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最後の恋は神さまとでした
天才軍師の結婚/4
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恋愛シミュレーションゲームで、策略に引っかかりボロボロに敗北した相手。みんなを救うために戦術を考えたと、尊敬の念を持っていた男。そんな大物がくるとは、倫礼は最初受け入れられなかった。
だが、自分の勝手で事実を歪めることはできない。審神者を何度しても、森羅万象にねじれが生まれない――となると、認めざるを負えなかった。
「世の中狭いなあ。焉貴さんの友達が孔明さんだったなんて。イメージ通りの人だ。ずいぶん背が高いみたいだけど……」
焉貴は結婚して、背が縮んで百九十七センチだったが、それでもずいぶんと高い方だ。それなのに、孔明はさらに数十センチはあるだろう背丈だった。
おまけの妻はすっかり忘れていた。心の中で思い浮かべていることが、神々に聞こえているとは。
「仲がいいんだね。でもさ、父上がこれ以上は結婚するのはいけないって言ったから、仕方がないよね。寂しいかもしれないけど、できるだけデートとかは許してあげたいな。奥さんがどう思うかはわからないけど……」
紅朱凛が一押しだった人物では、策は成功しなかった。孔明はすぐさま次のターゲットへ照準を変える。
(彼女は何もしてこない。そうなると、ターゲットはこの人になる)
おまけの倫礼の病状は少しずつ回復はしてきているが、時々調子がおかしくなることがあり、それを心配して、夫たちは守護神として彼女のそばにいつもいた。
今も、蓮、光命、夕霧命、月命がそれぞれ好きなことをしながら、焉貴のことも見守っていたが、孔明は銀の長い前髪を持つ蓮へすっと近づいた。
「初めまして。孔明と申します」
「初めまして、蓮だ。焉貴が世話に――」
全て言う前に、孔明は蓮にいきなりキスをした。
「なぜ、俺にキスをする?」
「ふふっ」
孔明は答えず、妖艶に微笑むだけだった。すぐそばで見ていたおまけの倫礼はびっくりして、両手で口をふさいだ。
(えぇっ!? そんな大胆な人だった? 孔明さんって)
大事件を起こして、孔明は何事もなかったように、その日は帰ってしまったのだった。
*
そして、翌日。蓮はコンサートツアーの打ち上げで、夜は家を開けていたが、焉貴の携帯電話が鳴った。
「もしもし、何、お前、仕事どうしちゃったの?」
パーティの途中で電話をかけてくるとは、一体どういうことだ。倫礼は仕事の手を止める。
「ん? 連から電話?」
何か話を聞いていたが、焉貴は電話を顔から外して、
「蓮、恋に落ちちゃった」
「落ちちゃったじゃないわ」妻は大きな声で突っ込み、あきれた顔をした。「いきなりキスされただけなのに……。相変わらず惚れやすいな」
「パパにきちんと話通してくれるって」
こうやって、孔明はバイセクシャルの複数婚へこぎ着けたのだった。
全員で家長の元へ行き、頭を下げたが、光秀が言っていた意味は、自身の気持ちを大切にしなさい。次から次へと、本人の気持ちを大切にして結婚をしているが、自分の気持ちはきちんとついていっているのかと、問うてみろということだったのだ。
おまけの倫礼は家長のところへはいけない。静まり返った我が家で待っていると、報告を聞いて、少し驚いた。
「え、明引呼さんとより、孔明さんと結婚するのが先になったって?」
「そうだ」
蓮は奥行きがあり少し低めの声で同意する。
明引呼とする結婚式十二月の終わりだったが、今は十一月の下旬。順番が狂ってしまったのだ。
「あぁ、そうか。何だか変な感じがするけど……」
おまけの倫礼は何か引っかかりを覚えたが、答えは出なかった。焉貴はすぐに孔明に電話をかけて、プロポーズに行く日を約束したのだった。
だが、自分の勝手で事実を歪めることはできない。審神者を何度しても、森羅万象にねじれが生まれない――となると、認めざるを負えなかった。
「世の中狭いなあ。焉貴さんの友達が孔明さんだったなんて。イメージ通りの人だ。ずいぶん背が高いみたいだけど……」
焉貴は結婚して、背が縮んで百九十七センチだったが、それでもずいぶんと高い方だ。それなのに、孔明はさらに数十センチはあるだろう背丈だった。
おまけの妻はすっかり忘れていた。心の中で思い浮かべていることが、神々に聞こえているとは。
「仲がいいんだね。でもさ、父上がこれ以上は結婚するのはいけないって言ったから、仕方がないよね。寂しいかもしれないけど、できるだけデートとかは許してあげたいな。奥さんがどう思うかはわからないけど……」
紅朱凛が一押しだった人物では、策は成功しなかった。孔明はすぐさま次のターゲットへ照準を変える。
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おまけの倫礼の病状は少しずつ回復はしてきているが、時々調子がおかしくなることがあり、それを心配して、夫たちは守護神として彼女のそばにいつもいた。
今も、蓮、光命、夕霧命、月命がそれぞれ好きなことをしながら、焉貴のことも見守っていたが、孔明は銀の長い前髪を持つ蓮へすっと近づいた。
「初めまして。孔明と申します」
「初めまして、蓮だ。焉貴が世話に――」
全て言う前に、孔明は蓮にいきなりキスをした。
「なぜ、俺にキスをする?」
「ふふっ」
孔明は答えず、妖艶に微笑むだけだった。すぐそばで見ていたおまけの倫礼はびっくりして、両手で口をふさいだ。
(えぇっ!? そんな大胆な人だった? 孔明さんって)
大事件を起こして、孔明は何事もなかったように、その日は帰ってしまったのだった。
*
そして、翌日。蓮はコンサートツアーの打ち上げで、夜は家を開けていたが、焉貴の携帯電話が鳴った。
「もしもし、何、お前、仕事どうしちゃったの?」
パーティの途中で電話をかけてくるとは、一体どういうことだ。倫礼は仕事の手を止める。
「ん? 連から電話?」
何か話を聞いていたが、焉貴は電話を顔から外して、
「蓮、恋に落ちちゃった」
「落ちちゃったじゃないわ」妻は大きな声で突っ込み、あきれた顔をした。「いきなりキスされただけなのに……。相変わらず惚れやすいな」
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おまけの倫礼は家長のところへはいけない。静まり返った我が家で待っていると、報告を聞いて、少し驚いた。
「え、明引呼さんとより、孔明さんと結婚するのが先になったって?」
「そうだ」
蓮は奥行きがあり少し低めの声で同意する。
明引呼とする結婚式十二月の終わりだったが、今は十一月の下旬。順番が狂ってしまったのだ。
「あぁ、そうか。何だか変な感じがするけど……」
おまけの倫礼は何か引っかかりを覚えたが、答えは出なかった。焉貴はすぐに孔明に電話をかけて、プロポーズに行く日を約束したのだった。
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