新人くんとやさしい隊長

suima

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新人くんとやさしい隊長

5.初任務

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 魔物急増殖の予兆が観測されるとすぐに魔物駆除特殊部隊に出動要請が来る。前回の急増殖から一定期間が過ぎ警戒する時期に入っていたので心の準備はしていたが、出動と聞いた時はようやく隊員としての初仕事ができる喜びと緊張感で気持ちが昂った。
 予兆があってからだいたい7日以内には大型魔物が出現し、森の魔物の数がいつもより増えて狂暴化する。
 今回向かうのは魔特の駐屯地のある王都から最も遠い魔の森のうちの1つで、最新型の専用船で5日程かかる場所だった。到着した時にはすでに地元軍による駆除が始まっている場合もあるので、船内で万全の準備をし作戦を立てた。
 
 移動中、見習いの僕は隊長や幹部隊員の指示に従い準備を手伝ったり、作戦通り行動できるように自分の役割をしっかり覚えた。
 大型魔物をいかに手際よく駆除できるかがその後の戦いに大きく影響すると教えられた。普通の魔物とはレベルが違うので、部隊で連携して作戦に沿って動くのが大事だ。新人の僕もメンバーとして役割が与えられているから間違えると他の隊員に迷惑がかかってしまう。
 隊長や隊員の仲間に認めてもらえるように、がんばらなきゃ……!

 
「よう、気合い入ってるな」

「はっ、先輩方! お疲れ様です!」

 船内のトレーニングルームで作戦のおさらいをしていると、トレーニング後のシャワーを終えた先輩達が声をかけてきた。いつも親切な彼らにはたくさんお世話になっていて、今回の任務でも色々と指導をいただいている。

「チイ、お前ずいぶんと張り切ってるが根を詰めるなよ。作戦はあくまで基本だ。その場で臨機応変に動くのも大切だから、身体の準備は疎かにするなよ」

「どうだ、今からオレ達がマッサージしてやろうか。じっくり解してやるぜ?」

 隊で1番大きなリッキー先輩がニヤリと笑う。マッサージは親しい人同士でしかやらないことだからお誘いいただくのは嬉しいが、今は隊長としかやってはいけない約束になっているし皆それを知っている。
 お誘いはきっと冗談なので、失礼にならない言葉で返事をしなければと言い方を考えていると、2番目に大きなバルテ先輩と小柄なヨルク先輩が呆れたように言った。

「おいおい、冗談でもやめておけ。まだ隊長『専属』なんだから勝手なことしたらお叱りを受けちまう」

「まだっつーか、ずっと専属な気がするけどな。チイ、こいつはいつもふざけてるから言うことを間に受けるなよ。隊長との約束が絶対だからな。お前がイイコにしてると隊長がカッコつけて真面目に仕事するからオレらも助かるんだ」

「違いねぇ。ま、とりあえず初任務は気負いすぎない程度にがんばりな」

 先輩達はワハハと笑い合いながら部屋へと戻っていった。
 きっと、僕が初任務に向けて緊張しすぎているから気持ちを解してくれたんだ。その気遣いとやさしさに感謝して、言われた通りすぐに部屋へ戻った。


   *  *  *

 
 初めての任務は無我夢中でなんとか完了した。地元軍の時に体験した魔物の戦闘とは全く違った。とても上手にやれたとは思えないけど、大失敗はしていないはずだ。
 大型魔物と凶暴化したやつらを一通り駆除し終えたら魔特の任務は完了だ。事後処理は現地軍に引き継がれるから、戦闘が終わったら船に戻って自身のケアにあたる。

 大きな怪我はなかったので魔道具で傷を手当てしてもらってから身体を洗浄する。魔物と戦闘した後は色々とよくないものがくっつくから、消毒を兼ねたシャワーだ。
 この後、隊長から今日の任務についてご指導を頂けることになってるから念入りにキレイにしようと思いながら戦闘服を脱いだ時にようやく気付いた。

 (勃ってる……)

 なんで今こんなにガチガチになってるんだろう? 寝起きでもないしマッサージもしていないのに。それどころか任務が終わったばかりだから、そういう事を考える暇なんて少しもなかった。
 もう少ししたら身支度を整えなければならないから、こいつを落ち着かせないと。深呼吸をしてみたりシャワーの温度を下げて少し冷やしてみたりしたが、ちっとも変わらない。

(どうしよう、どうしよう……)

 魔物の毒の影響とか病気とか色々頭をよぎるけど、自分で考えるより何でも知ってる隊長に相談するのが一番だ。

 
 
 予定より早く部屋を訪れた僕を心配してくれた隊長に、恥ずかしさを堪えて質問した。

「申し訳ありません、隊長! あの、ご相談がありまして。おちんち……じゃなくて、ペニスが勝手に硬くなっちゃって、ずっとそのままなんです!」

 呆れられたらどうしようと心配していたけれど、隊長はいつも通りやさしく答えてくれた。

「…………それは大変だったな。しかし、すぐに報告できてえらいぞ。私がなんとかしてやろう」

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