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第七章
レオリースの手紙2
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「最初は内心『他人なのに口出しするな』とか『うるさい』とか思っていたけど、その気持ちはだんだん変わっていきました。
だってよく考えたら、マックスには僕のめんどうをみたり僕に教えたりするギムはないんです。放っておけばいいのに、わざわざ僕のために教えてくれているんです。
そう思ったら、もうしわけないなって。
自分でいうのもなんだけど、僕は貴族でいる以外には何もできません。だからマックスからしたらめんどうな子だと思います。
何の得にもならないのに、マックスは忙しいのにわざわざ僕のために自分の時間を使って教えてくれているんです。これってすごいことですよね?
料理も教えてくれました。
簡単なものだけど、小麦粉をこねてミルクを混ぜて焼くと固いパンみたいなものができるのです。
それに、ナベに野菜を色々入れて火にかけて、塩とかマックスがくれた粉を入れるとおいしいスープになるんです。
包丁で何度も手を切ってしまったけれど、今は上手に切れるようになりました。
スープを作るのって大変なのです。
公爵家にいたとき、僕は嫌いな食事を残していました。スープのことをけちくさい料理だと思っていました。まちがいでした。
あんなにすばらしい料理をしてくれていたのに、僕は感謝したことがありませんでした。僕のこういうところもダメだったのだと思います。
お兄様はどんなお食事も全てきれいに食べていましたね。そういえば、ものすごいはやさで食べるのに、ちゃんとお礼も言っていました。お兄様は料理をつくるのが大変だと分かっていたのですね。
今は毎日食事は僕が作っています。さいしょのころは失敗も多くてお父様もお母様も食べるのを嫌がったけど『僕ががんばってつくったんだから食べるべきだ』と言ったらしぶしぶ食べるようになりました。もう使用人はいないんです。
自分で買い出しにいくか生で食べるか、もしくは僕が作ったものしかないんですから。
けんかをしていたら僕がつくったご飯をあげません、と言ったら、悪口もがまんするようになりました。
長くなってごめんなさい。
またお手紙を送って困らせたくないから、全部書いてしまいます。
ここからは僕が野菜をつくることになった理由です。
マックスが畑をやっていると書きましたね?
マックスが『家の敷地が広いんだからお前も畑をやればいい』って言いだしたんです。
種を分けてくれて、道具も貸してくれました。買えるようになったら返せばいいっていって。
畑なんて、土がつくし汚いから嫌だっていったら『採れたての野菜はおいしいぞ』っていうんです。
『野菜によっては土にうえて半月くらいで
採れるんだぞ』って。
採れたてが食べたかったからもありますが、マックスには恩があるし、そんなにはやくできるならやってみてもいいかな、って思ったんです。
それで、敷地の日当たりのいいところに小さな畑をいっしょにつくりました。
葉っぱみたいな野菜(いろいろなハーブだそうです)と、ホウレンソウ、にんじん、ジャガイモを植えました。
毎日水をやって、虫をとったりします。めんどうだけど、お世話をがんばったら野菜ができるまではマックスのお野菜を分けてくれるというのでがぜんやる気がでました。
とにかく、こうして僕は野菜をつくりはじめたというわけなんです。
小さな虫とかたくさんいて、最初は怖くて嫌だったけど、その虫にもいい虫がいて実がなる手助けをしてくれるそうです。悪い虫だけやっつけます。
やってみて分かったことは、なんと、僕には野菜作りがとても向いていたんです!
勉強とは違って、目で見てやり方を教えてもらえるし、毎日野菜がちょっとずつ大きくなるのが分かるのが楽しいんです。それに、大きくなったら自分で採って食べることができます。
これまえで野菜についてとか考えたこともなかったけれど、育て方や育てる場所などでも味が変わるんですよ!」
ここでシルが複雑な表情になった。
「……あー、しばらく野菜の素晴らしさについて延々と書いてあるが省略していいか」
「……問題ない。正直、ちょっと衝撃が強すぎて頭が追い付かない」
「俺もだ。なんつーか、ミルの弟、聞いてたのと違う印象なんだが?
言ってもしょうがねえが、あの親じゃなくって例えば俺んちならまともに育ってたかもな。田舎だし勉強できなくても畑や芸術や自分に向いたもんが見つけられる」
「意外だが俺もそう思った。本当にキライなのは学校での勉強だったんだな。こういう実地的なものには向いていたようだ」
「レオリースをここまで上手く操るとは、マックス……マジで欲しい」
「シル!気持ちは分かるが、俺たちの安寧のためにはマックスに向こうに居てもらう必要があるだろう?冷静になれ!
ほ、ほら、続けてくれ」
「………自分が育てたと思うと、嫌いだった野菜も美味しく感じます。おかげで好き嫌いもなくなりました。
スープにしたらなんでも美味しくなるんです。スープってすごい。
………ここからはスープについて延々と語っているからそこも省略だ。
あ、ミル。ショウガを入れると旨いらしいから今度試そう」
どうしよう。
読むのをあんなに躊躇っておいてなんだが、レオリースの手紙がものすごく面白いんだが?!
だってよく考えたら、マックスには僕のめんどうをみたり僕に教えたりするギムはないんです。放っておけばいいのに、わざわざ僕のために教えてくれているんです。
そう思ったら、もうしわけないなって。
自分でいうのもなんだけど、僕は貴族でいる以外には何もできません。だからマックスからしたらめんどうな子だと思います。
何の得にもならないのに、マックスは忙しいのにわざわざ僕のために自分の時間を使って教えてくれているんです。これってすごいことですよね?
料理も教えてくれました。
簡単なものだけど、小麦粉をこねてミルクを混ぜて焼くと固いパンみたいなものができるのです。
それに、ナベに野菜を色々入れて火にかけて、塩とかマックスがくれた粉を入れるとおいしいスープになるんです。
包丁で何度も手を切ってしまったけれど、今は上手に切れるようになりました。
スープを作るのって大変なのです。
公爵家にいたとき、僕は嫌いな食事を残していました。スープのことをけちくさい料理だと思っていました。まちがいでした。
あんなにすばらしい料理をしてくれていたのに、僕は感謝したことがありませんでした。僕のこういうところもダメだったのだと思います。
お兄様はどんなお食事も全てきれいに食べていましたね。そういえば、ものすごいはやさで食べるのに、ちゃんとお礼も言っていました。お兄様は料理をつくるのが大変だと分かっていたのですね。
今は毎日食事は僕が作っています。さいしょのころは失敗も多くてお父様もお母様も食べるのを嫌がったけど『僕ががんばってつくったんだから食べるべきだ』と言ったらしぶしぶ食べるようになりました。もう使用人はいないんです。
自分で買い出しにいくか生で食べるか、もしくは僕が作ったものしかないんですから。
けんかをしていたら僕がつくったご飯をあげません、と言ったら、悪口もがまんするようになりました。
長くなってごめんなさい。
またお手紙を送って困らせたくないから、全部書いてしまいます。
ここからは僕が野菜をつくることになった理由です。
マックスが畑をやっていると書きましたね?
マックスが『家の敷地が広いんだからお前も畑をやればいい』って言いだしたんです。
種を分けてくれて、道具も貸してくれました。買えるようになったら返せばいいっていって。
畑なんて、土がつくし汚いから嫌だっていったら『採れたての野菜はおいしいぞ』っていうんです。
『野菜によっては土にうえて半月くらいで
採れるんだぞ』って。
採れたてが食べたかったからもありますが、マックスには恩があるし、そんなにはやくできるならやってみてもいいかな、って思ったんです。
それで、敷地の日当たりのいいところに小さな畑をいっしょにつくりました。
葉っぱみたいな野菜(いろいろなハーブだそうです)と、ホウレンソウ、にんじん、ジャガイモを植えました。
毎日水をやって、虫をとったりします。めんどうだけど、お世話をがんばったら野菜ができるまではマックスのお野菜を分けてくれるというのでがぜんやる気がでました。
とにかく、こうして僕は野菜をつくりはじめたというわけなんです。
小さな虫とかたくさんいて、最初は怖くて嫌だったけど、その虫にもいい虫がいて実がなる手助けをしてくれるそうです。悪い虫だけやっつけます。
やってみて分かったことは、なんと、僕には野菜作りがとても向いていたんです!
勉強とは違って、目で見てやり方を教えてもらえるし、毎日野菜がちょっとずつ大きくなるのが分かるのが楽しいんです。それに、大きくなったら自分で採って食べることができます。
これまえで野菜についてとか考えたこともなかったけれど、育て方や育てる場所などでも味が変わるんですよ!」
ここでシルが複雑な表情になった。
「……あー、しばらく野菜の素晴らしさについて延々と書いてあるが省略していいか」
「……問題ない。正直、ちょっと衝撃が強すぎて頭が追い付かない」
「俺もだ。なんつーか、ミルの弟、聞いてたのと違う印象なんだが?
言ってもしょうがねえが、あの親じゃなくって例えば俺んちならまともに育ってたかもな。田舎だし勉強できなくても畑や芸術や自分に向いたもんが見つけられる」
「意外だが俺もそう思った。本当にキライなのは学校での勉強だったんだな。こういう実地的なものには向いていたようだ」
「レオリースをここまで上手く操るとは、マックス……マジで欲しい」
「シル!気持ちは分かるが、俺たちの安寧のためにはマックスに向こうに居てもらう必要があるだろう?冷静になれ!
ほ、ほら、続けてくれ」
「………自分が育てたと思うと、嫌いだった野菜も美味しく感じます。おかげで好き嫌いもなくなりました。
スープにしたらなんでも美味しくなるんです。スープってすごい。
………ここからはスープについて延々と語っているからそこも省略だ。
あ、ミル。ショウガを入れると旨いらしいから今度試そう」
どうしよう。
読むのをあんなに躊躇っておいてなんだが、レオリースの手紙がものすごく面白いんだが?!
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