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ポメラニアンのちオオカミ 1
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「良かった良かった」と涙ぐむセバスに送られ、マンションへと帰って来た。
がしかし、俺の部屋へは入ろうとせずに隣の自分の部屋へ戻ろうとする綾木。
「何故だあっ!? 空気の読めないやつめ!ここからは俺たちが愛を確かめ合うという流れだろう!?」
俺は綾木の腕をがっちりと捕まえる。
綾木よ、本当にお前の考えていることが分からないぞ。
その押したり引いたりは、恋愛のテクニックというやつなのか?だとしたらそんなものは俺には通用しない。
何故ならば、俺は恋愛初心者だからだ。
「綾木、一緒にいよう。俺はもうお前と離れたくない。キスもしたいしセックスもしたい。そう思ってるのは俺だけなのか?」
心底困ったというように天を仰ぎ、綾木は溜息を逃がす。
「・・・なあ、わかってんの?」
「? わからない。だからお前の考えていることを教えて欲しい」
「だよな。茜にわかるわけないよな」
逃し切れなかった溜息を吐いて、綾木は自分の後ろ髪をぐしゃぐしゃに掴む。
その様子に グサッ と心臓に鋭利な何かを刺されたような気分になる。
綾木を置いて、のこのこと藤の元へ行ってしまったことを怒っているのかもしれない。そういえばまだ謝っていなかった。
「すまない綾木。わからないから、ちゃんと・・・言葉に、して欲しい」
いい歳の男が恋愛の駆け引きもわからず、面倒臭いと思われただろうか。
自分の気持ちだけが先走って、綾木の苛立ちの理由を理解できない俺に呆れるだろうか。
「いいか、俺は今、自分の不甲斐なさに腹が立ってる。でもそれを棚に上げて、茜にあんなヤラシイ顔をさせる藤くんにもっと腹が立ってる。お前にも。・・・・・・だから、お前と一緒にいたらどんな酷いことするかわかんねえ」
綾木の腕を捕まえている手を掴まれ、手首に彼の指が ぐっ と食い込む。
「い・・・っ」
「わかったらさっさと自分の部屋に戻って、寝室の鍵掛けて寝ろよ」
あまりの手首の痛さに咄嗟に身についた護身術をまた披露してしまいそうになったが、何とか堪える。
「嫌だ。酷くしたいならすればいい。綾木の思うように。そんなことで俺がお前を嫌いになるとでも思ってるのか?だとしたらそれは大きな間違いだ」
「頼むから煽んなよ。マジで・・・」
「帰って欲しくないから煽ってるんだ」
俺は手首を掴んでいる綾木の指に舌を這わせる。
「・・・茜、恋愛スキル皆無なのに、こういうのだけ備わってんのが極悪だよな」
好きな男を誘うことの、どこが極悪なんだ。
これは俺の本能だ。
心が綾木を欲しがって、神経を伝って「手に入れろ」と細胞を動かす。
今ならわかる。俺がΩだからαの綾木が欲しいんじゃない。
αだろうがそうでなかろうが、ただお前が欲しいんだ。
綾木の部屋のドアが開けられ、強引に連れ込まれたかと思うとすぐに突き放され、俺は暗がりで上がり框に足を取られて廊下に倒れる。
うう・・・っ、いくら酷くしてもいいと言ったって、暴力は反対だぞ・・・。
パッ と廊下が明るくなり、倒れた俺を見下ろす綾木の表情が見えた。
薄ら充血しているのに、どこか冷めたようにも見える瞳。いや、冷めているんじゃない、これはきっと怒りだ。
嫉妬とはここまで人を変えてしまうものなのか。
普段の温厚な綾木は何処へ行ってしまったんだ?
「ああああ綾木、待て。ぼ、暴力は良くないぞ」
護身術に長けているとはいえ、綾木に思い切り殴られようものなら俺など簡単に昇天してしまう・・・!
「ぼぼ暴力以外なら、何でも、受け入れるから!」
にじりにじりと近付く綾木に恐怖を感じ、思わずそう言ってしまう。
が、それが良くなかった。
「・・・ここで裸んなれよ」
「え、ここ、で・・・?」
廊下だぞ・・・?
「せめてリビングなり寝室なり入ってから・・・なんならバスルームでも・・・」
「何でもするんだろ? ここでやって見せろよ。茜のストリップショー」
す・・・とりっぷ、しょー・・・?
ってあの・・・、誘うように自分の体を見せつけながら脱衣してゆく、あのストリップのことか!?
「できるはずないだろう!? あ、あ、あんな・・・」
画面の中で見た記憶しかないが、プロのストリッパーが腰をくねらせたり尻を突き出したり、なんなら恥部を見てくれと言わんばかりに股をおっぴろげたり・・・
そんなこと、素人の俺にできるわけがないじゃないかぁぁぁっ!
「なら帰れよ。ビクビクしてる奴を抱く嗜好、俺ねぇから」
「ぐぅ・・・ッ、ビクビクなんて、して、ない。・・・やる」
俺は立ち上がりジャケットを肩から落とす。
震えそうな手でトップスの裾を掴むと、綾木から
「下から脱げよ」
と命令が下される。
ベルトとホックボタンを外すと、藤のキスで濡れて汚してしまった下着のままだと思い出し急に込み上げて来る恥ずかしさ。
昼間に水族館で綾木とした時にも汚している。
こんなシミだらけの汚れた下着を見られるのは耐えられない。
どうか見ないでくれと誤魔化すように綾木に口付けようとして
「そういうのいらねーから。オーディエンスの期待に応えろよ」
と押し返されてしまった。
オーディエンス、なんてお前しかいないじゃないか!くそう・・・、こうなったら・・・
腹を括ってボトムスを下げ、胡座をかいて廊下の壁に寄り掛かる綾木に背を向け、いつだったかに動画で観た女性ストリッパーのように、俺は尻を突き出しトップスを胸の下辺りまで捲り上げる。
「一日中パンツ濡らしたままだった?すっげえ濃い匂いする」
綾木にそう言われて顔から火が出そうだ。穴があったら入って籠ってしまいたい。
つぅぅ と腿の裏側を指が滑る感触に、びくん と腰が浮く。
「良かった良かった」と涙ぐむセバスに送られ、マンションへと帰って来た。
がしかし、俺の部屋へは入ろうとせずに隣の自分の部屋へ戻ろうとする綾木。
「何故だあっ!? 空気の読めないやつめ!ここからは俺たちが愛を確かめ合うという流れだろう!?」
俺は綾木の腕をがっちりと捕まえる。
綾木よ、本当にお前の考えていることが分からないぞ。
その押したり引いたりは、恋愛のテクニックというやつなのか?だとしたらそんなものは俺には通用しない。
何故ならば、俺は恋愛初心者だからだ。
「綾木、一緒にいよう。俺はもうお前と離れたくない。キスもしたいしセックスもしたい。そう思ってるのは俺だけなのか?」
心底困ったというように天を仰ぎ、綾木は溜息を逃がす。
「・・・なあ、わかってんの?」
「? わからない。だからお前の考えていることを教えて欲しい」
「だよな。茜にわかるわけないよな」
逃し切れなかった溜息を吐いて、綾木は自分の後ろ髪をぐしゃぐしゃに掴む。
その様子に グサッ と心臓に鋭利な何かを刺されたような気分になる。
綾木を置いて、のこのこと藤の元へ行ってしまったことを怒っているのかもしれない。そういえばまだ謝っていなかった。
「すまない綾木。わからないから、ちゃんと・・・言葉に、して欲しい」
いい歳の男が恋愛の駆け引きもわからず、面倒臭いと思われただろうか。
自分の気持ちだけが先走って、綾木の苛立ちの理由を理解できない俺に呆れるだろうか。
「いいか、俺は今、自分の不甲斐なさに腹が立ってる。でもそれを棚に上げて、茜にあんなヤラシイ顔をさせる藤くんにもっと腹が立ってる。お前にも。・・・・・・だから、お前と一緒にいたらどんな酷いことするかわかんねえ」
綾木の腕を捕まえている手を掴まれ、手首に彼の指が ぐっ と食い込む。
「い・・・っ」
「わかったらさっさと自分の部屋に戻って、寝室の鍵掛けて寝ろよ」
あまりの手首の痛さに咄嗟に身についた護身術をまた披露してしまいそうになったが、何とか堪える。
「嫌だ。酷くしたいならすればいい。綾木の思うように。そんなことで俺がお前を嫌いになるとでも思ってるのか?だとしたらそれは大きな間違いだ」
「頼むから煽んなよ。マジで・・・」
「帰って欲しくないから煽ってるんだ」
俺は手首を掴んでいる綾木の指に舌を這わせる。
「・・・茜、恋愛スキル皆無なのに、こういうのだけ備わってんのが極悪だよな」
好きな男を誘うことの、どこが極悪なんだ。
これは俺の本能だ。
心が綾木を欲しがって、神経を伝って「手に入れろ」と細胞を動かす。
今ならわかる。俺がΩだからαの綾木が欲しいんじゃない。
αだろうがそうでなかろうが、ただお前が欲しいんだ。
綾木の部屋のドアが開けられ、強引に連れ込まれたかと思うとすぐに突き放され、俺は暗がりで上がり框に足を取られて廊下に倒れる。
うう・・・っ、いくら酷くしてもいいと言ったって、暴力は反対だぞ・・・。
パッ と廊下が明るくなり、倒れた俺を見下ろす綾木の表情が見えた。
薄ら充血しているのに、どこか冷めたようにも見える瞳。いや、冷めているんじゃない、これはきっと怒りだ。
嫉妬とはここまで人を変えてしまうものなのか。
普段の温厚な綾木は何処へ行ってしまったんだ?
「ああああ綾木、待て。ぼ、暴力は良くないぞ」
護身術に長けているとはいえ、綾木に思い切り殴られようものなら俺など簡単に昇天してしまう・・・!
「ぼぼ暴力以外なら、何でも、受け入れるから!」
にじりにじりと近付く綾木に恐怖を感じ、思わずそう言ってしまう。
が、それが良くなかった。
「・・・ここで裸んなれよ」
「え、ここ、で・・・?」
廊下だぞ・・・?
「せめてリビングなり寝室なり入ってから・・・なんならバスルームでも・・・」
「何でもするんだろ? ここでやって見せろよ。茜のストリップショー」
す・・・とりっぷ、しょー・・・?
ってあの・・・、誘うように自分の体を見せつけながら脱衣してゆく、あのストリップのことか!?
「できるはずないだろう!? あ、あ、あんな・・・」
画面の中で見た記憶しかないが、プロのストリッパーが腰をくねらせたり尻を突き出したり、なんなら恥部を見てくれと言わんばかりに股をおっぴろげたり・・・
そんなこと、素人の俺にできるわけがないじゃないかぁぁぁっ!
「なら帰れよ。ビクビクしてる奴を抱く嗜好、俺ねぇから」
「ぐぅ・・・ッ、ビクビクなんて、して、ない。・・・やる」
俺は立ち上がりジャケットを肩から落とす。
震えそうな手でトップスの裾を掴むと、綾木から
「下から脱げよ」
と命令が下される。
ベルトとホックボタンを外すと、藤のキスで濡れて汚してしまった下着のままだと思い出し急に込み上げて来る恥ずかしさ。
昼間に水族館で綾木とした時にも汚している。
こんなシミだらけの汚れた下着を見られるのは耐えられない。
どうか見ないでくれと誤魔化すように綾木に口付けようとして
「そういうのいらねーから。オーディエンスの期待に応えろよ」
と押し返されてしまった。
オーディエンス、なんてお前しかいないじゃないか!くそう・・・、こうなったら・・・
腹を括ってボトムスを下げ、胡座をかいて廊下の壁に寄り掛かる綾木に背を向け、いつだったかに動画で観た女性ストリッパーのように、俺は尻を突き出しトップスを胸の下辺りまで捲り上げる。
「一日中パンツ濡らしたままだった?すっげえ濃い匂いする」
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