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歌を作ってみた
懺悔と慈悲:光命の場合
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軽やかなワルツが廊下に漏れ出していた。颯茄はしばらく止まって聞いていたが、終わる雰囲気はなく、待てなくなってドアをノックした。
ピアノの音はピタリと止み、
「どうぞ」
光命の返事が返ってくると、颯茄はドアを開け顔だけのぞかせた。
「光さん? ちょっといいですか?」
「えぇ、構いませんよ」
光命は後毛を神経質な指先で耳にかけた。
「お仕事中すいません」
「いいのですよ。今は何となく曲を弾いていただけなのですから」
「それなのに、そんなに綺麗な曲ができるんですか。さすが作曲家」
どこかのパーティで流れているような優雅な曲だった。
「それより、用事があって私のところへきたのではないのですか?」
「そうです。光さんをモデルにして曲を書いてきました」
「どのようなものですか。聞かせてください」
ピアノをメインにした曲が流れ出した。
【懺悔を慈悲】
一人だけを愛せないと
悔やみ懺悔もした
そんな日々は終わりを告げた
相手からプロポーズを受けた
これからは四人で暮らせばいいと
バラ色に染まる景色が
とても優美で そっと目を閉じた
神の意志に背いていると
戒め懺悔もした
そんな日々は終わりを飾る
暖かい手に強く引かれて
愛の牢獄から救い出された
哀傷を胸に抱えた
重い扉が 開くように消えた
神の安寧に身を委ね
両手を大きく広げ
空を真正面から見つめ
至福の海へダイブ
哀傷を胸に抱えた
重い扉が 開くように消えた
バラ色に染まる景色が
とても優美で そっと目を閉じた
曲が終わると、光命が話し出した。
「曲は蓮が作ったのですか?」
「よくわかりましたね。その通りです」
「彼の癖が入っていますからね」
「この歌詞の通りでしたか?」
颯茄はそれを知りたがった。
「えぇ、ほとんどはそうですが、私は次々と人を愛したのです」
「そうですね。最初は夕霧さんと知礼さん。そして、蓮と出会って、蓮とも恋に落ちた」
「えぇ、なぜこんなにも人を愛してしまうのかと、悩みましたよ。ですが、蓮たちが私を牢獄から救い出してくれたのです」
「よかったです。光さんが辛い思いをすることがなくなって」
颯茄は本当にそう思った。光命は陽だまりみたいに微笑む。
「今となっては、私は多くの人に支えられていたのです」
「そうですね。私が早く光さんに会っていれば、もっと悩まなくてすんだのかもしれないですね」
「過ぎたことです。『もしも』という人生はありません」
「そうですね。あのタイミングで全てがよかったんです」
「えぇ」
ピアノの傍に飾ってある家族の写真。颯茄はそれをひとつ手に取って、
「光さんはすっかり子供に夢中のパパになって、何だかそれも萌えなんですよね」
「子供はとても可愛いですからね。まだまだ欲しいところです」
「どんなところが可愛いですか?」
写真立てを置いて、颯茄は光命に向き直った。
「ミルクをあげたり、着替えさせたり。小さな手で握られたり、挙げたらキリがありませんよ」
「私も『ママ』とか呼ばれると、とても幸せです」
「あなたもいいママになりましたよ」
「そうですか。とても嬉しいです」
颯茄が照れたように手を頭に当てると、ドアがトントンと小さく鳴った。
「おや? 子供たちがきたみたいですから、こちらの曲は聞かせないようにしましょう」
「そうですね。発売日がくるまでは持ち出し厳禁ですからね」
颯茄は携帯電話をポケットに急いでしまった。
ピアノの音はピタリと止み、
「どうぞ」
光命の返事が返ってくると、颯茄はドアを開け顔だけのぞかせた。
「光さん? ちょっといいですか?」
「えぇ、構いませんよ」
光命は後毛を神経質な指先で耳にかけた。
「お仕事中すいません」
「いいのですよ。今は何となく曲を弾いていただけなのですから」
「それなのに、そんなに綺麗な曲ができるんですか。さすが作曲家」
どこかのパーティで流れているような優雅な曲だった。
「それより、用事があって私のところへきたのではないのですか?」
「そうです。光さんをモデルにして曲を書いてきました」
「どのようなものですか。聞かせてください」
ピアノをメインにした曲が流れ出した。
【懺悔を慈悲】
一人だけを愛せないと
悔やみ懺悔もした
そんな日々は終わりを告げた
相手からプロポーズを受けた
これからは四人で暮らせばいいと
バラ色に染まる景色が
とても優美で そっと目を閉じた
神の意志に背いていると
戒め懺悔もした
そんな日々は終わりを飾る
暖かい手に強く引かれて
愛の牢獄から救い出された
哀傷を胸に抱えた
重い扉が 開くように消えた
神の安寧に身を委ね
両手を大きく広げ
空を真正面から見つめ
至福の海へダイブ
哀傷を胸に抱えた
重い扉が 開くように消えた
バラ色に染まる景色が
とても優美で そっと目を閉じた
曲が終わると、光命が話し出した。
「曲は蓮が作ったのですか?」
「よくわかりましたね。その通りです」
「彼の癖が入っていますからね」
「この歌詞の通りでしたか?」
颯茄はそれを知りたがった。
「えぇ、ほとんどはそうですが、私は次々と人を愛したのです」
「そうですね。最初は夕霧さんと知礼さん。そして、蓮と出会って、蓮とも恋に落ちた」
「えぇ、なぜこんなにも人を愛してしまうのかと、悩みましたよ。ですが、蓮たちが私を牢獄から救い出してくれたのです」
「よかったです。光さんが辛い思いをすることがなくなって」
颯茄は本当にそう思った。光命は陽だまりみたいに微笑む。
「今となっては、私は多くの人に支えられていたのです」
「そうですね。私が早く光さんに会っていれば、もっと悩まなくてすんだのかもしれないですね」
「過ぎたことです。『もしも』という人生はありません」
「そうですね。あのタイミングで全てがよかったんです」
「えぇ」
ピアノの傍に飾ってある家族の写真。颯茄はそれをひとつ手に取って、
「光さんはすっかり子供に夢中のパパになって、何だかそれも萌えなんですよね」
「子供はとても可愛いですからね。まだまだ欲しいところです」
「どんなところが可愛いですか?」
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「私も『ママ』とか呼ばれると、とても幸せです」
「あなたもいいママになりましたよ」
「そうですか。とても嬉しいです」
颯茄が照れたように手を頭に当てると、ドアがトントンと小さく鳴った。
「おや? 子供たちがきたみたいですから、こちらの曲は聞かせないようにしましょう」
「そうですね。発売日がくるまでは持ち出し厳禁ですからね」
颯茄は携帯電話をポケットに急いでしまった。
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