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深化2
アンフェールとあれからの閨 ※
しおりを挟む離宮――夜。
今夜もアンフェールの元にグレンが来てくれた。
今のところ毎日来ているし、日々、睦み合いは深くなっている。
ベッドの上でアンフェールは全裸で横たわっている。グレンはその上に乗っている。全裸で、下半身も隠していない。
あの美術倉庫から戻ってきた日の晩からだ。
グレンは身体を隠す事が無くなった。理由は分からないけれど、吹っ切れたのなら良い事だ。
「あっ、んん、あにうえ……」
グレンの唇がアンフェールの乳首をちゅっと吸ってくれている。
反対側は硬い指で捏ね回されている。
気持ちいい。捏ねられても摘ままれても気持ちいいし、舐められるのも吸われるのもいい。
「ちゅって、するの、きもちいい、です……」
最初、身体にグレンの唇や舌が触れた時はビックリしてしまった。手技だけじゃないのかと。
気持ちいいので全く問題ないのだが。
軽く触れるだけだった口技も、今ではねっとりとした愛撫になっている。
官能を高める様にアンフェールをなぞる、いやらしい舌。
普段真面目で、爽やかで、優しいグレンが、ベッドでは情熱的に貪るようにアンフェールを愛してくれる。
「赤くなってしまったな」
「こっちも、ちゅって、してください」
アンフェールはもじもじしながら、吸われていない反対側の乳首に指を添える。
「アンフェールはおねだりが出来るいい子だ」
「あっ……」
グレンはうっとりと微笑み、褒める様にアンフェールの頬を撫でてくれた。
グレンに褒められると嬉しい。もっと撫でられたい。
そんな気持ちが、アンフェールを素直にするのだ。
恥ずかしくても、気持ち良ければ気持ちいいというし、して欲しい事もおねだりする。
グレンは特に、おねだりを喜んでくれる。して、と言えばして欲しい事を丁寧にしてくれる。
胸は散々アンフェールが弄り倒したせいだろうか。学習したのかもしれない。グレンはとても加減が上手い。
アンフェールの乳首はすっかり性感帯として機能するようになってしまった。
小さな乳首は、ちゅっと吸いつかれれば、すぐ立ち上がってしまう。
そこに軽く歯を当てられる。
鋭い、硬質な刺激。
「~~~~ッ! やっ……かんじゃ、やっ……」
身体がぷるぷる震える。
軽く達してしまった。
この位の達し方では熱は籠る一方だ。射精していない分淡い快感が長く続くし、もっともっとと疼いてしまう。
「可愛い。噛まれると思っていっちゃったの? アンフェールは噛まれたい?」
「……っ、いたいのやです……」
「ふふ、ごめんね。噛まないよ」
そして、涙目の目じりに、閉じた瞼に、頬に、唇に軽く触れるキスをされる。
そう、唇へのキスはあの修練場視察公務から解禁になったかのように頻繁にされるようになった。
離宮に着いた時と帰る時、普通に挨拶として唇にキスされる。
だからきっと兄弟のキスとして普通の事。なのに――。
「アンフェール、口を開けて、舌を出して」
グレンはもっと深いキスをするようになってきた。
アンフェールは口をあーんと開け、餌を強請るように舌を突き出す。グレンはそれを心底愛おしそうに吸い上げてくれる。
舌の表面に走るジュっとした痺れ。
「ん」とくぐもった声を上げれば「ごめん」とばかりに舌が撫で癒す様にトロトロと触れてくる。
そんなひな鳥に愛情を注ぐようなキスは最初の内だけだ。
徐々に徐々に欲を隠さない本能が赴くままの貪り合いになる。
「ふ……ちゅ」
アンフェールだってグレンが欲しいのだ。
その気持ちのまま彼の舌を誘惑し、誘い込む。舌先で彼の厚い舌をチロチロと愛撫する。くすぐったい位のやり方だ。
アンフェールの稚い求め方にグレンは興奮するらしく先程から当たっている性器は硬い。
そういったいたずらっ子に対し仕返しとばかりにグレンはアンフェールの下半身に手を伸ばす。
するり、と撫で上げられる性器の裏側。敏感なライン。
「~~~~ッ、んん!」
それだけでゾワリとした快感が背を走り、アンフェールの腰はビクリと跳ねた。
唇が離れる。
唾液が糸を引く。
「ここ、されたい?」
「……は、い」
「じゃあ、ここにもキスをしよう」
グレンは身体を起して、アンフェールの脚と脚の間に移動した。そして頭を下げ、口でアンフェールのペニスをパクリと咥える。
最近、口で性器を愛撫されるようになってしまった。
これも、切っ掛けは美術倉庫から戻った晩だ。
その日、初めてグレンはアンフェールの身体に口づけた。
初めて口づけるというのにグレンはアンフェールのアナルまで舐めたのだ。
そこは蜜で濡れていたし、アンフェールは人間でないとバレてしまったのではと、焦り、混乱してしまった。
でも、グレンは特に何も言わなかった。
何か納得したような顔をした後、アンフェールを優しく抱きしめてくれた。
そこで気づいたのだ。
グレンは精霊と弟のしか舐めた事が無いと。
だから、普通の人間がどんな風なのか知らないのだ。弟が濡らしちゃっても違和感を感じていないのだ――と。
だって特に何も言われないし、いつも通り弟として可愛がってくれる。
だからきっと変な風には思われていないのだ。
「あっ……」
温かい番の口内。
アンフェールはグレンの口を使った愛撫が好きだった。
番の体液はとても気持ちいいのだ。唾液に濡らされれば蕩けそうな程気持ちよくなる。
丁寧な口技はアンフェールの好む部分を舐め、なぞり、含んで唇を使い扱く。
そうされると、アンフェールは夢中になってしまって抵抗感は減る。
いつもグレンはアンフェールのペニスを口で可愛がりながら、アナルにいたずらするのだ。
そこは快感と興奮で既に濡れているらしい。弄られればくちくちと粘質な水音をたてた。
「~~~~ッ、あ!」
指で何度も押され、慣らされた後孔は迎え入れる様に開いて受け入れていく。
ゆっくりとゆっくりとアンフェールの中に入り込んでくる、男らしいグレンの指。
指先は蜜でふやけていたけれど、そこ以外は渇いている。肉の輪を押し上げて通過する刺激は強く、アンフェールは「やぁ」と小さく抵抗の声を上げた。
勿論、嫌だなんて思っていない。気持ち良くて堪らなくて、そういう言葉が出てしまうのだ。
根本まで入った指は馴染むまで動かされる事はない。しかし、指が入り込んでいる状態だけでも十分に興奮する。
グレンの口の中でアンフェールのペニスは膨らみ、絶頂への階段を数歩上っている状態にはなっていた。
当然グレンにはそれが分かっている。
滲む蜜の量は増え、彼の口内を幸福の味が満たしている。
アンフェールが番の体液を『良い』と感じるのと同じく、グレンもそのように感じるのだ。
「~~~~ひッ!!!」
アンフェールは身体を大きく反らせて絶頂した。
グレンは良い頃合いとして、アンフェールに挿入していた指をクイっと曲げて導いたのだ。
アンフェールはグレンの口内に白濁をビュービューとぶちまける。グレンはそれでも口を離さない。
彼は空いている腕の肘で身体を固定し、手はアンフェールの腰上に置いている。
それだけで快感に暴れ出したくなるアンフェールの身体は逃げる事も出来ない。
アンフェールの後孔に入っていた指が徐々に抜かれて行く。また身体がピクリと跳ね、絞り出す様に精が飛ぶ。
射精が終わるまで口づけられて、最後は吸い上げ一滴も逃さない。それから顔を上げアンフェールの顔を見ながら喉を鳴らす。
全て飲み干されている。
番の精は美酒なのだ。
強い発情が起こるだろうそれも、唾液や蜜で体液慣れしてきたらしいグレンは、うっとりする程度で済んでいるようだ。
アンフェールはぐったりと手足を投げ出し、はぁはぁと呼吸を荒くする。
「あにうえ、いってしまいました……」
「気持ち良かった?」
「はい。でもお約束したのに、いくときに、いくと言えませんでした……」
アンフェールはシュンとして目を伏せる。
「気持ち良すぎたんだね。大丈夫。次はちゃんと言えるよ」
「あにうえ……」
「脚を閉じて。擦り合わせよう?」
「あっ……」
グレンがアンフェールの上に乗る。そして、アンフェールの閉じた脚の間に、張り詰めた性器をぬるりと滑り込ませた。
脚で挟み込み、擦り合わせるのは精霊時代の最後の交わりでした行為だ。
しかしあの時のグレンは、正常じゃない自分の顔を見せようとはしなかった。アンフェールをうつ伏せにして、後ろからしたのだ。
今は向かい合っている。
お互い、顔を見ている。
グレンは熱情に浮かされた様な顔でアンフェールを見ている。
行為は同じであってもあの頃よりも関係が進んでしまった。グレンはアンフェールの顔を見て腰を振るのだ。
「アンフェール……」
ギシリ、とベッドが鳴る。
二人は再び重なり合った。
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