏せたままでこちらを発つことになってしまいましたからね。
本日いらっしゃらないと言うことはあまり芳しくないのでしょうか?」
「左様ですなあ、やはり色々とショックなようでして心労も相当なものかと。
別の町のこととは言え私共も他人事で済ますわけにもいきませぬ。
こちらの海でも風力発電を設置する話が持ち上がったことがあるのですから」
高岳磯吉が八早月へ説明している内容に嘘はない。だが全て話しているわけでもなかった。実のところ山海達彦は出歩けないほど体調が悪いわけではない。しかし八早月と顔を合わせると平常ではいられないと参列を断って来たのだ。
普通であれば神事を断るなど礼儀知らずだと考えたくもなるが、以前八早月がやってきた際に高岳本家を訪れた山海の状況を踏まえると、それも致し方ないと納得している磯吉である。
だがなぜあの時倒れてしまったのかについては理解しておらず、恐らくは零愛を嫁に獲ることが完全に敵わないと悟り、高岳家への敗北感から脱力してしまったのだろうと考えていた。さらには彼の息子が関わっている太陽光発電所建設誘致が着々と進んでいることも体調が改善しない悪材料であろう。
しかし実際は八早月に脅されたも同然だったことが大きい。山海は異国の神職者へお役目の手伝いを依頼していたばかりか、その者たちが国内で良からぬことを企て実行していたのを目こぼししていた。そのことを八岐八家に握られてしまったのだから今後一切逆らうことは敵わないと考え、未だ絶望の淵にいる。
八早月は八早月で、山海の息子たちが環境運動と言う名の環境破壊に加担していることなどとうに忘れており、巫としては大分高齢のため純粋に体調の心配をしていた。まさか山海が孫と大差ない小娘に追い詰められたことを引き摺り、八早月を避けて現れないなどは露ほども考えていないのだった。
「それにしてもようやくこの日がやってくることになり嬉しく思います。
あのような酷い有様のままでは神の憑代として成りたちませんからね。
姿は以前のままと行かなくとも大分寄せることができたのでしょうか?」
「えっ? ああ、祠の? 左様ですね、写真と比べてほぼ同じだと思います。
大地震がまた起きないことを願うのみでございますなぁ」
前回遠沿守翼小嗣を訪れた際に聞いた話では、地震で崩れた祠の上にさらに落石が襲い掛かり土台が砕けてしまったとの説明だった。海沿いの崖近くに祀られている祠ならではの複合被害といえるだろう。
周囲に散らかったままの石は、その時の落石の残骸と砕けた祠とが入り混じってしまったものらしい。どうりで数色の石が転がっていたわけだ。砕けた元の祠は再建と同時に供養を行うつもりだが、ご神体と関わりのない普通の石ころも供養することになるのはご愛嬌の一言で済ますつもりの八早月である。
そんな過去の悲劇を思い出していたのか、零愛も感慨深そうに眼を閉じ腕を組みながら頷いている。そして八早月の知らなかった出来事を口にした。
「ホント二度と勘弁だよなあ、お陰で祠と並んでた彫像は海に落ちちゃうしさ。
でも新しく鳥の像もちゃんと作ってくれたから良かったよ。
前の鳥もこれできっと浮かばれるよな? 沈んだままだけど、あはは、は――」
「零愛さん? 今なんと? まさか沈んだままと言うのは祠の一部である彫像なのですか?」
もちろん八早月の表情は見る見るうちに真っ赤な鬼の形相となっていき、高岳姉弟と磯吉は家の前の道路に正座させられとくとくと説教をされる羽目になった。
◇◇◇
そんなことがあっての今である。遠沿守翼小嗣の先に広がる海へと潜った姉弟は落下したと言う鳥の彫像を見つけてロープを括りつけてきた。それを人力で引っ張り上げようとしているのだ。小さい祠に設置されていたものだから巨像ではないものの、それでもかなりの重さがあるのは間違いない。
水から出た瞬間にはさらに重さを感じることとなるため注意をしつつ、飛雄と板倉はロープを引いていた。今の今まで潜っていた零愛は疲労困憊で甲板に大の字を描き美晴と面倒を見てもらってひと休み中だ。ちなみに夢路は船が苦手だし綾乃は満足に泳げないから怖いと言って崖の上の祠そばで留守番である。
船を出している雄二郎はどうせなら磯吉の船で来れば網を巻き取るネットローラーやクレーンが付いていたのにと悔やんでいた。しかし八早月と飛雄なら、神様を引き上げるのだから『人力でないと失礼だ』などと言ったかもしれない。
第一いくら近海用で小型といっても、小回りの利かない漁船でこの磯場に入ってくるのは危険すぎる。その点、雄二郎の船は小型で浅瀬にも入れる救難艇をベースとした沿岸警備艇と言うことで、今回の作戦にはうってつけだった。
ところでそんな様子を崖上から見物すると大口を叩いていた綾乃と夢路は、結局高いところも怖くて下を覗くどころか近寄ることすらできていない。それどころか祠の側に敷いたレジャーマット、二メーター四方の上に陣取ったまま震えながら皆が戻るのを待っている有様である。
こうしておよそ四時間ほどかけた救出作業は無事に終了し、引き上げられた鳥の彫像は港から揚げられようやく陽の目を見た。しかも損傷はほぼ無くきれいな状態なので、対にしてそのまま祀った方が良さそうと言う話になった。
「こうして並べてみると違うようで似ているし、同じようで差異があるわね。
どちらが烏でどちらが鳶かと言われると困ってしまうけれど」
「まあどっちがどっちってことも無くていいよ、今までは一羽だったんだしな。
そう考えるとなんで元々二羽じゃなかったのかが不思議に思えてくるなよ。
双子が条件なんだから祠にも鳥像が二羽あって然るべきじゃないのかねえ」
「トビにしては珍しく食いつくんだな、こういうのはどうでもいいって言いがちなのに」
「オレだって自分のことなんだから気になるに決まってるがい。
姉ちゃんは疑問に思わないんかよ、親父や叔父さんはなんかしらんのか?」
「アレ? 叔父さんどこ行った? まったく当事者のくせに落ち着きないなあ。
っと、メール入ってたわ。おじじいちゃんのとこへ昼飯取りに行ったみたい」
「もう昼過ぎたからな、オレはハラペコだよ、マジでめっちゃ重かったし。
姉ちゃんは潜っただけだからいいけどオレなんて休みなしで引き上げだぞ?
マジでひとづ―― ひとつ、引き上げるだけで良かったなー」
「飛雄さん? なにか言いたいことがあるのならご遠慮なさらずどうぞ?
そもそもまだご理解頂けていないようですけれど、海へ落ちたのがわかっていながら今までずっと引き上げていないことが問題なのです。なぜすぐに引き上げなかったのですか。八咫烏か金鵄かわかりませんが、ずっと冷たい思いをしながら助けを待っていたに違いありません。それをあなたたちは酷い真似をして――」
「わかった、わかってるからそう興奮するなってば。もうすぐ飯が届くからさ。
この広々とした海を見ながら気分よく飯にしようぜ、な?
あとな? 海だって夏になれば冷たくは無いから心配しなくてもいいんだぞ?」
『あっのバカっ』
零愛が忠告する暇などもちろんなく、八早月の小言はさらに酷くなり、それは昼食のおにぎりが届くまで続いたのだった。
春休みで練習も少なく運動不足になっているかもしれませんしね。
板倉さんは無理をし過ぎて帰りの運転に支障が出ると困りますから程々に願いますよ?」
「わかって、るよ、くぅ」
「は、はいー」
勝手知ったる父の船ではあるのだが今日は少々事情が異なる。たまに船に乗るとしても沿岸警備の手伝いでただ乗っているだけだ。それが揺れる船の上での作業となると勝手が違うどころではない。これが良かったのか悪かったのか問われると判断に困るが、八早月が命じてきたのだから従うことまでは既定路線である。
切っ掛けを作ったのが零愛でなかったとしたら…… もしかすると逆鱗に触れたかもしれない。そう考えれば力仕事をするだけで済んだと言うのは不幸中の幸い、なのだろうかと自問自答する飛雄だった。
それは早朝鍛錬中の出来事――
◇◇◇
「すでに設置が終わっているとは聞きましたが、お代の件も済みましたか?
彼の御仁がいまさら何か言い出すとは思えませんが念のため」
「は、ははっ、山海殿の件でございますね。
直接請求を回すようにとの話も出ましたが、結局は石屋の手配までやってくださいました」
「それは何よりです。ちなみにその後の具合はいかがなご様子でしょう。
先日は結局伏せたままでこちらを発つことになってしまいましたからね。
本日いらっしゃらないと言うことはあまり芳しくないのでしょうか?」
「左様ですなあ、やはり色々とショックなようでして心労も相当なものかと。
別の町のこととは言え私共も他人事で済ますわけにもいきませぬ。
こちらの海でも風力発電を設置する話が持ち上がったことがあるのですから」
高岳磯吉が八早月へ説明している内容に嘘はない。だが全て話しているわけでもなかった。実のところ山海達彦は出歩けないほど体調が悪いわけではない。しかし八早月と顔を合わせると平常ではいられないと参列を断って来たのだ。
普通であれば神事を断るなど礼儀知らずだと考えたくもなるが、以前八早月がやってきた際に高岳本家を訪れた山海の状況を踏まえると、それも致し方ないと納得している磯吉である。
だがなぜあの時倒れてしまったのかについては理解しておらず、恐らくは零愛を嫁に獲ることが完全に敵わないと悟り、高岳家への敗北感から脱力してしまったのだろうと考えていた。さらには彼の息子が関わっている太陽光発電所建設誘致が着々と進んでいることも体調が改善しない悪材料であろう。
しかし実際は八早月に脅されたも同然だったことが大きい。山海は異国の神職者へお役目の手伝いを依頼していたばかりか、その者たちが国内で良からぬことを企て実行していたのを目こぼししていた。そのことを八岐八家に握られてしまったのだから今後一切逆らうことは敵わないと考え、未だ絶望の淵にいる。
八早月は八早月で、山海の息子たちが環境運動と言う名の環境破壊に加担していることなどとうに忘れており、巫としては大分高齢のため純粋に体調の心配をしていた。まさか山海が孫と大差ない小娘に追い詰められたことを引き摺り、八早月を避けて現れないなどは露ほども考えていないのだった。
「それにしてもようやくこの日がやってくることになり嬉しく思います。
あのような酷い有様のままでは神の憑代として成りたちませんからね。
姿は以前のままと行かなくとも大分寄せることができたのでしょうか?」
「えっ? ああ、祠の? 左様ですね、写真と比べてほぼ同じだと思います。
大地震がまた起きないことを願うのみでございますなぁ」
前回遠沿守翼小嗣を訪れた際に聞いた話では、地震で崩れた祠の上にさらに落石が襲い掛かり土台が砕けてしまったとの説明だった。海沿いの崖近くに祀られている祠ならではの複合被害といえるだろう。
周囲に散らかったままの石は、その時の落石の残骸と砕けた祠とが入り混じってしまったものらしい。どうりで数色の石が転がっていたわけだ。砕けた元の祠は再建と同時に供養を行うつもりだが、ご神体と関わりのない普通の石ころも供養することになるのはご愛嬌の一言で済ますつもりの八早月である。
そんな過去の悲劇を思い出していたのか、零愛も感慨深そうに眼を閉じ腕を組みながら頷いている。そして八早月の知らなかった出来事を口にした。
「ホント二度と勘弁だよなあ、お陰で祠と並んでた彫像は海に落ちちゃうしさ。
でも新しく鳥の像もちゃんと作ってくれたから良かったよ。
前の鳥もこれできっと浮かばれるよな? 沈んだままだけど、あはは、は――」
「零愛さん? 今なんと? まさか沈んだままと言うのは祠の一部である彫像なのですか?」
もちろん八早月の表情は見る見るうちに真っ赤な鬼の形相となっていき、高岳姉弟と磯吉は家の前の道路に正座させられとくとくと説教をされる羽目になった。
◇◇◇
そんなことがあっての今である。遠沿守翼小嗣の先に広がる海へと潜った姉弟は落下したと言う鳥の彫像を見つけてロープを括りつけてきた。それを人力で引っ張り上げようとしているのだ。小さい祠に設置されていたものだから巨像ではないものの、それでもかなりの重さがあるのは間違いない。
水から出た瞬間にはさらに重さを感じることとなるため注意をしつつ、飛雄と板倉はロープを引いていた。今の今まで潜っていた零愛は疲労困憊で甲板に大の字を描き美晴と面倒を見てもらってひと休み中だ。ちなみに夢路は船が苦手だし綾乃は満足に泳げないから怖いと言って崖の上の祠そばで留守番である。
船を出している雄二郎はどうせなら磯吉の船で来れば網を巻き取るネットローラーやクレーンが付いていたのにと悔やんでいた。しかし八早月と飛雄なら、神様を引き上げるのだから『人力でないと失礼だ』などと言ったかもしれない。
第一いくら近海用で小型といっても、小回りの利かない漁船でこの磯場に入ってくるのは危険すぎる。その点、雄二郎の船は小型で浅瀬にも入れる救難艇をベースとした沿岸警備艇と言うことで、今回の作戦にはうってつけだった。
ところでそんな様子を崖上から見物すると大口を叩いていた綾乃と夢路は、結局高いところも怖くて下を覗くどころか近寄ることすらできていない。それどころか祠の側に敷いたレジャーマット、二メーター四方の上に陣取ったまま震えながら皆が戻るのを待っている有様である。
こうしておよそ四時間ほどかけた救出作業は無事に終了し、引き上げられた鳥の彫像は港から揚げられようやく陽の目を見た。しかも損傷はほぼ無くきれいな状態なので、対にしてそのまま祀った方が良さそうと言う話になった。
「こうして並べてみると違うようで似ているし、同じようで差異があるわね。
どちらが烏でどちらが鳶かと言われると困ってしまうけれど」
「まあどっちがどっちってことも無くていいよ、今までは一羽だったんだしな。
そう考えるとなんで元々二羽じゃなかったのかが不思議に思えてくるなよ。
双子が条件なんだから祠にも鳥像が二羽あって然るべきじゃないのかねえ」
「トビにしては珍しく食いつくんだな、こういうのはどうでもいいって言いがちなのに」
「オレだって自分のことなんだから気になるに決まってるがい。
姉ちゃんは疑問に思わないんかよ、親父や叔父さんはなんかしらんのか?」
「アレ? 叔父さんどこ行った? まったく当事者のくせに落ち着きないなあ。
っと、メール入ってたわ。おじじいちゃんのとこへ昼飯取りに行ったみたい」
「もう昼過ぎたからな、オレはハラペコだよ、マジでめっちゃ重かったし。
姉ちゃんは潜っただけだからいいけどオレなんて休みなしで引き上げだぞ?
マジでひとづ―― ひとつ、引き上げるだけで良かったなー」
「飛雄さん? なにか言いたいことがあるのならご遠慮なさらずどうぞ?
そもそもまだご理解頂けていないようですけれど、海へ落ちたのがわかっていながら今までずっと引き上げていないことが問題なのです。なぜすぐに引き上げなかったのですか。八咫烏か金鵄かわかりませんが、ずっと冷たい思いをしながら助けを待っていたに違いありません。それをあなたたちは酷い真似をして――」
「わかった、わかってるからそう興奮するなってば。もうすぐ飯が届くからさ。
この広々とした海を見ながら気分よく飯にしようぜ、な?
あとな? 海だって夏になれば冷たくは無いから心配しなくてもいいんだぞ?」
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