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高校生×幼馴染=恋の予感 2
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休日を挟んで3日後
熱が下がった市太と いつものように一緒に駅のホームで電車を待つ架。
あいつ・・・一玖だっけ、いつもこの時間に電車に乗るって言ってたよな。
3日前に自分を助けてくれた高校生 一玖の姿を視線だけで探す。
人波の中、階段を降りて来る濃緑のブレザーとチェックのボトムス、黒髪で大人っぽさの中に幼さを残した人形のような顔が見える。
一玖の存在を知らなかったけれど、認知してしまえば大勢の中にいてもそこにだけ目を引かれるくらいに目立つ少年だと架は思った。
俺達の事 イケメンとか言っといて・・・一玖のがよっぽどカッコイイじゃん。
一玖の姿から目を離せないでいると、架に気付いた彼は遠くから手を振る。
架は片手を上げてそれに答える。
「知り合いだっけ?」
「あー、この前発作が出た時に助けてくれたヤツ」
「助けて、って・・・」
俺以外の奴が架を?ありえない。
「架、おはよ」
「おはよ。マジでこの時間いたんだ」
「いるよ。嘘ついてどーすんの」
「怪しい高校生だったから、新手の詐欺かと思って」
「ひっど!」
架の横に肩を並べて立つ一玖に、市太は驚く。
「大丈夫なのか?架・・・」
「俺も最初はびっくりしたんだけど、こいつの匂いは平気みたいなんだよなー」
「・・・そっか。・・・こいつが迷惑かけたみたいでごめんな」
架を挟んで一玖に、牽制の意味を含めて笑いかける。
「全然ですよ。架の役に立てたなら嬉しいし」
「オイ!いちに敬語使うなら俺にも使えよ!」
「やだよ。架、歳上って感じしないもん」
「は?くっそ生意気じゃん、良い奴って思って損した!」
自分より背の低い架をわざとらしく見下ろした一玖の頬を架が抓る。
「いたたたっ、ごめんって架」
「つーか『さん』付けしろ!」
二人のやり取りを見て市太の心がざわつく。
架が俺以外を受け入れてる・・・。家族すらむやみに近寄らせないのに。俺の記憶の中では、こんな事は初めてだ。
「ボディガードさん、カッコイイですね。架は可愛いし。二人、はたから見たらラブラブなのに付き合ってないなんて勿体無いなぁ」
一玖が、架と市太を交互に見て言う。
そんな一玖を訝しげに見上げる架。
「付き合うとか無いだろ。どっちも男なんだし。この前もそんな事言ってたけど、もしかして一玖ってホモ?」
「そうだよ」
「えっ、マジに!?」
「マジだよ。だから、二人とも俺の恋愛対象」
あっけらかんとカミングアウトする一玖に、市太の心は益々ざわつく。
「架、気持ち悪いって思った?」
「お、思ってねぇよ、別に・・・」
「よかった。せっかく仲良くなれたのに、避けられたら悲しいから。学校でも俺、浮いちゃってるしさ」
「浮いてんのは俺も一緒だよ。市太以外に近付けないし、近付けば相手に嫌な思いさせるしな」
寂しげな表情を浮かべる一玖に、架は自分を重ね合わせる。
理由は違うけど、もしかしたら似たようなところがあるから一玖の匂いを本能が受け入れたのかな・・・。
「安心しろよ。別に偏見とか持たないから。それに、ここまで馴れ馴れしく接して来といて、いきなり遠慮なんかすんな。助けてくれたお礼に友達になってやるよ、俺達が。な、市太?」
「友達が増えて嬉しいのは架だろ」
面白くない、市太は心で呟く。
もし一玖が架を好きになったとしたら・・・もし、万が一にでも架がそれに応えたとしたら・・・
そんなこと、ある訳が無い。だけど、架は俺以外の人間の匂いを初めて受け入れた。その相手がまさかゲイで、その上で『友達になる』と言い出すなんて。今まで想像すらしていなかった事が目の前で起きてる。
市太は、架の臭覚過敏が少しでも良くなれば と思う気持ちと同じくらい、架を独占したい気持ちが湧いてくる。
架の傍にいる為に、誰にも渡さないためには・・・
「架。実は・・・俺もおまえに言ってなかった事がある」
「なんだよ、いちまで。つーか俺ら、お互いに知らないことなんかねぇだろ。あっ! まさか いちまでホモとか言い出すんじゃねぇだろーな!?」
からかうように架は市太に肩をぶつける。
「そのまさかだよ」
「・・・は?・・・え、・・・え!?」
マジかよ市太!イヤだっておまえ女の子と遊んでんじゃん!
「一玖、って勝手に呼ばせてもらうけど・・・何度もこの駅で見かけてて、目を引くヤツだなって思って気になってた」
一玖の存在を知っていたのは本当だ。実際、一玖の外見は目を引くし目立つ。恋愛対象だと思った事は一度も無いけど。
「え、え!? なあ、いち・・・それ」
市太は一玖に惹かれてたってこと!?
市太が一玖に恋心を抱いているとすぐに理解する。
そう思わせるつもりで市太が嘘をついたとも知らずに。
なぜなら、幼なじみで親友である市太の好きな相手に、架が何かしようと思う性格では無い、と市太わかっているからだ。
そうとも知らずに、架は二人の間で大きく動揺するばかりだった。
熱が下がった市太と いつものように一緒に駅のホームで電車を待つ架。
あいつ・・・一玖だっけ、いつもこの時間に電車に乗るって言ってたよな。
3日前に自分を助けてくれた高校生 一玖の姿を視線だけで探す。
人波の中、階段を降りて来る濃緑のブレザーとチェックのボトムス、黒髪で大人っぽさの中に幼さを残した人形のような顔が見える。
一玖の存在を知らなかったけれど、認知してしまえば大勢の中にいてもそこにだけ目を引かれるくらいに目立つ少年だと架は思った。
俺達の事 イケメンとか言っといて・・・一玖のがよっぽどカッコイイじゃん。
一玖の姿から目を離せないでいると、架に気付いた彼は遠くから手を振る。
架は片手を上げてそれに答える。
「知り合いだっけ?」
「あー、この前発作が出た時に助けてくれたヤツ」
「助けて、って・・・」
俺以外の奴が架を?ありえない。
「架、おはよ」
「おはよ。マジでこの時間いたんだ」
「いるよ。嘘ついてどーすんの」
「怪しい高校生だったから、新手の詐欺かと思って」
「ひっど!」
架の横に肩を並べて立つ一玖に、市太は驚く。
「大丈夫なのか?架・・・」
「俺も最初はびっくりしたんだけど、こいつの匂いは平気みたいなんだよなー」
「・・・そっか。・・・こいつが迷惑かけたみたいでごめんな」
架を挟んで一玖に、牽制の意味を含めて笑いかける。
「全然ですよ。架の役に立てたなら嬉しいし」
「オイ!いちに敬語使うなら俺にも使えよ!」
「やだよ。架、歳上って感じしないもん」
「は?くっそ生意気じゃん、良い奴って思って損した!」
自分より背の低い架をわざとらしく見下ろした一玖の頬を架が抓る。
「いたたたっ、ごめんって架」
「つーか『さん』付けしろ!」
二人のやり取りを見て市太の心がざわつく。
架が俺以外を受け入れてる・・・。家族すらむやみに近寄らせないのに。俺の記憶の中では、こんな事は初めてだ。
「ボディガードさん、カッコイイですね。架は可愛いし。二人、はたから見たらラブラブなのに付き合ってないなんて勿体無いなぁ」
一玖が、架と市太を交互に見て言う。
そんな一玖を訝しげに見上げる架。
「付き合うとか無いだろ。どっちも男なんだし。この前もそんな事言ってたけど、もしかして一玖ってホモ?」
「そうだよ」
「えっ、マジに!?」
「マジだよ。だから、二人とも俺の恋愛対象」
あっけらかんとカミングアウトする一玖に、市太の心は益々ざわつく。
「架、気持ち悪いって思った?」
「お、思ってねぇよ、別に・・・」
「よかった。せっかく仲良くなれたのに、避けられたら悲しいから。学校でも俺、浮いちゃってるしさ」
「浮いてんのは俺も一緒だよ。市太以外に近付けないし、近付けば相手に嫌な思いさせるしな」
寂しげな表情を浮かべる一玖に、架は自分を重ね合わせる。
理由は違うけど、もしかしたら似たようなところがあるから一玖の匂いを本能が受け入れたのかな・・・。
「安心しろよ。別に偏見とか持たないから。それに、ここまで馴れ馴れしく接して来といて、いきなり遠慮なんかすんな。助けてくれたお礼に友達になってやるよ、俺達が。な、市太?」
「友達が増えて嬉しいのは架だろ」
面白くない、市太は心で呟く。
もし一玖が架を好きになったとしたら・・・もし、万が一にでも架がそれに応えたとしたら・・・
そんなこと、ある訳が無い。だけど、架は俺以外の人間の匂いを初めて受け入れた。その相手がまさかゲイで、その上で『友達になる』と言い出すなんて。今まで想像すらしていなかった事が目の前で起きてる。
市太は、架の臭覚過敏が少しでも良くなれば と思う気持ちと同じくらい、架を独占したい気持ちが湧いてくる。
架の傍にいる為に、誰にも渡さないためには・・・
「架。実は・・・俺もおまえに言ってなかった事がある」
「なんだよ、いちまで。つーか俺ら、お互いに知らないことなんかねぇだろ。あっ! まさか いちまでホモとか言い出すんじゃねぇだろーな!?」
からかうように架は市太に肩をぶつける。
「そのまさかだよ」
「・・・は?・・・え、・・・え!?」
マジかよ市太!イヤだっておまえ女の子と遊んでんじゃん!
「一玖、って勝手に呼ばせてもらうけど・・・何度もこの駅で見かけてて、目を引くヤツだなって思って気になってた」
一玖の存在を知っていたのは本当だ。実際、一玖の外見は目を引くし目立つ。恋愛対象だと思った事は一度も無いけど。
「え、え!? なあ、いち・・・それ」
市太は一玖に惹かれてたってこと!?
市太が一玖に恋心を抱いているとすぐに理解する。
そう思わせるつもりで市太が嘘をついたとも知らずに。
なぜなら、幼なじみで親友である市太の好きな相手に、架が何かしようと思う性格では無い、と市太わかっているからだ。
そうとも知らずに、架は二人の間で大きく動揺するばかりだった。
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