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最終話
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俺は、母さんと二人並んで帰っていた。続かない会話。ぎこちない足取り。
赤紫色の空の下、俺と母さんは土手を歩く。川の水が穏やかに流れていた。
目の前から、親子が歩いてきた。
母親におんぶされている子供は病院帰りなのだろうか。
冷えピタを貼って赤い顔をしながら眠っている。
「冬夜が子供だった頃、熱を出したことがあったわよね」
母さんがぽつりと呟く。
「覚えてる。俺が小学生の頃だ。その時俺は心細くて。でも、誰かが俺の額に手を当ててくれたんだ」
母さんは、あぁ、あのことね、と呟く。
「覚えてるわ。私が冬夜の様子を見に部屋を覗いたら雪成があなたの傍にいたのよ」
「……雪成が?」
思わず、俺は足を止める。
「えぇ。心配そうに額に手を当てていて。あなた達、兄弟仲は良くなかったけれど、雪成はちゃんと冬夜のお兄ちゃんだったのね――」
俺が帰ると、真白が玄関まで出迎えにきた。
「冬夜! おかえりなさい」
「真白、どうしたんだ」
「どうした、って今日は冬夜の誕生日でしょう? 私ご馳走作ったんだから」
真白に背中を押され、俺はリビングに入る。
テーブルの上には豪勢な食事が並んでいた。
「こんなことくらいしか出来なくてごめんね、冬夜」
そんな真白が愛おしく感じて、俺は胸が痛む。
「謝るなよ。十分嬉しい」と言葉を切ると、「真白。来週お前を連れて行きたい所があるんだ」
「連れて行きたい所……どこ?」
「内緒」
俺は勿体ぶると、席について料理を食べ始めた。
冬夜が言う“連れて行きたい所”がどこか知らないまま私は白い息を吐きながら冬夜の後ろを歩いていた。
冬夜はなぜかキャリーケースを引いていた。一体今からどこに行くというのだろう。
大きな河川が流れる人道橋の真ん中で冬夜は足を止める。そして、冬夜は顔だけ私に向けると、
「今日は真白に大事な話があるんだ」
穏やかな声で言った。
「何よ、急に」
私は笑う。
しかし、冬夜の顔は真剣だった。
「高校の時に、俺と初めて会話した時のこと覚えているか?」
「もちろん。校舎裏で怪我していた冬夜を私が手当てして」
「そう。あの瞬間から俺の世界が色付いたんだ」
そこで冬夜が言葉を切った。私をじっと見つめる。
冬の夜のように澄んだ黒色の綺麗な瞳で。
「俺さ、ずっと母親から愛されてないと思っていたんだ。ずっと愛が欲しくて優しさに飢えていて。そんな時、真白は俺に初めて優しくしてくれたんだ。それから俺はずっと真白に執着して、真白を閉じ込めて俺から離れないように、どこにも行かないようにして。でもこの間、母さんと話をしてさ。それで気付いたんだ。俺は母親から満たされることのなかった愛情を真白に求めていたんだってことに。今までごめんな真白。俺はもう大丈夫だから。真白は自由になっていいんだ」
冬夜が、私の頭を撫でた。冬夜の手が私の髪を一房掴むと、放す――。
「真白が想っている人は、俺じゃないだろう?」
冬夜の言葉に、私の胸がどきっと跳ねた。
「私は……」
声が、震える。目の下が熱くなってじんわりと涙が目を覆った。
「なぁ、真白。真白の好きな人は誰だ?」
『真白――』
私の名を呼ぶ雪成くんの声が脳裏をよぎった。
どきん、どきん、どきん。
心臓が、高鳴る。
榛色の瞳で私を見つめる雪成くん。
優しい声で私の名前を呼ぶ雪成くん。
今までの想い出が次から次へと蘇る――。
「ごめんなさい冬夜。私は……私、雪成くんのことが好き……」
「ほらな。真白の心に俺はいないんだよ――聞いたか、雪成」
冬夜は私の後ろに向かって声を掛ける。
えっ、と私は振り返ると、そこには雪成くんがいた。雪成くんはキャリーケースを横に携えている。
「雪成くん、どうしてここに」
「雪成。今日、日本を発つんだろう?」
「え? 日本を発つってどういうこと?」
「雪成、海外に戻るんだよ」
私は息を飲むと、雪成くんを見つめる。
「冬夜」
赤紫色のマフラーを首に巻いた雪成くんが、複雑な表情をしながら冬夜の名前を呼ぶ。
冬夜は雪成くんの前に立つと、「海外には俺が行くよ」
「何言ってるんだよ。冬夜……まさか、そのキャリーケースは」
冬夜はゆっくりと頷いた。
「俺だと真白を幸せに出来ないんだ。雪成、お前じゃないと。真白はずっと雪成のことが好きだったんだ。ごめんな、雪成。本当は雪成も真白のことを愛していて両想いだったのに身を引かせてしまって」
「両想い……?」
私は呟く。
「真白、僕は……」
言い掛けて、雪成くんは口を噤む。
「言ってやれよ、雪成」
冬夜が雪成くんの背中を押した。雪成くんが、私の前に立つ。
榛色の瞳に、不安そうな顔をしている私が映っている。
「真白。僕は真白のことを愛しているんだ」
雪成くん……。私の胸が熱くなる。
どきんどきんと、胸が高鳴る。
「私、ずっと雪成くんのことが好きだった――」
瞬間、私は高校時代に戻ったようだった。雪成くんに告白するはずだったあの日の放課後に。
やっと……私が伝えたかったその言葉を伝えることが出来た。
「今まで悪かったな、雪成。出来の悪い弟のせいで」
「冬夜は出来が悪くなんてないよ……ずっと僕の前を歩いていた。それが僕は羨ましかったんだ」
「ありがとう雪成……あ、最後にお前が気になっていたあのことを教えてやるよ」
冬夜が雪成くんに耳打ちすると、雪成くんは驚いた顔をする。
「じゃあ俺は行くから」
冬夜は背中を向けると、ゆっくりと歩いていった。
冬夜の姿を見届けると、雪成くんが呟く。
「それにしても、真白は意外と大胆なんだね」
何のことか分からず、私が首を傾げていると、
「寝ている僕にキスをするなんてさ」
悪戯っぽく笑う雪成くん。
「まさか、さっき冬夜が雪成くんに耳打ちしていたことって……」
私はかぁぁっと顔が熱くなる。
あの秘密をバラすだなんて。
「ねぇ真白。僕からもしていいかな?」
雪成くんが、私を見つめる。
榛色の瞳が私を映す。
私が頷くと、雪成くんは私にキスをした――。
初恋は叶わない――。
これは一体、誰の言葉なのだろうか。
長い長い俺の初恋が、今、終わった。
いや、自分の手で終わらせた、と言うべきだろうか。
ずっと好きだった。
ずっと大好きだったその人は今、幸せに笑っていることだろう。
曇天の下で、俺は川沿いを歩く。
白い息を吐きながら、寒さをしのぐためコートのポケットに手を突っ込んだ。
指先に何かがあたり、取り出してみると、ハンカチだった。
これは高校時代、校舎裏で真白が俺を手当てしてくれた時に使ったハンカチだ。
返しそびれてしまったまま、ずっと持っていた。そのハンカチは俺にとってお守りのような存在だった。
立ち止り、名残惜しそうに見ていると、風が吹いた。
風は俺の手からハンカチをかっさらうと、大空へ高く飛ばしていった。
それを見届け、歩き出そうとしたその時――。
雲の切れ間から太陽の光が差し込み、川面をキラキラと輝かせた。
「……綺麗だ」
思わず、俺は呟く。
なんて美しいのだろう。
俺はこの美しい風景を忘れないよう、ゆっくりと息を吸い込む。
そして、決意する。
これからは、美しいものをこの目に焼き付けながら生きていこう。
真白が綺麗だと言ってくれた、この瞳で。
そして前を向くと、俺は大きく足を一歩踏み出した。
【了】
赤紫色の空の下、俺と母さんは土手を歩く。川の水が穏やかに流れていた。
目の前から、親子が歩いてきた。
母親におんぶされている子供は病院帰りなのだろうか。
冷えピタを貼って赤い顔をしながら眠っている。
「冬夜が子供だった頃、熱を出したことがあったわよね」
母さんがぽつりと呟く。
「覚えてる。俺が小学生の頃だ。その時俺は心細くて。でも、誰かが俺の額に手を当ててくれたんだ」
母さんは、あぁ、あのことね、と呟く。
「覚えてるわ。私が冬夜の様子を見に部屋を覗いたら雪成があなたの傍にいたのよ」
「……雪成が?」
思わず、俺は足を止める。
「えぇ。心配そうに額に手を当てていて。あなた達、兄弟仲は良くなかったけれど、雪成はちゃんと冬夜のお兄ちゃんだったのね――」
俺が帰ると、真白が玄関まで出迎えにきた。
「冬夜! おかえりなさい」
「真白、どうしたんだ」
「どうした、って今日は冬夜の誕生日でしょう? 私ご馳走作ったんだから」
真白に背中を押され、俺はリビングに入る。
テーブルの上には豪勢な食事が並んでいた。
「こんなことくらいしか出来なくてごめんね、冬夜」
そんな真白が愛おしく感じて、俺は胸が痛む。
「謝るなよ。十分嬉しい」と言葉を切ると、「真白。来週お前を連れて行きたい所があるんだ」
「連れて行きたい所……どこ?」
「内緒」
俺は勿体ぶると、席について料理を食べ始めた。
冬夜が言う“連れて行きたい所”がどこか知らないまま私は白い息を吐きながら冬夜の後ろを歩いていた。
冬夜はなぜかキャリーケースを引いていた。一体今からどこに行くというのだろう。
大きな河川が流れる人道橋の真ん中で冬夜は足を止める。そして、冬夜は顔だけ私に向けると、
「今日は真白に大事な話があるんだ」
穏やかな声で言った。
「何よ、急に」
私は笑う。
しかし、冬夜の顔は真剣だった。
「高校の時に、俺と初めて会話した時のこと覚えているか?」
「もちろん。校舎裏で怪我していた冬夜を私が手当てして」
「そう。あの瞬間から俺の世界が色付いたんだ」
そこで冬夜が言葉を切った。私をじっと見つめる。
冬の夜のように澄んだ黒色の綺麗な瞳で。
「俺さ、ずっと母親から愛されてないと思っていたんだ。ずっと愛が欲しくて優しさに飢えていて。そんな時、真白は俺に初めて優しくしてくれたんだ。それから俺はずっと真白に執着して、真白を閉じ込めて俺から離れないように、どこにも行かないようにして。でもこの間、母さんと話をしてさ。それで気付いたんだ。俺は母親から満たされることのなかった愛情を真白に求めていたんだってことに。今までごめんな真白。俺はもう大丈夫だから。真白は自由になっていいんだ」
冬夜が、私の頭を撫でた。冬夜の手が私の髪を一房掴むと、放す――。
「真白が想っている人は、俺じゃないだろう?」
冬夜の言葉に、私の胸がどきっと跳ねた。
「私は……」
声が、震える。目の下が熱くなってじんわりと涙が目を覆った。
「なぁ、真白。真白の好きな人は誰だ?」
『真白――』
私の名を呼ぶ雪成くんの声が脳裏をよぎった。
どきん、どきん、どきん。
心臓が、高鳴る。
榛色の瞳で私を見つめる雪成くん。
優しい声で私の名前を呼ぶ雪成くん。
今までの想い出が次から次へと蘇る――。
「ごめんなさい冬夜。私は……私、雪成くんのことが好き……」
「ほらな。真白の心に俺はいないんだよ――聞いたか、雪成」
冬夜は私の後ろに向かって声を掛ける。
えっ、と私は振り返ると、そこには雪成くんがいた。雪成くんはキャリーケースを横に携えている。
「雪成くん、どうしてここに」
「雪成。今日、日本を発つんだろう?」
「え? 日本を発つってどういうこと?」
「雪成、海外に戻るんだよ」
私は息を飲むと、雪成くんを見つめる。
「冬夜」
赤紫色のマフラーを首に巻いた雪成くんが、複雑な表情をしながら冬夜の名前を呼ぶ。
冬夜は雪成くんの前に立つと、「海外には俺が行くよ」
「何言ってるんだよ。冬夜……まさか、そのキャリーケースは」
冬夜はゆっくりと頷いた。
「俺だと真白を幸せに出来ないんだ。雪成、お前じゃないと。真白はずっと雪成のことが好きだったんだ。ごめんな、雪成。本当は雪成も真白のことを愛していて両想いだったのに身を引かせてしまって」
「両想い……?」
私は呟く。
「真白、僕は……」
言い掛けて、雪成くんは口を噤む。
「言ってやれよ、雪成」
冬夜が雪成くんの背中を押した。雪成くんが、私の前に立つ。
榛色の瞳に、不安そうな顔をしている私が映っている。
「真白。僕は真白のことを愛しているんだ」
雪成くん……。私の胸が熱くなる。
どきんどきんと、胸が高鳴る。
「私、ずっと雪成くんのことが好きだった――」
瞬間、私は高校時代に戻ったようだった。雪成くんに告白するはずだったあの日の放課後に。
やっと……私が伝えたかったその言葉を伝えることが出来た。
「今まで悪かったな、雪成。出来の悪い弟のせいで」
「冬夜は出来が悪くなんてないよ……ずっと僕の前を歩いていた。それが僕は羨ましかったんだ」
「ありがとう雪成……あ、最後にお前が気になっていたあのことを教えてやるよ」
冬夜が雪成くんに耳打ちすると、雪成くんは驚いた顔をする。
「じゃあ俺は行くから」
冬夜は背中を向けると、ゆっくりと歩いていった。
冬夜の姿を見届けると、雪成くんが呟く。
「それにしても、真白は意外と大胆なんだね」
何のことか分からず、私が首を傾げていると、
「寝ている僕にキスをするなんてさ」
悪戯っぽく笑う雪成くん。
「まさか、さっき冬夜が雪成くんに耳打ちしていたことって……」
私はかぁぁっと顔が熱くなる。
あの秘密をバラすだなんて。
「ねぇ真白。僕からもしていいかな?」
雪成くんが、私を見つめる。
榛色の瞳が私を映す。
私が頷くと、雪成くんは私にキスをした――。
初恋は叶わない――。
これは一体、誰の言葉なのだろうか。
長い長い俺の初恋が、今、終わった。
いや、自分の手で終わらせた、と言うべきだろうか。
ずっと好きだった。
ずっと大好きだったその人は今、幸せに笑っていることだろう。
曇天の下で、俺は川沿いを歩く。
白い息を吐きながら、寒さをしのぐためコートのポケットに手を突っ込んだ。
指先に何かがあたり、取り出してみると、ハンカチだった。
これは高校時代、校舎裏で真白が俺を手当てしてくれた時に使ったハンカチだ。
返しそびれてしまったまま、ずっと持っていた。そのハンカチは俺にとってお守りのような存在だった。
立ち止り、名残惜しそうに見ていると、風が吹いた。
風は俺の手からハンカチをかっさらうと、大空へ高く飛ばしていった。
それを見届け、歩き出そうとしたその時――。
雲の切れ間から太陽の光が差し込み、川面をキラキラと輝かせた。
「……綺麗だ」
思わず、俺は呟く。
なんて美しいのだろう。
俺はこの美しい風景を忘れないよう、ゆっくりと息を吸い込む。
そして、決意する。
これからは、美しいものをこの目に焼き付けながら生きていこう。
真白が綺麗だと言ってくれた、この瞳で。
そして前を向くと、俺は大きく足を一歩踏み出した。
【了】
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