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高校生×恋=ノンストップ 2
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翌日
「おはよ、架」
ホームで電車を待つ架と市太に声を掛ける一玖。
「おはよ」
「一玖、お前 架と2人で旅館でバイトしてたんだって?」
一玖の顔を見るやいなや、市太は夏休み中の2人の事を知るために一玖に問い詰める。
「はい。俺の実家が旅館やってて、アルバイトしたこと無いって架が言ってたんで、帰省するついでに誘ったんです。ね、架」
「う、うん」
返事をする架は俯いたままで、何かを隠しているのは確実だ、と市太は思う。
「同じバイト先で夏の間に2人、かなり仲良くなったんじゃないか?」
「まあ、ずっと同じ部屋で寝泊まりしてたんでそれなりには」
内心ヒヤヒヤもしながら市太が聞くと、一玖は意味ありげに俯いた架を横目で見下ろし、挑発的とも取れる視線を市太に向ける。
「まさかと思うけど・・・」
「なんも無いって!いち、心配すんな!それよりいちっ、俺、一玖のおかげで前より他人のにおいに強くなったんだ!だから今までみたいに、俺優先になんなくていいから、俺を気にせず一玖ともっと距離縮めていいからっ」
市太と一玖の間を抜け出し、2人の距離を詰めるように架は市太の体を押す。
一玖にぶつかる形になった市太は、その勢いで一玖の手を握り自分の口元に持ってくる。
「・・・そか。じゃあ遠慮なく一玖にモーション掛けれるな、俺」
一玖の手を握る市太の手にぐっと力が入る。
「夏休み中、一玖の顔が見れなくて寂しかったよ。架の面倒見てくれてありがとな。俺が傍にいてやれないから心配してたけど、助かったよ」
まるで架は自分のものだと言わんばかりの市太の口調に、一玖は薄ら笑いが出る。
「お役に立てたなら良かったです。架はもう市太さんがいなくても大丈夫ですよ。前から幼馴染みにしては過保護過ぎだと思ってたんで」
もう架は、市太さんが知ってる架じゃない。自分の性癖を受け入れて性的な快感も素直に覚えて、架のアナルまで俺が開発したんだ。
今だって、俺が見詰めてやるだけできっと
市太の向こう側にいる架を、一玖は熱い目で見る。
視線に気付いた架と目が合う。
きっと条件反射で耳朶まで紅く染めて瞳を潤ませるは・・・ず?
一玖の予想を裏切って、架は無表情のまま気まずそうに瞳を逸らした。
架は一玖から逸らした視線を再び足元へと落とす。
俺はもう、一玖を好きでいちゃいけない。夏休みの間、ずっと市太を裏切って来た。
初めて好きになった相手が、自分の汚いところも認めてくれてトラウマすらも克服させてくれた。それだけじゃない。体に触れてくれて、満たしてくれた。
その思い出だけあれば、俺はそれでいい。これ以上市太を裏切りたくない。
「一玖。いちはマジで良い奴だよ。いちの気持ち、前向きに考えてやってくんねぇかな?」
「は・・・?ちょ、架、なんで」
突然 架の態度が変わったことに、一玖は戸惑う。
「俺、なんか今日体調悪いかも。いち、悪いけど代返しといて」
と言って架は2人を置いて階段を登って行く。
架の姿が見えなくなると、市太は掴んでいた一玖の手を捨てるかのように乱暴に離す。
「架が他人の臭いを克服したってのは本当みたいだな。てめぇ、何したんだよ」
「・・・別に」
思わず「抱いた」と言いそうになるが、架の急変に動揺する一玖は市太と張り合っている場合ではないと思い直し、架の後を追おうとする。
しかし、市太に腕を捕まれ人波に押されて電車に乗せられてしまった。
「お前らに何かがあったってのはわかってんだよ。それが何かは知らない。けどな、架はお前を受け入れる気は無いみたいだ」
「は?受け入れるも何も、架はもう俺のもん・・・」
「黙ってろ。やっぱり何があったかなんて知ったら気分が悪くなるだけだ。これ以上架に近付くな。じゃないと、お前を架の前で犯してやる」
市太は氷のように冷たい視線で一玖を睨む。
「はっ、俺を犯す?そんなことしたら、架はあんたのもんにもならなくなるんだぞ」
「てめぇに横取りされるより よっぽどマシだ」
「架はもう前とは違う。あんたがいなくても自由に世界を広げられるんだ。俺じゃなくても、違う誰かとどうにかなる可能性だって十分にある」
「その度に全部、俺が排除してやるよ。架の傍には俺だけがいればいい」
「あんた・・・」
異常だ、と一玖は思った。
架のことが好きなくせに、どうして本人にはそう言わずに回りくどいことをするんだ。好きなら自分の力で架を落とせばいいのに。
「要は自分に自信が無いだけ。あんたは架に拒否されるのが怖いだけじゃん」
「他人が架を傷付けるのが許せないだけだ。傷付けるのも、それを慰めるのも俺だけでいいんだよ。部外者はすっこんでろ」
体や気持ちの関係なんて安っぽいものじゃなく、離れたくても離れられない、もっと深い部分で架と繋がっていたい。誰と何があろうと、架が戻って来る場所は俺だ。
先に電車を降りる市太が振り返り
「次に俺たちに絡んで来る時は、俺に犯される覚悟で来るんだな」
と一玖に言い捨てて行く。
静かに苛立つ一玖はポケットからスマホを取り出し、カナにメッセージを送る。
『本日架休みの為、急遽、ターゲットを佐野 市太に変更。彼の身辺を報告せよ。報酬は架の浴衣姿』
『アイアイサー!!』
すぐにカナから返信が返って来て、一玖はスマホをポケットにしまう。
思ったより市太は手強い。改めて敵を知ること、まずはそこからだ。
「おはよ、架」
ホームで電車を待つ架と市太に声を掛ける一玖。
「おはよ」
「一玖、お前 架と2人で旅館でバイトしてたんだって?」
一玖の顔を見るやいなや、市太は夏休み中の2人の事を知るために一玖に問い詰める。
「はい。俺の実家が旅館やってて、アルバイトしたこと無いって架が言ってたんで、帰省するついでに誘ったんです。ね、架」
「う、うん」
返事をする架は俯いたままで、何かを隠しているのは確実だ、と市太は思う。
「同じバイト先で夏の間に2人、かなり仲良くなったんじゃないか?」
「まあ、ずっと同じ部屋で寝泊まりしてたんでそれなりには」
内心ヒヤヒヤもしながら市太が聞くと、一玖は意味ありげに俯いた架を横目で見下ろし、挑発的とも取れる視線を市太に向ける。
「まさかと思うけど・・・」
「なんも無いって!いち、心配すんな!それよりいちっ、俺、一玖のおかげで前より他人のにおいに強くなったんだ!だから今までみたいに、俺優先になんなくていいから、俺を気にせず一玖ともっと距離縮めていいからっ」
市太と一玖の間を抜け出し、2人の距離を詰めるように架は市太の体を押す。
一玖にぶつかる形になった市太は、その勢いで一玖の手を握り自分の口元に持ってくる。
「・・・そか。じゃあ遠慮なく一玖にモーション掛けれるな、俺」
一玖の手を握る市太の手にぐっと力が入る。
「夏休み中、一玖の顔が見れなくて寂しかったよ。架の面倒見てくれてありがとな。俺が傍にいてやれないから心配してたけど、助かったよ」
まるで架は自分のものだと言わんばかりの市太の口調に、一玖は薄ら笑いが出る。
「お役に立てたなら良かったです。架はもう市太さんがいなくても大丈夫ですよ。前から幼馴染みにしては過保護過ぎだと思ってたんで」
もう架は、市太さんが知ってる架じゃない。自分の性癖を受け入れて性的な快感も素直に覚えて、架のアナルまで俺が開発したんだ。
今だって、俺が見詰めてやるだけできっと
市太の向こう側にいる架を、一玖は熱い目で見る。
視線に気付いた架と目が合う。
きっと条件反射で耳朶まで紅く染めて瞳を潤ませるは・・・ず?
一玖の予想を裏切って、架は無表情のまま気まずそうに瞳を逸らした。
架は一玖から逸らした視線を再び足元へと落とす。
俺はもう、一玖を好きでいちゃいけない。夏休みの間、ずっと市太を裏切って来た。
初めて好きになった相手が、自分の汚いところも認めてくれてトラウマすらも克服させてくれた。それだけじゃない。体に触れてくれて、満たしてくれた。
その思い出だけあれば、俺はそれでいい。これ以上市太を裏切りたくない。
「一玖。いちはマジで良い奴だよ。いちの気持ち、前向きに考えてやってくんねぇかな?」
「は・・・?ちょ、架、なんで」
突然 架の態度が変わったことに、一玖は戸惑う。
「俺、なんか今日体調悪いかも。いち、悪いけど代返しといて」
と言って架は2人を置いて階段を登って行く。
架の姿が見えなくなると、市太は掴んでいた一玖の手を捨てるかのように乱暴に離す。
「架が他人の臭いを克服したってのは本当みたいだな。てめぇ、何したんだよ」
「・・・別に」
思わず「抱いた」と言いそうになるが、架の急変に動揺する一玖は市太と張り合っている場合ではないと思い直し、架の後を追おうとする。
しかし、市太に腕を捕まれ人波に押されて電車に乗せられてしまった。
「お前らに何かがあったってのはわかってんだよ。それが何かは知らない。けどな、架はお前を受け入れる気は無いみたいだ」
「は?受け入れるも何も、架はもう俺のもん・・・」
「黙ってろ。やっぱり何があったかなんて知ったら気分が悪くなるだけだ。これ以上架に近付くな。じゃないと、お前を架の前で犯してやる」
市太は氷のように冷たい視線で一玖を睨む。
「はっ、俺を犯す?そんなことしたら、架はあんたのもんにもならなくなるんだぞ」
「てめぇに横取りされるより よっぽどマシだ」
「架はもう前とは違う。あんたがいなくても自由に世界を広げられるんだ。俺じゃなくても、違う誰かとどうにかなる可能性だって十分にある」
「その度に全部、俺が排除してやるよ。架の傍には俺だけがいればいい」
「あんた・・・」
異常だ、と一玖は思った。
架のことが好きなくせに、どうして本人にはそう言わずに回りくどいことをするんだ。好きなら自分の力で架を落とせばいいのに。
「要は自分に自信が無いだけ。あんたは架に拒否されるのが怖いだけじゃん」
「他人が架を傷付けるのが許せないだけだ。傷付けるのも、それを慰めるのも俺だけでいいんだよ。部外者はすっこんでろ」
体や気持ちの関係なんて安っぽいものじゃなく、離れたくても離れられない、もっと深い部分で架と繋がっていたい。誰と何があろうと、架が戻って来る場所は俺だ。
先に電車を降りる市太が振り返り
「次に俺たちに絡んで来る時は、俺に犯される覚悟で来るんだな」
と一玖に言い捨てて行く。
静かに苛立つ一玖はポケットからスマホを取り出し、カナにメッセージを送る。
『本日架休みの為、急遽、ターゲットを佐野 市太に変更。彼の身辺を報告せよ。報酬は架の浴衣姿』
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