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第8章 ◇波乱の 3rd WEEK
◆14 蓮夜を囲む会!?④
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「言っておくけど、高城さん側の人と話すことなんて何も無いから。早くどこかへ行ってくれる?こっちはこっちで、皆で楽しくやっている所なの」
さよなら、と手を振って追い払う仕種をする。それを見て、美彌子さんは更に挑発的に笑いかけた。
「――そう……蓮夜さんが勝てそうにもないから、一生懸命、皆で相談し合ってるってことね?」
「……は?」
「可哀想で涙が出るわ」
「……!!?」
――その場の温度が。
一瞬で氷点下まで落ち込んだ気がした。
ピシリ、と固く凍った冬の湖面にヒビが入る音まで聞こえたような。
俺は「うわぁ」と心の中で悲鳴を上げ、彼女を見詰めた。俺の常連客を前にして、随分と大胆な、スゴいことを言うなと思った。このあからさまな挑発は……一体!?
「あら、お姉様方も怖い顔ね?ごめんなさい、気を悪くしたかしら。皇様の常連客は、私を含めて利用上限額がほとんどないゴールドカードを使っているメンバーばかりなの。それに比べたら蓮夜さんの常連客の皆さんは……ご自分で稼がなきゃいけないし、色々やりくりが大変よね?くれぐれもご無理はなさらないで」
うふふと笑い、恐ろしくも無邪気な笑みを見せている。
……何だろう、この絵に描いたような悪役令嬢的な振舞いは!?
紗良さんに冷たくあしらわれたせいなのだろうか?
「ものすごーく喧嘩を売りたいわ」という、そんなセリフが、マンガのように彼女の頭の上に浮かんでいるのが見える気がした。
どんな思惑があるのか分からないが、彼女のこの言動に――百戦錬磨の年上2人が黙っている筈はなく。
「……そうねぇ」
ふふっと笑いながら、最初に応えたのは舞華さんだった。
「私達は、親の稼ぎでのほほんと遊んでいられるお嬢様とは、お金に対する考え方が違うのはまぁ……確かよね?」
柔らかな巻き髪をフワリとかき上げ、大人の女の余裕を見せる。
「そうね、ムダなお金は一円も使いたくない。だからつまらない男に貢ぐ気は一切ない。楽しい時間を作ってくれる男としか、遊びたくないわね」
それを受けた美南さんも、腕組みしたまま凄みのある笑みを浮かべながら話を続ける。
「そうよ、私だって自分が遊ぶお金くらいは自分で稼いでる。だからこそ、私たちは蓮夜さんを選んでるってこと――この意味、分かる?……まぁ親から与えられたお金で高城さんにのぼせ上がってる美彌子には、一生分からないと思うけどね」
「な……っ」
売られたケンカを思い切り買って、胸を張ってこれでもかと返答を叩きつけてくる3人の言葉に。
美彌子さんは一瞬たじろいだようだ。顔を赤くして声を荒らげる。
「皇様を侮辱する気なら許さないわ……!」
「それはこっちのセリフ。先に蓮夜さんを――私たちを馬鹿にしたのは美彌子でしょ?」
ぎりぎりと、お互いの歯ぎしりの音が聞こえそうな睨みあいに発展してしまい……これはマズい!と、さすがに俺は立ち上がった。本格的なキャットファイトになるのは避けなければと、俺は美彌子さんの前に移動してニコリと微笑んだ。
さよなら、と手を振って追い払う仕種をする。それを見て、美彌子さんは更に挑発的に笑いかけた。
「――そう……蓮夜さんが勝てそうにもないから、一生懸命、皆で相談し合ってるってことね?」
「……は?」
「可哀想で涙が出るわ」
「……!!?」
――その場の温度が。
一瞬で氷点下まで落ち込んだ気がした。
ピシリ、と固く凍った冬の湖面にヒビが入る音まで聞こえたような。
俺は「うわぁ」と心の中で悲鳴を上げ、彼女を見詰めた。俺の常連客を前にして、随分と大胆な、スゴいことを言うなと思った。このあからさまな挑発は……一体!?
「あら、お姉様方も怖い顔ね?ごめんなさい、気を悪くしたかしら。皇様の常連客は、私を含めて利用上限額がほとんどないゴールドカードを使っているメンバーばかりなの。それに比べたら蓮夜さんの常連客の皆さんは……ご自分で稼がなきゃいけないし、色々やりくりが大変よね?くれぐれもご無理はなさらないで」
うふふと笑い、恐ろしくも無邪気な笑みを見せている。
……何だろう、この絵に描いたような悪役令嬢的な振舞いは!?
紗良さんに冷たくあしらわれたせいなのだろうか?
「ものすごーく喧嘩を売りたいわ」という、そんなセリフが、マンガのように彼女の頭の上に浮かんでいるのが見える気がした。
どんな思惑があるのか分からないが、彼女のこの言動に――百戦錬磨の年上2人が黙っている筈はなく。
「……そうねぇ」
ふふっと笑いながら、最初に応えたのは舞華さんだった。
「私達は、親の稼ぎでのほほんと遊んでいられるお嬢様とは、お金に対する考え方が違うのはまぁ……確かよね?」
柔らかな巻き髪をフワリとかき上げ、大人の女の余裕を見せる。
「そうね、ムダなお金は一円も使いたくない。だからつまらない男に貢ぐ気は一切ない。楽しい時間を作ってくれる男としか、遊びたくないわね」
それを受けた美南さんも、腕組みしたまま凄みのある笑みを浮かべながら話を続ける。
「そうよ、私だって自分が遊ぶお金くらいは自分で稼いでる。だからこそ、私たちは蓮夜さんを選んでるってこと――この意味、分かる?……まぁ親から与えられたお金で高城さんにのぼせ上がってる美彌子には、一生分からないと思うけどね」
「な……っ」
売られたケンカを思い切り買って、胸を張ってこれでもかと返答を叩きつけてくる3人の言葉に。
美彌子さんは一瞬たじろいだようだ。顔を赤くして声を荒らげる。
「皇様を侮辱する気なら許さないわ……!」
「それはこっちのセリフ。先に蓮夜さんを――私たちを馬鹿にしたのは美彌子でしょ?」
ぎりぎりと、お互いの歯ぎしりの音が聞こえそうな睨みあいに発展してしまい……これはマズい!と、さすがに俺は立ち上がった。本格的なキャットファイトになるのは避けなければと、俺は美彌子さんの前に移動してニコリと微笑んだ。
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