新人くんとやさしい隊長

suima

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番外編

隊長とかわいい新人3 ☆

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 駐屯地に帰還するまでの間、チイを私の部屋に引き留めた。
 今までは恋人などセックスする以外に何をすることがあるのか理解できなかったが、その謎がようやく解けた。

 何もしなくていい。眠っていても同じ部屋に存在しているだけでも満たされる。膝に座らせ他愛のない会話をしたり、私の言葉に笑顔を見せれば心が浮き立つ。

「隊長……大好き」

 私の胸に頬を擦り寄せながら少し照れたように言われると天にも昇る心地になった。
 
 まるで思春期の子供のような浮かれ方に我ながら呆れる。この様では隊員達が冷やかしたくなるのは無理もない。

 だがしかし……チイが可愛いのだから仕方ない。私しか知らないベッドでの媚態にも溺れている自覚があった。

 

「そろそろ1人で自慰の練習をしてみるか?」

 ふと思い付いてそう言うとチイは泣きそうな表情をした。もう私が慰めてはくれないのかと不安になったという。
 思わず押し倒したくなるのを堪え、仕事の都合などで側にいられない時もあるからともっともらしく説明する。
 無知なチイが無謀なやり方をしないように自慰を禁止していたのは本当だが、今となっては私が構ってやりたいがための口実だ。
 今更練習させる理由は、そろそろ許可してもいい頃合いなのと、その様子を私が見たいだけだ。


 背中をクッションに預けてベッドに座らせ立てた両膝の先に薄桃色の花茎が慎ましやかに震えているのを見守る。
 手に取ったジェルを塗り付けてゆるゆると扱き始めると、僅かに吐息をもらした。頬を染めて時折確認するように私に向ける視線に、安心させるように頷き返す。
 次第に芯を持ち蜜を垂らし始めたそこに吸い付きたい気持ちを押さえ込んでいると、チイが困ったように言った。

「隊長……隊長にしていただくより、全然気持ち良くならないです」

「確かに誰かにやってもらう方が気持ち良い場合もあるが……。では、私がした事を思い出しながらするのはどうだ? ペニスだけでなく他に感じた場所を一緒に触るのもいいかもしれない」

「はい! やってみます」

 すると空いているほうの手で頭を撫で髪を梳いた。細い指先で耳朶を捏ねながら震えるような吐息をもらすと、そのまま頬を辿り唇を揉んでから口に含みチュパチュパと音を立てて吸う。その指は首筋を滑り降り見せつけるように持ち上げた胸の飾りを摘んだ。
 肌を上気させ潤んだ瞳で私を見つめる。赤く艶やかな唇は甘く恋人を呼んだ。

「……ぅうんっ……隊長、たいちょ……ああっ……」
 
 あまりの艶めかしさに思わず頭を抱えそうになる。こんな姿を見たら誰もが一瞬でチイの虜になってしまう。誰だこんな事を教えたのは!――――私の他にいるはずもないのだが。
 
 指が辿った場所は明らかに私がチイを抱く時にするキスと同じだ。こんなものを見続けていたら理性が焼き切れそうだ。

「私の可愛いチイ……、上手に出来ているぞ。私の触れたところは気持ちが良いか?」
 
 徐々に手の動きを早めるチイの耳元で煽るように囁くと、熱にうかされたように頷きながら喘いだ。

「ふぁあっ、隊長ぉ……気持ちぃ、たいちょぉ触ってぇっ! イ…………イくぅっ」

 身体をこわばらせビクビクと震えながら達した。
 思わず抱きしめて火照った頬にキスをすると、チイは躊躇うように言った。

「僕……、自慰はちょっと苦手かもしれません」

「どうした? 何か嫌だったのか?」

「……はい。1人でするのは寂しい感じがして、隊長に触れないでイくのは嫌なんです。我儘言ってごめんなさい」

「…………そうか、それなら無理してやることはない。自分でする必要が無いくらい、普段から私が満足させてやる」

 今まで押さえ込んでいた情欲をぶつけるように勢いよくチイをベッドへ押し倒した。

「隊長……もっといっぱい触って、隊長を気持ち良くすることを教えてください……!」

「違うぞ。私だけではなく、2人で一緒に気持ち良くなるんだ」

 この子はこれ以上私を喜ばせてどうしようというのか。底知れぬ魅力に翻弄されるばかりだった。


 

  *  *  *


 
 チイと恋人になって、私の生活は何もかも変わった。

 チイの憧憬の思いを裏切らぬよう、仕事に精を出すようになった。恋人に甘いなどと言われぬよう仕事中は努めて冷静に接するように気をつけているが、近頃実力を付け始めたチイを褒める機会が増えたのは仕方がないことだ。そもそも、何をしていても可愛らしいので頬を緩ませないよう顔の筋肉を保つのは苦労する。

 プライベートの時間になれば真面目な仮面は取払い、好きなだけ甘やかす。隊員達には「切替わりが激しすぎる」だの「食堂で見せつけられると食事の味まで甘くなる」などと文句を言われるが知ったことか。

 今となっては練習と称した慣らし期間によく最後までせずに堪えられたものだと我ながら感心する。
 一度あの身体を知ってしまえば、我慢するなど不可能だ。元々魅力的なのを私好みに仕込んだが、最近は自ら私の反応を見て喜ぶことをしてくる。
 
 パジャマを脱ぐだけでもしどけなく、しかし誘惑するように焦らしながら徐々に肌を見せる様は何度見ても興奮する。
 私が我を忘れて噛み付いた跡すらも愛おしそうに撫でて消さずに残しておくばかりか、強請ってくる。


 次々に私を喜ばせる事ばかり憶える愛しい新人の成長に満足しない日はない。
 部下としてもパートナーとしても最高の存在を手に入れることができた至上の喜びを噛み締めた。




 
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