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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
Karma-因果応報-/16
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元は額には脂汗がびっしりになった。
「そ、それって……。同じことばかりで人生が終わる……?」
崇剛はそれでも、救われる道があるという可能性がある以上、元を勝手に切り捨てるわけにはいかなかった。
「あなたの捉え方の問題です。私たち人間ができるようになるまで、主は見捨てず暖かく見守っていてくださるという解釈は出来ませんか?」
「…………」
もう普通のやり方では、殺人犯に言葉が届くことはなかった。元は恐怖でプルプルと震え出し、血の気が引き唇まで真っ青になってしまった。
だが、それでも、嘘をついて慰めという優しい言葉をかけることはできない。つけ焼き刀の嘘は誰も幸せにならないのだから。自分で起こしてしまった以上、誰も直接手を貸して助けられない。
立ち止まっている暇などないのに、フリーズしてしまった容疑者を前にして、冷静な水色の瞳はついっと細められた。
あなたが改心するという可能性は未だ変わりません。
そうですね、こうしましょう。
こちらの言い方はあまりしたくはありませんが……。
あなたの霊層でも、通じる言い方をしましょう。
小人は損得で物事を判断します。
従って、損だ、得だと思わせれば動く……。
すなわち、改心する可能性が上がるという可能性が99.98%――
聖霊師で神父の崇剛は作戦を変えて、元の魂へもう一度挑んだ。
「あなたは他の方から利用されています。あなたという、たくさんの人々の恨みを持つ理由となるものを中心として、他の邪神界の者が地位や名誉――力を手に入れるために、あなたと直接関係のない者にまで、あなたは踏み台にされ使われているだけです。あなたが地位や名誉――力を得るために、上へと引き上げてくれる人は誰もいません。死ぬことはなくても、今のように苦しい状況へと次々と陥れられますよ」
先週の金曜日――四月二十九日に、ラジュが元は霊的な理由で死ぬことはないと言っていたのが、崇剛は今ならよくわかった。
ですから、あなたは霊的な理由で死ぬことがないのです。
利用するために、生かされているだけです。
利用するために殺すなという命令が上から出ているのかもしれません。
ですが、恨みを持つ者がいる以上……。
四肢の損傷や喪失。
治すことの出来ない、直接死ぬことのない病気などを患うかもしれません。
容疑者の心に話がやっとかすった、策略家の作戦のお陰で。
「り、利用されてる……。損してるってことか?」
そうして最後に一言、これ以上犠牲者が出ないように、聖霊師は殺人犯へしっかりと釘をさした。
「ですから、どうか、結婚は控えてください。相手の方が亡くなります。あなたが罪を償わない限り、事故や病気などで人が亡くなることが、この先もあなたのまわりで起き続けます。他の方がどのような状況になっても、あなたは生きていけるのですか?」
「結婚しない……?」
「あなたに恨みを持って、転生している女性が他にもいるそうです。あなたは己の欲のために、人を殺し続けるのですか?」
「結婚について、お前に口出しされる覚えたはない!」
元はこれ以上ないほど大声で怒鳴り散らした。
(結婚して、保険金をかけて、三沢岳に連れていけば死ぬんだ。保険金が入ってくるなら、逆に利用してやる)
金儲けの道具としか結婚を見ていない容疑者。どっちもどっちだった。
崇剛は冷静な水色の瞳を寂しげに一旦伏せた。
「やはり、あなたには難しい話だったみたいですね」
改心する可能性がまったく上がらない元だった。勝ち誇ったように、殺人犯は椅子から立ち上がり、
「ふんっ! 除霊できないからって、言い訳して! 他に当たればいい……」
バカにした視線を崇剛へ向けた。
「そ、それって……。同じことばかりで人生が終わる……?」
崇剛はそれでも、救われる道があるという可能性がある以上、元を勝手に切り捨てるわけにはいかなかった。
「あなたの捉え方の問題です。私たち人間ができるようになるまで、主は見捨てず暖かく見守っていてくださるという解釈は出来ませんか?」
「…………」
もう普通のやり方では、殺人犯に言葉が届くことはなかった。元は恐怖でプルプルと震え出し、血の気が引き唇まで真っ青になってしまった。
だが、それでも、嘘をついて慰めという優しい言葉をかけることはできない。つけ焼き刀の嘘は誰も幸せにならないのだから。自分で起こしてしまった以上、誰も直接手を貸して助けられない。
立ち止まっている暇などないのに、フリーズしてしまった容疑者を前にして、冷静な水色の瞳はついっと細められた。
あなたが改心するという可能性は未だ変わりません。
そうですね、こうしましょう。
こちらの言い方はあまりしたくはありませんが……。
あなたの霊層でも、通じる言い方をしましょう。
小人は損得で物事を判断します。
従って、損だ、得だと思わせれば動く……。
すなわち、改心する可能性が上がるという可能性が99.98%――
聖霊師で神父の崇剛は作戦を変えて、元の魂へもう一度挑んだ。
「あなたは他の方から利用されています。あなたという、たくさんの人々の恨みを持つ理由となるものを中心として、他の邪神界の者が地位や名誉――力を手に入れるために、あなたと直接関係のない者にまで、あなたは踏み台にされ使われているだけです。あなたが地位や名誉――力を得るために、上へと引き上げてくれる人は誰もいません。死ぬことはなくても、今のように苦しい状況へと次々と陥れられますよ」
先週の金曜日――四月二十九日に、ラジュが元は霊的な理由で死ぬことはないと言っていたのが、崇剛は今ならよくわかった。
ですから、あなたは霊的な理由で死ぬことがないのです。
利用するために、生かされているだけです。
利用するために殺すなという命令が上から出ているのかもしれません。
ですが、恨みを持つ者がいる以上……。
四肢の損傷や喪失。
治すことの出来ない、直接死ぬことのない病気などを患うかもしれません。
容疑者の心に話がやっとかすった、策略家の作戦のお陰で。
「り、利用されてる……。損してるってことか?」
そうして最後に一言、これ以上犠牲者が出ないように、聖霊師は殺人犯へしっかりと釘をさした。
「ですから、どうか、結婚は控えてください。相手の方が亡くなります。あなたが罪を償わない限り、事故や病気などで人が亡くなることが、この先もあなたのまわりで起き続けます。他の方がどのような状況になっても、あなたは生きていけるのですか?」
「結婚しない……?」
「あなたに恨みを持って、転生している女性が他にもいるそうです。あなたは己の欲のために、人を殺し続けるのですか?」
「結婚について、お前に口出しされる覚えたはない!」
元はこれ以上ないほど大声で怒鳴り散らした。
(結婚して、保険金をかけて、三沢岳に連れていけば死ぬんだ。保険金が入ってくるなら、逆に利用してやる)
金儲けの道具としか結婚を見ていない容疑者。どっちもどっちだった。
崇剛は冷静な水色の瞳を寂しげに一旦伏せた。
「やはり、あなたには難しい話だったみたいですね」
改心する可能性がまったく上がらない元だった。勝ち誇ったように、殺人犯は椅子から立ち上がり、
「ふんっ! 除霊できないからって、言い訳して! 他に当たればいい……」
バカにした視線を崇剛へ向けた。
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