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~【第2部】王太子殿下の最愛押しが強すぎる?!~
第20話 嫌な予感的中、アラステアが滅ぶ?!
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美男子に見つめられてそんなこと言われたら、本気にしちゃうでしょうと、私は頬を真っ赤に染めながら、自身に惑わされちゃいけないと言い聞かせる。
「いやん、ストレートな告白も好きよ」
「ルーフェスさんは、口を挟まないでください」
「貴様が口を出すと、ややこしくなる」
「二人とも酷いじゃない」
私とヴォルフガングが強く言えば、ルーフェスはワザとらしく泣きまねまでし始めて、なぜかアシュレイの肩を抱く。
「アシュちゃんも酷いと思うでしょう。か弱い乙女をみんなでイジメるのよ」
「お、乙女……?」
「そうよ、箸より重い物なんか持てないもの」
見て、この細い腕と、差し出された白い腕は確かに細かった。しかし、先ほどまで氷の剣を軽々振り回して、全身切りつけられたと思えば華奢とは程遠いのでは、と、アシュレイの右頬が引き攣る。
そしてルーフェスの体が浮く。
「箸も持てないのならば、自主トレーニングでもしてこい!」
「いやぁぁぁ~~」
キラッ
と、ルーフェスが空に放り投げられた。それはそれは遠くに。
「これでまともな話ができそうだな」
邪魔者を排除したヴォルフガングは、深く息を吐きだすとアシュレイとちゃんと話をするべく、その瞳を捉えたのだが、ゾクリと背筋に電気が走ったような感覚を察した。
強大な力を人間界から感じると、ヴォルフガングはアシュレイから視線を反らすと、岩場の向こうの森のその先、アラステア全土を探るように神経を研ぎ澄ます。
溶岩のような瞳を細め、その気配を必死に探り、ヴォルフガングは息を呑む。
「くッ、まずいな」
感じた気配に心当たりがあり、即座に立ち上がるとヴォルフガングは、「ルーフェス、戻れ」と、空に向かって声を荒げた。
自分で投げ飛ばしておいてすぐに戻れとは勝手だが、緊急事態だとヴォルフガングが空を睨めば、巨大な蒼色のドラゴンがこちらに向かって飛んできた。
「ヴォルフちゃん!」
「嫌な予感が的中した」
蒼のドラゴンはルーフェス。その姿に、私もアシュレイもやっぱりドラゴンなのよね、と、足が竦みそうになる。
1体でも恐ろしいのに、ドラゴンが2体。怖くないわけがない。
しかし、ヴォルフガングとルーフェスは慌てたように遠くに視線を合わせる。
「アリアちゃんの魔法が原因かしら?」
ルーフェスがそう言葉にすれば、ヴォルフガングは難しい顔をして悩む。おそらくワイバーンを一掃したときに放った強力な魔力が引き金になった可能性はあると、厄介なことになったと、さらに眉間に皺が寄る。
「どうしたの?」
二人の会話が分からず私が口を挟めば、ヴォルフガングは怖い顔をしたまま
「ここで待て」
と、指示を出す。
「ちゃんと説明してっ」
「説明している時間はない。アラステアが滅ぶぞ」
「待て、それはどういう意味なんだヴォルフガング殿!」
国が滅ぶなどと聞いて、黙っていられるはずもなくアシュレイが食って掛かる。だが、ヴォルフガングは「行くぞ」とルーフェスに合図を送る。
「そこまで聞いて、行かせるわけないでしょう。――燦爛の槍、《レクト》」
完全詠唱を発動すれば、空まで伸びる光の槍がヴォルフガングを囲む。ドラゴンの姿になって飛び立つのを阻止する。
「アリアっ、邪魔をするな」
「何が起こってるのか教えて!」
「本気でアラステアが滅ぶぞ」
「だから、何があったのよ」
何も分からない状態で放置されるのは嫌だと、怒りを露にすれば、アシュレイもヴォルフガングに近寄る。
「教えてくれ」
今、アラステアで何が起こっているのか、それが知りたいと再度問いかけたが、ルーフェスが光の槍を氷結させてダイアモンドダストのように砕く。
「アリアちゃんごめんね、急がないと取り返しのつかないことになっちゃうのよ」
ヴォルフガングを解放したルーフェスは謝罪しながら、「で、どうするの?」と聞く。
「そこまでは考えておらん」
「アレを大人しくさせるのは、血を見るわよ」
「分かっておる……、俺様が止める」
対抗できるのはドラゴン以外いないと断言したヴォルフガングは、自身が止めると口にすると、その姿をドラゴンに変える。
「お父さんッ!!」
ルーフェスとともに飛び立とうとするヴォルフガングを引き留める。吸い込まれそうな大きな瞳が見下ろす。何かを言いたそうだったけど、ヴォルフガングは左右の羽根を大きく広げると羽ばたかせる。
「待ってっ!」
風が巻き起こると、突然ルーフェスがそれを制止した。
「ルーフェス、何事だ」
「アリアちゃんって、そっくりなのよ」
「あ゛? 何を当たり前な……、そうか、その手があるな」
ポンと手を叩きそうな声を出したヴォルフガングは、ルーフェスに「評価するぞ」と告げ、褒めた。
しかし、ヴォルフガングからの次の指示に、ルーフェスは真っ青になってその大きな体を揺すった。
「私には無理よッ! 絶対に」
「いやん、ストレートな告白も好きよ」
「ルーフェスさんは、口を挟まないでください」
「貴様が口を出すと、ややこしくなる」
「二人とも酷いじゃない」
私とヴォルフガングが強く言えば、ルーフェスはワザとらしく泣きまねまでし始めて、なぜかアシュレイの肩を抱く。
「アシュちゃんも酷いと思うでしょう。か弱い乙女をみんなでイジメるのよ」
「お、乙女……?」
「そうよ、箸より重い物なんか持てないもの」
見て、この細い腕と、差し出された白い腕は確かに細かった。しかし、先ほどまで氷の剣を軽々振り回して、全身切りつけられたと思えば華奢とは程遠いのでは、と、アシュレイの右頬が引き攣る。
そしてルーフェスの体が浮く。
「箸も持てないのならば、自主トレーニングでもしてこい!」
「いやぁぁぁ~~」
キラッ
と、ルーフェスが空に放り投げられた。それはそれは遠くに。
「これでまともな話ができそうだな」
邪魔者を排除したヴォルフガングは、深く息を吐きだすとアシュレイとちゃんと話をするべく、その瞳を捉えたのだが、ゾクリと背筋に電気が走ったような感覚を察した。
強大な力を人間界から感じると、ヴォルフガングはアシュレイから視線を反らすと、岩場の向こうの森のその先、アラステア全土を探るように神経を研ぎ澄ます。
溶岩のような瞳を細め、その気配を必死に探り、ヴォルフガングは息を呑む。
「くッ、まずいな」
感じた気配に心当たりがあり、即座に立ち上がるとヴォルフガングは、「ルーフェス、戻れ」と、空に向かって声を荒げた。
自分で投げ飛ばしておいてすぐに戻れとは勝手だが、緊急事態だとヴォルフガングが空を睨めば、巨大な蒼色のドラゴンがこちらに向かって飛んできた。
「ヴォルフちゃん!」
「嫌な予感が的中した」
蒼のドラゴンはルーフェス。その姿に、私もアシュレイもやっぱりドラゴンなのよね、と、足が竦みそうになる。
1体でも恐ろしいのに、ドラゴンが2体。怖くないわけがない。
しかし、ヴォルフガングとルーフェスは慌てたように遠くに視線を合わせる。
「アリアちゃんの魔法が原因かしら?」
ルーフェスがそう言葉にすれば、ヴォルフガングは難しい顔をして悩む。おそらくワイバーンを一掃したときに放った強力な魔力が引き金になった可能性はあると、厄介なことになったと、さらに眉間に皺が寄る。
「どうしたの?」
二人の会話が分からず私が口を挟めば、ヴォルフガングは怖い顔をしたまま
「ここで待て」
と、指示を出す。
「ちゃんと説明してっ」
「説明している時間はない。アラステアが滅ぶぞ」
「待て、それはどういう意味なんだヴォルフガング殿!」
国が滅ぶなどと聞いて、黙っていられるはずもなくアシュレイが食って掛かる。だが、ヴォルフガングは「行くぞ」とルーフェスに合図を送る。
「そこまで聞いて、行かせるわけないでしょう。――燦爛の槍、《レクト》」
完全詠唱を発動すれば、空まで伸びる光の槍がヴォルフガングを囲む。ドラゴンの姿になって飛び立つのを阻止する。
「アリアっ、邪魔をするな」
「何が起こってるのか教えて!」
「本気でアラステアが滅ぶぞ」
「だから、何があったのよ」
何も分からない状態で放置されるのは嫌だと、怒りを露にすれば、アシュレイもヴォルフガングに近寄る。
「教えてくれ」
今、アラステアで何が起こっているのか、それが知りたいと再度問いかけたが、ルーフェスが光の槍を氷結させてダイアモンドダストのように砕く。
「アリアちゃんごめんね、急がないと取り返しのつかないことになっちゃうのよ」
ヴォルフガングを解放したルーフェスは謝罪しながら、「で、どうするの?」と聞く。
「そこまでは考えておらん」
「アレを大人しくさせるのは、血を見るわよ」
「分かっておる……、俺様が止める」
対抗できるのはドラゴン以外いないと断言したヴォルフガングは、自身が止めると口にすると、その姿をドラゴンに変える。
「お父さんッ!!」
ルーフェスとともに飛び立とうとするヴォルフガングを引き留める。吸い込まれそうな大きな瞳が見下ろす。何かを言いたそうだったけど、ヴォルフガングは左右の羽根を大きく広げると羽ばたかせる。
「待ってっ!」
風が巻き起こると、突然ルーフェスがそれを制止した。
「ルーフェス、何事だ」
「アリアちゃんって、そっくりなのよ」
「あ゛? 何を当たり前な……、そうか、その手があるな」
ポンと手を叩きそうな声を出したヴォルフガングは、ルーフェスに「評価するぞ」と告げ、褒めた。
しかし、ヴォルフガングからの次の指示に、ルーフェスは真っ青になってその大きな体を揺すった。
「私には無理よッ! 絶対に」
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