公式 1×1=LOVE

Hiiho

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恋×ノンストップ=暴走 1

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金曜 18時すぎ

カナから『架くん、電車に乗ったよ』とメッセージを受け取った一玖は急いで駅へと向かう。


駅から出てくる人波の中にマスクを着けている架を見つけた一玖は、脇目も振らずその姿へと向かって走る。

「架っ!」

名前を呼ばれた架はキョロキョロと視線を動かし、視界に一玖が入ったのを確認して下を向いた。

「架、なんで避けるの!?」

架の腕を掴んで自分と向き合うように捕まえる一玖。

「避け・・・てるっちゃ避けてるけど、特に用も無いんだし別にいいだろ」

視線を合わせないよう下を向いたままの架。

「どうして? 用なんてなくても顔合わせるだけでもいいじゃん。俺は架に会いたかった」

「・・・っ」

ドクン、と架の心臓が跳ねる。

  やめろよ、そんなこと言うの。俺はもう会いたくない。一玖の顔を見たら、その匂いを嗅いだら、諦めようと思っても体の自由が効かなくなる。

「バイト先紹介してくれたことは感謝してるし、向こうにいる間世話んなったことも感謝してる。でも、お前だって十分楽しんだだろ。もう俺に構うなよ。泣き顔見せたら市太に優しくするって約束だっただろ」

「・・・なにそれ。市太さんが俺を好きだって言ったから、邪魔者は消えようって考え? だったら俺の気持ちはどうなるんだよ!」

「お前の気持ち?」

「そうだよ!俺は架が・・・」

  架が、なんだ?架のことは好きだ。気に入ってる。
  そう、ただ架が好きだって言えばいい。何度も言ってきただろ。なのにどうして、そのひとことが出ないんだよ。


架は自分を見つめたまま動かなくなった一玖の手を払い歩き出す。

「ま、待ってよ架!」

  どうしちゃったんだ俺。これじゃ市太さんのこと笑えないじゃん。俺、架のこと本気で好・・・
  とか意識した途端、言葉に出すのが恥ずかしいとか有り得ない!さんざん架の体弄んだのに・・・

振り返る事無く歩く架の三歩後ろを、一玖は無言でついて行く。






暫く歩いて、住宅街の角に建つ一軒家の前で立ち止まり急に振り返る架に一玖はビクッと肩を上げた。

「か、かけ・・・」

「わざわざ人ん家までついて来て、なんの用事があんの?」

「え、ここ架の家?」

  ってことは、この隣の家が市太さんの家ってことか。

一玖は並んだ二軒を眺める。

「用が無いなら帰れよ。じゃあな」

「あ・・・」


架が玄関ドアを開けようとしたその時

「わっ、お兄ちゃん。今帰ってきたの?」

勢い良く開いたドアから、中学生くらいの少女が大きなバックパックを担いで飛び出して来る。

「ゆい、どっか行くの?」

「部活の強化合宿だよー。大会も近いし。あっ、今日パパとママ社員旅行だからお兄ちゃんひとりだよ?ちゃんと留守番しててよね。・・・友達?」

架の妹 ゆい が一玖を指差し、架に尋ねる。

「まあ・・・、つーか早く行けよ。暗くなる前に集合場所行かなきゃ危ねぇだろ!」

「ハイハイ。行きますよ、マジうざっ。     お友達さんも今日はゆっくりしてってください、誰もいないから騒いでもいいですよー」

ゆいは一玖の背中を押し、思い切り架にぶつけるようにして2人を玄関に押し込みドアを閉める。

「おいてめっ、この怪力!」

「鍵ちゃんと掛けなよね!泥棒に入られたらお兄ちゃんのせいだから。行ってきまーす」

ドアの向こうから聞こえる架の声を無視して ゆいは去って行く。




「あんのクソ馬鹿力・・・っ!女のくせに可愛げねぇんだっつーの!」

閉まった玄関ドアに向かって呟く架を見て一玖が笑う。

「はは、架、お兄ちゃんなんだ。妹の心配したり文句言ったり忙しー」

「うるっせ!つかなに勝手に人んち入ってんだよ、帰れ!」

「やだ」

ドン、とドアに手を着いた一玖の両腕で囲われ、架は小さく肩を竦める。

「ふ、不法侵入で・・・」

「それを言うなら、架の妹は監禁罪だね。俺は無理矢理ここに押し込まれただけだよ?」

  追い出されたくなくて咄嗟にこうしたけど、架がめちゃくちゃ近いしいい匂いするし、なんか怯えてて可愛いしで・・・どうしよう。すごく緊張するな・・・


ただの好意ではない架への感情を自覚した一玖は、その感情を持て余していた。


一方架は

  な、な、な・・・んだよ、この状況!一玖の匂いがこんなに近くに・・・、しかも自分ん家の中にある。やば・・・勃ってきた。市太の為に諦めなきゃなんないのに、わかってるのに、どうしてこうなるんだよ。

鼻先に漂う一玖の香りに、旅館で何度も抱かれたことを思い出し、嫌でも下半身が反応してしまう。


「離れろって!」

「やだってば!」

力いっぱい架を抱き寄せる一玖。

「い、一玖・・・、」

  そんなにくっついたら、勃ってんのバレんだろって!

「え・・・?架、もしかして」

腿に当たる硬い感触を、一玖はぐっと押して確かめる。

「っ」

ビクッと腰を浮かせる架。

「・・・ね、どうしてこうなってんの?俺が抱きしめてるから?」

「違っ、一玖のにおいがっ、    においが、その・・・」

「なんでもいい。俺に反応してくれてるってことでしょ?」

架の両足の外側に足を開き、腰を少し落とした一玖が自分の中心を架のそれに押し当てる。

自分のものより柔らかい一玖の中心が、すぐにも同じ硬度まで上がるのを感じて、架の心臓は急激に速度を上げた。


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