公式 １×１=LOVE

番外編 市太×つばさ=LOVE ３

後頭部と腰をガッチリホールドされ、俺の力なんかじゃビクともしない市太に容赦無く咥内を掻き回され、震える程の快感が全身を駆け巡る。

「つばさくん、勃ってる」

ボトムスの上から ぎゅっと中心を握られ、意図せず体が ビクン、と跳ねる。

「こんなキスくらいで硬くなんの？ヤリチンのくせに。      可愛い」

「おまえこそ･･･っ」

恥ずかしさを誤魔化し言ったものの、全く無反応の市太の股間。


なんで･･･いつもだったら、もう少しデカくしてるはず。近くに女がいるから、俺なんかじゃ勃たないってこと？
･･･男の俺じゃ、やっぱりダメ？


「俺だけじゃ嫌だ。なあ、イチも気持ち良くなってよ」

俺は市太の上で、お互いの中心を擦り合わせるように腰を動かす。

「さっきは、俺とすんの嫌がってたじゃん。いいの？皆に見られても」

「暗いから、誰と誰がヤッてっかわかんねーだろ」

もういい。万が一誰かに見られたとしても、市太に俺で感じて欲しい。どうしようもなく市太が欲しくて尻が疼いてしまう。

これじゃ女の体と変わらない。


「脱いで。ココ、吸って欲しいだろ？それとも噛んで欲しい？」

服の上から乳首を引っ掻かれ、ん、と呻いたような声が出る。

「どっち？」

「な･･･め、て」

ふ、と笑った市太は、また「かわいい」と言って俺のトップスを頭から引き抜く。

かわいい。きれい。小さい時から散々言われて来て聞き慣れた言葉。市太に言われると胸の奥が きゅう、と鳴って項の辺りがこそばしくなって、耳が熱くなる。

「下も、脱いでい？」

「急に大胆になるんだもんな。そーゆーとこほんと･･･いいよ脱いで」

触って、触って。どこでもいいから。イチの手で、舌で、余すこと無く全身を撫でて欲しい。


靴下だけを残し全て脱いで、市太の膝の上に跨ると、もう一度深く口付けてきた唇が首筋を通って胸へと下りてくる。

「触んなくてもピンってなってるじゃん」

俺の乳首をまじまじと見ながら市太が言う。

「うっせ。お前が毎回しつこくイジるからだろ」

「そー。つばさくんのココ育ててんの俺。いつも着てるようなペラペラの服じゃ隠せないくらいデカくして、ガードゆるゆるのつばさくんに厚着させるため」

舌で先端をチロチロと舐め、じゅっと吸い付く唇。

「んぅっ、な、んで、厚着･･･？」

「わかんないかなぁ。男心だよ。こういうこと」

「ぉわ･･･っ！」


体をぐるんと反転させられ、背後から抱えられる体勢になる。少し下げたボトムスから出された市太の屹立がピッタリとハマるように俺の会陰と陰嚢に寄り添う。ゆっくりと市太が腰を振れば、後ろの窄まりから陰茎までを擦り上げられて、我慢しきれない声が漏れてしまう。

「･･･っあ、あッ、だめそれ      挿れて欲しくなる、からぁっ」



「今の、つばさ･･･？」
「は、マジ？」

薄闇のどこかしらで俺の声に気付いた奴らが囁く。

マズイって！イチと俺がヤッてるってバレる！

「違っ！俺じゃな   あんッ」

いつの間にか潤滑ジェルで湿らせた市太の指が、突然後ろに差し込まれて、言い訳できない程の喘ぎが出てしまった。

「は？何今の。お前女にどんな責められ方してんの」

ゆらりと立ち上がった影が、暗い部屋のテーブルの上を手探りしている。
おそらく室内灯のリモコンを探して･･･

このまま明るくなってしまえば、全てが見られてしまう。

「違･･･ぁ、だめ、だめ･･･っ」

明かりをつけようとするのを阻止したいのに、市太の指で中のイイ所を擦られ抵抗できない体。


ピ、と小さな音が鳴り、目の前が一瞬真っ白になって眩しさに目を閉じる。

何とか瞼を持ち上げると、そこにいる市太以外の全員が俺に視線を向け、動きを止めていた。

「違う！これは･･･、イチが俺を女と間違えただけでっ」

「こんなんついてんのに間違うわけないだろ」

慌てて言い訳をする俺のモノを片手で握り、亀頭を2本の指の腹で撫でる市太。

「やっ、イチ･･･っ！ダメそれ、やだ、やだぁっ」

「嫌じゃないじゃん。気持ちイイんだろ。後ろ弄りながらココ責めると、いつもすぐイッちゃうもんな？」

「ひぁ･･･、あ、ち･･･が･･･        ん──･･･っ」

違わない。すげー気持ちイイ。こうやってすぐにイッてしまう。

だけど!!

「イ･･･チ、てめ」

「つばさ、女よりエロくね？」
「まあ顔だけは一級だからな。イキ顔とかマジ、下半身直撃･･･」
「俺つばさのケツなら突っ込めるかも」

市太に文句を言おうとしたのに周りの奴らがざわつき始め、全身の血が冷めていくのを感じる。


ヤバイ、ほんとにヤバイ。このままじゃ･･･


俺は、アナルセックスを覚えたての頃に経験した事を思い出してしまった。
それは、女連れでハプニングバーへ行った時、そこに居た男3人に無理矢理ヤラれて、怖くて･･･なんでもいいから早く終わらせて欲しくて気持ちイイフリまでして。
あの時の恐怖が蘇る。

その後に知り合った男とズルズルと体だけの関係になって･･･。
もうどうでも良くなってた。

イチが、追いかけて来てくれるまでは。



「や･･･、やだ。イチっ、俺･･･。イチがいい。イチじゃないとやだぁ」

振り返るように市太の顔に擦り寄り助けを乞う。

「当然だろ。他の奴につばさくんを抱かせるわけないじゃん。俺のだって見せつけたいだけ」

太腿を持ち上げられ、浮いた尻に当てられた市太のそれがゆっくりと埋められる。

「あ･･･、あっ、入っ･･･」

腰を震わせ背中を駆け上がる快感に目眩がする。

「イチっ、だめ･･･あ、あッ」

「俺じゃないと嫌なんだろ。俺にこうして欲しいんじゃないの？」

そうだけども!!
見てる、皆に見られてるから!!


「市太くんのSっぷり堪んなくない？」
「だよね。わたしもあーゆー風に虐められたい」

･･･は？

男達が俺を見てザワつく中、裸の女達が市太を見てウットリしているのに気付いた俺は

「だめッ！イチは俺のなんだから･･･！」

咄嗟にそう叫んでいた。


「あーもー、お前らいたらマジ目の毒！風呂場にでも籠ってヤッてろよ！」

見兼ねたサークル長が呆れたように言う。





言われた通りにバスルームへ入ると、服を脱ぎ捨てた市太に物凄い剣幕で壁際に追い込まれる俺。

「な、なに？」

「さっきの、もう1回」

「･･･は？」

「俺じゃないと、ってやつ。言って」

険しい市太の顔が、薄ら赤らんでいる。
もしかして今なら、素直に言ってくれる？

「･･･イチが、好きって言ってくれたら」

「好きじゃない」

ガーン･･･やっぱ言ってくんねーか･･･


「好き、じゃ足んねえから。だから言いたくない」

ぶわっ、と肩まで真っ赤になる市太。
なにこれ、何これ･･･。めちゃくちゃカワイイじゃん。そんなの、俺だって

「俺も。俺もおんなじ」

『好き』の最上級があるなら、その言葉を教えて欲しい。


「俺、イチじゃないともうダメみたい。イチじゃないと、絶対にやだ」

「ふっ、やっとヤリチン卒業する気になった？」

「お前こそ！もう俺以外に使うの禁止だからな！」

「俺も、もうつばさだけだよ。          大好き」

おいおい、言いたくないんじゃなかったっけ？
思いながら市太の肩に腕を掛け抱きつくと、骨が軋む程の強さで抱きしめ返してくれる。


その後はもう要らないってほどの「好き」を連呼しながら腰を振る市太に、俺は覚えている限りの意識の端で一言だけ呟いた。



「･･･好き」





END